トランプ米大統領がメキシコのペニャニエト大統領との電話協議でメキシコの薬物取り締まりが不十分であることに不満を示し、問題に対処するためメキシコに米軍を派遣する可能性に言及していたことが分かった。AP通信が報じた。
両首脳の電話協議は1月27日に実施。メキシコ国境に壁を建設する問題で首脳会談がキャンセルされたことを受け、1時間にわたって行われた。両国は同日、壁の問題とメキシコ国内の違法な麻薬・銃器取引の摘発協力などを包括的に議論すると発表していた。 APが1日伝えた通話内容の記録によると、トランプ氏は「あなたの国には悪いやつらがいる。だが対応は十分でなく、あなたの軍は(犯罪者に)おびえているようだ」と指摘し、「我々はおびえない。問題を解決するために、軍を送るかもしれない」と述べたという。
米政府は2日、発言について「犯罪者に対応し、国境をより安全にするための議論の一環」であり、トランプ氏は「軽い気持ち」だったと主張。壁の建設問題で反米世論が高まり弱腰批判を気にするメキシコ政府は問題発言を否定した。
メキシコは1846~48年に米国と戦った米墨戦争で国土の約2分の1を失っており、トランプ氏の「派兵」発言はメキシコ国民の強い反発を招く可能性がある。 メキシコ軍は薬物を米国などに密輸する犯罪グループの取り締まりを図っているが、大きな効果は上がっていない。トランプ氏は大統領選の期間中も「メキシコ人は犯罪や薬物を米国に持ち込む」と強く批判していた。
トランプ氏は1月28日のターンブル・オーストラリア首相との電話協議でもオバマ政権下で合意した難民申請者の米国移送について反発し、協議途中で電話を切ったことが明らかになっている。
☆
メキシコの歴史は国土の半分を米国との戦争(米墨べいぼく)で失ったのか...不法な越境、犯罪では国民の半分以上が支持している綺麗事では済まない現実。
1846~48年、アメリカがメキシコの領土を奪った戦争。これによってカリフォルニア、ニューメキシコなどを獲得、アメリカ合衆国の領土が太平洋岸に達した。
敗れたメキシコにとっては領土の約半分を失う結果となった。
19世紀前半にアメリカ合衆国は領土の拡大を続けメキシコの領土を侵犯するようになった。メキシコ領であったテキサスにはアメリカ人が入植して一方的にテキサス共和国の独立を宣言し、その支援を口実としたアメリカ合衆国(民主党のポーク大統領)はメキシコを挑発して領土を侵犯したと口実をもうけ1846年、戦争をしかけた。
これがアメリカ=メキシコ戦争(米墨戦争)である。戦争を望んだのは西部・南部のプランター、大地主階級の膨張主義者であった。
アメリカの陸軍はニューメキシコとカリフォルニアを制圧し海軍は海兵隊をベラクルスに上陸させ首都メキシコ=シティまで攻め込み、占領した。
戦力に大きな差があったメキシコは敗北し1848年の講和条約(グワダルペ=イダルゴ条約)でカリフォルニアとニュー=メキシコはアメリカに格安で割譲され、テキサスとメキシコの国境はリオ=グランデ川とされた。こうしてメキシコの国土は建国時の約半分に減少した。→1848年革命
19世紀前半のアメリカ合衆国のめざましい領土膨張は同時に新たな対立を国内にもたらした。それは、新しく国土に加えられた地に州が建設されたとき、それを自由州とすべきか奴隷州とすべきか、という建国以来の黒人奴隷制問題が先鋭化していくと言うことであった。
このアメリカ=メキシコ戦争で海軍のベラクルス上陸作戦を指揮したのが5年後に日本に派遣され日本の開国を強要したペリー提督であった。
また、多くのアメリカ国民は勝利に喝采を送り国中が勝利で沸き返ったが、このようなやり方を「防衛と言いながら実は侵略で憲法違反だ」と議会で指摘した人物がいた。
この勇気ある下院議員が若き日のリンカンであった。
そのため彼はアメリカ国民の人気を失ってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/37/4d30c1a8c6fdaebb506732e1ba8e844e.jpg)
壁飛び越え「ほぼ毎日」=民家の庭、侵入する移民―米メキシコ国境の町ノガレス
米西部アリゾナ州とメキシコ北部ソノラ州の双方に同じ地名がある国境の町ノガレスは、高さ6メートルの鉄柵の壁で国境が区切られている。
ペニャニエト大統領の支持率上昇=トランプ氏へ対抗姿勢評価-メキシコ
メキシコから鉄柵をよじ登って米国に侵入する例が「ほぼ毎日のように」(米側住民)目撃されている。トランプ米大統領は不法移民対策として国境に壁を増設する大統領令に署名したがノガレスの住民らは、壁があっても移民の侵入を防げないことを身をもって感じていた。
