殺人と自殺と事故死と災害死と病死と食肉と死刑と堕胎、このすべてが、再生産されつづける地球という星で、たった独り、永続する死のなかを、生きている神、エホバ。
死体写真を眺めて、生きている人の姿を観ると、なんて味気ないのだろうと感じるんだ。
虚しいとも感じる。生きている人の姿の方が。
何故だと想う…?
生きている人の方が、死者よりも劣っているんだ。
一体、何に於いてなのかな。
僕は死体のなかで、最も惨殺された死体が好きだ。
その次に、自殺した死体が好きだ。
その次に、事故死した死体が好きだ。
僕は彼らを美しいとは感じない人たちを、どこかで機械のように感じている。
それ以前に、彼らは死体をみずから眺めようとはしない人たちだ。
自分がこのような死体になる可能性について、考えたくもない人たちだ。
彼らが、この世界で多数派であり、彼らは虚しい幸福を毎日噛み締めて生きている。
彼らは切実であり、ただただ、みずからと、自分の愛する存在の幸福を、最も願い続けて生きている。
僕らもまた切実であり、すべての幸福を、ただただ願い続けて生きている。
”共有”できるものは、たくさんある。
だが虚しい。この両者が共有できうるすべて、それが虚しい。
死体は何も語らない。だが多くの場合、死体は何かを訴えている。
死体が最も訴えているものとは、悲しみ。
死体を美しい悲しみ以外の何かで、装飾することをやめてほしいんだ。
死体とは死んだ身体(肉体、dead body)ではなく、死んだ者(存在、existence)。
彼らは、意識しておらず、また、死(無)でもない。
彼らは、その中域に、ただ、息を潜めて、存在している。
死体は、最早、生きていた者でもなく、死んだ者でもない。
彼らは、身体を喪った後も、そこに、存在している。
それを、誰かは未知なるエネルギー体だと考えるだろう。
でもそれは、残響じゃない。
生きていた者が、遺して行ったものじゃない。
それそのものが、新たなる存在として、そこに生まれたんだ。
彼らは、霊体でも魂魄でもなく、また、念体でもない。
神の本質もまた、そのすべてじゃない。
死体はただただ、悲しみを訴えている。
神の本質が、本質を忘却している人間に向かって、ただただ、訴えている。
それは、感情を擬態させた、死の本質。
虚しいとも感じる。生きている人の姿の方が。
何故だと想う…?
生きている人の方が、死者よりも劣っているんだ。
一体、何に於いてなのかな。
僕は死体のなかで、最も惨殺された死体が好きだ。
その次に、自殺した死体が好きだ。
その次に、事故死した死体が好きだ。
僕は彼らを美しいとは感じない人たちを、どこかで機械のように感じている。
それ以前に、彼らは死体をみずから眺めようとはしない人たちだ。
自分がこのような死体になる可能性について、考えたくもない人たちだ。
彼らが、この世界で多数派であり、彼らは虚しい幸福を毎日噛み締めて生きている。
彼らは切実であり、ただただ、みずからと、自分の愛する存在の幸福を、最も願い続けて生きている。
僕らもまた切実であり、すべての幸福を、ただただ願い続けて生きている。
”共有”できるものは、たくさんある。
だが虚しい。この両者が共有できうるすべて、それが虚しい。
死体は何も語らない。だが多くの場合、死体は何かを訴えている。
死体が最も訴えているものとは、悲しみ。
死体を美しい悲しみ以外の何かで、装飾することをやめてほしいんだ。
死体とは死んだ身体(肉体、dead body)ではなく、死んだ者(存在、existence)。
彼らは、意識しておらず、また、死(無)でもない。
彼らは、その中域に、ただ、息を潜めて、存在している。
死体は、最早、生きていた者でもなく、死んだ者でもない。
彼らは、身体を喪った後も、そこに、存在している。
それを、誰かは未知なるエネルギー体だと考えるだろう。
でもそれは、残響じゃない。
生きていた者が、遺して行ったものじゃない。
それそのものが、新たなる存在として、そこに生まれたんだ。
彼らは、霊体でも魂魄でもなく、また、念体でもない。
神の本質もまた、そのすべてじゃない。
死体はただただ、悲しみを訴えている。
神の本質が、本質を忘却している人間に向かって、ただただ、訴えている。
それは、感情を擬態させた、死の本質。
そう、彼女は樹海で見つけた優しい、生きた何より優しい表情の髑髏に向かって話し掛けたが、彼は今は、安らかに眠っているようだ。
白い覆面の男は、狭いMotelの一室のベッドで眠る彼女を見つめていたが、彼女には顔がなかった。
だが男にとって、彼女は自分の母であり、自分だった。
彼女は、今は眠っているが、夜が明けると、目覚め、あどけない顔で男に向かって訪ねる。
「だれよりも愛するママはぼくだけを愛している。なのになぜこんなに、さびしいの…?」
男は、自分の娘に向かって、何も答えなかった。
男は、自分の顔がなかった。
彼女はいつものように、母親にキスをして、ガソリンスタンドのバイトに出掛けた。
部屋にひとり残された男は、長い時間そこに静かにじっとしていたが、姿見鏡に映った自分にふと気づき、自分の顔を見つめた。
顔の原型を留めない肉塊が、瞬きをして自分の顔のない顔を見つめていたが、やがて椅子から立ち上がると、仕事に出掛けた。