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DAZN観戦 2022年J1参入プレーオフ決定戦 京都サンガFCvsロアッソ熊本

2022-11-14 16:00:53 | サッカー視聴記(2022年その他)

<京都スタメン> 4-1-2-3
GK 上福元
RSB 白井 CB 井上 CB 麻田 LSB 荻原
DH 川﨑
IH 福岡 IH 武田
RWG 豊川 CF 山崎 LWG 松田
<熊本スタメン> 3-3-1-3
GK 佐藤優也
RCB 黒木 CCB 菅田 LCB イヨハ理ヘンリー
RWB 三島 DH 河原 LWB 竹本
IH 平川
RWG 杉山 CF 高橋 LWG 坂本

2回戦の記事 - 熊本 vs 山形(2-2)

J1で入れ替え戦(便宜上こう呼ぶ)という舞台に参加するチームは、残留へのラストチャンスか、ないしは崖っぷちの状態か。
2018年からプレーオフの最後に構える事となったJ1・16位のクラブ。
しかしその試合で残留を果たしたとしても、翌年再び残留争いの渦中に苛まれるのは避けられず。
2018年の磐田(翌年18位で降格)・2019年の湘南(翌年18位もレギュレーション上降格無しで助かる)と、運命に逆らう事が出来ず仕舞いとなっており。
そういう意味では、この場に立つ事自体が既に泥沼の状態であり後者の意味合いが強く、避けなければならなかった事態といえるでしょう。(ただし今季は閉幕が早いので、必然と言われる編成の遅れになり辛いのが幸い)

さて今季その戦いを強いられるに至ったのは京都であり、最終節(磐田戦)をスコアレスドローで終えたため這い上がれず。
しかも17位・清水がシーソーゲームを演じたため、試合の最中にそのスコアの入れ替わりにより何度も瞬間的な17位転落を味わうという、常時緊迫感を強いられる事となり。
そんな心理的状態で点を取るのは困難故に仕方無いと言うべきか、ないしは自力で決められないのだからこの場(プレーオフ)に立たされるのはある意味当然と言うべきか迷う所でしょうか。(勝てばガンバを抜いて15位になれていた)
逆に熊本にとっては、個の力で圧倒されかねない清水やガンバが対戦相手であったら勝利は至難の業ともいえたこの試合。

それでも、トランジションの速さとデュエルの強さは決して上位クラブと見劣りしない京都が相手。
熊本は立ち上がりから普段通りのサッカー、つまり最終ラインからの組み立てを重視しての攻撃を貫かんとしますが、その京都の強度に難儀する事となります。
3トップがしっかりと熊本の3バックに相対するプレッシングで、左右のセンターバックを経由してサイドから前進するというスタイルを、その素早い寄せで潰されるに至り。
前半3分には熊本・イヨハのパスの送り先で川崎がボール奪取、そこから左サイドへ繋いで荻原がシュート(ブロック)と、持ち味のショートカウンターで脅威を与える京都。

熊本の最終ラインはプレスを警戒したためか、アンカーの河原を経由しての攻撃もままならず。
ここで42節・横浜FC戦(3-4)のように、河原が最終ラインへと降りる可変を採る手もあったでしょうが、この日は殆どそれをせず。
その代わりに主に三島がほぼ常時中央に絞り、ドイスボランチのような形を取り中継点を務める事となりました。
相手の変節を余所に、攻撃では得意手であるスローインからの変化で揺さぶらんとする京都。

そんな苦しい立ち上がりを強いられた熊本は、12分にこぼれ球に対し坂本のダイレクトでの縦パスから、そこからダイレクトパスの連続で右サイドの杉山に渡し。
その杉山は切り込みから中央へ横パスを送り、竹本がダイレクトでシュートを放つもふかしてしまいモノに出来ず。
しかし京都の姿勢に対し慣れを示した事で、以降は裏狙いを交えながら、攻撃機会で優位に立っていきます。

それでも襲い掛かる京都の攻撃、22分に右サイドのスローインからの繋ぎで、奥を取った白井が熊本・イヨハを股抜きしてのカットインからクロス。
この低いボールに対しファーサイドで松田が合わせにいくも、熊本・三島に間一髪でクリアされ撃てず。
24分には再びプレスを嵌めて右サイドで白井がボールカット、そのまま奥を突いてマイナスのクロスを入れ、クリアボールを拾った川﨑のミドルシュート。(枠外)
熊本はそんなプレッシャーからか、30分に反則を与えた平川がボールを蹴り出してしまい、遅延行為により早くも警告を受ける事に。
流石にJ1クラブが相手となれば、今までのようにはいかず。
その後ストロングポイントの一つである、「杉山に良い形でボールを受けさせる」事に努めて攻め上がります。

37分に(左サイドでのパスワークを経て)右サイドで受けた杉山、細かいタッチでカットインを狙うもディフェンスに遭い実らず。
しかしその直後の38分、前に出た菅田のボール奪取から中央でパスを受けた杉山。
そのまま持ち上がってミドルシュートを放ちGK上福元がセーブと、得意のミドルレンジでの一撃で脅かします。

これで上げ潮ムードが生まれたかに見えましたが、直後にそれを全てひっくり返される事に。
39分の京都、GK上福元の山崎をターゲットとするロングフィードからの攻めで、敵陣で空中戦を制して拾った松田がそのままエリア内を突く浮き球パス。
これを遮断しにいった熊本・三島がクリア出来ず、こぼれた所に走り込んだ豊川がシュートを放つと、GK佐藤優の脇を抜いてゴール右へと突き刺さるボール。
逃げる立場であった京都が先制と、優位さを一層固める事に成功しました。

その通りに以降熊本の攻撃の流れは途切れ、強度を保って前半の残り時間を過ごす京都。
45分には再びGK上福元が山崎に向けてロングフィード、跳ね返りを拾った武田がシュート(枠外)と単純明快な攻撃で熊本ゴールを脅かし。
熊本はアディショナルタイムにポゼッションを高めて攻め上がるも、最後は左→右のサイドチェンジのパスを杉山が受けられず、前半終了の笛が鳴り。
このシーン然り、アウェイしかも初の舞台(サンガスタジアムby KYOCERA)の影響かフィードの精度が今一つに感じられました。

共にハーフタイムの交代無く賽が投げられた後半、泣いても笑っても残り45分。
そのキックオフから京都は、バックパスを受けた井上が熊本のプレッシングをフェイントで剥がしたのちにロングフィード。
上位カテゴリらしい振る舞いののち、獲得した左サイドのスローインからの攻めで、山崎のフリックはクリアされるも川﨑が左ハーフレーンで拾って好機に。
最初のシュートこそコース上に居た福岡に当たって跳ね返りましたが、すかさず拾い直してエリア内から再度シュート、これをGK佐藤優が際どいセーブで何とか防ぎ。
しかし得た右コーナーキックでも、キッカー松田のクロスを中央で井上がヘディングシュート、ゴール右を襲うも熊本・杉山がブロックと際どい凌ぎを強いられる熊本。
立ち上がりで決定機を連発し、反撃の流れを渡しません。

何とか追加点は防いだ熊本は、やはり杉山の居る右サイドから仕掛けるも、しっかりと対策されて好機を生み出せず。
後半10分には三島のスルーパスに走り込むも、京都ディフェンスは荻原のみならずCBの麻田も出て来て2人で対応し奪いきるなど、その対策の足跡が見受けられました。
ストロングポイントを封じられ、ビハインド故の焦りも加わり思うように攻められない状況に。
そして12分という早い段階でターレスの投入に踏み切り、坂本と交代したうえで杉山が左サイドに回ります。

杉山に代わって右サイドに張るターレス、14分には京都CKからのカウンターで単騎突撃、一旦京都・白井拾われるも奪い返すという圧を見せ付け。(その後デュエル合戦となり奪われる)
15分には再び敵陣で奪われるも右サイドですかさずパスカットするなど、単なる突破力だけでは無い存在感を発揮します。

