ボストン現地レポート 教育に関連した話題を現地から

アメリカのサマーキャンプ、サマースクールの短期留学専門のコーディネーターが、現地の情報を様々な角度からお届けします。

ボーディングスクールの卒業式

2013年05月30日 | 教育
先日、レポートさせていただいたボーディングスクール卒業生のお母さまから、卒業式当日に撮影されたお写真が届きました。
この生徒さんの、”ほんわか笑顔”! これは、彼が小学生のときに、初めてサマーキャンプに参加するためにアメリカに到着したころの笑顔のままです。

彼は、4年間、勉強も頑張りましたが、スキー部と演劇部の舞台装置担当として、課外活動もがんばりました。演劇部の舞台装置に関しては、SAT(高校生が大学進学のために受験する、全国統一テスト)の集中講義とスケジュールがぶつかってしまった場合は、演劇部のほうを優先したと聞いています。

今年の卒業生代表のスピーチを堂々と披露したのは、アジア系の女子生徒さんでした。卒業生代表のスピーカーは、卒業生たちの投票で決まるのだそうです。ジョークをまじえながらの堂々したスピーチに、会場はすっかり魅了されたのです。

式の後、彼女について、私の生徒さんに訊いてみたところ、「彼女はたぶんアメリカ生まれのアメリカ育ちだと思う。最近は、アジア系でも、出身国もいろいろだし、バックグランドもいろいろだから。。。」と、特に気にしていない様子が印象的でした。アジア系だからといって、留学生とは限らず2世だったり、3世だったり、また小さいころに養子にもらわれてきて、白人のご両親に育てられるケースも少なくありません。

式では、成績優秀者、スポーツで優秀な成績を残した生徒、課外活動において多きに活躍した生徒など、いろいろな賞の受賞もありました。私の生徒さんも、学科別の賞をもらったのですが、それぞれ入賞者が壇上に上がるたびに、やはり大きな声援と拍手がありました。肌の色や、バックグランドも関係なく、この学校のコミュニティの一員として、ひとりひとりの生徒さんがしっかりと存在していることが、よく伝わってくる素晴らしい機会でした。

式が終了した後は、ガウンを着た先生方、学校スタッフが退場し、その後に卒業生たちが退場したのですが、先に退場した先生方がキャンパスに一列に並んで、卒業生ひとりひとりと握手をし、ハグをし、そして語りかけていました。私の生徒さんは、先生方から、「今日はサンダル履きじゃないんだね。」など、声をかけられていました。

「本当に、早かったなー!もう、ここにいることがないんだなーと思うと、すごく不思議な感じ。」というコメントには、4年間がいかに充実した時間であったのか、わかるような気がしました。

来週には、もう一人の高校留学生の卒業式があります。この学校は、小さな学校であり続けることを、学校運営の哲学とし、生徒ひとりひとりと教師たちの信頼関係において、素晴らしいものがあります。毎年、卒業生ひとりひとりが壇上でスピーチするのです。私の生徒さんがどんなスピーチをしてくれるのか、今から楽しみです。






アメリカのボーディングスクールの卒業式

2013年05月27日 | アメリカのサマーキャンプ
こんにちは。今日は、アメリカのメモリアルデーという祝日です。日本では、戦没者記念日にあたるのでしょうか。

新緑の美しい5月から6月にかけては、アメリカでは卒業式シーズンです。昨日は、アメリカ東海岸のボーディングスクールに4年間留学していた生徒さんの卒業式に参列しました。
日本からは、お母さま、おばあちゃまがお祝いに駆けつけました。

この生徒さんは、小学生3年生から弊社のコーディネーションを利用し、サマーキャンプ、サマースクールに毎年参加されました。その都度、彼の年齢や興味に合わせたプログラムをご紹介し、留学が決まった年の夏は、ボーディングスクールでの6週間のサマースクールに参加し、留学に備えました。

アメリカの卒業式は、入学式というものが無いので、とても大きなイベントです。昨日も、一人の生徒さんの卒業のお祝いに、ご両親だけでなく、グランパ、グランマ、叔父様、おば様など、総勢8名ほどご参加されていたファミリーもいらっしゃいました。あいにく、5月末にしては凍えるほどの陽気だったのですが、キャンパスに張られたテントの下でのアウトドアの式でした。卒業式は、お天気さえ協力してくれれば、アウトドアの式がほとんどです。

