ケネス・ホール君の書いた本
ぼくのアスペルガー症候群―もっと知ってよぼくらのことを | |
Kenneth Hall,野坂 悦子 | |
東京書籍 |
アスペルガー症候群~もっと知ってよぼくらのことを~よりご紹介
P.114~
ASと自閉症
~ASの子供たちは、ASの一番いい専門家だよ
自分たちにとって、世界でふつうじゃないみたいに思えるところを、大人におしえらるもの
~略
なかには、特別な才能のあるASの子もいる
何千本ものマッチ棒が床に落ちたとして、その数を当てられるASの子がいるって書いてあった
マッチを見ただけで正確な数がわかるんだ
これは、ほんとうにかっこいいと思う
ぼくも算数の才能があるけど、そんなふうにマッチを当てることはできない
そんなのできたらかっこいいのに
そういう子は、すごくかしこいはずだ
ジャシンタさんが言ってくれるまで、ママはぼくに算数の才能があるのを知らなかった
学校にいたころ、算数はほとんどやらなかったし、どんな種類の計算式も書くのがいやだった
教え方のせいで、学校がとてもたいくつだと思うASの子もいるんだ
ぼくにとって、ASと自閉症は同じもの
ASが何なのか、話すのはとてもむずかしい
説明するのが大変だし、じつはだれもしっかりと知っていないんだ
専門家やASのある人にだってわからない
ぼくもASが何だか、しっかり知っているわけじゃないけど、ASはもらった才能の一種だと思う
ふつうでいることが、いったいどんななのか、ぼくにはわからない
それを想像するのはとても大変だ
ぼくは、ASが障害だとは思わない
~略
ぼくにASがあることを、ふつうは人に話さないけれど、ASはぼくにとって障害じゃない
いやなのは、みんなが「苦しむ」っていう言葉を使い、ぼくが自閉症に「苦しんでる」なんて言うこと
自閉症で苦しんでいるわけじゃない、ぼくのありのままが、自閉症なんだ
~略
人はときどき、ふつうの人と自閉症のあいだに橋をかけたいって言う
ぼくは、だれにも発見できない世界の新しい国みたいで、ぼくのほうにまっすぐ向かう橋なんてかけてほしくない
ぼくはこの橋作りが始まったのがぜんぜんうれしくないし、そんなもの、ぜったい完成させちゃいけない
さもないと、ふつうの人が自閉症になろうとするかもしれないし、自閉症の人たちがふつうになろうとするかもしれない
それがついに、完成するとしたら、自閉症の人たちが、もういなくなるだろう
これは明らかに、神様の教えに反しているよ~
ケネス君が本の最終ページに綴った思いです
アスペルガー、自閉症、発達障害を抱える、今苦しいと感じる全ての人達の心に響く言葉だと思います