傘
予想外の 雨がたたきつけるように振り出した。
通り雨であることを祈りながら あるスーパーのそばにあるATMの下で
雨が止むのを待っていた。私は走ることができないので、家まで濡れて
帰るしかないかなぁとあきらめかけて居た。
その間 15分 ATMに出入りする人は数名で、無言で傘を差して帰って行った
雨の勢いは衰えず、諦めて帰るかと思っていた時赤い傘を差した女性がATMに
そしてATMからでてきて 傘を広げた。
なんとなく 傘を見てしまったが、若い女性のようだった。
ゆっくりと傘を広げなおし 歩き始めて行った。もちろん、銀行のATMだし
通り過ぎた数名も今の時代は物騒だから 仕方がない。
よし行くか、と決めて歩きだそうとしたら先ほどの女性が戻ってきた。
おろし間違えたのかな?仕方がない。
そうしたら「あの~雨やみませんね」とはきはきした声で言った
「はい。やまないので、諦めて帰ることにしました」
「どちらの方ですか」
「駅のそばなんですが・・」
「じゃぁ 私もそちらの方向に行きますので、途中までかもしれませんがよければ
傘を使いませんか。 」
「え?!いいんですか?助かります。あの余計なことかもしれませんが
ATMに用事があったんでは?」
「いいえ、殆ど人も歩いていないので、気になりましたので、戻ってきたので」
「ほんとうにありがとうございます。」といって傘を借りてというか
持ち主が濡れないようにして 15分の道のりを歩いて家のそばまで戻れた
「とても助かりました。ありがとうございます」
「困ったときはお互いさまだと叔母によく言われているので。ではこれで」
よほど 困った顔にみえたのかな・・。世の中まだ捨てたものではないな
たった一本の傘 でこういうことがあった。かなり最近・・。
ん?!たった1本の傘・・傘1本 スーパーで買えば150円だった。