私のいつも使っているマクロレンズは正式に言うと
EF100mm macro 2.8L IS
というやつなのですが、キャノン新技術のハイブリッド・イメージ・
スタビライザーというレンズ内手振れ補正を内蔵してるんですな。
これは通常のレンズの角度ブレとカメラ本体の上下左右のブレを
同時に補正してくれるんですよ。
初め私は手振れ補正なんてたいしたことはないだろう、と
思っていたのですがこれがなかなかの優れものなんですよ。
標準ズームだと天気にもよりますが、f8くらい絞っても充分手持ち
撮影できるんですね。
レンズ内手振れ補正は「補正系」と呼ばれるレンズ群がセンサーが感知
したブレに合わせて上下し常に画像がセンサーの真ん中にくるように
補正しているんです。
ハイブリッドはこれの進化したヤツですから当然期待しますよね。
ところがこれがマクロになるとイマイチなんですよね。
よーく画像をチェックしていたら、「これ、ブレじゃなくてピンぼけじゃね?」
って気がつきました。
それがこの写真です。
なに?ピントが合ってるじゃないかって?
いいえ狙っていたのはめしべの先端です。
狙った場所以外では、どこにピントが合ってもピンぼけです。
狙った写真はこれです。
ブレというのは言い換えればX,Y軸のズレなんですよ。
それに対してピンぼけはZ軸のズレなんですね。
一般的なデジ一は
シャッターボタンを押す->AF・露出ロック->ミラーを上げる->露光
という順序になりますからAFがロックされた後に動くとピンぼけになるわけです。
そー言われれば人間の体って微妙に前後することってありますよね。
それがマクロ域というシビアな世界だとピントに大きな影響を与えるんですね。
マニュアルフォーカスで撮影しても、合わせた時より撮影する瞬間に体が前後
していては同じ結果になってしまいます。
もう一歩踏み込んで対策してほしかったな、と思いますが、でもけっこう
むずかしい問題があるんですよね。
というのは、ブレ写真は明らかに失敗写真ですが、ピンぼけ写真は
失敗写真とは断定できないのです。
ある人はめしべの先端にピントが合うのがいい、と言っても別の人は
「何言ってんの、めしべは根っこじゃん!」と言うかもしれません。
「なに顔にピント合わせてんだよこのバカカメラ!女は胸じゃん!」
という人もいるかもしれなのです。
ですから現状では、ピント合わせは責任もって人間がやらなければならないのです。
対策としてはもちろん三脚を使うことなのですが、
やったことがある人はわかりますが、三脚を使って花を撮るのは大変なんですよね。
そもそも通常の三脚は、足を少し伸ばしてカメラをセットすると人間の目線あたりに
くるように設計されています。
風景写真を撮るときに自然になるようにするためです。
ですから花を撮ると、井戸の上から底を覗くようなかっこうになります。
アングルも限られますし、カメラの陰がかかったりもします。
「花専」の人たちはローアングルの三脚を準備していますが、私のように「雑食系」
のカメラマンは、用途が限定されるような機材はなるべく持ちたくないんですよね。
マメ知識
昔は手振れしないシャッター速度の目安に
1/焦点距離
という式を使っていました。
200mmの望遠レンズだと1/200秒以上のシャッター速度ということです。
しかし近年、センサーの高画素化に伴ってこの速度以上でもきびしい、
という意見が多くなっています。