阿部ブログ

日々思うこと

ソチ・オリンピックのテロ対策にロシア海軍歩兵の対テロ部隊を投入

2014年02月05日 | 雑感
第22回オリンピック冬季競技大会が、2014年2月7日から23日まで、パラリンピック大会は、3月7日から16日まで、南ロシアのソチで開催される。オリンピック/パラリンピックは、ソチの沿岸に建設されたクラースナヤ・ポリャーナなど各施設で行われる。
こんな中、報道されている通り、米国家テロ対策センター・オルセン所長が、米連邦下院議会の情報特別委員会で、ロシア政府当局と緊密に連携しテロ活動組織の監視を行っていると発言。具体的なテロ組織としてロシアでは著名な「コーカサス首長国」を挙げている。この「コーカサス首長国」は、北カフカスにおいてイスラム国家建設を目指す組織である。まあ、以前からソチでの冬季五輪を妨害するとの予告をしており、当然ながら監視対象とにはなるのは当然。このテロ活動を監視するのは、FSBの第64829部隊(情報保全)と第71330部隊(通信諜報)。
少々意外な感があるだろうが、ロシア軍のサイバー戦部隊は今回のテロ監視・阻止作戦には従事しない。実はロシア軍の本格的なサイバー戦部隊は、2017年までに創隊し実戦配備する事で準備が進められている最中。軍のサイバー部隊なので、サイバー攻撃はもとよりロシアの重要インフラをサイバー攻撃から防御する事も任務となる。

ロシアは、オリンピックでのテロを阻止する為に、2013年11月2日に「個別のロシア連邦法を改正する法律(2013年度ロシア連邦法第302号)」を施行し、テロリズムに対する罰則を強化している。この法律では、テロの実行だけでなく、テロリスト訓練と教育を受ける罪、テロ活動を謀議し、これに参画関与する罪、そもそもテロ組織を結成する罪など、あらゆるテロを法的に厳罰できる根拠を整備した。これでも足りずに「テロリズム対策法(2006年度ロシア連邦法第35号)」の第18条第1項も改正し、テロ実行犯だけでなく、資金提供した者とその親兄弟や知人についても損害賠償の責任を負うことが規定されている。このテロ対策法の改正は、流石に違和感があるが、テロが国内で発生するとは、ソビエト時代では考えられない事だ。

さてソチは、前述の通り海に面しているのでサイバー部隊は展開しないものの、ロシア海軍は沿岸海域に黒海艦隊所属の艦艇9隻を展開させる。勿論、FSBの国境警備隊の艦艇8隻も海上警備行動に従事する。合計17隻の艦船が広域に展開し監視する。このロシア海軍の警備について注目すべきは、黒海艦隊所属の独立海軍歩兵旅団対テロ部隊チームが巡洋艦モスクワに乗船している事。ロシア陸軍の特殊部隊やFSBの対テロ部隊も待機しているが、海軍歩兵の対テロチーム(フロッグメン)まで展開しているのは、如何にテロを阻止しオリンピックを成功させたいかの証左だ。
今回の冬季オリンピックは「Putin's Games」とも言われる通り、プーチン大統領のメンツが掛かっている。個人としても無事に閉幕する事を祈っている。

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