阿部ブログ

日々思うこと

リニア高速交通システム

2010年12月25日 | 日記
最近、電気自動車(以下、EV)が話題になることが多く、個人的には道路自体が発電し、EVに直接給電出来ないものか夢想しているが、ドイツ人デザイナーChristian Forg氏が、道路の下に電気モーターを設置する『Speedway Transport System』構想を発表している。

これは道路の両側に電気を供給する電線を配置し電力を供給しつつ速度を制御し、リニアモーターの原理で推進力を得る点がポイントで、道路に平らな固定子(モーターの固定部分)を埋め込みリニアモーターの移動磁界と、導体であるEVが持つ逆磁界が反発することにより、EVがリニアモーターに沿って移動するというもの。

山梨のリニア実験線の映像などを思い起こすとかなり高速で移動できるのではないかと想像してしまうが、着想としてはユニークで実に面白い。特に高速道路をリニアで移動中は、バッテリーに充電する事も可能で、高速をおりてからは十分に充填された状態で走行する事が出来るのも利点の一つ。また、現在主流のガソリン車なども走行可能とする事で、EVが十分に普及するまでの過渡期にも対応できる。我が国でもリニア新幹線の構想があるが、この新幹線に並行してリニア高速道路を併設してEV専用道路として巡航速度200km超えで大型EVトラックが走行出来る「第3東名構想」など風呂敷は広げられる素地は十分にある。

リニアモーター自体、ヒトラー政権下のドイツで実証走行(1935年)しており、ヒトラー肝いりで整備されたアウトバーンが巨大なリニア網となる日もあながち夢ではないかも知れない。また道路だけでなく鉄道にも注目。13日の日経1面にベトナム政府がハノイとホーチミン1700kmをつなぐ南北鉄道に新幹線を導入する意向との記事が載ったが、同様に世界で鉄道インフラの整備が進められようとしている。

4兆円を越えるカルフォルニア高速鉄道、1兆7000億円規模のサンパウロとリオデジャネイロを結ぶ鉄道などで、昨今のモーダルシフトの流れもあり、今後の鉄道車両市場は2.3%のベースで成長し2020年頃には約14兆円4700億円規模に拡大するといわれている。今後のビジネスとして考えられるのは、フルターンキーのリニア鉄道とリニア高速道路の2つの高速交通システムを融合したリニア高速交通システムの展開が考えられる。

例えばシベリア鉄道をリニア化することでEU圏と北東アジアの物流を劇的に変化させる事ができ、また温暖化による北極海航路の通年航行が可能となれば海運・航空にも甚大な影響がおよび今後の貿易・物流の姿を大きく変える可能性がある。

世界的な交通インフラ整備を地政学的観点から捉える事により大きなビジネス・チャンスを得る事が出来るだろう

『原爆帝国主義』におけるトリウム

2010年12月25日 | 日記
1953年4月20日に翻訳刊行された『原爆帝国主義』の第4部 ウラニウム十字軍 12章ウラニウム・ラッシュの第二節に「インピリアル・ケミカルによるトリウム独占」と題され以下のように記述されている。

世界のウラニウム資源の支配をもとめる基本的な動きについて述べるまえに、われわれは、核燃料としての可能性をもつ、しかしながら現在のアメリカの原爆産業においては役割を果たしていない一元素について述べておこう。
分裂性ウラニウム・アイソトープ(U233)は、トリウムを原子炉の中で濃縮ウラニウムと共に「燃焼」させると得られる。しかしながら、最近になって、アメリカ国内にあたらしいトリウム鉱床を開発するための調査がはじめられてはいるが、AECは、その独自の立場から、この元素の当面の当面の重要性を無視し、この鉱石の貯蔵のためになんら努力していない。
このようにトリウムにたいする関心が欠けているのは、おそらく、一つには、トリウムがウラニウムよりも天然に豊富であるためであり、また一つには、この鉱物の主要な源泉がインピリアル・ケミカル・インダストリーズに支配されているためである。トリウムの主要な原料は、インドおよびブラジルの海岸に見られるモナザイト砂である。1917年以来アメリカでは、トリウム鉱石はまったく採掘されていない。ウェスティングハウス、ベンチャーズの子会社メタル・ハイブライズで生産されているトリウム合金は、モナザイトの輸入に依存している。そしてトリウムの主要原料の採掘は中断されている。