コーディネーターとしてサポートさせていただいた留学生の卒業式には、すでに何回も参加しておりますが、毎回思うことは、それぞれ学校によって実にユニークな特色があることです。そして、日本の卒業式とは違って、ハッピーで陽気な雰囲気であることです。

いつもは、冬でも健康サンダルを愛用していた、この生徒さん。卒業式当日は紺のスーツにネクタイ。胸には生花のコサージュをつけて、白いドレス着用でバラの花一輪を持った女子生徒さんと並んで入場してきたときは、ジーンと涙が出そうになりました。日本からお祝いに駆けつけたお母さま、そしてはじめてお孫さんの学校を訪れたおばあちゃまにとっては、感無量だったことと思います。

式のスピーチは、校長先生のスピーチよりも、現在様々な分野で活躍されていらっしゃる卒業生、そして卒業生代表のスピーチがメインです。アメリカならではのユーモアを豊富に織り込んだスピーチに、会場は爆笑したりします

卒業生ひとりひとりが壇上に上がり卒業証書をもらうのですが、生徒ひとりひとりに対して、会場から声援や拍手が耐えません。そして、最後の生徒さんが卒業証書をもらった瞬間! 卒業生全員で立ち上がり、この学校の伝統であるある歌を大合唱したのでした。卒業生ひとりひとり、この合唱には、それぞれの気持がこめられていたことでしょう。

彼は、アメリカの大学に進学します。先週は、彼のように高校留学を終えて、アメリカの大学に進学した2名の生徒さんの大学の卒業式もありました。ついこの間、それぞれの生徒さんを高校の寮に連れていき、彼らの緊張する面持ちに、後ろ髪をひかれる思いでキャンパスを後にしたように思えるのですが、もう彼らは社会人です。月日が経つのは本当に早いものです。

そして、またこの9月に、ボーディングスクールでの留学をスタートする生徒さんたちが到着してきます。入寮のために、お布団や備品を購入するのは、夏のプログラムが終了して間もないころです。

昨日の卒業式でのスピーチの中で、自分で愛することのできることを地道にやっていくこと。そうすれば、It will get better!ということを、現在ベストセラーの作家である卒業生がおっしゃいました。日本に住む甥のために、サマーキャンプを探し始めたのは、私がボストン大学ビジネススクールに在学しているときでした。それから、17年。予期しないハプニングや、難しい状況に立たされることも多々ありましたが、結果的にすべて良い勉強の場でした。

昨日の卒業式のようなハッピーな機会に、私も参加させていただけることを、そして小さいときから何年にも渡りお子さんの成長を見守らせていただく機会をいただけたことを、心から感謝しつつ、これからも日本のファミリーのために何かお役に立てることができれば光栄!という気持で、この夏の仕事も、高校留学の仕事も続けていきたいと思っています。


新しいことにどんどんチャレンジできるサマーキャンプ

2013年05月09日 | アメリカのサマーキャンプ
こんにちは。今日は、サマーキャンプで豊富に提供されていますアクティビティを通して、新しいことにどんどんチャレンジできることをご紹介いたします。

このお嬢さんは、10歳のころから毎年同じアメリカのサマーキャンプに日本から参加されています。このご感想は、2年目の参加の後のものです。

質問ーこの夏、アメリカのサマーキャンプに参加して、一番印象的だったこと(楽しかったこと、困ったこと、なんでも)
答 -私は、絵を描くのが小さいころから好きだったのでARTを今回ちょうせんしてみました。Stained Glassで指を切ってしまったこともあり、ガラスが上手く割れずがっかりしたことがいっぱいありました。でも、完成したARTの作品を見ると、ちょうせんしといて良かったなあと思いました。Circusは空中ブランコが少しこわかったので、去年やろうと思わなかったけど、今年やるとおもしろくて、一日中やっていてもいい気分でした。このキャンプは子供の天国です。

質問ーアメリカのサマーキャンプに参加する前後で、何か自分の中で変わったこと、気づいたこと、そして考えたこと。
答 -参加する前、私はあまり自信がなく、はずかしがっていたけど、キャンプに行ったために自信がわき、友達や先生などと仲良くなれました。そして、自分が知らなかったことを知るようになり、知らないものを見たり、さわったりできたので、物を知るはん囲が広くなりました。