16分に京都サイドも動き、豊川→金子へと交代。
金子が右インサイドハーフに入り、押し出された福岡が右ウイングに回ります。
右サイドをテコ入れしたその采配の通りに、直後に右サイドのスローインからのパスワークを経て、金子のエリア内右を突くパスを白井が走り込んで受け。
そして熊本・イヨハに倒され、あわやPKかというシーンが生まれるも反則の笛は鳴らず。
しかしクリアボールを井上が拾って二次攻撃を仕掛け、クロスの跳ね返りを武田がダイレクトでミドルシュート、しかしゴール上へと惜しくも外れてしまいます。

この時点では2点目を奪い試合を決める意識が旺盛だった京都。
しかし20分に左サイドでタッチラインを割った際に、荻原が足を攣らせる仕草を見せ。(一度倒れるもすぐに起き上がる)
ここでベンチは交代の準備を始めたものの、22分の熊本の攻撃。
右サイドでパスを受けるターレスに対し例によって2人で対応しようとするも、今度は三島も右へ開いて1対2にはさせず。
そして奥を突いたターレスに対し、追走した荻原がクリアするも、限界に達してカメラマン席の前で激しく倒れ込んでしまう荻原。
熊本の右CKとなるもピッチ外で倒れたためブレイクも挟まれず、熟考出来なかったためかここで交代の選択は採れず(それともまだ準備出来ていなかったのか?)に、数的不利のままセットプレー守備を強いられる京都。

そしてこのCK、キッカー河原のクロスをニアサイドでフリーになったイヨハが合わせ。
フリック気味に放たれたヘディングシュートが左ゴールポスト内側を叩いてゴールに入り、同点に追い付いた熊本。
シュートこそ紙一重というコースでしたが、京都は結果的に隙を見せた事で振り出しに戻されてしまいました。
それでも京都優位な状況は変わらず。

同点になった事でカード変更(得点源のピーター・ウタカを投入するため)を強いられ、その後のキックオフでも交代は行われず、数的不利の状況を何とかやり過ごして25分に交代カードを切った京都。
荻原→佐藤響のほか計3人を入れ替え(山崎・松田→ウタカ・本多へと交代)ると共に、フォーメーションも3バックへと移します。
<後半26分からの京都> 3-4-2-1
GK 上福元
RCB 井上 CCB 麻田 LCB 本多
RWB 白井 DH 川﨑 DH 武田 LWB 佐藤響
IH 福岡 IH 金子
FW ウタカ
あくまでアドバンテージがあり、逆転を防ぎにいく姿勢を重視した事で、ウタカはカウンターというよりはボールの収め所のウェイトが大きくなる状況となりました。

その後熊本サイドも29分に三島が足を攣らせ、それに伴いこちらも3枚替えを敢行。
黒木・三島・高橋→阿部・藤田・粟飯原へと交代、いずれも同ポジション同士と、これまでの戦いを崩さず。
しかしターレスを軸とした右サイドへの攻撃に偏重し、それもロングパス・ミドルパスでターレスに預けるというものとなり、緻密さを失いつつあった熊本の攻撃。
布陣を変えて1トップ2シャドーとなった京都の前線3人も、依然としてプレッシングで熊本のビルドアップを阻む姿勢は変わらず。
結局同点になったのちは殆どフィニッシュシーンを作れない熊本、そのまま最終盤を迎える事となります。

40分頃から、攻撃機会を得ても無理にゴールに向かう事無く、コーナー付近でのキープの姿勢を取る京都。
同点のまま逃げ切りを狙う意識が大きくなった事は明白であり。
43分に熊本は最後のカードを切り杉山→土信田へと交代、2ターゲット(+イヨハ?)となり放り込みへと針が振れる攻撃。(44分に京都も福岡→宮吉へと交代)

そしてそのまま試合はATに突入。
左サイドからイヨハがエリア内へ斜めの縦パスを打ち込み、中央の土信田に通った事で好機となり、藤田へのスイッチを京都ディフェンスが掻き出して左CKに。
残り少ない時間で当然GK佐藤優も前線に上がり、過去ドラマティックな場面を演出してきた舞台は整います。
キッカー河原がニアサイドにクロスを入れて合わせにいく佐藤優、潰されてこぼれた所を拾った平川がシュート。
これを顔面でブロックしたのは京都・ウタカで、跳ね返りをさらに平川がシュート。
今度は京都のブロックを掻い潜るも、あろう事か右ゴールポストを直撃して跳ね返り、寸での所で逃してしまいます。

どれかが違っていたら……という思いにふける間も無く、望みを捨てずに攻め込む熊本。
しかし京都サイドも、熊本の右サイドからのクロスを食い付いてブロックで防ぎ続けてやらせず。
そしてGK佐藤優から攻め直そうとした所で、目安時間の4分が経過した事で試合終了の笛が吹かれました。
非常に悔やまれる思いを残しつつ、J1への道は閉ざされてしまった熊本。

京都が残留となった事でJ1→J2の降格は2クラブとなり、その顔ぶれは磐田・清水。
一方下のJ3では、この試合の裏側でこの日もしっかりとリーグ戦が行われており、その結果あと1試合を残すのみに。
既に昇格・優勝を決めたいわきとともに、藤枝が2位の座を守りほぼ昇格を手中とするなど、来季のJ2の顔ぶれも決まりつつある季節。
果たして今季以上のドラマは生まれるのか、期待感を持って(例年より)長いオフシーズンを過ごしたい所です。

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DAZN観戦 2022年J1参入プレーオフ2回戦 ロアッソ熊本vsモンテディオ山形

2022-11-07 18:30:07 | サッカー視聴記(2022年その他)

<熊本スタメン> 3-3-1-3
GK 佐藤
RCB 黒木 CCB 菅田 LCB イヨハ理ヘンリー
RWB 三島 DH 河原 LWB 竹本
IH 平川
RWG 杉山 CF 高橋 LWG 坂本
<山形スタメン> 4-2-1-3(4-2-3-1)
GK 後藤
RSB 半田 CB 山﨑 CB 野田 LSB 川井
DH 藤田息吹 DH 南
IH 山田康太
RWG 國分 CF ディサロ燦シルヴァーノ LWG 加藤

1回戦の記事 -熊本(大分戦・2-2) 山形(岡山戦・3-0)

試合日はJ1最終節の1日後という事で、勝ち上がった際に戦うべき相手(後述)も決まり。
挑戦権を確保するのはどちらのクラブか、という試合となりました。

その舞台は、熊本サイドのホームであるえがお健康スタジアム。
こうしたシーズンの佳境で口に出すのは相応しく無いでしょうが、周知の通り前年J3に居たクラブであり、2年足らずでJ1昇格が現実味を見せる所まで這い上がる。
今季のJ2は、天皇杯を勝ち抜いた甲府・リーグ6位から決勝を窺う山形に見られるように下克上が一種のテーマと化していますが、受ける熊本もそのカテゴリに十分入れられる立場であります。

そんな背景を浮かべつつキックオフ。
立ち上がりはホームの大声援を背にする熊本が、その通りにハイテンションな立ち上がり。
素早い寄せでアバウトなボールの蹴り合いに持ち込み、中盤の奪い合いを制して攻撃権を確保と優位性を得。
しかしそんな最中の前半5分、山形・山﨑の裏へのロングパスを菅田が落下点を誤りクリアミス、ディサロに拾われてコーナーキックに持ち込まれ。
この右CKで、キッカー國分のクロスの跳ね返りを拾った加藤がシュートを放ちGK佐藤がセーブと、ファーストシュートには山形が辿り着きました。

それでもミス絡みの好機故に、熊本はリズムを乱さなければ良しという流れ。
その後ペースを保ったうえで逆襲を掛けるという具合に、揺らぎは全く見られませんでした。
前線のプレッシングも、山形のフィールダーに対ししっかり同数でチェックする体勢を築き、相手にビルドアップさせず。

そして12分山形のパスミスからの好機で、平川が無回転でミドルシュートを放ち、GK後藤にセーブされて右CKに。
既にこれが4本目のCKと押し込んでいた成果が表れていましたが、このキックでとうとう結果に辿り着き。
キッカー杉山のニアサイドのクロスに、イヨハが競り合いを制して合わせヘディングシュート。
山形・南の後方から合わせるという迫力あるシュートがゴール右へと突き刺さり、優勢な流れでしっかり先制点を挙げた熊本。