(訳注)
ここ数年間のうちにトリウムの国際価格は100倍にはねあがったので、最近の情報によると、インド天然資源相は、アメリカのAECと協定をむすび、インドがトランバンコールのトリウムをアメリカに輸出するかわりに、アメリカはインドにたいして、一般には公表されていない原子力の非機密資料を提供することになった。なお、アメリカの援助でトリウム開発の新工場を建設する秘密交渉も、インドとアメリカとのあいだで目下すすめられているもようである。(『クロスロード』誌、1952年11月9日号)

モナザイトの最大の鉱床は、インドのトランバンコールにある。1946年4月、トランバンコールの宰相は、アメリカ向けモナザイトの積出し停止を命令し、この鉱石は、海外へ輸出されるまえに国内で加工されねばならないという命令を発した。この命令が出てから約3年になるが、まだ解禁の指令はない。インドの鉱床を所有しているのはトラバンコール土侯国であり、同国政府とイギリス政府が共同してその管理にあたっている。鉱床を採掘する政府特許をにぎっているのは、インビリアル・ケミカル・インダストリーズを支配するホプキンズ・アンド。ウィリアムズ会社である。※

※アメリカ最大のモナザイト販売機関は、チャールズ・テナント・カンパニー(カルムスティ)のアメリカ支社であるニューヨークのC・テナント・アンド・カンパニーである。この会社はインピリアル・ケミカル・インダストリーズの子会社スコティッシュ・アグリカルチュラル・インダストリーに完全に併合されており、S・A・I(ダンディ)の名で知られている。

つまり、インピリアル・ケミカルズは、モナザイトの主要な資源と、ニューヨークにおけるその分配機関とを、ともに支配しているわけである。なお、戦時中アメリカのモナザイト輸入量の3分の1以上を供給していたブラジルからの輸入も低下している。
イギリス当局者の一部が、AECの無関心とは対照的に、トリウムを原子力に利用する可能性に熱意をしめしている理由は、インピリアル・ケミカルズがトリウムを支配しているためである。AECがトリウムはすぐには実用にならないと声明しても、この元素を原子力の原料、とくに核燃料の「増殖用」として利用する可能性が、イギリスの戦時原子力計画の責任者であったインピリアル・ケミカルズの重役サー・W・A・エーカーズによって主張された。いずれにしても、イギリスは、インドのトリウム鉱床開発にのり出そうとしている。インド政府の科学・工業研究評議会の原子力研究委員会は、トランバンコールのトリウム含有鉱物にかんする大規模な調査を勧告し、またインドにおけるウラニウムの有無について同様の調査を行うための小委員会を設置した。
トリウムが原子力において重要な役割を演ずるかどうかは、そのうちに事態が明らかにするだろう。イギリスの原子爆弾の首脳者たちは、原子動力に関してアメリカ人よりもいくぶん大きな関心をよせているので、とくにイギリスの入手しうるウラニウムがしだいに制限されるようになっている現在、おそらくイギリスは、トリウム増殖リアクターの完成に力を集中するのではあるまいか。いずれにしても、巨大なインピリアル・ケミカル財閥は、原子力の原料となりうるこの金属を支配しているのである。

『原爆帝国主義』209~210ページから転載

AECとはアメリカ原子力委員会の事であるが、旧植民地であるインドのトリウム資源の権益を支配しているとの指摘は、1950年代の書籍とは言え今も新鮮に聞こえる。