先週は、ティーチングプロとして駆け出しの頃の『想い出話』を書いたので…。
本日は、研修生時代の忘れられない記憶を…。
私が、ゴルフ場の研修生としてはじめて所属させていただいたのは、三重県の『鈴鹿の森カントリー倶楽部』。
ここは、研修生として入社すれば、全員、寮生活。
ゴルフ場でキャディーなどをして働きながら、練習をさせてもらっていた。
寮費、食費は、その働いた分から差し引かれるので、手元に、給料として入って来るのは、“スズメの涙”程度…。
このほんのわずかの給料で、ゴルフをするために必要な、ボールやグローブを買ったり、グリップ交換などをすると、ほとんど残らない。
三度の食事は出るものの、“ひもじい”生活でした…(T_T)
そんなある日、用事が有って、ゴルフ場のレストランの厨房に行くと、そこにいらしたレストランのおばさんが…、
「あんた、おなかすいてないか? あのな、このパン、冷凍してから日にちが経ち過ぎて、固くなってしもたから、もう捨てようか?と思ってるねん。でもな、バターをたくさん塗ったら、柔らかくなるから、食べられるで。おばちゃん、焼いたげよか?」と尋ねてくれたのである。
私は、「食べたい」と思った。
バターをたくさん塗ったトーストは、美味しそうだった。
でも、言わば、レストランの残飯である。
複雑な思いが交差した。
自分がプロになれるかどうかを試したいなんて思わなければ、“ここ”には来なかった。
芝と砂にまみれた、こんな生活など、しなくても良かった。
ゴルフ場の研修生になる前に働いていたのは、証券会社で、その頃は、バブルの全盛期だったから、違う職種に就いた同い年の友達よりは、多分、お給料もボーナスもたくさん頂いていた。
もらったボーナスと貯めた給料で、『アメリカ東海岸とカナダの旅10日間』なんて贅沢な旅行も、同期とできた。
そして、ブランド物のバッグなんかも自分のために買って帰った(笑)。
通勤に着て行く服などにも、“気を使えていた”(笑)。
中途半端に、そんなOLとして恵まれた時代を経験していたからか…、
「あんた、おなかすいてるか?もう捨てようかと思っているパンが有るけど、食べるか?」と尋ねられたことが、なんだか屈辱にも感じられた。
今の私は、人から、そんな“憐み”の目で見られる人間なのか…と、みじめで情けなかった。
ゴルフのために、こんな思いをしなければならないのか…と、本当に、唇を噛みしめてしまうほど、悔しかった。
でも、「バターをたくさん塗ってあげるから…」と言ってくれたおばさんの温かさや優しさは、とても嬉しかった。
…食べるか、食べないか、一瞬、迷った。
プライドと空腹が、私の中で、交差した。
でも、私は、「今、これを食べておこう。そして、絶対に、このパンの味は忘れない」と思った。
だから、おばさんに「食べるわ、ありがとう」と言って、残飯になるはずだったパンを焼いてもらった。
そして、おばさんは、固くなったパンが柔らかくなるようにと、バターをたっぷり塗って、焼いてくれて…
「さぁ、食べ。でも、他の人には見つからんように、隅で、こっそり食べるんやで…」と言って、良い香りのするトーストを、私に差し出してくれた。
レストランの隅っこで、物陰に隠れて、そのトーストを食べている時、本当に、野良犬にでもなったような気がした(笑)。
おばさんの優しさと、情けなさで、そのトーストを食べている時、涙がこぼれた。
…今でも、この時のことは、鮮明な記憶として、はっきりと覚えている。
あの悔しさが有ったから…、
「ゴルフの世界に入ろうとして、あんな思いまでしたんだから…」と言う思いが、もしかすると、その後の私の“根性”になったかもしれません…(^_^;)
残飯になりそうな食パンにバターをたっぷり塗って、“ただ”で食べる。
ま、今なら、笑って「美味しそうやん」って、嬉しがって食べるかもしれませんがね…(笑)。
…以前のblogに、『涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない』と言うゲーテの言葉を書いたことが有るが、この言葉を読んだ時に、思い出したのが、私の場合、この時に食べたパンでした(^^ゞ
やっぱり、残飯でも、食べておいて良かったってことでしょうかね?(^_^;)
以上、本日のblogは、研修生時代の忘れられない、忘れていない想い出のひとつ…でした(^^)v
