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「大放言」 その25 百田尚樹

2017年11月11日 00時12分25秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その25 百田尚樹  新潮新書 2015年

 好きな仕事が見つからないバカ 

 好きなことをして生きられるのか P-49

 これはテレビ業界に限らないらしい。大手企業でも新入社員が3年以内に離職する率は3割を超えている。中小企業ならもっと高いだろう。なぜ辞めるのかと聞くと、「もっと他にやりたいことがある」と答えるらしい。ところが、さらに突っ込んで聞くと、具体的にやりたいものがあるわけではないのだ。要するに「これから、それを探す」ということらしい。

 聞くと、最近の若者は仕事を「好きか嫌いか」で決める傾向があるという。

 私に言わせれば、なんという贅沢な考え方だと思う。仕事は生活のためにするもので、楽しんでやるものではない。「好き、嫌い」で選ぶなら、それは仕事ではなく趣味である。

 仕事は自分が生きるため、そして家族を食わせるためのものである。この場合の「生きる」は文字通り「生活する」という意味だ。

 世の中、自分の好きなことを仕事にしている人なんか、1%もいない。その1%、戦後の豊かな社会になったからこそ、生まれたものだ。つい60年前まで、「好きなこと」をして生活できる人間なんか日本にいなかったのだ。

 なぜ、若者たちは「好きなことをして生きよう」と考えるようになったのだろうか――。