2017年「太陽光関連事業者」の倒産、主な事例
○PVG Solutions(株)(TSR企業コード:352251875、神奈川県、負債約22億円)
2007年に太陽電池セルなど太陽光発電製品の製造・販売を目的に設立。当初はコンサルティングや製品分析などを手掛けていた。2011年にベンチャーキャピタルなどからの出資金や金融機関からの借入を基に、約20億円を投じて愛媛県西条市に工場を建設。太陽電池セルなど太陽電池関連製品の製造に本格参入した。だが、安価な海外製品の流入や固定価格買い取り制度(FIT)見直しによる買い取り価格の下落、工場建設による借入負担などで資金繰りが逼迫し、2017年2月に横浜地裁から破産開始決定を受けた。
〇(株)ZEN POWER(TSR企業コード:872097005、福岡県、負債約52億円)
2005年に設立され、福岡県久山町に工場を開設。太陽光発電モジュールの組立、販売を手掛けていた。国内外に販路を築き、2014年12月期の売上高は約74億円を計上していた。しかし、大口取引先だったドイツ企業に不良債権が発生し、急激に資金繰りが悪化。さらに欧州でのモジュール価格の下落、国内での固定買い取り価格の引き下げなどで受注が大幅に落ち込み、2017年4月に福岡地裁から破産開始決定を受けた。
〇(株)りょうしん電気(TSR企業コード:576244562、大阪府、負債4億7,700万円)
2009年設立。当初はオール電化製品及び住宅設備機器の販売施工を主体にしていたが、その後、太陽光発電関連事業に参入。太陽光発電システムの販売施工や、電器店などを対象に勉強会を通じたコンサルタント業務、アフターフォローのメンテナンス事業部を立ち上げていた。また、和歌山県でメガソーラー事業を開始し、2015年9月期の売上高は44億5,932万円を計上していた。ところが、太陽光発電関連ブームの収束で、2016年9月期の売上高は29億5,660万円にまで落ち込み、関連会社への出資金や貸付金の処理などで赤字を計上。自社保有のメガソーラー発電所や関連会社の売却を進めたが奏効せず、2017年5月に大阪地裁に破産を申請した。
○(株)ISHIO(TSR企業コード:612117200、和歌山県、負債約6,000万円)
2013年に設立。住宅の新築工事やリフォーム、太陽光発電装置の設置工事などを手掛けていた。設立が浅く財務内容や資産背景が脆弱だったところに、リフォーム工事の案件で回収不能が生じ、資金繰りが逼迫。2017年6月に和歌山地裁から破産開始決定を受けた。
○(株)にしもと(TSR企業コード:890236321、大分県、負債4,000万円)
1990年設立。塗装工事などを建設工事業者から受注し、年商は4,000万円程度を維持していた。しかし、利益率は低調で脆弱な財務内容が続いていた。2015年6月期から太陽光発電設備の設置工事にも本格的に参入し、売上高は1億5,354万円に急伸したが、不慣れな面もあり赤字から脱却できず、早々に同事業から撤退した。その結果、2016年6月期の売上高は3,764万円に急減し赤字幅が拡大。その後も業況は改善せず、2017年9月に大分地裁へ破産申請した。
○電現ソリューション(株)(TSR企業コード:298607123、東京都、負債15億5,000万円)
2011年2月設立。個人住宅向け省エネ住宅設備の訪問販売事業を手掛けていた。FIT導入による太陽光発電の需要増を追い風に、2013年からは屋根貸し太陽光発電事業「ヤネナビ」の運営を開始し業態を転換。分譲太陽光発電事業「ソーラーマーケット」も開始し、個人向けに太陽光発電への投資事業をスタートさせた。その後は、不動産購入から設計施工まで一体となったメガソーラーの開発や分譲販売事業にも参入し、2016年1月期は売上高53億9,139万円を確保。しかし、運転資金需要の増加やコスト増により資金繰りが悪化し、2016年後半以降は取引先への支払い遅延を散発し、2017年10月に東京地裁から破産開始決定を受けた。
○(株)北電テクノ(TSR企業コード:012386820、北海道、負債7,300万円)
光回線の営業代理を手掛ける(株)MIHホールディングス(TSR企業コード:012172987)の経営悪化を受け、同社代表が太陽光発電設備の販売・設置を目的に設立。2014年11月期の売上高は4億2,902万円を計上したものの、住宅用太陽光発電の各種補助金の終了や縮小、固定買い取り価格の引き下げなどから受注が減少し、資金繰りが悪化。2017年11月に、札幌地裁から破産開始決定を受けた。
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売電価格の下落は既に始まり流行は終わった様だ。