その後反撃したい山形に対し、13分ディサロのポストプレイを後ろから倒してしまった菅田が反則・警告を受け。
暗雲が立ち込めましたがそれも一瞬で、以降も気丈に追加点を狙わんと振る舞う熊本。
16分には再び山形のパスミスからの好機、平川→杉山→高橋と渡ってエリア内を突き、高橋がシュートするもブロックに阻まれ。
尚も後方に繋ぎ、河原のミドルシュートが放たれるも枠外に。

完全な熊本ペースの序盤でしたが、17分山形はGK後藤が前に出てのビルドアップ、縦パスをディサロに送り左へ展開→中央で山田康経由→右サイドという流れで前へ運び。
國分のグラウンダーのクロスにニアサイドでディサロのスルーを挟み、クリアされるも尚も右から繋ぎ、今度はショートパスの連続で中央を突き。
南縦パス→半田ポストプレイを経て、ディサロが撃つと見せかけて走り込んだ山田康がシュート。
目線を変えられた熊本ディフェンスは成す術無い、といったシュートがゴール左へ突き刺さり、早期に追い付きます。

スコア的に振出しに戻った事で、熊本の手中にあったかに思われた展開も一変。
思うように攻撃が繋がらなくなり、停滞感が露わとなって時間が進んでいき。
それを打開したのは一気に勝ち越しといきたい山形の方で、22分に最終ラインで右→左へとサイドを振ったのち、川井の縦パスを受けた加藤が中央へ向かうドリブルを経て右へスルーパス。
エリア内で受けた國分がシュート(ブロック)と、普段の攻撃サッカーのリズムを取り戻す山形。

そして結実したのが24分でした。
始まりは熊本のビルドアップからで、杉山のドリブルに対し追走する藤田息と、近場の平川へのコースを切る南のボランチ2人により自由を奪ってボール奪取。
その流れで前へ上がり、拾った山田康のスルーパスで完全に裏を取って受けた南、そのままGKと一対一となる決定機を迎えます。
そしてGK佐藤の頭上を越すループシュートで仕上げ、これで逆転を果たした山形。

一気に優位性を失ってしまった熊本、以降試合内容もその通りのものとなります。
立ち上がりとは逆に、山形が何度もCKを獲得する押し込みを見せ。
前線のプレッシングも、サイドに出された際のチェックの遅れが目立つようになり。

攻撃権を支配され、耐える時間帯となった熊本。
逆にその流れに乗って追加点が欲しい山形は、36分押し込んだ状態から、一旦戻したのち最終ラインから右サイドへ。
そしてディサロのスルーパスでエリア内右を突き、半田のマイナスのクロスを山田康が中央で受けるという好機になるも、左へ切り返した山田康のシュートを熊本・三島が最後まで付いていきブロックで防ぎます。

これで決して走り負けない・最後まで諦めないという姿勢を蘇らせるに至ったでしょうか。
前半も終盤となると、再び熊本へ攻撃権が移り。
最終ラインからショートパスで繋ぐパスワークと、セカンドボールを支配する体勢で何度も攻撃を仕掛けます。
そして45分右サイドで人数を掛けての繋ぎから、スルーパスを奥で受けた杉山がカットイン→切り返しを見せた所に、山形・川井に倒されて反則。
これで右サイド奥からの直接フリーキックとなると、相手の用意が整う前に(笛が吹かれた直後に)杉山が直接シュート。
虚を突かれたGK後藤の上を抜いたものの、ゴールバーを直撃して奇策は惜しくも実らず終わり。
結局前半は1-2のまま終了となりました。

追い掛ける立場は前の試合でもそうであった熊本。
1点取れば逆転できるという状況で、かつこの日はリードしていても攻撃の姿勢を崩さない山形が相手であり、それを早めに突く事が求められた後半。

早速キックオフからの攻撃で、黒木のミドルパスを前線で収めた平川が右サイドを突き、戻しを受けた三島からクロス。
これをニアサイドで高橋が戻りながら合わせる形でシュートし(GK後藤キャッチ)、まず良い流れを得るに至ります。

続く3分山形のクリアを跳ね返し、そのボールを高橋がダイレクトでフリックしエリア内へ送ると、山形の野田と山﨑がお見合いした所を突いて竹本が走り込み。
ここは惜しくも繋がらずも、この山形ディフェンスの隙が直後に影響する事となり、尚も野田の縦パスをイヨハがカットして継続する熊本。
平川のスルーパスで高橋が山形・山﨑の裏を取ってエリア内へ走り込むと、後方から山﨑に倒される形となった高橋、すかさず反則を告げる笛が鳴り。
相手の意識ごと綺麗に裏を突いたといった抜け出しが、PKを呼ぶ事となりました。
これを蹴るのは杉山で、プレッシャーが掛かって当然という場面ながら、落ち着いてゴール右へシュート。
GK後藤の逆を突き、同点ならびにアドバンテージを握り直した熊本。

息を吹き返した熊本。
再び前線からのプレスを活性化させ、山形のビルドアップを機能不全にさせていきます。
追い掛けたい山形ですが、11分には高橋にパスを遮断されてあわやという場面を作られ。(高橋のドリブルを山﨑が止めて防ぐ)
続く12分には熊本・菅田の裏へのロングパスを、GKへ戻そうとした川井のヘディングが短くなり、エリア内で杉山に拾われるというピンチを招いてしまい。(杉山のシュートはゴール左へ外れる)
ミス絡みのシーンが目立ち、反撃の機運を高められません。

16分に動く山形ベンチ。
1回戦そしてシーズン中同様に、デラトーレとチアゴ・アウベスを同時投入します。(ディサロ・加藤と交代)
デラトーレのポストワークと、チアゴの突破力を交えて状況打開を図りましたが、流れを得るには至らず時間を費やします。

24分に熊本も動き、坂本→ターレスへと交代。
山形も26分に國分→河合に交代と、采配が錯誤する展開に。
そして直後の27分、GK後藤からのビルドアップで、熊本の素早い寄せに苦しみながらもデラトーレが自陣に降りてのポストワークもあって前進する山形。
左サイド~中央で繋いだのち、川井が手前から上げたクロスがファーサイド奥を突くと、脚から跳び込んだのは河合。
放たれたシュートはゴールバーを直撃し、跳ね返りをさらにデラトーレが詰めてシュートしましたが、GK佐藤が決死のセーブで防ぎ。
後半最大の好機といえたシーンでしたが、佐藤の右ゴールポストにぶつかりながらのセービングもあり、瀬戸際で防がれる事となりました。

冷や汗を掻いた熊本でしたが、その後は杉山・ターレスの両翼を活かしながら攻撃機会を作ると共に、相手の反撃の時間を奪い。
逆に言えば高橋に燃料切れが見られてきた風でしたが、32分に手を打つベンチ。
3枚替えを敢行し、高橋・竹本・三島→粟飯原・阿部・藤田一途へと交代。
こちらも交代要員はお決まりといったメンバーであり、勝ち抜きに向かっての邁進を強めにいきます。(このタイミングで両翼の杉山・ターレスがポジション入れ替え)

決定機を逃した影響もあり、その後も反撃の手は緩めないもののゴールへの運気は小さくなっていく山形。
36分に最後の交代を敢行、山田康・藤田息→樺山・小西へと2枚替え。(河合が右ウイング→トップ下へシフト)
しかし熊本の前線からの守備も緩みを見せず、前線に運ぶには難しいパスの繋ぎを強いられる状況なのは一向に変わらず。
38分に左サイドで受けたチアゴが、カットインを経て左ハーフレーン遠目からシュートを狙った(GK佐藤キャッチ)ものの、強引の域を出ないフィニッシュとなり。

