東京砂漠脱出計画~Ut på tur, aldri sur~

2009東京砂漠を脱出して富士山麓へ
2012息子の進学で都内へ舞い戻り
2016縁あってノルウェー移住

好奇心に満ちた瞳

2021-06-26 12:30:26 | ノルウェーの動物 dyr
仕事から家に帰る途中の山道で
橋を2か所渡ります



最初の橋の一部には
放牧中のウシが橋を渡れないよう細工がしてあって
人も歩くときには気をつけないとつまずきそうになります



この橋から先では
どこでウシにあってもおかしくないのですが
彼らが好む場所が何か所かあるので
それ以外はわりと気を抜いて走っていると…



えっ、ここ?
という場所で不意打ちにあうことも



見慣れない車両に興味津々のウシたちは
近寄ってくることはあっても
進んで道をあけてくれることはまずありません

待っていたらいつ帰れるか分からないので
ほんの少しずつ車を進めますが
まさに牛歩戦術



見習いたいほどのマイペース
まあ、もう家に帰るだけだからいいんですけどね…

ひまなのでウシたちを眺めつつ
どの仔牛とどの母牛が親子なのか体や顔の色柄を見比べていたら
中に一頭やたらとちっちゃい仔牛がいました
少し遅くに生まれたのかな


(お母さんのそばにピタッとついていて可愛い)

それにしてもきみたち
その小さい目にけっこうな目ヂカラあるね
ウサギと違って目が比較的正面を向いてついているのは
外敵の脅威が少ないからなのでしょうか



ウシが通せんぼに飽きてゾロゾロと森の中へ動き出したので
ようやく運転を再開



この先にもう1か所橋があり
それより向こう側はヒツジたちが放牧されています


(橋の手前は無数のウシの足あと)

こちらの橋では柵がヒツジとウシを隔てていますが
去年はヒツジの脱走が頻発したんだよなあ…
旅行者向けに貼り紙か何かしたほうがいいのかも

それというのも
この辺りにはハイキングコースがあって
放牧について何も知らない都会の人や海外からの観光客もよく通ります

橋の手前(ウシ側)には
ツーリスト向けの名前を記すノートの入った小さな郵便箱があるのですが
(※去年と今年は感染予防のためノートはなくネットで入力するコード表示のみ)



ああ…
倒されている…
ウシに…

そうだよね
押すとグラグラすると面白いもんね
倒したくなるよね

ウシは本当に好奇心が強いです

やっと家に着くと
うっすらと霧のかかるなかヒツジがゲート前でお出迎え



ただいまー
ハイ、ちょっとどいてね

柵の内側ではウサギが食事中
野生ですがまるで飼っているウサギのようにいつもいます



人里離れた一軒家でさみしくないかとときどき人に聞かれますが
わりと賑やかです

夏の動物

2021-06-11 10:44:26 | ノルウェーの動物 dyr
羊農家さんがトレーラーでヒツジを連れてきました



放牧の季節です

ノルウェーのラム肉はかなり美味しいんですけれど
それもそのはず
ヒツジたちは夏を自然の中でのびのびと過ごし
栄養のある美味しい草がよりどりみどり

みんな狭いトレーラーから解放されて
興奮気味に猛然と草を食べ始めます



冬のあいだずっと納屋にいたせいで
特にお母さんヒツジの毛皮は薄汚れて見えますが
しばらく森で暮らすうちにきれいな白いヒツジに戻ります

お母さんたちは毎年ここにきているので慣れたもの
わたしと相方のことも
「ああ、またアンタたちね」と気にも留めない様子



羊がいる数ヶ月間は
庭に入ってこないようにゲートを閉めておかないといけなくて
出入りのたびに開け閉めする手間が増えるうえ
車のタイヤにくっついて入ってくる羊のフンが
庭に散らかるというオマケがつきますが

愛くるしい仔羊たちを見るたびについ頬がゆるんで
そんなことも気にならなくなります


(ゲート前に寝そべるのが好きなヒツジたち)

ハイ
ちょっと出かけるからね
お母さんたち、道開けてくれる?

