「ストーリーテリング」 日本昔話 ハンドブック 稲田 浩二・和子
(1)ストーリーテリングの背景と広がり
ストーリーテリングとは、文字通り、昔話をはじめ、さまざまな物語や詩などを語ること、つまり絵本や物語などの本を読み聞かせたり朗読したりするのではなく、生の言葉で語ることである。
語り手はお話のイメージを言葉で語り、聞き手はその言葉によって心の中に自分のイメージを創る。
そして、語り手と聞き手が互いに心を通わせ、表情を見るなど影響しあいながら、目には見えないが新しい世界を創造することである。
伝統的な語り手が、子どものころ、親やまわりの大人から語り伝えられた口承の話を聞き覚えて、次の世代に語ったのとは異なり、本稿での「ストーリーテリング」による語り手は、自分で語りたい昔話や物語などを、印刷された書物の中から選び、覚えていのちを吹き込み、それを肉声で語る。
お話、とくに昔話を語ることは、すでに述べられているように、世界中でおこなわれてきた。
日本でも戦前までは、各家庭の囲炉裏端やこたつの中などで、大人から子どもへと語られてきた。
ところが、戦後になって、核家族化が進み、家族の中に昔話を語る大人がいなくなった。
たとえ、いたとしても、大人は忙しく、子どもは昔話を聞くよりも、絵本やコミック、テレビやテレビゲームなどのほうへ興味が移り、絵本の昔話を読んでもらうことはあっても、語ってもらうことはほとんどなくなった。
さらに、時代の流れの中で、語りを聞くという文化そのものもだんだん衰退してきている。
今となっては、親から聞いた昔話を語ることはおろか、昔話を知っている大人も非常に少ない。
このように、伝承が失われている現代、私たちは何をどのようにすればよいのだろうか。
ここに取り上げるストーリーテリングは、子どもの内面的な成長を助けるだけでなく、失われてゆく昔話を人々の心に取り戻し、大切な文化遺産として、後世に手渡す上でも、もっともよい方法と言える。
(1)ストーリーテリングの背景と広がり
ストーリーテリングとは、文字通り、昔話をはじめ、さまざまな物語や詩などを語ること、つまり絵本や物語などの本を読み聞かせたり朗読したりするのではなく、生の言葉で語ることである。
語り手はお話のイメージを言葉で語り、聞き手はその言葉によって心の中に自分のイメージを創る。
そして、語り手と聞き手が互いに心を通わせ、表情を見るなど影響しあいながら、目には見えないが新しい世界を創造することである。
伝統的な語り手が、子どものころ、親やまわりの大人から語り伝えられた口承の話を聞き覚えて、次の世代に語ったのとは異なり、本稿での「ストーリーテリング」による語り手は、自分で語りたい昔話や物語などを、印刷された書物の中から選び、覚えていのちを吹き込み、それを肉声で語る。
お話、とくに昔話を語ることは、すでに述べられているように、世界中でおこなわれてきた。
日本でも戦前までは、各家庭の囲炉裏端やこたつの中などで、大人から子どもへと語られてきた。
ところが、戦後になって、核家族化が進み、家族の中に昔話を語る大人がいなくなった。
たとえ、いたとしても、大人は忙しく、子どもは昔話を聞くよりも、絵本やコミック、テレビやテレビゲームなどのほうへ興味が移り、絵本の昔話を読んでもらうことはあっても、語ってもらうことはほとんどなくなった。
さらに、時代の流れの中で、語りを聞くという文化そのものもだんだん衰退してきている。
今となっては、親から聞いた昔話を語ることはおろか、昔話を知っている大人も非常に少ない。
このように、伝承が失われている現代、私たちは何をどのようにすればよいのだろうか。
ここに取り上げるストーリーテリングは、子どもの内面的な成長を助けるだけでなく、失われてゆく昔話を人々の心に取り戻し、大切な文化遺産として、後世に手渡す上でも、もっともよい方法と言える。