説き語り「源氏物語」 村山 リウ その4 講談社文庫 1986年(昭和61年)
夕顔―――灼熱の恋のはかなさ
ある夕暮れ、偶然に始まったひと夏の恋。夕顔の花にも似て短くも激しく燃え、唐突に終わりを迎える。もっとも哀しくコケティッシュな女性。
はかないといえば、これほどまでにはかない愛はないでしょう。夏の夕暮れ、お互いの存在を知り、結ばれる。そして、月の美しい秋の夜、はじめて素顔を見せあう。けれどもそのときはまた恋の終わりでもあったのです。灼熱の恋は一瞬にして、女性の死で終わりを遂げてしまったのですから。十七歳の光源氏と二十歳の夕顔の恋は、夕暮れに咲いて散る夕顔の花に似て、あまりにもはかないものでした。
夕顔―――灼熱の恋のはかなさ
ある夕暮れ、偶然に始まったひと夏の恋。夕顔の花にも似て短くも激しく燃え、唐突に終わりを迎える。もっとも哀しくコケティッシュな女性。
はかないといえば、これほどまでにはかない愛はないでしょう。夏の夕暮れ、お互いの存在を知り、結ばれる。そして、月の美しい秋の夜、はじめて素顔を見せあう。けれどもそのときはまた恋の終わりでもあったのです。灼熱の恋は一瞬にして、女性の死で終わりを遂げてしまったのですから。十七歳の光源氏と二十歳の夕顔の恋は、夕暮れに咲いて散る夕顔の花に似て、あまりにもはかないものでした。