と頼んでも
車がギリギリまで近寄ってくるまで立ち上がろうとしない彼女たち
ようやく移動をし始めてからも
しばらくは車の前を歩きたがるので
朝は少し余裕を持って出発するようにします

家の周囲に数百頭のヒツジがウロウロし始めると
冬のあいだ毎日のように見かけていたシカの姿はどこかへ消え失せて
その代わりにたまに目にするのはキツネやリスなどの小動物


(道の右端にたたずんでこちらの様子を伺っているリス)

この日、山道で会ったリスは
車の前を少し走っては止まってを繰り返して
完全に遊んでいました



でもキツネは
人間に手ひどく狩られた歴史が遺伝子に刻まれているらしく
会うとすぐにそそくさと立ち去っていきます

そういえばふもとの集落には
昔キツネを毛皮のためにたくさん採ってブリーディングしていた頃の
ゲージがいまだにあります
良質な毛皮のキツネの品評会もあったのだとか

ウサギもそう遠くないむかし食用に狩られていたはずですが
義父がここで暮らしていた頃から冬に干し草をあげ始めて
すでに何世代目にもなる今のウサギたちは
ほとんど飼っているくらいに慣れていて
そこがキツネと違うところです



おっ
今朝も美人だね

夏の楽しみ

2021-06-01 15:26:38 | ノルウェーの動物 dyr
ついこの間まであちこちに雪が残っていたのがウソのように
一気に夏がきました

家の周りには
hvitveis(春いちばんに咲く花)以外の小さな野の花も



ベリーの茂みにも花が!



今年も豊作だといいなー

この夏は
いつもと少し違う生き物とちょくちょく遭遇します

庭のラズベリーの枝の根元でカエルを見つけたり


(冬眠から覚めたばかりなのか動きがすごく緩慢)

家からほんの15分ほど歩いただけの場所で
ライチョウのつがいが目の前の茂みから飛び立っていったり
(もう少し標高の高い場所では何度か見たことがある)


(茂みのあちこちにあるライチョウの冬毛)

いままで家の近くでは冬に足跡を見るだけだったヘラジカ
キッチンの窓から見える場所に姿を現したり


(背景と色が似ていてわかりにくいですが中央にヘラジカ)

そして
納屋に取り付けられた古い年代物の巣箱に
見慣れない小鳥が巣を作っている様子!

いままでガレージの屋根にセキレイが巣を作ることは
毎年のようにあっても
この巣箱が使われているのを見たことはありませんでした


(ドイツ占領下の第二次大戦中にロシア人捕虜が作ったと噂の巣箱)

ときどき巣箱の中から鳴き声が聞こえます
そして納屋の屋根のてっぺんにはいつもオスがいて
よく通る声で歌をうたっています

望遠のカメラがないのが残念ですが
双眼鏡で眺めて楽しむ毎日

鳥の名前はノルウェー語で svarthvit fluesnapper(白黒の蝿捕りの意)
巣箱の入り口のサイズはまさにこの鳥に合わせて作られています


(ノルウェーのサイトfuglevennen.noより)

それというのもこの鳥は
ほんのひとまわり大きい別の鳥に巣を乗っ取られることが多く
入り口が自分たちにピッタリの巣箱に巣を作るのが好きなのだそう

巣箱から離れ過ぎない距離で
オスが絶え間なくきれいな声で鳴いているのを聞いて

I'm happy, it's safe here
I'm happy, it's safe here

という意味だよと相方談

なに適当なことを…と思っていたら
玄関を開けて表に出るとすぐに鳴き方が変わり
少しばかり緊張気味な短いメロディーに

ナルホド
オスは巣箱のメスに外の状況を知らせているのね

無事に雛がかえって巣立つまでは
できるだけ巣箱を避けて用事をしよう
(でも納屋には用があるので行かないわけにはいかない…)

