リベラルくずれの繰り言

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待機児童対策:大規模マンション新築には保育施設併設義務付けが必要

2017-11-01 | 待機児童
待機児童が解消されない.第一の原因は,受け皿は大幅に増えているのだが,それ以上に子供を預けて働きたいというニーズが高まっているということ.(共働きしなければ生活できないという社会も何とかすべきだが,とりあえずその話は置いておく.)第二の原因は,全体的な定員数は満たしても,都市部に需要が集中しており,特に0~2歳児の受け入れ枠が足りないという需要とのミスマッチだ.(11月1日朝日新聞朝刊
このうち地域的な供給不足については,大規模マンション新築に保育施設併設を義務付ける必要があると前々から思っていた.再開発などで大規模なマンションができると子育て世代がまとまって入居し,保育施設,その後は学校が足りなくなる現象はあちこちで起こっている.ディベロッパーがマンションを作ってもうけるだけもうけて,人口流入による地域の問題には知らん顔というのはいかがなものだろうか.
もちろんディベロッパーには保育施設運営のノウハウはないだろうし,外注するにしても運営費用まで出させるのは無理がある.もちろん入居した住民たちに負担させるというのもおかしい.そもそも10月12日のブログで紹介したように,資金さえあれば保育園ができるというわけでもない.
だが少なくとも,一定以上の規模のマンション建設の際には,一定の床面積を保育施設専用に提供することを義務付けることはできないのだろうか.現状でも,商業地域などでは店舗などの公共空間の設置を義務付けている例があるという.
こんな当たり前のことをなぜやらないのだろうと思ってたら,朝日新聞の上記記事によれば,6月に政府は新たな「子育て安心プラン」を発表しており,それによれば,大規模マンションの開発事業者に,建設の際に保育施設の設置を促すように自治体に求める項目が加わった.だが資料(pdf)を見てみると,「容積率緩和の特例措置を活用して建設される大規模マンションにおいて保育施設の適切な確保が図られるよう地方自治体に要請する」とあるだけで,どうも手ぬるいように思う.もちろん,土地利用に新たな制限を課すことは公による私権制限になるので慎重になる必要はあるが,もっと積極的になれないものだろうか.

追記:隠れ児童の問題は広く認識されているが,役所だけは例外のようだ.11月3日の朝刊によれば,横浜市が発表した4月の時点での待機児童数は「2人」だったそうだ.だが,厚労省の基準によれば,申し込んだ認可園にすべて落選して育休を延長した人などは「含めなくてもいい」ことになっていて,それでカウントされなかった「隠れ待機児童」は横浜市だけで3257人もいたという.たとえば失業手当のように待機児童手当みたいなものがあるのであれば,形だけ復職を目指していることにして手当てを受給するような「待機」を除外するためにある程度認定を厳しくする必要があるだろうが,待機児童はそうではない.隠れ待機児童を統計から除外する理由はないように思う.

追記2:2017年10月(ちょうどこの記事を書いた直前),厚生労働省と国土交通省は大規模マンションを建設する際に保育施設の設置を促す通知を都道府県と政令指定市に出したという(朝日新聞2018-4-3夕刊).関連記事を別項で書いた.


関連記事:
「待機児童ゼロのために,具体的に何が必要か」(10月12日)
「待機児童対策:大規模マンション新築には保育施設併設義務付けが必要」(11月1日)
「待機児童を放置して認可保育園の無償化を進めるのは不公平の助長では?」(11月7日)
「保育園不足に幼稚園の空きを活用するには?」(11月8日)
「幼児教育無償化:民意が安倍政権を動かしたが…」(11月16日)
「やっぱりおかしい,政府の「幼児教育無償化」策」(11月17日)
「幼児教育無償化:拙速な公約を正す公約違反なら歓迎だ」(11月18日)
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