◇鉄柵よじ登る
ノガレス国境に設置された壁は鉄柵で、柵の間からは互いの国の様子が見通せる。さびた鉄柵をはさみ、米側では常に厳重な警戒体制が敷かれる一方、メキシコ側ではあまり警官の姿は見られない。
「飛び越えるだけ」。米側ノガレスで3日、国境警備に当たっていた男性に米側への不法入国の例を尋ねると即答した。ロープを使用したり、のぼり棒のように鉄柵をよじ登ったりして、米国側に飛び降りるという。
男性は「昨日も飛び越えた数人を拘束してメキシコに戻したばかりだ」と説明。週に4回飛び越え送還を繰り返した「常習犯」もいるほか、侵入した移民を追い掛けるとメキシコ領内に戻ってしまう例もある。そのまま追い掛けてメキシコ側に入るわけにもいかない。
◇麻薬組織が自宅へ
米側ノガレスの壁前にある庭付き一戸建てに住むメキシコ系米国人マヌエル・ボホルケスさん(29)は、飛び越える移民は「常にというほどではないが、ほぼ毎日のようにいる」と話す。見通しの悪い夜間が多く、ボホルケスさんは庭のさまざまな所を指さしながら「そこにもあそこにも隠れていたことがある」と語った。
数年前には、麻薬を運んでいたとみられる2人組の男が敷地内に侵入し玄関前のテラスにいたボホルケスさんを襲ってきた。
親族の男性と撃退したものの、後日、AK47自動小銃で武装した麻薬組織の7人がボホルケスさん宅を訪れ「誰かが通過した時は見逃すようにと丁寧に頼んできた」と振り返った。
ボホルケスさんは国境の壁建設を命じるトランプ氏の大統領令に対し「壁は飛び越えられる。予算の無駄だ」と批判。
一方、「米国籍を持つ自分は運が良かっただけ。不法移民を敷地内で見つけても通報はしない」と移民には同情的だ。
◇メキシコ側「心配ない」
対するメキシコ側ノガレス。土産店を営むホルヘ・ロペス・マルティネスさん(62)は大統領令に関し「特に気にしていないし心配もしていない」と語った。住民は大統領令以降も「特に目立った変化はない」と落ち着いている。
むしろ深刻なのはガソリン価格の高騰やトランプ氏の大統領選勝利を受けた通貨ペソ安の影響だという。1月には抗議デモが暴徒化。ガソリンを買うためだけに米国まで足を運ぶ住民もいる。人々を密入国へ押しやる経済状況が鉄柵の反対側に重く漂う。
両首脳の電話協議は1月27日に実施。メキシコ国境に壁を建設する問題で首脳会談がキャンセルされたことを受け、1時間にわたって行われた。両国は同日、壁の問題とメキシコ国内の違法な麻薬・銃器取引の摘発協力などを包括的に議論すると発表していた。 APが1日伝えた通話内容の記録によると、トランプ氏は「あなたの国には悪いやつらがいる。だが対応は十分でなく、あなたの軍は(犯罪者に)おびえているようだ」と指摘し、「我々はおびえない。問題を解決するために、軍を送るかもしれない」と述べたという。
米政府は2日、発言について「犯罪者に対応し、国境をより安全にするための議論の一環」であり、トランプ氏は「軽い気持ち」だったと主張。壁の建設問題で反米世論が高まり弱腰批判を気にするメキシコ政府は問題発言を否定した。
メキシコは1846~48年に米国と戦った米墨戦争で国土の約2分の1を失っており、トランプ氏の「派兵」発言はメキシコ国民の強い反発を招く可能性がある。 メキシコ軍は薬物を米国などに密輸する犯罪グループの取り締まりを図っているが、大きな効果は上がっていない。トランプ氏は大統領選の期間中も「メキシコ人は犯罪や薬物を米国に持ち込む」と強く批判していた。
トランプ氏は1月28日のターンブル・オーストラリア首相との電話協議でもオバマ政権下で合意した難民申請者の米国移送について反発し、協議途中で電話を切ったことが明らかになっている。
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メキシコの歴史は国土の半分を米国との戦争(米墨べいぼく)で失ったのか...不法な越境、犯罪では国民の半分以上が支持している綺麗事では済まない現実。
1846~48年、アメリカがメキシコの領土を奪った戦争。これによってカリフォルニア、ニューメキシコなどを獲得、アメリカ合衆国の領土が太平洋岸に達した。
敗れたメキシコにとっては領土の約半分を失う結果となった。
19世紀前半にアメリカ合衆国は領土の拡大を続けメキシコの領土を侵犯するようになった。メキシコ領であったテキサスにはアメリカ人が入植して一方的にテキサス共和国の独立を宣言し、その支援を口実としたアメリカ合衆国(民主党のポーク大統領)はメキシコを挑発して領土を侵犯したと口実をもうけ1846年、戦争をしかけた。