ちなみにこの鳥はオスとメスで色が違うので
遠目にも見分けがつきやすく
ときどき交替しているのがわかります



なんの装備もなしで望遠鏡越しにiPhoneでフワッと撮った写真では
色もよく見分けられませんがこれはメス

ところで
家の近くにいろんな生き物がいるのはただただ楽しいかというと
そうでもなくて
たとえばネズミ退治の苦労やトリノミの被害は
なかなか深刻だったりします



ここ1〜2年はちっとも刺されなかったのに
今年はやたらと痛い目にあっているトリノミ
おまけにそれがわたしだけというのがまた腹立たしい…

まあね
何事もいいことばかりというわけにはいきません

1日1日をがんばって生き延びているウサギたちを見習って
その日その日を楽しまないとね


ウサギの季節

2021-05-23 12:52:27 | ノルウェーの動物 dyr
夜が明るくなって
にわかにウサギを目にする機会が増えた今日この頃

貫禄のお母さんウサギ
ひとまわり小さいまだ1〜2歳のウサギたち
冬毛から夏毛への衣替えの進み具合もまちまちです



物干しが邪魔ですが
写真中央に2羽がこちらにお尻を向けて食事中



白い部分の多いウサギは
雪がまだ多く残る標高の高いところにいたようです

ちなみに写真は夜の11時過ぎに撮りました
夏至までもうあと1ヶ月です

ところで
ウサギにはテリトリーがあるので
家のすぐ近くまでやってくるウサギはみんな同じファミリー

そして今年のフリークエントビジターは
たぶん去年ここで生まれた1歳のウサギで
衣替えが1番進んでいる子

この子はわたしたちが庭で音を立てながら作業していても
構わずマイペースでずっと草を食べていたり
バスルームの窓を開けて呼ぶと逃げずに近づいてきたりと
かなり肝が座っています



だるまさんがころんだのように
2〜3歩ごとに少し止まりながら用心深く移動


(話しかけるとこちらを見て目が合う)

窓が開いていて丸見えのわたしの姿にも臆さず
りんごの皮を食べるウサギ



おでこというか頭頂部?に
真っ白な毛がひとふさ残っていてカワイイ

もう少ししたら
去年のように生まれたてのベビーウサギが姿を見せるかもしれません

忙しいけれど楽しみも多い夏です

ウサギの季節

2021-05-08 08:18:07 | ノルウェーの動物 dyr
窓から見える夕焼けがあんまり綺麗だったので
ちょっと表に出ようと玄関ドアを勢いよく開けたら
少し離れたところにウサギがちょこんと座っていてビックリ



そうか
もう夜の10時だもんね
いてもおかしくないよね
驚かせてごめんごめん


(わたしに気づいておもむろに移動)

そうっと引き返して2階の窓から見ると
バスルームの窓の外に投げておいたリンゴの皮を食べていて
衣替え途中のまだらな毛皮がよく見えます

いつも思うのですが
ウサギに限らずここの野生動物たちは
なぜか決まってこちらが予期していない時に姿を見せます

たとえば
この辺は前に通った時にいつものシカの親子に会ったんだけど
今日もいるかなー
というふうに周囲を見渡してシカを見たということはありません

もしかしたら
彼らには自分を探す気配のようなものを
とても敏感に感じ取る能力があるのかな…
草食動物はいつも天敵に気を配って生きているのだから
当たり前と言えば当たり前かもしれません

ウサギをうちの庭で見るようになったのは3年前の夏
生まれて間もない小さな子ウサギの兄弟が
ちょろちょろと家の周囲を走り回るのを見るのはなんとも楽しくて
以来、ウサギのために毎日リンゴの皮と芯を外に置いておくようになりました

去年は3羽の子ウサギがこれまた仲良く一緒に姿を見せていたので
お母さんウサギはこの家を子育て場所として気に入った様子

今朝も朝の7時頃
定位置の薪の前でのんびりと日向ぼっこするお母さんウサギ



半分目を閉じて休んでいたり
毛づくろいをしたりストレッチをしたりして
やがてのそりと薪の下へ潜っていきました

もう少しして雪がとける頃には
今年も可愛い子ウサギが見られるかな?

シカを数える

2021-04-24 22:16:34 | ノルウェーの動物 dyr
ここ数日
真冬のような天気が戻ってきています



ほぼ一日中雪が降っていて
ときどき吹雪も

でも
気温はそれほど低くないし(0℃前後)
夜は10時頃まで明るいし
仕事で町へ出ると雪はないし
気分的にはもう冬という感じはしなくなっています


(町のスーパーはすでにバーベキュー商戦)

仕事帰り
町から家へ幹線道路を30分走る間に
みるみる景色が変わっていって…


(前方に道路を横切るシカ)