質問ー来年のアメリカのサマーキャンプに参加したいと思いますか? その理由は?
答 -はい。理由はもっとアメリカになじみたいし、友達も作りたいし、アメリカのサマーキャンプでもっと楽しみたいからです。

質問ー今年参加したアメリカのサマーキャンプに何かリクエストはありますか?
答 -Circusで空中ブランコから落ちると思っている人に、先生方もいっぱいいるので、落ちても安全ベルトをつけているので平気だということをアピールすることです。

以下は、保護者の方のご感想です。

質問ーお子さんからお聞きになったサマーキャンプの話の中で、特に印象的であったことをお知らせ下さい。
答 -サーカスに初参加して親は危ないかな?とも思いましたが、本人はとっても満足していて、来年も参加したいプログラムだそうです。Painting on Silkは2年目。素晴らしいクッションが我が家に温かみを与えてくれています。世界にひとつの宝物です。持って帰りやすくてGood. 去年持って帰るのが大変で今年は諦めてもらったキャンドルですが、3月11日の地震の時に停電用として大きな大きなキャンドルたちが大活躍でした!
ステンドグラスも素敵です。最後まで終わらなかった分は、また来年にと持ち帰ってきました。テニス、タップダンスは、自分のラケット、シューズを来年は持参したがっています。

質問ーお子さんをアメリカのサマーキャンプに参加させてみて、プラスになったこと。また、その他お気付きになったことがありましたら、お知らせ下さい。
答 -英語関しては、帰国して寝言が英語だったり、英語の授業が「よく分かる!」と言い出したり、話すスピードがとても速くなりました。
とても自信を付けてきました。きっと沢山ほめていただいていたと思います。自分からどんどん何でもするようになり、とても自立したと思いました。

質問ー何か、サマーキャンプに対してご要望「改善できる点」がありましたら、お知らせ下さい。
答 -ギターが満員で参加できず、残念がっていました。

質問ーコーディネーションを担当しましたAmerican Summer Opportunitiesについて、ご意見をお寄せ下さい。
答 -今年で2回目ですが、本当にタミーさんがいて下さるからこそ、成り立ちます。心から感謝申し上げます。○○年前に、タミーさんの説明会に参加したのが始まりです。これからもがんばって下さい。頼りにしています。

今年、このお嬢さんは4度目のサマーキャンプ参加となります。そして、お兄さまは、弊社の高校留学コーディネーションを利用され、この9月からボーディングスクールへ留学します。

東京の語学学校での説明会にご参加いただいたのは、5年前でした。その後、毎年お子さんたちの成長ぶりを見せていただくことができて、心から光栄に思っています。お嬢さんのアートの作品は、毎年素晴らしい出来ばえです。そして、空中ブランコの様子は、思い出ブックとしてDVDに収録され、参加者の方に配布されていますので、私も拝見しました。本格的な設備の中、華麗な技でした!指導にあたるスタッフを信頼し、そして自分でもできるという自信があってこそ、実現したチャレンジだったと思います。素晴らしいです!

日本では、なかなかチャレンジできないアートやスポーツに、失敗を恐れたり、気負うことなく、子供それぞれのペースでチャレンジできる環境を提供していることが、アメリカのサマーキャンプならではのことです。
日本のお子さんたちにも、一人でも多く、体験して欲しいと思います。



サマーキャンプ参加後のご感想

2013年05月08日 | アメリカのサマーキャンプ
こんにちは。昨日、ご紹介しましたご感想をお寄せいただいたお母さまより、数ヶ月後に寄せられたご感想をご紹介いたします。

「すっかりご無沙汰している間に、季節ががらりと変わってしまいました。今日は、東京で木枯らし一号が吹くとか。。。あの夏が遠い昔のように思えます。
ボストンは台風の被害をのがれたのですね。本当に良かったです。

先日は、娘にお写真と暖かいメッセージカードをありがとうございました。母娘ともどもお礼が遅くなってしまい、申し訳ありません。

本人も書いている通り、ボストンから戻ってからの娘はとにかくアクティブな日々を送っていました。もともとなにごとにも一生懸命、全力投球の娘ではありましたが、キャンプを経験してからはますます活動的になり、いろんなことに躊躇無くチャレンジするようになりました。娘の積極性に親がついていくのが大変なくらい。体育祭でも文化祭でもポップコーンみたいに明るく弾けていました。