41分には敵陣左サイドでカットした平川がそのまま奥でボールキープ。(その後奪われる)
45分には相手のフィードを右サイドで阿部がカット、ターレスには繋がらずも、拾った野田からターレスが奪ってエリア内右へ持ち込み。(グラウンダーでクロスを入れるも繋がらず)
終盤を迎えても、最終ラインを脅かして好機を作る熊本の姿勢は不変であり驚異的であり。(43分に熊本は杉山→上村へと交代)

とうとう迎えたアディショナルタイム、山形も形振りかまわない姿勢を強いられ、その形が野田を前線に上げたパワープレイ体勢。
突入直後に敵陣右サイドでパスワークを展開する山形の攻撃の最中、野田が上がっていく姿が見られましたが、そののち南からラフなボールがエリア内へ送られ。
走り込んだ河合が足で折り返し、収めたデラトーレがシュートしましたが熊本・阿部がブロック。
こぼれ球を野田が拾うもディフェンスに遭いこぼれ、最後はこれを拾いにいった河合の反則で途切れ実りません。

その後も圧力を掛け続ける山形、川井のロングスローも交えて何度もエリア内を突きますが、熊本も集中力を切らさず守り抜き。
結局6分間のATではスコアは動かず、試合終了の笛が鳴り響き。
2-2の引き分けで、熊本が2戦連続となるレギュレーション上の勝ち上がりを果たしました。

とうとう決定戦へとコマを進めた熊本。
その相手つまりJ1の16位は京都で、前年までJ2に居たクラブという事で個の能力の差はあまり無い(と思われる)のが救いとなるでしょうか。
決してスターと呼べる存在の選手は皆無な編成の中、大木武監督に率いられ、鍛え上げられ組織力を高めてここまで辿り着き。
下克上でシーズンの最終試合を締める事が出来るかどうか。

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DAZN観戦 2022年J1参入プレーオフ1回戦 ファジアーノ岡山vsモンテディオ山形

2022-11-01 16:49:23 | サッカー視聴記(2022年その他)

<岡山スタメン> 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK 堀田
RCB 柳 CCB ヨルディ・バイス LCB 徳元
RWB 河野 DH 輪笠 LWB 佐野
IH 田中 IH 河井
FW 永井 FW ミッチェル・デューク
<山形スタメン> 4-2-1-3(4-2-3-1)
GK 後藤
RSB 半田 CB 山﨑 CB 野田 LSB 川井
DH 藤田 DH 南
IH 山田康太
RWG 國分 CF ディサロ燦シルヴァーノ LWG 加藤

※最終節の記事 -岡山(ヴェルディ戦・0-2) 山形(徳島戦・3-0)

岡山が2016年以来・山形が2019年以来(といっても2年間未開催なので実質2期連続)のプレーオフ出場。
こうして各クラブ場数を重ねる一方で、それを率いる監督の立場としても「プレーオフ請負人」という立場を確立するのは必然というべきでしょうか。
現岡山の木山隆之監督がそれであり、今季で4度目のプレーオフを迎え。
2019年には山形で指揮を執っていたという具合に、その経歴は期せずして「因縁の対決」を作ってしまうものであります。(他のクラブは2012年の千葉・2015年の愛媛)
といっても3年が経ち、選手・監督の入れ替わりにより当時とは別のチームに……というのはサッカー界の常。

その木山氏時代とは、サッカーの内容も変貌を遂げている現在の山形。
攻撃の中心を担うのはトップ下の山田康であり、岡山サイドをそれを理解しているのか、彼がボールを受けた際のチェックは欠かさず。
早々の前半2分にディフェンスに遭い倒された所、岡山・輪笠の足が後頭部に入るという、41節(大分戦・3-0)と似たようなシーンを演出してしまいヒヤリとさせられます。(幸い今回は大した事無く直ぐ起き上がる)

引き分けでも突破できる立場の岡山でしたが、彼へのみならず、プレッシングを強める姿勢を押し出し。
3分は山形の最終ラインにプレスを掛け、ロングパスを田中がブロックして深めの位置からの攻撃に繋げます。(その後輪笠が奥からクロスを入れるもサイドネット外側)

しかし5分、その前へのベクトルを突かれる事に。
空中戦を経て自陣から攻撃開始する山形、拾った半田が國分とのパス交換を挟んで縦パスを送り、山田康が受けると見せかけてダイレクトで裏へスルーパス。
この縦に素早い運びに岡山サイドは対処できず、ディサロがGKと一対一になる好機となり。
最初のシュートこそGK堀田がセーブするも、エリア内にこぼれたボールを再度シュートしネットを揺らすディサロ。
早くも下位である山形が先制と、奇しくも他会場(熊本vs大分)と同じ流れとなりました。

リードを奪われた岡山ですが、その状況も手伝って引き続き山形に圧を掛け続け。
リーグ戦と変わらず、デューク狙いのロングパス・徳元のロングスロー・反則による手前からの放り込みを交えた攻撃でゴールを伺います。
そして守備時には左肩上がりの布陣を採るのもリーグ戦と同様で、常時その姿勢なためあわよくば4-4-2にも思えるフォーメーション。

それに対し山形も、相手の攻撃を切った際はショートパスでの繋ぎを第一とする、普段の姿勢を崩さず対抗。
しかし16分にパスミスを岡山・田中に拾われて危機を招く(田中の右からのクロスまで繋げるもシュートは撃てず)など、岡山の圧力の前に苦しさは隠せないという流れになります。

攻撃回数(自身の集計です)は膨らんでいく岡山ですが、それはセットプレーも交えてのものであり、むしろ大したフィニッシュに繋げられない事がのしかかって来る流れでもあり。
デュークが多彩な位置でボールの収め所となるも、その後繋いでゴール前に運んでもフィニッシャーの不在というギャップに泣かされる諸刃の剣。
30分には再びプレッシングで右サイド深めでデュークがボール奪取し、逆サイドへ展開ののち佐野がクロス。
これを中央で合わせにいったデュークでしたが撃てずと、押し気味の流れとは裏腹に、こうした少ない好機を逃したくないという状況を強いられていたようで。

一方の山形、膨らんでいくエアバトルを山﨑はじめディフェンスの奮闘で凌ぎつつ、マイボールの際はボール支配重視の立ち回りへと傾倒していき。
得たリードと、ボール保持というチーム特性を最大限生かしながら、相手の圧力をかわしに掛かります。
そうして時間を費やしつつ、CKを得てアディショナルタイムを迎えた山形。
そこでもショートコーナーでの繋ぎから、エリア内への縦パスがこぼれた所に藤田がシュートを狙いましたがジャストミートせず終わり。
結局0-1のまま前半終了を迎えました。

ハーフタイムを挟み、始まった後半。
早めに追い付きたい岡山も、押し込む流れを作れていた前半と姿勢は変わらず。
最初に左サイドからのスローインを得たのが後半2分、当然徳元がエリア内へロングスロー。
これがノーマークとなっていた柳に合い、ヘディングシュートが放たれましたがGK後藤がセーブと、危ういシーンを作る山形。
一瞬たりとも気が抜けないというのは常について回る事を再認識させられます。

失点の危機を抱える中、リードを広げられればそれに越した事がないという意識の下、隙あらば前線からプレスを掛ける山形。
5分に山田康が敵陣深め右サイドでボール奪取すると、カットインの姿勢に入った所岡山・徳元に倒され反則。
これで得た右サイド奥からのFKはシュートには繋がらずも、一進一退に繋がるファイティングポーズを保ち。

早めに動く岡山ベンチ、8分にゴールゲッターのチアゴ・アウベスを投入します。(永井と交代)
直後にそのチアゴ(岡山)のボールキープが山形・川井の反則を誘うなど、新たな脅威を相手に押し付けていく岡山。

前半同様に劣勢に晒されそうになる山形ですが、11分に左サイドから縦パスを受けた山田康、中央へと流れて右へ展開。
そして半田のスルーパスに走り込んだ國分からのマイナスのクロスを、ニアで受けてシュートしますが岡山・河野のブロックに阻まれます。
左→中央→右というサイドの変遷役とフィニッシュ双方を務めた山田康でしたが実らず、以降再び始まる岡山の攻撃。
13分にはバイスミドルパス→デュークフリックという黄金連係から、佐野を経由して受けたチアゴ(岡山)がエリア内へ突撃。
山形・藤田に倒されるもそのままキープを続け、こぼされた所をデュークがシュートしますがGK後藤が足でセーブして防ぎ。

