「本屋さんで待ちあわせ」 その3 三浦 しをん 大和書房 2012年
『女工哀史』に萌える その1 P-18
友人Aちゃんと「小さいころに好きだった本」について語らっていて、度肝を抜かれた。
Aちゃんが頬を紅潮させ、
「小学生のころの愛読書は、『女工哀史』でした!」
と言ったからだ。
「じょじょじょ、女工哀史!?」それって小学生の女の子が読むような本かな」
「いや、あれはホントにおもしろいですよ。工場での男女関係についてとか、ドキドキしながら熟読したのを覚えてます」
「うーん……。なんでまた、『女工哀史』を手に取ってみようと思ったの?」
「そのころの私は、『女工萌え』だったんですよ。もちろん当時は、『萌え』という言葉はありませんでしたが」
と、Aちゃんはますます頬を赤らめた。
「萌え」ってなんだかわからん、というかたのために一応簡単に補足すると、「とにかくモヤモヤジレジレしてたまらない気持ち」だと思えばよろしかろう。小学生だったAちゃんは、「女工」に対して内面から湧き上がる理由なきモヤモヤを抱いていたわけである。
『女工哀史』に萌える その1 P-18
友人Aちゃんと「小さいころに好きだった本」について語らっていて、度肝を抜かれた。
Aちゃんが頬を紅潮させ、
「小学生のころの愛読書は、『女工哀史』でした!」
と言ったからだ。
「じょじょじょ、女工哀史!?」それって小学生の女の子が読むような本かな」
「いや、あれはホントにおもしろいですよ。工場での男女関係についてとか、ドキドキしながら熟読したのを覚えてます」
「うーん……。なんでまた、『女工哀史』を手に取ってみようと思ったの?」
「そのころの私は、『女工萌え』だったんですよ。もちろん当時は、『萌え』という言葉はありませんでしたが」
と、Aちゃんはますます頬を赤らめた。
「萌え」ってなんだかわからん、というかたのために一応簡単に補足すると、「とにかくモヤモヤジレジレしてたまらない気持ち」だと思えばよろしかろう。小学生だったAちゃんは、「女工」に対して内面から湧き上がる理由なきモヤモヤを抱いていたわけである。