先日、学校からもらってきた体育祭の集合写真には、最前列の真ん中で笑顔一杯に優勝の賞状(娘のクラスが総合優勝しました)を手にしている娘の姿がありました。
高校生最後の1年は娘にとって忘れられない充実したものになりそうです。
文化祭のバンドも、タミーさんに愚痴を聞いていただいたようですが、蓋を開ければまずまずうまくいったようです。
バンドというのは、いくら気の合う仲間で結成しても、音楽性、意欲、モチベーション、嗜好など、それぞれ個性が温度差になって、なかなかうまくいかないものです。娘が軽音楽部に入りたいと言ったときは、親としては、統率力のあるコーチや先輩がいて部内の規律が明確なクラブに入ったほうが楽なのに、どうしてわざわざと、思いました。
案の定、他の部なら経験しないようなゴタゴタに巻き込まれて悩むことが多かったようですが、最後の文化祭で娘が演奏している姿を見て、終わりよければすべてよし、あれはあれで良い経験であったのあろうと思っています。

これから社会に出ていろいろな苦難にぶつかることと思いますが、そんな時経験が娘を助けてくれるのでしょう。私もようやく「苦労は買ってでもしろ」ということわざの意味がだんだんとわかる年頃になりました。

それから、「可愛い子には旅をさせろ」も。昔の人はよく言ったものですね。
ボストン留学は親にも良い経験になりました。良い意味で、親離れ子離れができ、娘の成長を大きな目で見られるようになった気がします。
転ばないように、ぶつからないように、しっかりと手を握って娘の前を歩いてやれる時期は終わったようです。これからは、ぶつかったり転がったりしながら歩いていく娘の姿をちょっと離れた背後から見守っていくことにします。

キャンプが終わった直後、アンケートであれこれ不躾な意見を書いてしまいましたが、しばらく時間が経って思い返してみると、整った条件で友達にも恵まれて理想的な環境の中で楽しいだけでキャンプを終えることが娘にとって良いことだったのだろうかと考えています。
娘はキャンプ中、小さなノートに日記をつけていました。
帰国後、こっそり盗み見たら(これは本人に内緒です!)、ノートには「頑張る!」の文字が溢れていました。毎日、小さなハッピーを探して書き留めていたようで、愚痴や不満や悪口らしいものはひとつもありませんでした。○○が話しかけてくれた。△△がにっこり笑ってくれた。自分のめちゃくちゃな英語がちょっと通じた。ジョークが聞き取れた。。。
思い通りにならない状況の中で自分なりに試行錯誤を繰り返して、自分のものにしていくことのほうがよほど価値のある経験になるのかもしれません。
だからこそ、娘はキャンプで過ごした日々をあんなに愛おしく思い出しているんですね。
タミーさんが繰り返しおっしゃっていたキャンプ体験の意義を今になってしみじみ納得しています。
さぞ、過保護な母親とお思いになったことでしょう。恥ずかしいかぎりです。

娘は今週からバイトを始めます。近所のモスバーガーです。また未知の世界に飛び込んでいく娘を、どきどきはらはら見守る日々が始まりそうです。

お礼のメールのつもりが、思いがけなく長くなってしまいました。乱筆乱文をお許し下さい。

時節柄、くれぐれもお体にお気をつけ下さい。」

改めて、このお母さまのコメントを読み返し、ジーンとしております。お嬢さんがキャンプに到着された後、お嬢さんが無事に帰国するまで、お母さまとも何度もメールでお話させていただいたことが思い出されます。お嬢さんの様子を日々ご心配されながら、お嬢さんの可能性を信じ、そして私ども、キャンプ関係者を信頼された上で、見守ってくださいました。

この4月から大学生になったお嬢さんの近況も、お知らせいただき、嬉しく思っております。また、ボストンで再会できることを心から楽しみにするばかりです。

ときには、親子の間に物理的な距離を持つことが大事な時期があるようです。そして、それぞれのお子さんが持っている潜在的な可能性を、親御さんが発見する結果に結びつくことが、本当にたくさんあるのです。




サマーキャンプ参加後のご感想

2013年05月07日 | アメリカのサマーキャンプ
こんにちは!ボストンにも、ようやく新緑の美しい季節がやってきました。長い冬の後の春は短く、あっという間に初夏になりますが、この時期のボストン、ボストン郊外は本当にきれいです。

