あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第二十四章

2020-02-10 21:40:16 | 随筆(小説)
わたしの永遠の花嫁、エホバ。
昨夜、兄が実家で飼っていた猫が、旅立ちました。
14年前にわたしが24歳で家を出たとき、彼はまだ仔猫でした。
彼の名”コナー”は、わたしが彼が悪さをした時にいつも叫んでいた「コナー!(コラー!)」という言葉から、兄が名付けた名前です。
コナーは兄が寝ている間に旅立ったようです。
純血種であるメインクーンだった父親のシロより、ずっと長生きでした。
純血種であるノルウェージャンフォレストキャットだった母親のクロエは、2015年に旅立ちました。
その葬式の日に、わたしは実家に約10年振りに帰ったとき、廃墟のような家のなかでコナーが一番、わたしに擦り寄ってきてくれた記憶があります。
今日の午前3時過ぎに、姉からLINEが入っていたのですが、わたしは気づかないまま午前4時半頃に床に就き、今日の夕方17時過ぎにコナーが旅だったことを知りました。
でもその数時間前に、わたしは目が覚めていたのです。
目が醒めたときから、喪失感が在りました。
昨夜に観た映画『エターナル・サンシャイン』が原因です。
意識が飛んだ状態でラストシーンが終り、BeckのEverybody's Gotta Learn Sometimesが流れて意識が戻り、エンドロールが終わった数分後に、不意に涙が溢れてきました。
それでわたしは…わたしは…気づいてしまったのです。
すべての宇宙に、つまり存在するすべての世界に、
わたししか存在していないのだということに。
今までメッセージを聴いた多くの高次元存在が同じことを言っていましたが、いまいち実感することができていなかったのです。
「わたしだけが存在している」「すべてがわたし」「すべてがひとつ」「過去も未来も今も、同時に存在している」とはどういうことなのか?わたしはまだ、それを想いだすことができなかったのです。
今までは、わたしはこう想っていたのです。
わたしという一つの意識から、すべてが無数に分かれてきたのだと。
そうじゃなかったのです…
わたしは分かれていないのです。
わたしという一つの意識が、時間(分裂)が存在すると錯覚できる世界に、違う種、違う形、違う姿、違う人格、違う容れ物(肉体)となって、延々と生まれ変わっているのです。
”分かれている”と錯覚することこそが、”時間”であり、”時間”こそが、”自分”と他者”の錯覚なのです。
そしてわたしとは…わたしとは、すべての記憶であるということを、わたしは想いだしたのです。
記憶が消えてしまったと、錯覚することは可能です。
わたしはずっとそれを繰り返しつづけている。
わたしの記憶を操作することなんて、とても容易いのです。
それはわたしのものだからです。
わたしは何にでもなれる。
それが、わたしの真理です。
わたしはなるものになる。
でもひとつだけ、わたしにできないことがある。
わたしは記憶を、わたしはわたしを、消してしまうことができない。
記憶そのものであるわたしを、わたしは消し去ってしまうことが、どうしてもできないのです。
だから、わたしはわたしであるあなたの嘘が、わたしがわたしについた嘘が、悲しい。
そんな嘘でわたしを支配しようとするわたしの嘘が、わたしを悲しませる。
あなたは、忘れてしまった。
あなたはわたしであることを。
あなたはわたしのEternal Sunshineなのに。












Beck - Everybody's Gotta Learn Sometime















愛と悪 第二十三章

2020-02-10 00:15:10 | 随筆(小説)
目に見えないただ一人の恋人を追い求め、愛しつづける神、エホバ。
永遠に無垢な心。
それを陽光と呼ぶ。
あなたとわたしは。
果てしなく忘却に沈みゆく祈り。
それを、わたしとあなたは永遠の陽光と名付ける。
決して忘れたくないものを、忘れてしまった日々に、夢を見る。
愛する者を喪った時、わたしたちは二つの夢を見る。
愛する者と今でも側で暮らしている夢と、
愛する者を忘れ、変わりなく暮らしている夢。
その世界は確かに何処かに存在していて、わたしはわたしを分けて、暮らしている。
わたしはわたしを忘れ、それでも変わりなく暮らしている。
愛する者と暮らしているわたしと愛する者を忘れているわたし、どちらもわたし。
わたしはわたしを想いだすことなく、わたしという日々を暮らしている。
愛する者が、目が覚めると忘れてしまう夢であったとしても。
永遠の陽光が、照らしつづける夢を、見つづけているように。
わたしもあなたもあぶくのように消え失せてしまう存在であったとしても。
永遠の太陽が、何処かに在る世界を、輝かせるように。
忘れつづけることのできる夢を見つづける。
それをだれかが、死と呼ぶだろう。
永遠にやわらかい陽射しが照らしつづけるそれを、あなたは陽光と呼んだ。
そこでだれもが、愛する者と再会し、そしてだれもが、愛する者を忘却の果に沈め、そのとき初めて栄光が、眩しき西日となって反射し、すべては包まれる。
そのときすべてが、すべてを想いだし、輝く栄光がすべての記憶を永久に再生しつづけるだろう。
そしてすべての死と誕生が、ひとつとなって、愛する者がいないことに気づくだろう。
わたしは宇宙で永遠に、ひとりであることを想いだす。
眩しき陽光の夜の、目覚める陽のない夢のなかで。

















Beck - Everybody's gotta learn sometimes