知らなかったが、今年は関東大震災90周年だという。
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どおりで都市災害やら生物化学防護というテーマで講演依頼が来る筈だ。いろんな所で同じような講演会やらが開催されると人手不足と言う訳か~
どおせ首都圏限定の匿名ボランティアでやるので、土日であれば話はする。しかし今回はシリアの化学兵器使用が国際的に話題となっている事もあり、実際のガスマスクなどを用意して、より実践的な内容にして欲しいと言うが、他に専門家(自衛隊や消防・警察)がいるだろうと指摘すると、NPO理事の彼は駄目だと言う。
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「その道の専門家と言う者は、その分野に特定した話しか出来ない。それに国内限定では今回の講演的では弱いね。何せ今回の聴衆には猛者連がいるから。それと、あなたの書いたものを読んでいるが、シリアの情勢にも詳しいし、ハーバーボッシュから現代のNBC戦の現状について医化学的な見地も交えて話せるのは居るようで居ないんだよ。」
「適当に書き連ねているだけ。シリア情勢に詳しいのは、知り合いが現地にいるから。適任者を紹介するから、今回は勘弁して。」
「いや、お願いしたい。なんなら、あなたが断れない人から依頼が行くようにしようか?」
「・・・・・」
仕方がないのでヤル事になったが、場所は意外と近い。ので走って行く事にした。
そうだ、途中に陸軍の被服廠跡があるので立ち寄ってデジカメしよう。この場所では実に3万8000人の方が亡くなっている。
祈り。(冥福)
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失敗した! タオル忘れた~汗ダクダク。
流石にジョギング気分じゃまずいね。気の緩みと言うか、今日は妙に緊張感がない。しかしタオルないと熱いな~着替えるにも着替えられない・・・こんな状態の時に、件の彼氏が来る。
「なんという格好で来るの???」
何という格好もねえもんだ。こちトラ休みつぶして無給でやるんだからイイでしょ!と思うが~・・・・・・「ねぇ、タオルない?」
「着替えは?」
「あるよーっ、ほら」と言いながら、汚い山登り用のリュックサックからズボンとシャツを出して、ピラピラさせる。
「その格好でしゃべるの? ベルトは? 靴下はジョギング用?」
実は私服は余り持っていない。また髪の毛もボザボザになってきているし、そもそも服装に頓着しないので、こんな微妙な会合の場合には、何着ていいのかが分からなくて困る事が多い。
「いいじゃん。ボランタリーだし、休みだし。それに聴衆は猛者連なんでしょ」
「違う。猛者と言うのは、それなりに影響力のある人たちと言う意味。走ってこれるんだったら戻って着替えてきたら?時間あるし」
「猛者って、NBC経験者を言わねぇか? それに戻ったら、帰ってこないと思うよ。アマゾンに注文したエズラ・ヴォーゲルの『小平』が届いている頃だから」
「ああ、例の『Deng Xiaoping and the Transformation of China』だね。翻訳本が出たか。」
「スラスラ英語で原著名が出てくるのは流石ね。しかし、齢80にして900ページの大著を出すなど凄いね。キッシンジャーの『On Chaina』も500ページで88歳だしな。」
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さて、講演そのものは、きっちり2時間やった。
質問を受けたくないので、8秒装面のパフォーマンスとか、さっき撮った被服廠のデジカメなど見せながら、時間調整しつつ、適当に盛り上げて無事終了!