村へ入るとその先は細い山道で路面の雪も増えるので
4WDにギアチェンジ



公道が途切れる場所で車両を乗り換えます



この日はわたしが仕事から帰る少し前に
相方が私道をきれいに除雪してくれていたおかげで
スタックすることもなく快適ドライブ



ありがたいわー

でもわたしがスタックしたら
トラクターでレスキューに来ないといけないのは相方なので
除雪は彼自身のためともいえます

森の中には
たくさんのシカがウロウロしていました



雪が深いからみんなふもとへ降りて
干し草を探すのかな?
(ご近所さんが干し草をシカ用に置いてある場所がある)

今の時期のシカたちは
禁猟であることをようくわかっているのか
ATVの爆音を聞いてもあわてて逃げたりしません

わたしが通り過ぎるのをゆったりと眺めていたりして
シャッターチャンスが沢山あるんですけれど
車両を止めてゴソゴソしていると警戒して逃げようとするので
あまり写真を撮らないようにしています

母シカの多くは妊娠中ですから
彼女たちが座って休んだり食事をしていたりしている時は特に
できるだけスピードを落とさずにさっと通過

さて
ようやくタイトルの本題です

春はシカを数える季節
(一面の銀世界でも春は春)

領地内(義父の土地)でシカの姿を見たらノートに数を書いておいて
後でまとめて地域の鹿猟の責任者に報告をしなければいけません

責任者は行政に報告して
それをもとに翌シーズンの猟の上限数が決められるようです

とはいえ数え方はとっても大雑把で
決まった日時に一斉にみんなでカウントするといったこともなくて
見かけたら記録しておくだけ

そんなので数が把握できるのかはなはだ疑問ではありますが
毎年そうやっているわけなので
まあそんなものでいいのかも



あ、ここにも
家に帰ったら忘れずに記録しないとね

足あと

2021-01-06 18:45:10 | ノルウェーの動物 dyr
辺りが一面雪でおおわれている間
家の周囲にたくさんの野生動物の足あとを見るのは
冬の間の楽しみのひとつです

シカやウサギやキツネの可愛らしい足あとはめずらしくありませんが
最近久しぶりに家の近くで滅多に見ない大きな足あとを見つけました



外を歩いている時はたいてい手ぶらなので
大きさを比べられるものが手袋くらいしかないんですけれど
このミトンはうんと寒い時に手袋をした手を入れて二重にできるくらい
とっても大きめに編んでいます


(キッコーマンの卓上しょうゆと比較)

この足あとは
4年前に初めて同じものを見たことがあり
当時は見分け方がよくわからなくて
ネコかイタチかというタイトルで記事を書きました

ネコ科のgaupe(ガウペ)もイタチの仲間のjerv(ヤルヴ)も
中型の肉食獣で家畜の大敵です
どちらも単独行動が多く人前には滅多に姿を見せません



この3つずつきれいに並んだ足あとはヤルヴしかない!
とは相方の言

ちなみにキツネだと犬と同じようにスタスタと歩くので
足あとは一列に見えます



ヤルヴ(英語だとウルヴァリン?)
見たことがないので写真をWWFからお借りしてきました


(WWF.noのウェブサイトより)

この爪の鋭いこと!
イタチというより小型のクマのよう

そういえば年末に
谷の反対側のご近所さんのアンティークショップへ行ったときに
そこの奥さんが窓から凍った川の上を歩くヤルヴを見たと興奮して話していたし
ふもとのご近所さんもヤルヴの足跡の写真をSNSに投稿していました

ヤルヴはとても広いテリトリーを持つので
どうやら同じ個体がこの辺一帯をパトロール(?)しているらしい

図書館で野生動物の本を物色していたら
「Dyrespor(動物の跡)」という本にヤルヴの足あとの説明が



ヤルヴの5つの指の肉球はガウペとは全然違うのでこれで見分ければ簡単!
足あとが新しければ鋭い爪の残した跡も特徴的、ふむふむ


(右上がガウペ、その下がヤルヴ)

この本、単に足あとの形状や並び方だけでなく
どの順番でどの足が前へ出ているのかの図解があったり
その他にも動物が食べた跡やフン、巣穴、生え変わった角などなど
色々な痕跡からどんな動物がそこにいたかを知るヒントが満載で
森や山を歩く時のハンドブックにしたいくらい面白いです

ただし
コンパクトサイズでたくさんの動物と鳥を網羅しているので
ヤルヴ独特の3つ並んだ足跡の詳細解説はなく
1番最後の足あとは前足だと思うものの確証はありません



3つのうち真ん中は前足のあとの上に後ろ足のあとが重なっていて
そして1番前は後ろ足、じゃないかな?
ああ、この足あとをつけているところを見てみたい!