同点の絶好機をモノに出来なかった岡山。
そしてこの場面でエリア内で倒されるもノーファールだったチアゴ(岡山)、以降そんな「ファールを貰わんとするプレー」へと傾倒していく事に。
20分にはデュークの裏への浮き球パスを収め、そのままドリブルで再びエリア内を突き。
しかし山形・山﨑のチャージを受けるとあっさりと倒れ、当然ながら反則の笛は鳴らずに終わる事となりました。
直後に両ベンチが動き、山形はチアゴ・アウベスとデラトーレの助っ人2人を投入。(それぞれ加藤・ディサロと交代)
岡山もハンイヴォンを投入(田中と交代、佐野がシャドーへシフト)と、助っ人パワーを補充するに至ります。

早速の22分、徳元が遠目からスローインをエリア内へ投げ入れた所、野田がカットして速攻を仕掛ける山形。
チアゴ(山形)が中央をドリブルしてエリア内へスルーパス、受けたデラトーレが切り返しからシュート(ブロック)と早速2人の力でフィニッシュまで繋げます。
リーグ終盤には、常時こうした後半途中に投入される役目を担ってきたチアゴ(山形)とデラトーレ。
出場時間は全体の半数以下ながら、チーム1位2位の得点数を挙げたその威力は健在であり。
その後岡山が再び攻め込むも、チアゴ(岡山)が遠目からミドルシュートを放ったり(24分・枠外)、ハンイヴォンが左からクロスを入れれる位置からゴールを狙ったり(25分・GK後藤キャッチ)とやや無秩序にも映り。

そんな流れで迎えた30分。
山形は半田のパスカットから前進、山田康の展開から左サイドで運び、川井が左ポケットを突く流れに。
ここから仕掛けるという所で岡山・河野のアタックを受けるも、奥へこぼれたボールに素早く反応してクロスを入れた川井。
結果オーライな流れながらもデラトーレにピタリと合い、ヘディングシュートがGK堀田の逆を突く形となってゴールに突き刺さり。
この時間帯で2点差とした山形。
尚、この好機を尻目に山田康が足を攣らせて倒れてしまい、キックオフの前に交代となります。(小西と交代・同時に國分→河合へと交代)

この局面でリードを広げられて焦る岡山、直後にはエアバトルでの(山形・山﨑への)チャージでデュークが警告を受けてしまい。
何とか反撃の機運を高めんと、ベンチも32分に3枚替えを敢行(佐野・河井・河野→本山・仙波・成瀬)しましたが、徒労に終わる事となります。

34分にカウンター気味に攻める山形、裏へのロングパスをデラトーレが受け、右からグラウンダーのクロスにチアゴ(山形)が走り込むという助っ人2人による好機。
ディフェンスに遭い撃てずも右CKとなり、キッカー小西のクロスは跳ね返されるも藤田から2度目のクロス、ニアサイドで再度デラトーレがヘディングにいく流れに。
これがミートせずファーに流れるも、チアゴ(山形)が合わせシュート、GK堀田のセーブも及ばずゴールラインを割り。
一度はオフサイドの判定となるも、主審が副審の判断を制してゴールとなり、3点目。
この大一番で貴重な追加点を叩き出したデラトーレとチアゴ(山形)の2人。

一気に窮地に追い込まれた岡山。
ホームの歓声を背に受け、何とか巻き返したいものの以降それが空回り。
36分にはFKからの攻撃でしたがそこから山形のカウンターを浴び、チアゴ(山形)の長距離のドリブルを反則で止めた仙波に警告。
39分にはバイスのシュートをエリア内で山形・半田がブロックすると、これが腕に当たったとして岡山サイドは猛抗議。
例によって鬼のような形相で主審に詰めるバイス、それを諫めようとした山形GK後藤が、あろう事かヒートアップしたバイスに倒されるという珍妙なシーンも作られてしまいます。
そしてバイスにも警告が付き出されましたが、なおもその流れは止まらず。
40分にはボールの奪い合いの中、倒れた山形・小西の側でチアゴ(岡山)がボールを蹴って小西にぶつけてしまい。
これに激高して手を挙げた山形・山﨑により乱闘一歩手前の騒ぎが発生し、発端となったチアゴ(岡山)も警告を受ける始末となりました。(その余波か、試合終了後には山形・野田にも警告)

これらにより、リズムを生み出せないまま終盤を迎えた岡山。
バイスと柳が常時上がりっぱなしのパワープレイに賭ける事となり、43分には徳元のロングスローから、こぼれ球を繋いで柳がシュートするもゴール右へと外れ。
しかし運気を得れないままの攻勢を強いられた結果、ATには山形がボールを握る時間が増え、好機の数自体少なく推移する結果となり。

最後は徳元のロングスローが2本続くも、結局ゴールを奪えずにタイムアップ。
0-3で勝利した山形が2回戦進出を決め、またも勝ち抜けなかった木山監督。

山形にとっては、再試合という一騒動もあり、リーグ戦で実質3度敗れた相手に勝利と感激もひとしおの結果を得るに至り。
勢いそのままに、次の試合も上位を喰う事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2022年J1参入プレーオフ1回戦 ロアッソ熊本vs大分トリニータ

2022-10-31 16:01:05 | サッカー視聴記(2022年その他)

<熊本スタメン> 3-3-1-3
GK 佐藤優也
RCB 黒木 CCB 菅田 LCB イヨハ理ヘンリー
RWB 三島 DH 河原 LWB 竹本
IH 平川
RWG 杉山 CF 高橋 LWG 坂本
<大分スタメン> 3-4-2-1
GK 高木
RCB 小出 CCB ペレイラ LCB 三竿
RWB 井上 DH 保田 DH 弓場 LWB 増山
IH 中川 IH 野村
FW 伊佐

※最終節の記事 - 熊本(横浜FC戦・3-4) 大分(琉球戦・0-1)

熊本・えがお健康スタジアムでの開催となった事で、近場である大分も気心知れた雰囲気となったでしょうか。
いずれにせよ、既にリーグ戦の上位でしのぎを削りあったうえ、かつダービーマッチという間柄の対決。

ともに2連敗でシーズンを終え、不安視される中での開催となり。
しかし熊本の内容は比較的良好で、唯一カウンターへのケア不足により失点・敗戦という試合を2戦続け。
一方の大分は41節・山形戦のスコア的な完敗に続き、前試合は既に降格圏が確定していた琉球相手にビルドアップを破壊されるという屈辱の試合を演じてしまい。
そんな対極的な内容を受けてか、熊本がスタメンを最終節から不動のものにしたのに対し、大分は一気に半数以上入れ替え。
GKを吉田→高木へ代えたのを皮切りに、右センターバックが上夷→小出・左ウイングバックが松本→増山・ボランチの片割れが下田→保田・シャドーの片割れが梅崎→中川・1トップがサムエル→伊佐と6人を変更して臨みました。

リーグ終盤戦とは違いを出した大分のメンバー、そして開始直後に早速その効果が激烈に表れます。
キックオフからの戻しを受けたGK高木、熊本・高橋のプレスを持ち前の足下の技術でかわすと、観ている者を「巧い」と唸らせる間も無くすかさずロングフィード。
そして1トップの伊佐が落とし、増山→弓場と繋がってエリア内左を突いて中央へパスを送り、熊本・菅田に当たりコースが変わった所を中川がシュートにいき。
これが空振りとなったのがかえって幸いし、こぼれ球に走り込んだ伊佐が押し込んでゴール。
開始わずか20秒の電光石火の得点は、大分のメンバー・サッカー双方での奇襲が綺麗に決まったという形となりました。

