『待つわ』-➆ H.L. Welch 1952年のShort short contest で1等を取った作品
デイックがジーンの体に腕を回すと、ジーンは自分の腕が自(おの)ずと彼の首にまとわりついていくのを感じていた。
➆ ジーンはこの瞬間の記憶を自分の手にも刻んでおきたくて、彼の顔にそっと指を走らせた。彼のすべすべした顔からシェービングクリームの微かな香りがしてきたので、彼女は彼に奇妙に切ない愛(いと)おしさを感じた。彼の顔がまた垂れかかってくると、それを待ち受けて彼女のくちびるが震えた。(続く)
原文:➆She ran her fingers over his face lightly so that her hands too would have their memory of this moment. A faint odor of shaving cream came from his smooth cheeks and she felt a curious tender pity for him. His head bent again and her lips trembled in their waiting.
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