ちなみに相方は30年ほど前に
山で一度だけヤルヴを見たことがあるそうです
すごくヘンテコな歩き方だったらしい…

山のトナカイが主食のヤルヴに会いたければ
ちょいちょい山へ行くのがいいのかも



ハンティングシーズンも終わったことだし
薪割りが済んだらスノーシューはいて登ってみようかな

オコジョ

2020-11-11 08:00:06 | ノルウェーの動物 dyr
日本から自宅に戻った11月1日
家のそばで見かけたウサギが全身真っ白で
ああもう冬支度万端なのねと思いました

でも義父によると
この辺りで冬に向けて白い毛皮に生え変わる動物が
完全に衣替えを終えるのは11月2日
そのウサギも身体のどこか一部はグレーの毛が残っていたかも…

え、なにその日付?

聞けばこの11月2日という日は
白い毛皮のための猟の解禁日
(よその地域ではどうかわかりませんが…)

そんな話を聞いたすぐ後のこと
自宅の周りに遊びに来る
(というかエサを探しにきている)
小さな白いけものに気がつきました



薪用に切って運んできた木の小山の周辺をウロチョロ



大きさから snømus(雪ネズミ : 日本語ではイイズナ?) かと思いましたが
よく見ると尻尾の先が黒い
snømus なら11月2日を過ぎたら真っ白のはず
一年を通して尻尾の先は黒いのは…

そう、オコジョです
snømus に見えるくらい小さいのはメスだから



(後ろ足で立つ姿もカワイイ)

オコジョはノルウェー語では røyskatt
steinrøys(石の小山)が大好きな肉食獣
小さいけれどネズミを捕るのが上手なので
うちのようなネズミと戦う田舎住まいにはありがたい存在です

写真には撮れませんでしたが
ネズミをくわえて走り去る姿も窓から見かけたりします

オコジョの白い冬毛は hermelin といって
(日本でアーミンと呼ばれているもの)
昔から王様のマントの襟に使われていたという高級品


(画像はWikipediaからお借りしました)

オコジョの尻尾が黒いから
白地に黒のドットみたいに見えます

どうして尻尾も真っ白になる snømus を使わないかという
ファッションの素材加工知識ゼロのわたしの素朴な疑問に
うちのムツゴロウさん(相方)が即答

なんでもリスや snømus は小さい上に
皮がもろくて毛皮製品に加工するのに向いていないのだとか
そ、そうなんだ…
皮がもろくて命拾いしたね、きみたち

もともと防寒のための毛皮ですから
夏毛より暖かい冬毛を使うのが当然なわけで
白くてきれいだから冬に採るわけではないのねと今更ながら納得

わたしのこれまでの人生には無縁だった毛皮というアイテムですが
今年84歳になる義父にとってはなじみが深いそうで
なんと少年のころ罠を仕掛けてオコジョを捕まえて売っていたそうです

当時1インチあたり1krが買取の相場で
大きいオスなら18インチ、小さいメスで12インチ
まだ日用品の値段にøre(日本円の「銭」にあたる下の位の通貨単位)が
ごくふつうに使われていた時代
18krというのは少なくない収入だったと思います

堅信式に着るスーツを買うお金を貯めるためにオコジョを捕まえるなんて
おとぎ話に出てきそうな本当の話
義父の武勇伝(?)はいつも面白くて聞いていると飽きません


(チェーンソーでラクラクと木を切る義父)

横切りたい

2020-09-11 16:43:59 | ノルウェーの動物 dyr
ここへ来て知った野生動物の習性のひとつは
そのほとんどが夜行性だということ
特にシカは遅い時間になると幹線道路付近にもよく現れます



冬は辺りが暗い時間帯に特に気をつければいいのでわかりやすいですが
夏はなにしろ一晩じゅう明るいので
町からの仕事帰りが遅くなった日などは
時計を見て夜9時を回ったあたりから意識して慎重に運転します
(明るくても夜間の時間帯に遭遇率が高い)