今年の夏のプログラムのお申込は進行中ですが、すでに定員いっぱいとなり締め切っているプログラムもございます。今年の夏のご参加をご検討の際は、お早めに手続を進められることをお勧めいたします。

今年、または近い将来、アメリカのサマープログラムへのご参加をご検討されていらっしゃるファミリーへ、引き続き、これまで参加されたお子さん、保護者の方のご感想をご紹介いたします。

昨年、このお嬢さんは、高校3年生ではじめてアメリカのサマーキャンプへ参加しました。弊社が専属コーディネーターを務めます、ティーン(13才から17才)のみを対象としたプログラムに参加しました。アメリカのサマーキャンプのほとんどが、対象年齢を8歳から16歳としている中、ティーンのみを対象とした珍しいプログラムです。その特徴を生かし、ティーンの気持をつかんだプログラム作りには定評があります。このプログラムには、アメリカ各地に加え、ヨーロッパ、南米諸国からもティーンたちが200名ほど参加しています。去年、アジア人参加者は日本人キャンパーのみ、女子2名、男子2名でした。

以下のコメントは、このお嬢さんのお母さまから寄せられたものです。お母さまからご了承をいただいて、ご紹介いたします。このコメントは、お嬢さんがサマーキャンプから帰国されてから、10日ほど経ってメールでお知らせいただいたものです。このコメントをいただきました後、11月に改めてメールでご送信いただきましたコメントは、次のレポートでご紹介いたします。

「娘が帰国してはや10日が経とうとしております。帰国した翌朝、シャワーも浴びずに延々15時間ぐらい寝たあと、寝ぼけた顔で開口一番”Where is my cellphone?"と言って、家族をびっくりさせた娘も、旅の疲れやアメリカ恋しい病からやっと回復し、また日常生活に戻りは始めています。

帰国直後は質問攻めにうんざりしたのか、あるいは、経験したことを消化できていなかったのか、なかなかキャンプのことを話してくれませんでしたが、ビデオが届いたのをきっかけに、自分なりの感想をいろいろ聞かせてくれました。

本人が一番困ったことは、やはり言葉の壁だったようです。友達やスタッフが話していることがほとんど聞き取れないので、態度や行動で推測するしかなく、底抜けに明るく乗りのいいアメリカ人の勢いにしょっぱなからすっかり圧倒されてしまって、最後までその輪に飛び込めなかったと言っていました。だからといって、他の外国人と仲良くなるかといえば、日本人も含め他の外国人も安全地帯を求めてそれぞれつるんでしまうので、なかなか交流するきっかけがつかめなかったようです。
アンケートにも触れましたが、せめて寝食を共にするキャビンに、Non-Americanがひとりかふたりか居てくれたら、英語がよく話せない者同士助け合えたし、それで仲良くなれれば、その友達を通じて他の外国人グループとももっと親しくなれたのではないかと思ったそうです。そんなことがようやく見えてきた頃に帰国してしまったのは本当に残念だと言っています。

それから、もっとしっかり具体的な予備知識を持ってキャンプに臨めばよかったとも言っていました。頂いた資料やホームページなどでだいたいの流れは理解していたつもりでしたが、聞くと見るでは大違いだったと。
実際のキャンプ生活は知らなかったことばかりで、しかも、スタッフの英語の説明がほとんどわからないので、まずは、朝起きてから夜寝るまでの生活の流れを理解するのにとても苦労したそうです。
これは親である私にも責任があります。
あまり先入観を植え付けずまっさらな気持で初めてのことを経験すればよいと思っていたので、キャンプ生活はもちろん、アメリカ人の国民性や生活、文化についても渡米前それほど話し合っていませんでした。
それなりの覚悟をもって初日を迎えていたら、文字通り右往左往することはなかったかもしれません。

また、これも私の反省ですが、娘は自分がこれまで興味を持っていなかったことや経験したことのないことに挑戦するつもりで張り切ってアメリカに乗り込んだのですが、不慣れな環境での「初めて」はハードルが高かったようです。むしろ、最初はある程度経験していることや自信のあるプログラムに参加するように進言してあげていれば、言葉ができなくてもそれなりに自信を持って行動できたかもしれません。
出鼻をくじかれて自分らしさを出せるようになった頃にはキャンプが終わったしまったそうです。
アメリカのハイスクール生活を題材にしたドラマやビデオをほとんど観たことのない武士みたいな娘にとって、朝からのパイ投げにしても、ダンスパーティーにしても目の前に起こっていることはさぞ衝撃的だったことでしょう。あんぐり口をあけて傍観している娘の姿が目に浮かびます。