いきなり出鼻を挫かれる格好となった熊本、気を取り直し、大木武監督曰く「普段通り」のサッカーを貫かんと反撃に掛かります。
しかし前半5分に右コーナーキックを得ると、そこでのポジション取りで高橋が大分・三竿に倒されるなど激しいやり合いを強いられ。
心理的にモヤモヤ感を生み出してしまうと、そこから大分のカウンターを浴びる事となり、裏へのロングパスに伊佐が走り込んで受け。
熊本のアタックを受けつつも倒れながらキープする伊佐に対し、GK佐藤優が飛び出してクリアして何とか防ぎます。

こうしたリーグ戦とはかけ離れた、大分の泥臭くかつ強い姿勢に戸惑う事となった熊本。
最後方からのビルドアップに対しては、イヨハがパスを受けた所に、遠目の位置から井上が猛然とプレッシングを掛け。
その大分の姿勢に対し、15分にイヨハもダイレクトの縦パスで井上を剥がし、受けた竹本がシュート(GK高木セーブ)と脅かす事で対応。
19分には大分のビルドアップに対しGK高木にまでプレスを掛ける熊本、これにより体勢を崩しながら出された高木の縦パスを河原がカット。
そしてそのまま遠目からシュートを放つ(エリア内で大分・ペレイラがブロック)という具合に、相手の出方を塞ぐ方策が巧くいきゴールを脅かします。

良い流れを何とか作り上げた内に同点に追い付きたい熊本でしたが、リードした大分も粘りの守備でやらせず。
そして31分に、熊本のパスワークを自陣で保田がカットしてからの速攻、野村のスルーパスに井上が走り込み。(クロスを上げるもシュートまではいけず)
これが文字通り、熊本ペースを遮断する切欠となったようであり。
以降は熊本も大分の術中にハマるかのように、球際勝負という展開へとシフトしていきます。

大分のこの変貌ぶりは、まるで最終節の相手であった琉球のスタイルをインスパイアしたようにも映り。
ポゼッションなど御構い無しでとにかく球際の強さとプレッシング、そして堅い守備・強い気持ちを貫くチームと相対し、見事に転覆させられたのを自身も取り入れたといった感じでしょうか。
ともかくともに激しいデュエルを演じ、倒されるも笛は鳴らずというシーンが目立っていく試合展開。
負けられない戦いに相応しい絵図なのでしょうが、ペースを握りたい熊本にとってはたまったものでは無く。
37分に河原の反則気味のボール奪取から細かく繋ぎ、平川のスルーパスをエリア内右で受けた杉山がシュート(大分・三竿がブロック)と、その中でも好機を生み出す事は生み出したものの盤石の反撃体制を築く事は出来ません。

そして終盤、大分の激しいプレッシングの前に撃沈といったシーンを頻発させるに至り。
42分右サイド敵陣奥で中川がボールカットした大分、エリア内で拾った伊佐を経由して野村がシュート、これが左ゴールポストを叩く冷や汗もののシーンとなります。
44分に今度はエリア内で伊佐がボールカット、こぼれ球を再度野村がシュートしますがGK佐藤優がセーブ。
一層不利にさせられる追加点は何とか阻んだ熊本、結局0-1のまま前半終了となりました。

共に交代無く迎えた後半。
何とか巻き直し、自分達のサッカーを取り戻して反撃体制を整えたい大分。
しかし入りの後半1分、いきなり大分・中川が猛烈なプレッシングで相手の蹴り出しをブロック。
そのままラインを割ったものの、前半同様に熊本のビルドアップを破壊しに掛かる姿勢とその効果は変わらず。

熊本の最初の好機は4分、大分・野村が縦パスを受けた所をすかさず囲み、黒木がボール奪取して敵陣で攻撃を展開。
そしてひたすらエリア内へボールを送り、跳ね返りを拾って継続し波状攻撃という流れを作る熊本らしさを見せるもシュートには繋げられず。
すると再び大分のプレッシングに悩まされ、自陣でボールを失うシーンを連発する厳しい戦いを強いられます。
7分には中盤からバックパスで作り直さんとするも、大分・弓場が2列目を切る姿勢を見た黒木がパスミス、奪った伊佐から受けた野村がエリア内左を突いてクロス(中央の弓場の手前でGK佐藤優キャッチ)という拙い奪われ方からピンチを招き。
大分の素早い寄せに対し時間とスペースが奪われ、ポゼッションによる攻撃も貫けない事態となります。

何とか打開したい状況で、次第にロングボールを使う立ち回りへとシフトする熊本。
13分、竹本が対角線のロングパスを右サイドへ送ると、受けた杉山もまた対角線のロングパスを送って坂本が左サイドで受け。
中央へ渡ったのち竹本がミドルシュートを放ち、大分・ペレイラにブロックされるも攻撃継続、河原がエリア内へ送ったミドルパスに坂本が走り込み。
そして足から跳び込んで合わせた坂本でしたが、ついて来た大分・小出と縺れたのもありジャストミート出来ず、ゴール前へ転がった所をGK高木に抑えられ同点ならず。

しかしこの好機から、長いパスを巧みに使う事で反撃体制が整ったでしょうか。
16分には右サイドのスローインから、一旦戻したのち黒木がエリア内を突くミドルパス、収めた竹本がシュート。(ブロック)
その後も裏へロングパスを送り、大分はGK高木が前に出てのクリアを目立たせるといったシーンが常態化するなどこの路線に活路を見出す事となりました。

一方プレッシングが機能するも、その分前線の消耗が激しい大分。
ベンチは先んじてカードを切る事となり、15分に伊佐→金崎へと交代。
その金崎は17分、GK高木のロングフィードがバウンドした所に走り込み、遠目ながらもヘディングシュートを放ち(GK佐藤優キャッチ)早速得点意欲を形に表します。
追い掛ける熊本も21分に動き、三島→田辺へと交代。(竹本が右WBに回る)
直後に高橋をターゲットとするロングボールから、セカンドボールを拾って敵陣でパスワーク、イヨハのスルーパスがエリア内左を突き。
そして受けた坂本が角度の無い所からシュートを狙うも、GK高木がセーブ。

交代効果も得て活性化する両チームの攻撃。
24分にはまたも大分が敵陣で保田のボールカットからショートカウンター、野村のエリア内へのスルーパスを受けた金崎がシュートするも熊本・イヨハがブロックで防ぎ。
27分の熊本は右サイドから竹本が切り込みカットイン、クロスは防がれるも中央で尚も繋ぎ、田辺がシュートするも枠外に。

ともに好機の応酬という熱戦が描かれるも、上記の直後に大分は弓場が足を攣らせてしまう事態となり。
ダメージは隠せないという状況で、30分にさらに交代カードを切り弓場・野村に代えてエドゥアルド・ネットと渡邉を投入。
同時に熊本も2枚替え、高橋・杉山→粟飯原・ターレスへと交代。
投入されたターレス、31分に早速右サイドを疾走、スルーパスに走り込んで(GK高木が跳び出してクリア)圧力を掛けます。

終盤を迎えたその後も裏狙いのロングパスを多用する熊本。
大分は次第にプレスも控えめとなるなど燃料切れを隠せず、逃げ切り体制に持ち込まざるを得なくなります。

そしてその矢先の42分でした。
散々裏狙いを見せた末に、ここでターゲット狙いのロングパスを選択したGK佐藤優、これを粟飯原がフリック。
大分・小出のカットが及ばず坂本に収まると、GK高木も前に出て防がんとしましたが坂本がかわし、無人となるゴール。
そして坂本がシュートを放つと、大分・三竿のブロックも空を切ってゴールに吸い込まれ。
土壇場で状況をひっくり返す同点弾が生まれ、ゴール裏に出来た歓喜の輪にマスコットのロアッソくんも加わる程の興奮に包まれた熊本サイド。

これで追いかける立場へと一変した大分、たまらず2枚替えで増山・中川→藤本・長沢へと交代。
併せてペレイラが前線に上がり、金崎・長沢・ペレイラの3トップという布陣に全てを賭ける事に。
そして増山の代わりにネットがロングスローを担当するなど、形振り構わず再逆転を目指します。

