コラム(139):辺野古移設訴訟和解案への疑問
名護市辺野古沖の埋め立て承認を沖縄県の翁長知事が承認を取り消したことに対し、国が知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求めていた裁判で、福岡高裁が二つの和解案を提示しました。
・沖縄県は埋め立て承認取り消しを撤回し、国は辺野古に建設される代替施設を使用開始後30年以内に返還または軍民共用とするようアメリカと交渉する。
・国が訴訟を取り下げ工事を中止するとともに、国と県が改めて協議する
国防は裁判所が決めることではない
裁判長の提示した解決案はどちらも、話し合いを勧告しただけで、問題を先送りしたに過ぎません。
また、民事事件なら和解の提示ということはありえますが、基地問題は国防に関わる国家の専権事項なので、裁判所が和解案を示すことは越権行為となります。
この場合、裁判所は行政法の判断において、国の決定に従い、県に対し承認取り消しの撤回を命じなければなりません。
一方、沖縄県は国を相手取って、行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟と、国地方係争処理委員会の決定を不服とする訴訟を起しています。前者は国からの行政訴訟に対抗したもの、後者は専門機関の決定に対抗したものです。
そもそも国防問題を司法に委ねようとした翁長知事の考えには根本的な間違いがあります。
治安・外交・防衛・教育の4分野について国家には専権事項があります。ことに外交・防衛に関しては一貫性と連続性が求められるので国家としての信用問題になります。つまり、この4分野については司法の干渉を許さないのが近代国家としてのあり方なのです。したがって今回、司法が国防に踏み込んだ和解案を提示したことは重大な間違いを犯したことになります。
現実問題として中国の脅威が迫っている現在、裁判所に国家の防衛問題を判断させている場合ではないのです。
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