東京砂漠脱出計画~Ut på tur, aldri sur~

2009東京砂漠を脱出して富士山麓へ
2012息子の進学で都内へ舞い戻り
2016縁あってノルウェー移住

手袋はミトン

2019-03-31 21:41:46 | ノルウェーで手芸 håndarbeid
ノルウェーに来てから編み物を日常的にするようになりました

初めは strikkekafé(編み物カフェ) という
移民がネイティブと会話をする機会を得られるボランティアの集いに
ノルウェー語向上のために顔を出したことがきっかけでしたが
ウールの防寒アイテムはここでは必需品だとわかってからは
趣味というより要るものを作る目的で休みなく編んでいます

いま編んでいる手袋は Selbuvott と呼ばれる
ノルウェーの伝統的なタイプのミトン



日本ではミトンは小さな子供用のイメージが強いかもしれませんが
ここでは大人の女性はもちろん男性もミトンが主流
そして作業用のフエルトのミトンもあります

わたしもはじめのうちは
日本から持ってきていたスキー用の防水グローブや
皮の五本指の手袋なんかを使っていたんですけれど
ギフトとしていろんな人からもらっていた手編みのミトンが3ペアもあったので
試しに使ってみたらもうこれが手放せない!

使いすぎて穴が開いて
それをまた毛糸で繕って使っています
(繕い方も編み物カフェで教えてもらった)



このSelbuvotter の優れた点のひとつは親指です
手首のところから増し目をしていっているので
手にはめた時に親指が無理なく立体的に収まります



というか
今の時期にまだ毛糸の手袋がいるの?
という声が桜満開の日本から聞こえてきそうですが



ええ、いるんです
ただいまの気温マイナス5℃
昨日も今日も雪が降ってスキー日和

でもふもとに降りると雪がずいぶんなくなっていたりもするので
少しだけ春らしくなってきた…かも


強い80歳

2019-03-26 10:51:32 | ノルウェー山暮らし fjellgård
義父はとても強い人です

見た目は普通でムキムキでも何でもないんですけれど
若い頃から力持ちだったそうで
いろんな伝説が残っています

子供のころは小学校が谷の向こう側にあったので
毎日森の中の急な坂道を谷底まで降りて(高低差およそ350m)
反対側の斜面を登って学校にたどり着く、ということを毎日していたらしく
今でもそのルートを軽々と歩きます


(遠くに見えるのが谷の反対側の集落)


(むかし小学校だった建物)

そんな屈強な義父ですが
先日、その勝手知ったる谷への下り坂で氷に足を取られて転んでしまいました

そのまま転がり落ちて途中で腰と肩と頭をしたたかに打って
しばし気を失ったのち目が覚めて
ニット帽がどこかへ吹っ飛んで顔面血だらけなのに気づき
やばい、死ぬかも、と思ったそうです

それでも立ち上がって吊り橋を渡り反対側の斜面を登り続けて
自力で集落までたどり着いて自力で帰宅
あちこち腫れていて痛いけど大丈夫だから病院にも行かないと宣言

でもいくら本人が大丈夫と言ってもそこは80歳です
義母も相方もわたしも心配して
翌日家族総出で病院へ連れて行くことに

まずは車で30分の最寄りの診療所へ
義父を診察した医師はすぐに

「肩の骨が折れている可能性が高いので病院に紹介書を書きます。
今から行ってレントゲンを撮ってもらってください」

さすがの義父もお医者さんの見立てに反論はできず
病院まで車で1時間半かけて行きました

大量のレントゲンと
CTで脳内出血の有無も確認した結果

「どこの骨も折れていません。ヒビも入っていません。脳も異常なしです。」

え…
谷底まで転がり落ちて気を失っていて打撲のみってこと?

腰の腫れがひどくて歩くのが大変だからということで
歩行用の杖を渡されて帰ることに
痛み止めも湿布薬も塗り薬も何もナシ

この骨の強さ
いや、鍛えられた筋肉が骨を守ったのか?
そしてきっと運も強い

後日、わたしと相方は装備を整えて
(スパイクを靴に装着、ロープとシャベル持参)
義父の転がり落ちた谷底へ彼の帽子を探しに行きました
数日前にまた雪が降ったのでシャベルで新雪をどかしながらの捜索


(同じ轍を踏まないよう急斜面はロープを使用)

いくら場所がある程度特定出来ているとはいえ
こんな一面真っ白な場所でグレーのニット帽1つを見つけられるのかと
わたしはやや懐疑的だったのですが
相方はシャーロックホームズよろしく倒木の真新しい折れ枝を目ざとく見つけては