対する熊本は45分、竹本→阿部へと交代。
守備意識を高めるカードを切りましたが、その矢先のアディショナルタイムでした。
前掛かりの大分を逆手に取るように、ミドルパスを右サイドで粟飯原が収め、パスを受けたターレスが切り込んだのち中央へパスと各個持ち味を発揮してゴール前へ迫り。
そして坂本のエリア内へのスルーパスに走り込んだ粟飯原、勝ち抜きを決定付けるシュートが(左ポストを叩いたのち)ゴールに吸い込まれました。

スコア的にも逆転し、後は勝利に向かうのみとなった熊本。
しかしその矢先、中盤左サイドで熊本・平川が大分・井上のチャージを受けて反則の笛が鳴ると、尚も攻撃を続けようとした平川と大分・金崎が縺れて倒れ込み。
そして激高した金崎に対し、熊本・粟飯原が手を出した事で両軍入り乱れてもみ合う事態へと発展してしまいます。
大木監督はじめベンチのスタッフも巻き込んでの騒動となった末に、何とか収束したのち金崎と粟飯原に警告が付き出され。

この珍妙な事態にペースを乱されたか、大分が意地の反撃体制に持ち込み。
そしてATも7分が経過したのち、三竿のミドルパスをペレイラがエリア手前でダイレクトで浮き球を送り。
クリアされるも、拾い直したペレイラが強引にシュートに持っていくと、ボールはゴール右へと突き刺さります。
同点へと戻した大分ですが、後1点を奪うには時間が決定的に足りず。

そしてキックオフから熊本のロングフィードがピッチ外に出た所で、試合終了を告げる笛が鳴り。
ホームの大観衆のなか勝ち上がりを決めた熊本、その戦いはまだ続きます。

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TV観戦 2022YBCルヴァンカップ ノックアウトステージ決勝 セレッソ大阪vsサンフレッチェ広島

2022-10-24 16:00:46 | サッカー視聴記(2022年その他)

<C大阪スタメン> 4-4-2
GK キムジンヒョン
RSB 松田 CB マテイ・ヨニッチ CB 鳥海 LSB 山中
RSH 毎熊 DH 奥埜 DH 鈴木 LSH 為田
FW 加藤 FW 上門
<広島スタメン> 3-4-2-1
GK 大迫
RCB 塩谷 CCB 荒木 LCB 佐々木
RWB 野上 DH 野津田 DH 松本 LWB 川村
IH 満田 IH 森島
FW ナッシム・ベン・カリファ

天皇杯決勝の衝撃の結末から間もないうちに、もう一つのカップ戦も決勝を迎え。

その両方を戦う事となった広島は、激戦空しく敗者となってしまった立場。
これで天皇杯は6度目の準優勝と、目前まで迫りながらもどうしても届かない大会と化しつつあり。
果たしてこのルヴァンカップでもそれは継続されるのか、あるいは呪いを置き去りにする事が出来るのか。

世紀のキックオフから、前半1分にその広島が先制攻撃。
セレッソの浮き球パスをダイレクトで塩谷が縦パスで繋ぎ攻守交替、カリファのラストパスをエリア内で受けた満田がシュート。(GKキムジンヒョンキャッチ)
そんな意気込みを肌で感じるファーストシュートとなりました。

しかし相手のセレッソも、前年にルヴァンカップ決勝で涙を呑むという雪辱を果たしたい立場。
広島の思い溢れる攻勢を跳ね返しつつ、4分にこちらも好機を迎え。
右サイドで毎熊が持つと、上門に託したのちスルーパスに走り込んでクロス。
このグラウンダーのボールに走り込んだのは上門で、ニアサイドで合わせてのシュートはゴール右へ外れと、毎熊・上門の2人で攻撃を完結する早い攻め。
セレッソは続く5分にも、裏へのロングパスを受けた加藤がエリア内右からクロス、中央で受けた奥埜がシュートと広島ゴールを脅かすもこれはオフサイドディレイで無効となり。
かくして、ともに悪い思い出を払拭すべくの戦いが幕を切られました。

立ち上がりにハイテンションな攻撃を見せたのち、ここからは様子見に入る両チーム。
相手が2トップのため、広島の3バックでのビルドアップは殆ど可変せず。
セレッソサイドもサイドハーフを加えてのプレスにいくかどうか、試合全体を考慮しての判断を常時行っているような立ち回り。
22分に左サイドからの広島の攻撃を受けるセレッソ、佐々木→森島への縦パスに対し、奥埜が森島に付くか前に出るのか迷いを見せてしまった事でそれを通してそのまま奥まで運ばれ。
そして川村のグラウンダーでのクロスが入る(シュートには繋がらず)というシーンのような、いわば中途半端な姿勢が危ぶまれる流れだったでしょうか。
そんな相手の姿勢からある程度余裕を持ってボールを回す事は出来た広島ですが、全体的な印象は天皇杯決勝の時と同様、ボールを失わない事を重視するような攻撃。

一方一般層(この日はフジテレビの放送)にもご存じとなった風である、今季の強みである広島のプレッシング。
主に最前線のカリファがセレッソのCBヨニッチに相対し、右SBの松田に対し左シャドーが付くという姿勢。
そのためセレッソは立ち上がりに見られた右サイドからの前進はある程度諦めざるを得ないといった攻撃の流れとなりました。
言い換えれば、どれだけ逆の左サイドから良い攻めが出来るかが試される事であり。
16分自陣で山中がパスカットに成功すると、こぼれ球を拾った鈴木がスルーパス、受けた加藤がカットインでエリア内左を突き。
前述の4分のシーン同様、早い攻めで好機を作りましたが、放たれたシュートはGK大迫にセーブされて先制ならず。
この他にも長短織り交ぜながら繋ぎ、山中がクロスを上げるシーンを量産させたセレッソの左サイドアタックでしたが、得点には至りません。

先制点を奪うよりも、奪わせないといった思惑が目立つ事となり、次第に膠着状態に。
そんな展開ではセットプレーの比重が大きくなるもので、28分の広島はカリファがポストプレイをする所にセレッソ・鳥海のチャージを受け倒れて反則。
これで右ハーフレーン・エリアからやや手前という位置での直接フリーキックを得て、野津田がこれを直接狙ったものの壁を直撃、こぼれ球がその前に構えていた川村に収まるもディフェンスに阻まれ追撃できず終わり。
一方のセレッソも、36分に奥埜が広島・佐々木に倒されて反則・FKを得ましたが、こちらは右サイド深めという位置。
キッカー鈴木は当然ながらクロスを選択、中央に上がったボールを奥埜が合わせヘディングシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。

ともにFKから矢を放ち、セットプレーから一発で仕留める事が期待されたもののその機会自体が少ない展開で、CKも28分以降は得られず。
終盤に広島が押し込みを見せ、45分には左サイドで人数を掛け、一旦途切れるも松本のパスカットで継続。
そして川村の低いクロスが入り、中央で満田が合わせにいくもセレッソ・鳥海のチャージを受けて合わせられず(反則無し)、結局フィニッシュを放てず終わり。
良く言えばお互い隙を見せない、悪く言えばリスクを回避したというような全体の印象を残す、スコアレスのままで前半を終える事となりました。

セレッソサイドで思い出されるのが前年の戦い
名古屋との一戦で、前半は優勢に試合を進めながらも、後半に2点を奪われるなど流れを一変させられての敗戦。
その時は後半頭から、ベンチに控えさせていた中心的存在の清武を投入し勝負を賭けに入ったものの、皮肉にもそこからややバランスを崩す事となり敗着といった格好となりました。
この日もその清武がベンチに控えるという同じシチュエーションでしたが、ハーフタイムでは動きを見せず。
そんな不動の姿勢を取った事が奏功したでしょうか。

後半の入りも広島が攻勢に掛かり、再びカリファが広島・鈴木に反則を受けた事で右サイド奥からのFKを得たのが後半3分。
しかしここから、クリアボールを為田が拾ってセレッソのカウンターが齎された(シュートには繋がらず)事で、展開はにわかにセレッソペースとなります。
5分には敵陣右サイドで松田がボール奪取して好機に繋げるなど、勢い付いたか前掛かりな姿勢も見せていき。

