写真を専門とするプロの間でも実は料理を専門とする人、建築を専門とする人などがいる。
何でも屋だった私も、それぞれの専門家の写す写真には敬意を払っていた。
私なりの料理の写真を写す方法は、必ずシノゴ(4×5インチフィルム)を使っていた。
理由は、料理を見下ろすように写すために器に歪みがでるからだ。人間の目では当然歪んで見えないのだが
写真では変形するからだ。食器の種類によって(特に黒で反射のあるもの)映り込みを避けるために、
試しに空の器でアングル等の設定をするのだ。基本的には私は、レンズフードの留め金等もマジックで黒くしていた
そういえば何でも黒くしていた、よくレンズなどにメーカー名とかが白く刻印されていているものだが、それも
塗りつぶしていた、。アングルが決まったら、黒い衝立をレンズの部分だけくりぬいてしまい、被写体との間を
遮る。殆どの料理は、3セット程度は作ってもらうのだが、器の位置が決まったら、写真には写らないように
後ろに印を付けてしまう。クライアントさんや、関係者がわかりやすいようにそしてライティングの確認の意味で
一回目はポラを引く為出終わる。私の考えの基本は一つの方向からの光がハイエストライトとなり、その
ハイエストライトを殺さないように柔らかなディフューずされたライトで包み込むのがおいしそうに見える理由だ
というふうに考えていた。さらに例えば1万kwの出力があるストロボの電源機器にストロボのヘッドを3個つないで
フル発光させてそれをディフューザーを重ねて行くことで芯のあるメイン校を作り出すということも、方法論として
あった、ポラを見て、クライアントの意見を聞き、またレイアウターが盛り方をより綺麗にするために、様々な
細工をしたりして、私は光の周り具合を確認して、細かい補正は、白黒銀金紙を切り抜いて、反射を利用したり
打ち消したりという作業を行った。
油を生魚に塗る、汁などは薄めたり、アロンアルファで素材をくっつけたり、光沢スプレーやつや消しスプレーを
使うなどをする。こういう状態でもうワンカットポラを引き、同じ細工をしたものに取り替える、
黒デコラ版を使うときは完全に料理を覆ってしまう。一番いやなのは微小なホコリがはいることだからである。
こうして2セット目を撮影する。大抵はこれでOKになるのだが、駄目なときは3セット目に移行する。
ということが、品物の数だけ繰り返されるのだ。結構たいへんなのだ。