「ここにぶつかったらしいから、ここからあっちに落ちて…」

と、どんどんシャベルで雪をかいていって
とうとう帽子を見つけました

ちなみに
その谷底にほど近い場所から家に戻るのに
相方は1時間で済んだところわたしは2時間かかりました
(ATVを買う前はいつもここを歩いていた相方は慣れたもの)

ひたすら登りの道なき道
スパイクを履いていてもズルズル滑る雪と氷の道
そして心臓破りの坂
何度も休んで心拍数が少しゆっくりになるのを待ってまたスタート

往復3時間も歩いたのに
携帯の万歩計はたったの2700歩でした

こんな道を毎日歩いていたら
そりゃあ鍛えられるわ…

義父は頭も良くて
高難易度の数独を解くのが好きです
以前お土産に日本から持ってきた寄木細工のからくり箱(24回動かして開く)も
しばらく時間はかかったものの自力で開けました



スゴイ!

トラクターで除雪

2019-03-17 11:17:36 | ノルウェー山暮らし fjellgård
家からふもとの公道まで約5kmの私道は
公的機関の除雪車がきません
(新聞配達も郵便配達もごみ収集車も通らないので当たり前か…)

仕方がないので
天気の良い日にときどき相方がトラクターで除雪にでかけます

最初にトラクターのスノーシャベルを使って
凍って固くなった雪の塊を削って道幅を確保したら
スノープロー の出番です

ガレージ前までトラクターを乗り付けて
重いプローを後部に接続



角度調整して準備完了



ちなみにこのトラクターのタイヤチェーンは
前輪用が35kg、後輪用は70kg
わたしにはとても脱着作業はできません

でもこのチェーンのおかげで
トラクターは雪や氷におおわれた急な坂道も危なげなく走ることができます

トラクターで除雪作業する前は
通るたびにシャベルで部分的に雪をどかして
ATVがかろうじて通れるだけの幅を確保していましたが


(人力除雪)

トラクターのシャベルとプローでこのとおり!



トラクターすごい


(トラクターの中からプローの働きっぷりを見下ろしたところ)

トラクターは普通免許で運転できるので
夏はわたしも何度か運転したことがありますが冬は未経験
特に除雪作業にはステアリング操作をしつつ
別のレバーを操作してシャベルやプローを自在に操れないといけないので
相当練習しないと無理そう…



3月と4月はまだまだ雪が景気良く降ります
働くクルマ(と運転手の相方)、ガンバレ〜




ノルウェー語を話す日

2019-03-15 12:01:25 | ノルウェーの町で tettsted
朝9時前には家の周りに陽が射すようになりました
春分の日を過ぎれば日照時間は飛躍的に伸び始めて
じきに日本のそれを抜くようになります



まだまだ辺り一面雪景色ですが
こんな風にお天気が良いと町へ出かけるのも気分的に随分ラク

町へは週に1日行っていて
その日は1週間のうち唯一ノルウェー語で会話する機会のある日でもあります

仕事があるときは職場に顔を出して
そうするとノルウェー人の同僚と少し世間話をしたり


(クロカンの生放送がある時はみんなテレビにかじりつきでその限りではない)

編み物カフェではいつものおばちゃんが
容赦のない強い方言トークで話しかけてくれたり

カフェで移民の友人と会うと
唯一の共通言語がノルウェー語なので
お互いに不完全なノルウェーでがんばって会話します



学校へ通っているアフリカ系移民の女の子はしばしば
テキストを広げていろいろと質問をしてくるので
マイナスの四則計算や有機化合物の化学式や第二次世界大戦について
一緒に勉強するという新鮮な体験も

さらに夜には språkkafé (language cafe) と言う名の
移民のノルウェー 語向上を目的とした図書館での集まりへ参加することで
90分間のノルウェー語会話の機会が得られます

図書館の館長さんはとても親切なデンマーク人で
この間イプセンの「人形の家」がどこにあるか尋ねたら
本だけでなくDVDの場所まで案内してくれました



ちなみにデンマーク語とノルウェー語は似ているからか
ノルウェー在住のデンマーク人はわざわざノルウェー語を学ばないようで
デンマーク語で書いたり話したりします

すごく聞き取りにくい…
でもまあタダでデンマーク語を習えると思えばいいのかも

おまけに
この町には中国人が経営する中華料理店が1件あって
美味しい中華を食べることもできます


(八宝菜が揚げワンタンに包まれたような fuglerede(鳥の巣)という名前の料理)

レストランの人との会話ももちろんノルウェー語

かくして
学校を卒業してから遅々として進まないノルウェー語の習得は
この週1回の町で過ごす日によって
かろうじて後退せずに済んでいる状態です


(町には雪が全くないことも珍しくないのでスニーカーも忘れずに持参)

