民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「大放言」 その23 百田尚樹

2017年11月07日 00時10分51秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その23 百田尚樹  新潮新書 2015年

 ブロガーたちの苦悩 その1 P-45

 しかしどのブログも最初からこんなものではない。ブログ開設当初の書き込みを見ると、少しはかっこいい知的なものにしようという気持ちは見える。最初の頃は、読んだ本の感想などをなかなか頑張って書いていたりもする。あるいは人生についての哲学的な考察みたいなものが書かれていたりする。
 
 しかしたいていの人が3日もすると、書くことがなくなってしまう。自分の人生は思っていたほど劇的で面白いものではないということに気づく衝撃的な瞬間だ。

 また、身辺雑記を毎日書くというのもなかなか困難な仕事だということもわかる。何も考えないで書くと、昨日と同じことを書いてしまうからだ。たいていの人は『徒然草』の吉田兼好のようにネタを豊富に持っているわけではない。本の感想を書こうと思っても、ひと月に1冊くらいしか読書しない身ではそれすらも難しい。映画の感想をかっこよく書こうと思っても、「面白かった」「つまらなかった」以外の言葉がなかなか出てこない。

 そこで4日目からは、今日の天気を書いたり、体の調子を書いたり、お店で買ったものを書いたりするようになる。しかし、それもすぐに一本調子になる。そんなある日、多くのブロガーは、自分の食べた食事について書けばいいということに思い至る。

 この「食べたものを書く」ということに気付くブロガーは多い。昔と違って、現代は朝昼晩、同じ食事という食生活はあまりない。これに気付いたブロガーは早速デジカメで毎日の食事やスイーツを写真に撮り、それをブログに載せる。これならネタがなくなることはない。毎日でもブログをアップできる。かくして食事報告のブログがどんどん増えていくことになる。