包帯
恥ずかしい と言ったのか
かすかに聞き取れた言葉を解こうとして
おれは明るい窓際に寄った
あんたは天井を見ている
そこに阿騎野の空が映っているか
同じ空の下にいるのに
あんただけが
いつも窮屈そうにしている
おれたちは普通に生活をして
スーパーマーケットで
野菜の鮮度の悪さに納得しあい
それから小さな旅行にも出た
古めかしい路地ではしゃいで
美味しい店を見つけ
おれたちは昔は何であったのか
おれは魚と言い
あんたは
ツチノコと言って笑いころげた
誰にも見られたことがないからと
あんたの好きなロックコンサートに行った帰り
人ごみの中で血の気の引いていったあんた
ちょっと目を離したすきに
あんたは何処まで行きかけたのか
おれは窓のブラインドを下ろし
布団の中に隠している
あんたの手首の包帯に触れた
目を合わそうとしない
恥ずかしいと言った小さな拒絶
包帯が
墨染の空に向って
するするするするとほどけていく
目を離したすきに
さよならあ
と 手をふるように
恥ずかしい と言ったのか
かすかに聞き取れた言葉を解こうとして
おれは明るい窓際に寄った
あんたは天井を見ている
そこに阿騎野の空が映っているか
同じ空の下にいるのに
あんただけが
いつも窮屈そうにしている
おれたちは普通に生活をして
スーパーマーケットで
野菜の鮮度の悪さに納得しあい
それから小さな旅行にも出た
古めかしい路地ではしゃいで
美味しい店を見つけ
おれたちは昔は何であったのか
おれは魚と言い
あんたは
ツチノコと言って笑いころげた
誰にも見られたことがないからと
あんたの好きなロックコンサートに行った帰り
人ごみの中で血の気の引いていったあんた
ちょっと目を離したすきに
あんたは何処まで行きかけたのか
おれは窓のブラインドを下ろし
布団の中に隠している
あんたの手首の包帯に触れた
目を合わそうとしない
恥ずかしいと言った小さな拒絶
包帯が
墨染の空に向って
するするするするとほどけていく
目を離したすきに
さよならあ
と 手をふるように