本日は、研修生時代の忘れられない記憶を…。
私が、ゴルフ場の研修生としてはじめて所属させていただいたのは、三重県の『鈴鹿の森カントリー倶楽部』。
ここは、研修生として入社すれば、全員、寮生活。
ゴルフ場でキャディーなどをして働きながら、練習をさせてもらっていた。
寮費、食費は、その働いた分から差し引かれるので、手元に、給料として入って来るのは、“スズメの涙”程度…。
このほんのわずかの給料で、ゴルフをするために必要な、ボールやグローブを買ったり、グリップ交換などをすると、ほとんど残らない。
三度の食事は出るものの、“ひもじい”生活でした…(T_T)
そんなある日、用事が有って、ゴルフ場のレストランの厨房に行くと、そこにいらしたレストランのおばさんが…、
「あんた、おなかすいてないか? あのな、このパン、冷凍してから日にちが経ち過ぎて、固くなってしもたから、もう捨てようか?と思ってるねん。でもな、バターをたくさん塗ったら、柔らかくなるから、食べられるで。おばちゃん、焼いたげよか?」と尋ねてくれたのである。
私は、「食べたい」と思った。
バターをたくさん塗ったトーストは、美味しそうだった。
でも、言わば、レストランの残飯である。
複雑な思いが交差した。
自分がプロになれるかどうかを試したいなんて思わなければ、“ここ”には来なかった。
芝と砂にまみれた、こんな生活など、しなくても良かった。
ゴルフ場の研修生になる前に働いていたのは、証券会社で、その頃は、バブルの全盛期だったから、違う職種に就いた同い年の友達よりは、多分、お給料もボーナスもたくさん頂いていた。
もらったボーナスと貯めた給料で、『アメリカ東海岸とカナダの旅10日間』なんて贅沢な旅行も、同期とできた。
そして、ブランド物のバッグなんかも自分のために買って帰った(笑)。
通勤に着て行く服などにも、“気を使えていた”(笑)。
中途半端に、そんなOLとして恵まれた時代を経験していたからか…、
「あんた、おなかすいてるか?もう捨てようかと思っているパンが有るけど、食べるか?」と尋ねられたことが、なんだか屈辱にも感じられた。
今の私は、人から、そんな“憐み”の目で見られる人間なのか…と、みじめで情けなかった。
ゴルフのために、こんな思いをしなければならないのか…と、本当に、唇を噛みしめてしまうほど、悔しかった。
でも、「バターをたくさん塗ってあげるから…」と言ってくれたおばさんの温かさや優しさは、とても嬉しかった。
…食べるか、食べないか、一瞬、迷った。
プライドと空腹が、私の中で、交差した。
でも、私は、「今、これを食べておこう。そして、絶対に、このパンの味は忘れない」と思った。
だから、おばさんに「食べるわ、ありがとう」と言って、残飯になるはずだったパンを焼いてもらった。
そして、おばさんは、固くなったパンが柔らかくなるようにと、バターをたっぷり塗って、焼いてくれて…
「さぁ、食べ。でも、他の人には見つからんように、隅で、こっそり食べるんやで…」と言って、良い香りのするトーストを、私に差し出してくれた。
レストランの隅っこで、物陰に隠れて、そのトーストを食べている時、本当に、野良犬にでもなったような気がした(笑)。
おばさんの優しさと、情けなさで、そのトーストを食べている時、涙がこぼれた。
…今でも、この時のことは、鮮明な記憶として、はっきりと覚えている。
あの悔しさが有ったから…、
「ゴルフの世界に入ろうとして、あんな思いまでしたんだから…」と言う思いが、もしかすると、その後の私の“根性”になったかもしれません…(^_^;)
残飯になりそうな食パンにバターをたっぷり塗って、“ただ”で食べる。
ま、今なら、笑って「美味しそうやん」って、嬉しがって食べるかもしれませんがね…(笑)。
…以前のblogに、『涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない』と言うゲーテの言葉を書いたことが有るが、この言葉を読んだ時に、思い出したのが、私の場合、この時に食べたパンでした(^^ゞ
やっぱり、残飯でも、食べておいて良かったってことでしょうかね?(^_^;)
以上、本日のblogは、研修生時代の忘れられない、忘れていない想い出のひとつ…でした(^^)v