そしてそれが得点に繋がる事となりました。
7分(記録上は8分)、セレッソの攻撃を切り最終ラインでボールを持つ広島、前述の奪われたシーンも過ったか佐々木はGKへのバックパスを選択。
しかしこれが短くなり、反応良く前に出たセレッソ・加藤がエリア内でカットに成功、GKと一対一という願っても無い好機を迎えます。
そして大迫を右にかわし、やや体勢を崩しながらも放ったシュートがゴールに突き刺さり。
値千金の先制弾を奪い、興奮のままゴール裏のサポーターに向かって吠える加藤。

その流れのまま押し切りたいセレッソは13分にもチャンス。
しかもGKキムジンヒョンのロングフィード一本という作り方で、抜け出してヘッドで受けた毎熊がそのままエリア内へ進入しシュート。
GK大迫のビッグセーブに阻まれるも、引き続きの右CKからもヨニッチがヘディングシュートを放ち、ゴール左へ際どく外れと脅かし続けます。

何とか試合を決められずに済んだ広島、15分にカリファが右サイドで突破を図り、囲まれて奪われるも野津田のパスカットで即時奪回。
そして満田が右ハーフレーン・エリア手前からシュートを放ち(ゴール右へ外れる)、反撃体制を整え。
18分には右サイドで人数掛けてのパスワークから、野上の低いクロスがニアサイドを突き、跳び込んだカリファのヘディングシュートが放たれましたがGKキムジンヒョンのセーブに阻まれます。
段々とパワーを持っての攻撃が出来るようになった広島、それを保つべく直後には松本→ピエロス・ソティリウへと交代。
最前線に入るソティリウを受け、カリファがシャドーへ・満田がボランチへと一列ずつ降り。

その後セットプレーから、19分に佐々木がヘディングシュート(枠外)・23分にカリファがヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と同点を狙う広島。
それを受けたセレッソは、20分に鈴木が顔面にボールを受けて倒れ込んだり、23分に加藤が反則を受けると同時に足を攣らせてしまうなど(仕方無いにせよ)劣勢の様相を見せるに至ってしまい。
担架で運ばれた立役者の加藤の姿を受け、このタイミングで清武を投入するセレッソベンチ。(同時に上門→北野へと交代)

押され気味となるのは仕方無いですが、それでも落ち着かせる時間は確保したいというセレッソ。
27分にCKを獲得するもそこから広島のカウンターを招いてしまい、森島の右からのクロスにソティリウが合わせるも枠外に。
冷静さを保ちたいセレッソ、直後にはヨニッチがクリアにいった所に広島・カリファが足裏でチャージしてしまい反則・警告。
広島サイドの蛮行といえるシーンでしたがこれが伏線となり、結果的にその後の物議を醸すシーンを招いてしまいます。

31分、ハイボールの競り合いで再びヨニッチとカリファのやり合いとなり、今度はヨニッチの反則に。
すると次の瞬間、起き上がったカリファに対しヨニッチが激高して小突いてしまい、追加で警告を受ける事態となります。
しかしこれだけでは終わらないのが、VARというシステムが導入された現代のサッカー。
退場か否かで審判団はVARチェックに突入、OFRにまで発展するというヨニッチならびにセレッソサイドにとって緊張の瞬間となり。
そしてヨニッチがカリファに手を出した際に拳を握っていた、言わばパンチのような形になっていた映像が公に晒される事に。
言い訳の利かない形が出来上がってしまった末に、フィールドに戻ってきた主審(山本雄大氏)はヨニッチに対して赤いカードを突き出します。
退場処分となり、以降10人での凌ぎを余儀なくされたセレッソ。
すかさず(といっても長らく試合が止まっていたため35分)為田→西尾へ交代してCBを補充します。
<後半35分以降のC大阪> 4-4-1
GK キムジンヒョン

RSB 松田 CB 西尾 CB 鳥海 LSB 山中
RSH 毎熊 DH 奥埜 DH 鈴木 LSH 森島
FW 北野
一方の広島も同時に野津田→柏に交代、左ウイングバックに入った事により川村が本職のボランチに回ります。

といっても、セレッソがその形をハッキリ姿にし始めたのは39分の事。
それは、36分に山中が広島・野上のチャージを受けて激しく痛んでいた(反則・野上に警告)のが主要因であり、中々起き上がれずにベンチも一度は交代要員(舩木)を準備した程で。
しかし2分程経過して起き上がった山中、男気を見せてその後もプレーを継続するに至ります。
その後空中戦で北野を倒した荒木も警告を受ける(40分)など、退場者を出した事で荒さが浮き彫りになってきた試合絵図。

数的優位となった広島、当然ビハインドを跳ね返すべく攻撃権を支配。
セレッソの4-4-1ブロックの外側でひたすらパスを繋ぎチャンスを伺うその姿は、獲物を狙う虎、いや熊そのものといった所でしょうか。
しかし攻撃を切ったのちは、広島の最終ライン裏へアバウトに蹴り出すだけという、後は守り切るのみというセレッソの姿勢が強い状況。
それを前に中々フィニッシュを見出せず、45分に川村がミドルシュートを狙うも枠を捉えられません。
そしてアディショナルに入る直前に最後のカードを切る広島、塩谷・野上→柴﨑・茶島へと2枚替えするとともに、川村が最終ラインに降り佐々木が右に回るという変則的3バックに。
満田の1アンカー+2トップの3-3-2-2(3-1-4-2)に近いフォーメーションで、もはやDFを多くする意味は無い、と言わんとばかりの布陣に勝負を賭けます。

そして再び川村が放ったシュートがブロックされた事で右CKを得る広島。
VARチェックもあった事で9分という長丁場のATですが、得た好機はとにかく掴まなければ後が無い。
そんな思いも乗せながらの、キッカー満田のクロスから放たれたカリファのヘディングシュート、セレッソもこれを鳥海が眼前でのブロックで防ぎ。
しかし戴冠への思いが交錯したこのシーンは、それがあまりにも強かったのか鳥海が腕でブロックする形となってしまっており、プレーが途切れた(といってもこぼれ球をさらに荒木・カリファが立て続けにシュートしていたが)のちVARチェックに入る審判団。
そしてOFRとなり、先程のヨニッチの蛮行同様に鳥海の上げた腕にボールが当たるシーンが晒された結果、判定が覆り鳥海のハンド・広島のPKに。

先日の天皇杯と同じく試合終盤に得たPKですが、同点だったその時とは一転して決めなければ地獄、という場面。
託されたのはソティリウで、多大なプレッシャーのなかキッチリとGKキムジンヒョンの逆を突いてゴール右へシュート。
ついに同点に追い付き、文字通りに息を吹き返した広島。

こうなると数的不利の相手に対し俄然勢い付くものであり。
右サイドを押し込んで得た右CK、既に時間は10分経過と再度のVARチェックで長引いたATでしたが、最後といってもいいチャンス。
キッカー満田から上がったクロスにニアサイドで佐々木が跳び、流れるもその奥で合わせたのはソティリウ。
頭から跳び込んだかに見えての足で合わせるという高等技術で放たれたシュートがゴールに突き刺さり、劇的な逆転ゴールが生まれます。
得点を挙げたソティリウがユニフォームを脱ぐほどに、大興奮の渦に包まれる広島サイド。(当然ソティリウに警告)

耐えきれなかったセレッソ、最後の望みを託しキックオフ→鳥海のロングパスから攻め上がり。
パワープレイの如く前線に上がった西尾からシュートが放たれるも、GK大迫に抑えられて万事休す。
1-2で試合終了を告げる笛が吹かれ、広島がルヴァンカップならびに初のカップ戦制覇という栄光に辿り着きました。

その偉業に対し外野から言葉は要らないでしょうが、折りしも試合前日に、闘病中だった元日本代表FW・工藤の逝去が伝えられるという悲しみに包まれたサッカー界。
試合前の黙とうを始め、元同僚であり馴染み深い広島サイドは、工藤のユニフォームをベンチ掲げて試合に臨む事となり。
そんな不幸も乗り越えながら、また一歩強くなったという評価が相応しいでしょうか。

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