阿部ブログ

日々思うこと

トルコのクルド人問題が解決に向けて前進 ~クルディスタン独立構想はどうなる?~

2013年03月25日 | 日記
トルコのマルマラ海イムラル島にある刑務所には、武装組織クルド労働者党(PKK)の創設者アブドゥッラー・オジャラン氏が収監されている。トルコ政府は3回に渡ってオジャラン氏と交渉し、クルド人の新年を祝う祝日「ネヴルーズ」である3月21日に停戦する事で合意に達した。停戦締結は、トルコ情報機関(MIT)のトップであるハーカン・フェダン長官とオジャラン氏との間で行われた。

しかしながらMIT長官との停戦締結は意味深だ。オジャラン氏は以前から情報機関のエージェントであるとの噂が絶えず、義父であるアリ・ユルドゥルム氏は、情報機関との連絡係りだったと証言しているのは、当のオジャランである。当然ながら当人についても様々な憶測を呼ぶことになる。

イムラル・プロセスの対象は、HPG(PKKの軍事組織・人民防衛軍)とKCK(クルディスタン社会連合)も含まれ、PKK幹部の一人であるムラト・カラユラン氏は、ドイツ・ボンでのネヴルーズ集会で説で、「3月21日をもって停戦を宣言する。トルコ国会と政府が新憲法の司法第4案に関する委員会をつくり、法的な準備が整えば、ドイツ国内から撤退する」と表明している。

今回のクルド問題解決に向けたプロセスの背景には、アメリカ、ドイツ、イスラエルの影響が濃い。
駐アンカラ米国大使は、新憲法の司法案についても積極的な発言を行っており、国内に80万人のトルコ人を抱える駐アンカラ独大使もクルド問題の速やかなる解決への期待を述べている。またイスラエルもシリア内戦や対イランを視野に入れつつ、ガザでのトルコ人射殺事件の解決に向けて動いており、既に軍事面では融和が進んでいる。トルコ軍が調達するAWACSだ。機体はボーイング社製だが、内部の早期警戒管制システムの一部はイスラエル軍が開発&改良してきたシステムであり、ガザ事件以降、特許を理由にシステム提供を拒んできたが、今回、正式に供与する事になった。

PKKの在シリア部隊は、政府軍と戦闘を継続しているが、トルコ国内でのクルド問題が平和裡に終息する可能性が出てきており、今後のクルディスタン独立運動の動向に注目だ。