自分に「お疲れ様」と言って、速やかに退却。来た時と同じ、汗臭いジョギング姿に80秒で変身。さーて帰るか~、
そうだ。浅草に寄っていこう。我ながら名案だ。今度こそメロンパン食べなきゃ。
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と、こんな時にまた、件の彼が来る。
「あれっ、着替え早いね。もっと話を聞きたいとおっしゃっている方々いて、質問もあるようだから、今からの食事会に出て。好きなビールも飲み放題だよ。」
「ダメ、ダメ。酒とタバコと賭け事はやらないのよね。」
「あれ? 前はハイネケンを用意しとけって、浴びるほど飲んでいたよね」
「知っているでしょ、若い頃に体をチョー酷使したので、今じゃ内臓も、腰も、膝もボロボロよ。最近は眼も見えないしね。帰って風呂入って寝る」
「ああ、それじゃ弁当、持って帰ったら~コレコレ。良く出来てるでしょ」
「これは・・・流石に食べれないでしょ・・これ・・・しかし良く作ったな~っ。ケイジツ品だ。不細工な奥さんが作ったの?」
(ニコニコしながら)「そうそう」
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「残念ながら、この通り不細工な格好なので持って帰れない。食べる前にスマホかなんかで撮って送って。FacebookでもMailでもOKだから、じゃぁ」
「本当に帰るのか?」
「んん、花月堂に行く。メロンパン食べに。」
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どおりで都市災害やら生物化学防護というテーマで講演依頼が来る筈だ。いろんな所で同じような講演会やらが開催されると人手不足と言う訳か~
どおせ首都圏限定の匿名ボランティアでやるので、土日であれば話はする。しかし今回はシリアの化学兵器使用が国際的に話題となっている事もあり、実際のガスマスクなどを用意して、より実践的な内容にして欲しいと言うが、他に専門家(自衛隊や消防・警察)がいるだろうと指摘すると、NPO理事の彼は駄目だと言う。
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「適当に書き連ねているだけ。シリア情勢に詳しいのは、知り合いが現地にいるから。適任者を紹介するから、今回は勘弁して。」
「いや、お願いしたい。なんなら、あなたが断れない人から依頼が行くようにしようか?」
「・・・・・」
仕方がないのでヤル事になったが、場所は意外と近い。ので走って行く事にした。
そうだ、途中に陸軍の被服廠跡があるので立ち寄ってデジカメしよう。この場所では実に3万8000人の方が亡くなっている。
祈り。(冥福)
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失敗した! タオル忘れた~汗ダクダク。
流石にジョギング気分じゃまずいね。気の緩みと言うか、今日は妙に緊張感がない。しかしタオルないと熱いな~着替えるにも着替えられない・・・こんな状態の時に、件の彼氏が来る。
「なんという格好で来るの???」
何という格好もねえもんだ。こちトラ休みつぶして無給でやるんだからイイでしょ!と思うが~・・・・・・「ねぇ、タオルない?」
「着替えは?」
「あるよーっ、ほら」と言いながら、汚い山登り用のリュックサックからズボンとシャツを出して、ピラピラさせる。
「その格好でしゃべるの? ベルトは? 靴下はジョギング用?」
実は私服は余り持っていない。また髪の毛もボザボザになってきているし、そもそも服装に頓着しないので、こんな微妙な会合の場合には、何着ていいのかが分からなくて困る事が多い。
「いいじゃん。ボランタリーだし、休みだし。それに聴衆は猛者連なんでしょ」
「違う。猛者と言うのは、それなりに影響力のある人たちと言う意味。走ってこれるんだったら戻って着替えてきたら?時間あるし」
「猛者って、NBC経験者を言わねぇか? それに戻ったら、帰ってこないと思うよ。アマゾンに注文したエズラ・ヴォーゲルの『小平』が届いている頃だから」
「ああ、例の『Deng Xiaoping and the Transformation of China』だね。翻訳本が出たか。」
「スラスラ英語で原著名が出てくるのは流石ね。しかし、齢80にして900ページの大著を出すなど凄いね。キッシンジャーの『On Chaina』も500ページで88歳だしな。」
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質問を受けたくないので、8秒装面のパフォーマンスとか、さっき撮った被服廠のデジカメなど見せながら、時間調整しつつ、適当に盛り上げて無事終了!
自分に「お疲れ様」と言って、速やかに退却。来た時と同じ、汗臭いジョギング姿に80秒で変身。さーて帰るか~、
そうだ。浅草に寄っていこう。我ながら名案だ。今度こそメロンパン食べなきゃ。
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と、こんな時にまた、件の彼が来る。
「あれっ、着替え早いね。もっと話を聞きたいとおっしゃっている方々いて、質問もあるようだから、今からの食事会に出て。好きなビールも飲み放題だよ。」
「ダメ、ダメ。酒とタバコと賭け事はやらないのよね。」
「あれ? 前はハイネケンを用意しとけって、浴びるほど飲んでいたよね」
「知っているでしょ、若い頃に体をチョー酷使したので、今じゃ内臓も、腰も、膝もボロボロよ。最近は眼も見えないしね。帰って風呂入って寝る」
「ああ、それじゃ弁当、持って帰ったら~コレコレ。良く出来てるでしょ」
「これは・・・流石に食べれないでしょ・・これ・・・しかし良く作ったな~っ。ケイジツ品だ。不細工な奥さんが作ったの?」
(ニコニコしながら)「そうそう」
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「残念ながら、この通り不細工な格好なので持って帰れない。食べる前にスマホかなんかで撮って送って。FacebookでもMailでもOKだから、じゃぁ」
「本当に帰るのか?」
「んん、花月堂に行く。メロンパン食べに。」
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