そして今の時期
夏から秋へ素早く季節が変わると
久しぶりに暗い夜道を運転することになって
ああ、夏は明るくて運転がラクだったなーとしみじみ



これでも路面に雪がないだけマシですが
暗闇での車の運転が苦手なことに変わりはありません

そこらへんでムシャムシャと草を食むシカたちよ
道路に飛び出してくれるな〜

そうなんです
ここでもうひとつ学んだ彼らの不思議な習性は
何故か車両の前を横切りたがるということ

たとえばシカが道路脇にじっと立っているのを見つけたら
スクールゾーン並みに徐行します
ふつうに考えて車が近づいていけば
道路から離れる方向に逃げ出すかと思いますが
どういうわけか道路を横切って反対側へと逃げようとする不思議

これがしばしば路上に跳ねられた小動物を見かける理由なのかも…

これは山道を走っていても同じで
シカのほかウサギなんかもよく飛び出してきます

おまけに小鳥もまるで気流で遊んでいるかのように
車の前をうろうろしたがって危ないことこのうえない



きみたちもね
野生動物じゃないけどやっぱり車の前を歩きたいわけね

なんだろう
挑戦?
敵に背後を見せない的な?

義父が若かったころ山道をスキーで滑り下りていたら
ヘラジカが横に並んでしばらく並走したかと思うと義父を追い越し
彼の前を横切って去って行ったという話も聞いたので
この「横切りたい」本能はどうやら避け難く彼らの中にあるようです

ヒツジの脱走

2020-08-29 12:14:47 | ノルウェーの動物 dyr
この夏は羊のドラマが多かった…

夏の初めの頃
この辺りにはあるまじき暑さで何頭かの子羊がバタバタと倒れ
おっぱいに炎症を起こすおかあさんヒツジに
病気になって毛の抜けるヒツジ…

オーナーの羊農家さんも幾度となく足を運んでくれて
調子の悪い子を連れて帰ったり病気を調べたり
とうとう重機を持ってきて大々的に状態の良くない草を刈ったり
それはもう大忙し

加えてヒツジが脱走する事件発生

彼らは柵などのない自然の中で放牧されていますが
川の向こう側へは行かないように
橋にはどこもゲートが設けてあります

でも
そのことを理解していない地方や外国からの観光客が
橋を渡る際にゲートをちゃんと閉めてくれなくて
ヒツジが出て行ってしまうということは過去にもありました

でも今年は同じヒツジが
うちの最寄りの橋から4回も脱走
これはおかしい…


(すきあらばと橋の近くでゲートが開くのを待ち構えるヒツジ)

最初にヒツジが脱走したことに気づいたのは
橋の上に残された大量のフン
あってはいけない場所にあるフン

ゲートの向こう側のずっと先を5kmほど行った場所には
これまた、いてはいけないはずの隣の県のヒツジの一群が
はるばる山を超えて遠征してきていることを知っていたので
初めはその群れがとうとううちの近くまでやってきたのかと思いました

でもある日
仕事へ行こうと車で橋まで来たら
ゲートの向こう側に見慣れたタグをつけたヒツジが3頭
やっぱりうちの預かりヒツジが脱走していたか…


(ゲートにへばりついて座っている)

あのね
そっちはダメなの
なんでそこにいるの?

呼びかけながらゲートを開けると
ススっと知らん顔をして逃げようとするおかあさんヒツジと
それについていく仔羊



ちがうでしょ
こっちに戻りたいんでしょう?
ホラ、こっちだよー

ヒツジは人や犬に目の前に立たれると向きを変えたがるので
おかあさんヒツジの行く手に回り込んで踵を返させます



ふう
やっと本来いる場所へと帰っていったよ…

ああ…もうみんなおなかこわしてお尻が真っ黒
橋の掃除が大変だわ
3年前に作り替えて以来初の洗礼



シャベルで大きな固まりをどかしたら
デッキブラシで地道にこすり洗い
川から水をいくらでも汲めるのがせめてもの救いです



しかしその後
この3頭はゲートを越えてあっちへ行ったり戻ったりするのを
趣味にしていることが判明
(義父が犯行現場を目撃)

出て行っても必ず数日で帰ってくるので安心といえば安心だけど
繰り返される橋の掃除が
ただでさえ多い夏の外仕事に追加されて迷惑なんですけど



聞いてる?
アナタですよ
8番のおかあさん
(※おかあさんヒツジの首にはベルと番号札)

注意書

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