テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

天候不順でも双眼鏡(HM6.3×40SK-D)を使う

2013-10-20 18:03:46 | 双眼鏡 望遠鏡
台風の影響など、このところ、天候が安定しません。
伊豆大島などでは大きな被害も出ているので、星が見えない、なんて愚痴っていたら不謹慎かとも思います。せめて雨の中、部屋からの双眼鏡観望を積極的に実行してます。


土曜日の窓の外は、マンションやら、中層のビルやらで遮られて、見えるのは町並み程度です。遠くの遊興施設ビルの電飾や、高圧鉄塔、電線、近くのビルなど、歪みと色滲みに厳しい条件です。
用意したのは手持ち2機種、PENTAX Papilio 6.5×21 パピリオ君と、勝間光学機械HM6.3×40SK-Dです。綺麗な景色の観望では、勝間6.3×40に水を空けられているパピリオ君ですが、主に近接時の収差補正用、プラレンズとはいえ、非球面レンズを奢られている効用を一般的な双眼鏡のレンジで較べるのが目的です。

双方とも低倍故、普通の景色では色収差は目立ちにくいのです。ただ今日の観察対象には

など、色収差や歪収差に厳しいものが多数あります。
で、色々見較べてみまして、やはり色収差は勝間6.3×40が少なく、フラットさはパピリオ君が気持ち優れています。明るさやヌケは比ぶべくもなく勝間6.3×40に分があるのは以前の検証通りなのですが、鑑賞という観点の薄い観望、観測なら、パピリオ君のフラットさは良いかもしれません。2km以上離れた電飾の見やすさでは、圧倒的に勝間6.3×40が適しています。また薄暮の時間になり、ビル上の看板に向けた照明が灯るようになると、パピリオ君には盛大にゴーストがでます。これはいくらマルチコーとしてあるとはいえ、保護ガラスの悪影響で仕方のないことかもしれませんが、強い光源が混じる薄暮より暗い条件では、使えません。



日曜日は、同じく勝間光学機械さんのWP7×50RB-DとHM6.3×40SK-D、両機の比較です。

それぞれ、WP6×30SB-Dとの比較はしたことがあるのですが、この2機を比較したことはなかったのです。
両機とも、低倍、大きめの口径、ほぼ手持ちで使っていますので、極限の解像度やコントラストに差があるか、じっくりと固定して日中に比較検証しようとしたのです。
写真でも分かるように、WP7×50RB-Dは対物外面、そして接眼の目側がマゼンタコートです。それ故かもしれませんが、やや7×50にはうっすらと着色が感じられます。色ノリの良さも6.3×40に分があります。ただ、解像度の差異を見つける事は困難です。色合いが影響するような対象、濡れて茶色っぽくなった木の幹などでは、6.3×40のほうが、僅かに良いようにも見えますし、遠方の建物の雨樋など、7×50から6.3×40に換えた直後に倍率の差がよく分かるときには、倍率のやや高めの7×50のほうが、留め金具までしっかりと見えるようにも思いますが、6.3×40でじっくり覗いていると、差、といえるほどのものでも無いようです。
緑の草葉のコントラストなど、よくよく比較すれば、7×50はあっさりした感じがありますが、きっちりと表現しています。6.3×40は、気持ちこぢんまりとしながらも、細密画のようにしっかりとした描写です。
そしてWP6×30SB-Dでは陰になった部分が見難くなるような薄暮の時間でも、6.3×40の明るさは7×50に引けを取っていません。むしろやや暗くなった陰の部分でも、見分けがつきやすいような印象です。もっと暗くなって、きちんと暗順応した目をつくれば、7×50が有利なことは経験していますが、日が落ちていく中、かなりの暗さまで、6.3×40は使えます。
あと、見えには関係ないですが、この6.3×40は接眼部のゴムを二重にする際、少し隙間を空けてありますので、ぴったりと眼窩に押し当てるような使い方をしても、7×50よりずっと曇りにくいようになっています。
今回、共通軸としてHM6.3×40SK-Dを他の低倍機と比較してみて、これらの双眼鏡の得手不得手が如実に分かったように思います。また、加えて、WP6×30SB-Dの色収差の無さは一段上手で、SS10×50SK-Dの星空観望適性は、コストパフォーマンス抜群です。



でもまたなにかを望み、欲しくなってしまう、煩悩の尽きることはないのです。