阿部ブログ

日々思うこと

エアバスA400M輸送機とエアバスが生産工場をトルコに建設などなど~

2013年08月13日 | 雑感
2013年8月1日、エアバスミリタリーA400M(MSN7)の一号機がフランス空軍に納入された。続くMSN8も今月中にフランス空軍に納入される。MSN9はトルコ空軍に納入される予定。現在MSN9はエンジン試験中。MSN10もフランス空軍向けで、MSN7,8,10の3機は、オルレアン・ビシー空軍基地(Orleans Bricy Air Base)に配備され運用される。

ここで主役はフランスではなくトルコ。トルコは、エアバス/エアバスミリタリーの部品製造において可成りの存在感を示している。エアバスミリタリーのA400M輸送機の細々とした部品などは、トルコ航空宇宙産業(TAI:Turkish Aerospace Industries,INC)が担当している。トルコ航空宇宙産業は1984年に設立された国策企業で、従業員3900名、売上28億ドル。工場は、アンカラ郊外のFethiyeにある。この工場ではエアバスA350、A320のエルロンや補助翼の製造を行っているし、勿論、A400Mの部品もこの工場で製造している。TAIにとってエアバスの売上だけで5億ドル以上と言うから経営に貢献するところ大だ。

トルコには、TAI以外にカレ・アエロ社 (旧カレ ハヴァジュルク) と言う防衛企業がある。カレ・アエロ社は、1989年からボーイング、ロッキード・マーティン、プラット・アンド・ホイットニーなどのエンジンや航空機部品を製造している。エアバス関係ではA320系統の補助燃料タンク壁を同社イスタンブールの工場で製造。最近は、問題山積の統合打撃戦闘機 (JSF)F35の生産も担任している。

トルコは、エアバスから仕事をもらっているだけではない。全然逆でエアバスにとってトルコは最大級のお得意様だ。何せトルコ航空は、今年3月15日にA320系列の旅客機なんと117機を発注している。内訳は、A321ceo×25機、A320neo×4機、A321neo×53機と追加オプションA321neo×35機。トルコ航空は、現状でA320系列の旅客機75機を運用中で、エアバス機だけで192機に達する。エアバス機の大量発注は、ブーメランのようにトルコ宇宙航空やカレ・アエロ社の仕事に反映し、雇用も安定するので、トルコ経済にも大いに貢献する。

トルコ航空の大量発注があったからかは分からないが、エアバスは、トルコに生産工場の建設を計画している。既に工場用地はトルコ北西部のテキルダーにある欧州フリー ゾーン(EFZ)に取得済みとの情報がある。広さは1万平方メートルに達するという。
テキルダーのEFZには、5億ユーロの投資が行われるとされるが、エアバス工場進出は、その一環だろう。日本の経済産業省が行ったトルコにおけるスマートシティのフィージビリティ・スタディ(F/S)調査の際、トルコの地域配電会社Trakya EDASの担当者が、東芝のシステムがこの工業団地において適合するとの好意的な意見を述べたのに意表を突かれたらしい。日本側はTrakya EDASを工業団地内のエネルギー供給に関する競争相手との認識だったが、実は配電ライセンスを差配できるので、うまく棲み分けが出来る可能性がある報告している。

過去ブログでも書いている通り、イスタンブールの第三空港プロジェクトが着々と進行中で、海外だけでなくアタチュルク空港とイスタンブールの第三空港への国内便利用を含め航空旅客の利用者数は劇的に増加するとトルコ政府は予測しており、2017年の運営開始時には乗客定員において世界最大となるとしている。
イスタンブール西部開発と第三空港プロジェクト
イスタンブールの総合開発プロジェクト
イスタンブール西部開発プロジェクト