コラム(279):新聞週間に想う「新聞メディアの凋落」
新聞週間が10月15日から始まっています。
読売新聞の社説には、「今年度の代表標語には『真実と人に寄り添う記事がある』が選ばれた。新聞に寄せられる期待の大きさを実感する」とあります。一方、朝日新聞は「取材と検証、浮かぶ真相 新聞週間2018」「記録を追う、歴史に残す 新聞週間2018」などと政府批判色を前面に出しながら「読者の意見を紙面に反映している」と主張しています。
しかし、新聞各社がどのような言葉を並べても自社の思惑を主張するばかりで読者不在であることに変わりはありません。
軽減税率適用の代わりに消費増税容認
その典型が、国民が嫌がる消費増税について反対を唱えている新聞社が無いということです。
ほとんど報道されていませんが、新聞には軽減税率が適用されます。合理的な理由がまったく無いまま新聞だけは軽減税率の適用対象となっているのです。
新聞各社は新聞への軽減税率適用と引き換えに増税を黙認しているのが現実です。
「読者とともに歩む」とか、「あなたの声を反映します」といった新聞の謳い文句が絵空事に思えます。
このご都合主義、商業主義がジャーナリズムとしての信頼性を失わせ、新聞を凋落させた原因であることは間違いありません。
読売新聞のねつ造記事が意味する事態の深刻さ
新聞の凋落に危機感を抱く読売新聞が14日付けの一面に、「信頼するメディア『新聞』最多64%」という記事を掲載しました【※1】。
【※1】読売新聞社は、15日から始まる第71回新聞週間を前に、全国世論調査(郵送方式)を実施した。ニュースを知る手段として、信頼するメディア(三つまで)は、「新聞」が64%で最も多く、「NHKテレビ」60%、「民放テレビ」51%などが続いた。インターネットの「グーグル、ヤフーなどのポータルサイト」は19%、「スマートフォンなどで使うニュースアプリ」は16%。年代別でみても、「新聞」は30歳代を除く全ての世代でトップだった。
この記事は明らかに読売新聞のねつ造記事です。
国民が新聞に抱く感想として一番目に挙げるのは、情報が古すぎてニュースを知る手段にならないということです。これは新聞メディアとしての致命的な欠陥部分です。
家庭の主婦が新聞を開き、真っ先に見るのは一面トップ記事ではなく折り込みチラシです。その次にテレビの番組欄で、それ以外はせいぜい週刊誌の広告とプロ野球の結果で、報道記事自体に目を通す人は実に少ないのが本当のところでしょう。そうした現実にもかかわらず、信頼されているメディアの代表を名乗るのは明らかにおかしいことです。
実際、筆者の住む小規模なマンション(20世帯)で新聞を購読しているのは筆者宅と会社の事務所のもう一軒だけで、残りの世帯は誰も新聞をとっていません。販売店の集金人から聞いた話なので間違いありません。今の時代で新聞を購読しているのはほんの一握りに過ぎないのです。
したがって、この記事は世論調査結果をねつ造しなければならないほど新聞社事情が深刻であることを物語っています。
新聞メディアの情報支配は終った
街中でも電車の中でも多くの人が年齢に関係なくスマホを持っています。それぞれの関心領域は異なると思いますが自分の意思で情報にアクセスしています。
これまで情報は、新聞社の編集者が自分の考えや思惑で情報を流し、読者はその情報のもとでしか判断できませんでした。これは必ずしも正確な情報とは限らないのです。しかし、スマホによって情報を自分の意思で選択できるようになったことで情報の価値は一変しました。今では翻訳機能を利用して言語の壁を取り除くことができ、世界中の情報に即座にアクセスし、より効率的で生産的、創造的に生活ができる時代となっています。
第三権力といわれてきた新聞を代表とするメディアによる情報統制は急激に力を失い、新聞が古い時代の遺物として葬り去られることを意味しています。決して大げさなことでは無いのです。
新聞メディアは新聞週間を契機に、どのような情報発信が時代と読者に適合するのか真剣に考えていただきたいと思います。
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