これがアメリカ=メキシコ戦争(米墨戦争)である。戦争を望んだのは西部・南部のプランター、大地主階級の膨張主義者であった。
アメリカの陸軍はニューメキシコとカリフォルニアを制圧し海軍は海兵隊をベラクルスに上陸させ首都メキシコ=シティまで攻め込み、占領した。
戦力に大きな差があったメキシコは敗北し1848年の講和条約(グワダルペ=イダルゴ条約)でカリフォルニアとニュー=メキシコはアメリカに格安で割譲され、テキサスとメキシコの国境はリオ=グランデ川とされた。こうしてメキシコの国土は建国時の約半分に減少した。→1848年革命
19世紀前半のアメリカ合衆国のめざましい領土膨張は同時に新たな対立を国内にもたらした。それは、新しく国土に加えられた地に州が建設されたとき、それを自由州とすべきか奴隷州とすべきか、という建国以来の黒人奴隷制問題が先鋭化していくと言うことであった。
このアメリカ=メキシコ戦争で海軍のベラクルス上陸作戦を指揮したのが5年後に日本に派遣され日本の開国を強要したペリー提督であった。
また、多くのアメリカ国民は勝利に喝采を送り国中が勝利で沸き返ったが、このようなやり方を「防衛と言いながら実は侵略で憲法違反だ」と議会で指摘した人物がいた。
この勇気ある下院議員が若き日のリンカンであった。
そのため彼はアメリカ国民の人気を失ってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/37/4d30c1a8c6fdaebb506732e1ba8e844e.jpg)
壁飛び越え「ほぼ毎日」=民家の庭、侵入する移民―米メキシコ国境の町ノガレス
米西部アリゾナ州とメキシコ北部ソノラ州の双方に同じ地名がある国境の町ノガレスは、高さ6メートルの鉄柵の壁で国境が区切られている。
ペニャニエト大統領の支持率上昇=トランプ氏へ対抗姿勢評価-メキシコ
メキシコから鉄柵をよじ登って米国に侵入する例が「ほぼ毎日のように」(米側住民)目撃されている。トランプ米大統領は不法移民対策として国境に壁を増設する大統領令に署名したがノガレスの住民らは、壁があっても移民の侵入を防げないことを身をもって感じていた。
◇鉄柵よじ登る
ノガレス国境に設置された壁は鉄柵で、柵の間からは互いの国の様子が見通せる。さびた鉄柵をはさみ、米側では常に厳重な警戒体制が敷かれる一方、メキシコ側ではあまり警官の姿は見られない。
「飛び越えるだけ」。米側ノガレスで3日、国境警備に当たっていた男性に米側への不法入国の例を尋ねると即答した。ロープを使用したり、のぼり棒のように鉄柵をよじ登ったりして、米国側に飛び降りるという。
男性は「昨日も飛び越えた数人を拘束してメキシコに戻したばかりだ」と説明。週に4回飛び越え送還を繰り返した「常習犯」もいるほか、侵入した移民を追い掛けるとメキシコ領内に戻ってしまう例もある。そのまま追い掛けてメキシコ側に入るわけにもいかない。
◇麻薬組織が自宅へ
米側ノガレスの壁前にある庭付き一戸建てに住むメキシコ系米国人マヌエル・ボホルケスさん(29)は、飛び越える移民は「常にというほどではないが、ほぼ毎日のようにいる」と話す。見通しの悪い夜間が多く、ボホルケスさんは庭のさまざまな所を指さしながら「そこにもあそこにも隠れていたことがある」と語った。
数年前には、麻薬を運んでいたとみられる2人組の男が敷地内に侵入し玄関前のテラスにいたボホルケスさんを襲ってきた。
親族の男性と撃退したものの、後日、AK47自動小銃で武装した麻薬組織の7人がボホルケスさん宅を訪れ「誰かが通過した時は見逃すようにと丁寧に頼んできた」と振り返った。
ボホルケスさんは国境の壁建設を命じるトランプ氏の大統領令に対し「壁は飛び越えられる。予算の無駄だ」と批判。
一方、「米国籍を持つ自分は運が良かっただけ。不法移民を敷地内で見つけても通報はしない」と移民には同情的だ。
◇メキシコ側「心配ない」
対するメキシコ側ノガレス。土産店を営むホルヘ・ロペス・マルティネスさん(62)は大統領令に関し「特に気にしていないし心配もしていない」と語った。住民は大統領令以降も「特に目立った変化はない」と落ち着いている。
むしろ深刻なのはガソリン価格の高騰やトランプ氏の大統領選勝利を受けた通貨ペソ安の影響だという。1月には抗議デモが暴徒化。ガソリンを買うためだけに米国まで足を運ぶ住民もいる。人々を密入国へ押しやる経済状況が鉄柵の反対側に重く漂う。