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説き語り「源氏物語」 村山 リウ その11 女三の宮

2015年11月23日 00時14分43秒 | 古典
 説き語り「源氏物語」 村山 リウ その11 講談社文庫 1986年(昭和61年)

 女三の宮―――幼妻のいたいけな愛のゆくえ

 晩年の源氏に降嫁した帝の愛娘。その幼さが源氏を失望させ、柏木との過失を招く。源氏の老いと苦悩を浮き彫りにする正妻。

 歴史の中で、女はいつも生きにくい思いをしてきました。権力を持っていたのが、いつも男だったからです。けれど女であろうとも、自分の意志をはっきり持ち、自分の行動に責任を持った女は、そう不幸な一生を送ってはいません。
 女三の宮は帝の娘という最高の身分。もっとも権力に近い高貴な身分に生まれた女性でした。父帝の限り内愛に包まれて育っています。ところが、ついに自己形成をすることなく、幸せから遠のいた一生を送ってしまうのです。もっとも本人は不幸の自覚すらあまりなかったのですが。
 そしてこの女三の宮の存在が、源氏の君の栄華の裏の苦悩と老いを浮きぼりにしていきます。