希望としては
10年後くらいにはネイティブの話が9割方聞き取れるようになっているといいな、と
うっすら思っています

ATVでスキー

2019-03-12 20:48:31 | ノルウェー山暮らし fjellgård
ノルウェーに引っ越してきてすぐに
有無を言わせず買い与えられたウィンターギアの中に
クロカン用のスキーのセットがあります

何度か家の周りで練習してみましたが
いつまでたってもコツをつかめず転んでばかり
つまらない…

家の前の丘がフカフカの新雪におおわれているのを見るにつけ
ああ、あそこを(普通の)スキーで滑ったら楽しいだろうなーと
常々思っていました

そしてノルウェーで4度目の冬
とうとうその時が来た!

実は去年の夏に一時帰国したときに思い切って
学生時代に使っていたスキー板とブーツを実家の倉庫から引っ張り出して
持ち帰ってきていました

雪がやんでうっすらと水色の空が見える風のない日に
試してみることに



相方がワックスを選んで
慣れた手つきで板にワックスを塗ってくれます


(ワックスは気温によって使い分けるらしい)

ATVに取り付けたロープで丘の上まで引っ張っていってもらうのですが
斜面が急だと全力で綱引きしているかのように腕の力が要る…



スキーなんてもう10年以上やってないけど大丈夫かな…
この板とブーツ買ったのもたぶん30年くらい前だし…


(バブル期のカラーリング?)

おそるおそるスタート
お、いけそう

原田知世ちゃんの「わたしをスキーに連れてって」の時代?
ユーミンの「ブリザード」がヒットしていた頃?
とにかくスキー全盛期に数え切れないくらいスキー場に行った甲斐あって
身体がちゃんと滑り方を覚えていました

楽しい〜!
ひゃっほう!
これこれ、これがスキーよね!

まっさらなサラサラのパウダースノーのゲレンデ(?)を1人気ままに滑る贅沢
頭の中でユーミンが鳴っています
(もう少し若い世代だと広瀬香美とかZooとか?)



自分1人でできないのが難点ですが
すごく楽しかったのでときどきやろう!
(というか相方に運転手やってもらおう!)

寝る前に食べる罪悪感

2019-03-09 10:58:04 | ノルウェーの食べもの mat
寝る前に食べるのは
消化不良になって良くないとか太るとか
とにかく何となくよろしくないイメージがありますが

ここ1日4食の国ノルウェーでは
むしろ寝る前に子供にちゃんと kveldsmat(夜食)を食べさせないと
虐待していると言われかねないほど
寝る前の軽食は当たり前の習慣です

とはいえ
薄いパンのスライスにチーズを乗せただけの簡単なオープンサンドや
ヨーグルトのような発酵乳製品など
本当に軽いものが一般的なので
さほど消化器官に負担はないのかもしれません



相方も寝る前には必ずバターだけ塗ったパンを2枚ほど食べます
そのせいか
わたしまで遅い時間に何か食べることに対する抵抗があまりなくなってきていて
夜11時くらいにテレビで映画を見ながら
ニンジンとかアーモンドなんかをボリボリと食べていることにハッと気づいて
これは良くないんじゃないの?と我に返ることしばしば

ノルウェー人の食生活は
そこで育ったわけではないわたしには
けっこう偏っているように見えますが
彼らから見ればわたしの食事のほうがよほどヘンテコリンなんでしょうね、きっと…

ところで先週の火曜日はパンケーキの日でした
(イースターの日程によるので毎年違う火曜日)

小麦粉の倍量の牛乳を使って作るここのパンケーキは
生地がシャバシャバなので焼くとクレープみたいに薄くなります
そして焼いたベーコンとグラニュー糖を巻いて食べます
日本のカフェで出てくるパンケーキとは似ても似つきません


(ボリューミーなバビーズのパンケーキ)

それにしても
小腹が空くとついワッフルだのパンケーキだの菓子パンだのを作ってしまいますが
ときどき無性に小麦粉も乳製品も使っていない間食が欲しくなります

今度日本に一時帰国したら
和菓子の材料を買って帰ることを忘れずにメモしておこう

樺の薪の利点

2019-03-07 00:22:06 | ノルウェー山暮らし fjellgård
自宅の薪ストーブに使う薪は基本的に樺の木で作るのですが
それは単にうちの周りに樺の木がたくさん生えているからという理由だけではなく
樺で作った薪が最も品質が良いからです



