コラム(157):政治の新しい潮流
安倍総理は、普天間飛行場の辺野古移設をめぐって司法が示した和解案を受け入れる考えを表明しました。安倍総理が先に和解案に応じた背景には、総理自身、国会や司法の場で争うことを嫌っているからと思います。いたずらに対立軸をもって論争しても、沖縄県民のためにならないと感じているからだと思います。
また、ネット上の書き込みがあった保育園問題では「子供を産み育てる若い家族を取り巻く環境を温かく配慮に満ちたものにしなければならない」と述べ待機児童減少への方策を指示しています。さらに、選挙制度改革については諮問機関が答申した新たな定数配分方式を容認する方向を示しています。経済問題では国際的な有識者と意見交換する会合を開催し、「サミットで世界経済の持続的な力強い成長に向けて明確なメッセージを発したい」と述べています。
これら一連の動きは、これまでの日本の政治に見られなかった動きで、政党の枠を越えた注目すべき動きだと思います。
力点の所在
安倍総理の発言や行動が選挙目当てと論評するジャーナリストがいますが必ずしも的を射た指摘ではありません。安倍総理には、国民の意見を分け隔てなく聞くことから政治を始めようとする姿勢が感じ取れます。
従来の政権担当者であれば、多数の議会勢力をもって野党の主張を突っぱねていたはずが、最近では野党の意見であっても前向きに受け入れようとしています。
安倍総理は物事を決定するときに、政治的な対立軸をもって議論するのではなく、お互いの意見を尊重しながら進めていきたいと考えているようです。
対立から協調へ
安倍総理の、対立や論争という概念を離れ協調して問題を解決しようとする姿勢は、2015年のG7・エルマウ・サミットで発揮されていました。G7の最終局面で、アメリカとEU諸国がロシア問題で意見の集約がつかない時に協調的な解決策を示したのは安倍総理でした。調停に苦慮していた議長国ドイツのメルケル首相は安倍提案をG7の結論として取り入れることができ、共同声明発表にこぎつけました。会議終了直後、激しく対立していたアメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領の双方とも安倍総理に駆け寄り、協調案を絶賛し感謝したと言われています。
安倍総理は中国や韓国に対しても、話し合いや協調によって関係改善を図ろうとしています。日中韓首脳会談、慰安婦問題の解決をはかった日韓首脳会談は、安倍外交の真髄を示したものでした。
また、単に宥和的な外交を進めるだけではなく、毅然たる日本の姿勢と矜持を示し、秩序ある関係性を築こうとしているのです。したがって、相手国の悪意ある発言や行動に対しては断固とした抗議をしていることに着目しなければなりません。これは決して、対立により憎しみを増幅するものではありません。
日本と世界の政治に新しい潮流が流れ始める予感がします。まだまだ流れは小さいかもしれませんが、必ず大きな流れとなることを願っています。
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