日本人はそれでなくても引っ込み思案なので、「自分の好きなことを(人目を気にせず)自由にやる」ということ自体が、勇気のいることなのですね。
それこそがアメリカでのキャンプの醍醐味で、日本人の修学旅行のようななにごとも意図的に誘導するのはおかしいと思いますが、おせっかい承知で強く誘ってくださる方がいればよかったかもしれません。
ちなみに、娘は”Why don't you....?"という表現のニュアンスになかなか慣れることができなかったそうです。
どうしてしないのか?と責めているようで、聞くのも使うのも緊張したと。いかにも日本人らしい誤解で、おもしろいと思いました。

とにかく、私も含めて、"Why don't you?"と背中を押してあげる人間が娘には必要だったようです。ただ、そういう後悔や反省こそが人を成長させるとも言えますし、なにごとも経験ですよね!

スタッフの方たちはとてもフレンドリーで優しくしてくださったようで、娘はみなさんをとても信頼していました。高校生としてもういちどキャンプに参加したいという希望はかなわなくても、いつかスタッフとしてお手伝できたらいいなと言っています。
帰国時に年長者として他の日本人の方をお世話したのも彼女にとっては良い経験だったようです。娘がそんなにも世話好きだとは知りませんでした。親としては、意外であり嬉しい発見でもあります。
生まれてこのかた娘を先導することばかりを考えてきましたが、これからは娘を信じて黙ってついていってみようかなどと思ったりしています。

今は目の前の大学進学のことで頭が一杯で(昨日、学校の三者面談でした!)、長期留学という事まで考えは及んでいないようですが、何かの形でボストンを含めて外国の地を踏むようになればいいとは思っているようです。

キャンプを経験して娘が成長したことを主人と目を皿のようにして探しておりますが、まだこれといって具体的にご報告できることは見つけおりません。ただ、キャンプ中に心がけていた、笑顔で感謝の気持を表すことは、帰国してからも実践してくれています。

おもいつくままに、長い長いメールを書いてしまいました。乱筆乱文をお許し下さいませ。

もし、サマーキャンプの他にも、娘の英語学習や人生勉強としてふさわしいと思われる良い短期留学やアクティビティなどの情報があれば、お教えいただければ幸いです。」

このお嬢さんには、彼女がキャンプ滞在中に何度もファックスでお手紙を送信していました。カルチャーショックの中、言葉の壁もあり、なかなか自分らしく1日を過ごすことのできないうちに、1日1日が終わっていく、そんな中で焦る気持、自分のことをもどかしく思う気持、なにもかもがネガティブに見えてしまう気持、みんな私自身、経験したことのある気持です。私の彼女へのアドバイスは、「1日を終えるときに、どんな小さなことでもいいから、その日良かった!よくやったと自分をほめたいこと!ハッピーと思ったこと!ありがとう!と思ったこと、を思い返しながら、ノートに書いてみましょう。」ということでした。そして、彼女の担当のカウンセラーたちには、彼女になるべく話しかけてくれること。1対1で話せる機会を作ってくれること。そして、キャビンのメンバーたちとも協力して欲しいことを、伝えていました。ティーンで初めてサマープログラムに参加する場合は、特に女子生徒さんの場合は、年齢的に自意識も高いことから、他人に自分がどう見られているかも気になり、自分の殻をやぶってくれるまで、そして開き直ってくれるまで、時間がかかることがあります。一方で、辛い気持を自分で乗り越えて、自分の殻を破って、自分は自分でいいんだ!と開き直ってくれた結果として、彼女たちが持って帰ってくれるものは、とてもとても大きな自信であり、型にはまらない大きな視野であり、価値観です。

こんなキャンパーひとりひとりが展開してくれるドラマに、毎年、遠い昔に自分自身が体験したことも思い出しながら、真摯に向き合っています。このコメントをいただき、私もいろいろと考えさせられることがありました。

次のレポートで、約2ヶ月後に、同じお母様からいただきました、コメントをご紹介いたします。