火の着きが良くてよく燃えて
炭になった後も長持ちして
最後はきれいな灰になるまで燃え切ります

そして特筆すべきは
その皮が良質な着火剤になること



この外側の層



はがしやすそうな薪を見つけたら
ストーブにくべる前に手でベリベリとはがして



箱にためておいて毎朝火をつける時に使います



市販の着火剤を買う必要がないし
新聞紙などよりもずっと長く炎を保つのでとても便利

この樺の木の皮は
合成の防水シートがなかった時代に防水剤として屋根を葺く時の下地に使われたり
さらには有名なバイキングの一族ビルケバイネルネの名前の由来になったりと
昔から重宝されていたそうです



薪はお店やガソリンスタンドでも買えますが
(1袋千円以上と安くない値段)
品質の良いものは生産者から直接買うのが1番

相方も切手ディーラーの仕事を本格的に始める前は
薪を多めに作って知人などに売っていたらしく
今でもたまに「薪、ある?」と聞かれたりするのを見るにつけ

自宅で薪を作るのは大仕事だけれど
山で暮らすことの特権でもあるなーと思います


(山の中腹にある家、見えますかね…?)

出かけるときには忘れずに

2019-03-04 11:02:17 | ノルウェー山暮らし fjellgård
日本にいたとき
外出する時に必ず携帯するものといえば
鍵と携帯電話とサイフ
この3つくらいでした

あとはもしも忘れても
取りに戻るなりコンビニで買うなりできます

それに比べて
ここでの生活では外出前の持ち物チェックが欠かせません
(取りに帰るのが大変だから)

鍵束、携帯電話はもちろんですが
特に冬のあいだATVで出掛ける場合には
ふもとで乗り換える車のキーと
私道の入り口のバーを開けるコントローラーも必要



ボリューミーな鍵束には
玄関ドアのほかに納屋やガレージや私書箱
それから相方の実家の鍵と職場の鍵
さらには車に取り付けて荷物を運ぶトレーラーロックまでくっついています

ついでに言うと
出掛ける時点では必要なくても
忘れてはいけない冬の必携アイテムがあと2つあります

それはヘッドライトとシャベル

ヘッドライトは普段わたしも相方も充電式電池のものを使っているので
万一の電池切れに備えてもうひとつ
普通の乾電池タイプもバックパックにいつも入れてあります



何が起こるかわからない山の中の私道のドライブ
車両を乗り捨てて暗い山道を歩かないといけなくなった場合を常に想定して
ヘッドライトはもちろん防寒具や靴も十分なものを選びます

シャベルは道が雪でふさがっていた場合になくてはならないもので
念のため道中の2箇所に置き傘ならぬ置きシャベルもしてあるくらい


(木にぶら下げてあるシャベル)

ちなみにうちにはシャベルが大小合わせて10本くらいあります


(玄関にも常にシャベル)

太陽が戻ってきて5週間
最初はほんの数分間だった日照時間もいつのまにかうんと伸びて
少しずつ雪を溶かしてくれる今日この頃



重装備でATVで出掛けるのもあと少し(2カ月くらい)かな…


ペーパークラフトで席札

2019-03-01 11:03:06 | ノルウェーで手芸 håndarbeid
また雪が降りました
景色がきれい!

日本から来た若者が薪割り体験で積み上げた
新しい薪の山にもうっすら雪の傘



出掛ける道中でまた雪かきが必要になったりと
相方の肉体労働が若干増えますが
新雪のおかげでATVも走りやすいです


(平らに雪をかいた道が新雪でまた斜面に戻ってしまう)

さて
去年の11月から手をつけ始めたペーパークラフト

知人の息子さんの堅信式のパーティー用の招待状に続いて
席札をチマチマと作っています



ジャケット用の黒い紙は
招待状を作った時に日本の通販で調達したレザー調の地模様があるレザック66
シャツ用の白い紙は一時帰国した際に何種類か買って帰り
ジャケット(レザック)とネクタイ(サテンリボン)と合わせてみて
マーメイドのスノーホワイトに決めました


(銀座伊東屋の竹尾のウットリする品揃え)

何もわざわざ日本から紙を持ってこなくても、と思われるかもしれませんが
うちから1番近い文房具を扱っているお店(車で1時間ちょっと)には
テクスチャーのついた紙は置いていません
取り寄せも可能ですが限りがあり値段もとってもお高い

つくづく日本って
リーズナブルな価格で何でも手に入る便利な国だなあと思わずにいられません



おおかた出来上がり
あとはゲストの名前を印刷して貼り付けるだけになったところで
相方が目をキラリとさせて尋ねてきました

「まだ材料の紙とか残ってる?あと何個くらい作れる?」

どうやらFacebookに写真を載せてもうひともうけ出来ないかと考えている様子
こうやって何でもすぐに商売にしようとするのは
ノルウェー人だからなのか相方の性格なのか
いまだに判断しかねています

注意書

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