高山の自然環境問題をより大きな視点から見る中で、「生態系サービスと生物多様性」の関係をテーマに京阪奈丘陵のことを研究したいと考えていますが、何に焦点をあてるかを考えながら、とりあえず歩いてみようと京阪奈一帯を歩き回っています。きのう11月27日は生駒市高山のTさんが開催した芋ほり行事を訪ねた後、高山から京都府精華町に入り祝園まで歩きました。
主に考えているのは水系のタイプと生息する生物の関係ですが、水系といっても京阪奈丘陵一帯にはいろいろなタイプのものが存在します。
京阪奈丘陵の大阪側奈良側京都側にはそれぞれ個性があります。おおまかにいうと、大阪側は断層崖(?)の急傾斜面。奈良側は最奥部に規模の大きな高山溜池があり、そこを源とする富雄川が作る大きな谷が基本構造。京都側は東に向かって緩傾斜で降る丘陵地帯で、奥行きがないため河川は小規模なものが多い。
この中で奈良の最奥部にある高山溜池の存在は奈良の里山の個性に大きな影響をもっていると思います。これがあるので、ほかに大規模な池がなく小規模なため池と棚田が組み合わさった景観が多く見られることと関係があるのではないかと考えています。
ところで、大阪、京都の丘陵から平野部に開ける部分に比較的大きな池が見られます。こうした池は冬にはカモなど水鳥が飛来する場所になっているものがあります。しかし、伝統的なため池は池干しや水草帯の除去などのために水鳥はそれほど多くないはずです。しかし、オシドリも見られる学研記念都市公園や探鳥地として有名な枚方の山田池、交野の生物ふれあいの里の池などがあります。また、去年調べた学園前住宅地に組み込まれた池や新たに調整池として作られた池などには里山の池よりもむしろ水鳥が多い場合があります。こうした池が水鳥の渡来地になっているのは前者は積極的に鳥がすごしやすい環境を作ってきたから、後者は管理が昔と異なるためなどの理由が考えられます。つまり新たな都市的生態系が生まれたと見るべきではないかと考えています。下の写真は精華台の調整池ですが、この池でもマガモ、カルガモ、コガモ、カワウ、カイツブリが生息しています。
生物の多様性には環境の複雑さが関わっていると思いますが、複雑さを産むもとがなにかを歴史や地形なども含めた考えたいと思います。
ところで、京都の最奥部には山の中腹部に集落が見られます。今回この一部で湧水を見ることができました。もし、湧水が集落のはじまりに関係しているとすればこの配置はうなずけます。
ところで、大阪側ではじめてクヌギを使ったはさがけのあとを見ました。はさがけとは刈取り後のイネを干すためのものほしのようなもので、田んぼの横の法面にあり、横に渡す棒を支える支柱として生の木が使われることがあります。今森さんの滋賀県の写真でクヌギを使っているのを見ました。京都側では何度かこうしたクヌギを見ましたが。今回大阪側でもはじめて見ました。下の写真ですが、右から2番目は台場クヌギ状になっています。 もちろん、現役のときはこんなに茂っていないはずです。