リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

保活:「入園本気度チェック」の功罪

2018-10-23 | 待機児童
●「入園本気度チェック」は、表現を工夫しないと「3年間抱っこしほうだい」の強制と勘違いされる

育休延長資格を得るためにあえて競争率の高い保育園に希望を出す「落選狙い」が一部の保護者にあるという。その対策として厚労省が提示した対応は、保育の必要度を見るために、「保育を希望するが、申し込んだ園に落選した場合は育休延長も可」というチェック項目を入園申込用紙に設けるよう自治体に促すというものだという。(朝日新聞2018-10-23
私は最初、「育休延長も可」という表現を見て、勤務先にそういう制度があることを申告するのだと思ってしまった。だとしたら、育休延長制度が整っている職場に勤めている人ほど育休からの職場復帰が遅れて、キャリア上不利になりかねないと心配した。そもそも本気で復職したがっている人は育休延長できてもチェックしない誘惑に駆られるだろう。
だがどうやら「申し込んだ園に落選した場合は育休延長も可」は、「申し込んだ園に落選した場合は育休延長するからいいです」という意味らしい。であれば、「落選狙い」の人はそこにチェックすることで順位を下げてもらって無事落選できる。本気で預けたい人はチェックしなければ順位を下げられる心配はない。
ただ、「育休延長も可」だと私のような勘違いをする人が出ると思うので、表現はよく考えてほしい。

●落選狙いと待機児童
ところで、保護者が特定の園を希望したり、育休を延長したりした場合は「待機児童」に数えなくてもいいことになっている(過去ブログ)。だから「落選狙い」で落ちた人を待機児童にカウントしないのはもっともだ。だが育休を延長する人には、復職したかったのにやむなく延長したという人も多いはずだ。また、きょうだいと同じ園を希望した場合にも「特定の園を希望した」ということで待機児童にカウントされなくなってしまう。一部には「落選狙い」があるとしても、育休延長などで一律に待機児童に数えなくなるのは、実態を見えにくくしてしまう。「保護者が求職活動を停止した」場合も待機児童に数えないらしいが、求職活動を先に進めて就職が決まっても、預け先がみつからなかったから就職断念ということになりかねない。採用する企業としても、そういう可能性を考えると幼児の親の採用に二の足を踏んでしまう。
これまで何度も指摘しているように、保育園整備にあたっては、隠れ待機児童のような潜在需要まできちっと考慮すべきだと思う。

●落選狙いと育児給付金
今日の新聞記事ではっとしたのだが、育休中は給与の50~67%が給付される。その出元は雇用保険だ。公的資金から給付を受けるとなると、やはり「入園本気度」の見極めは必要だろう。だが今回の「入園本気度チェック」はそのためではないようだ。失業保険の場合もそうだが、このあたりは一律に判定するのは難しそうだ。

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追記:本項を書いたときは「落選狙い」の理解が足りなかった。別項参照。



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