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DAZN観戦 2022年J3リーグ第29節 鹿児島ユナイテッドFCvsテゲバジャーロ宮崎

2022-10-21 19:50:42 | サッカー視聴記(2022年その他)

<鹿児島スタメン> 4-2-3-1
GK 白坂
RSB 木出 CB 小野寺 CB 岡本 LSB 薩川
DH 木村 DH 中原
RSH 牛之濱 CH ロメロ・フランク LSH 米澤
FW 有田
<宮崎スタメン> 4-4-2
GK 石井
RSB 奥田裕貴 CB 奥田雄大 CB 代 LSB 新保
RSH 徳永 DH 千布 DH 下澤 LSH 岡田
FW 北村 FW 橋本

一時期の大不振から復調し、成績を戻しつつある宮崎。
その要因は岡田の長期離脱からの復帰で、22節(YS横浜戦・1-0)でスタメン復帰後4ゴールを稼いで2ケタに乗せるなど量産体制に入り、欠けていた得点力を見事に埋める活躍。
上位陣とも渡り合える力を取り戻したかどうか、この日の鹿児島戦で真価が問われる事となりました。

一方上位の鹿児島にとって、昇格圏を確保しなければならない状況でのこうした昇り調子のチーム相手の試合は難儀するものであり。
立ち上がり、そんな硬さ故か宮崎に攻め込まれる事となります。
前半4分に橋本のシュートがブロックに当たり外れた事でコーナーキック攻勢に入った宮崎。
その1本目(左)で変化を付けてショートコーナー、クロスは跳ね返されるも下澤がダイレクトでミドルシュート、ブロックされるも徳永が拾って尚も繋ぎ。
新保がエリア内左奥からクロスを上げ、ファーサイドで千布がヘディングシュートを放つもGK白坂がセーブ。
続く2本目もショートコーナーから、クロス→奥田雄フリックと変化を付ける等、鹿児島の動きが戻る前に揺さぶって点を奪わんとします。

その後も宮崎が前線からプレスを嵌めパスカットを目立たせる一方、逆に鹿児島のプレスは宮崎のビルドアップにかわされるという対照的な展開。
そんな流れの悪さ故か、8分には米澤が千布のスライディングでボールを奪われると、かわそうとしての着地に失敗して足を痛めてしまう事態が発生します。
一旦ピッチ外に出る→復帰を経てプレーを継続した米澤ですが、14分に再度倒れ込んでしまい交代の憂き目に。(五領と交代、牛之濱が右サイドハーフ→左SHに回る)

その間にも宮崎の猛攻を受け、11分には橋本がドリブルでエリア内を突いてシュート(GK白坂セーブ)、直後のCKでも跳ね返りを北村がミドルシュート。(枠外)
12分にも徳永と下澤に連続してミドルシュートを浴びる(前者はブロック・後者はゴール右へ外れ)など、雰囲気はお通夜になっても可笑しくないホーム・白波スタジアム。
それでも何とかゴールを許さず、飲水タイム(22分・後半は無し)の直前に有田が左サイドをドリブルしてから中央へパス。
ロメロのポストプレイを経て木出がミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、フィニッシュで終えた事が良かったでしょうか。

ブレイク明けの最初の好機は宮崎で25分、ショートパスでのビルドアップで、最終ラインから左サイドで前進していき岡田・新保・下澤の3人でパス交換。
しかし北村へ出した所をカットされると、木出のボールキープからカウンターに向かう鹿児島、ロメロが中央へ向かうドリブルを経て左へ展開して好機に持ち込み。
そして牛之濱からエリア内左へスルーパスが送られ、走り込んだ薩川からのグラウンダーのクロスに、同じく走り込んだ中原がニアで合わせて完遂。
相手の攻めっ気を逆手に取った上位らしい攻撃で、先制点に辿り着きました。

優勢に持ち込みながらもリードを奪われてしまった宮崎。
当然早めに追い付かんと攻め上がり、その圧力が鹿児島の反則シーンを呼び込み、30分には北村のドリブルを反則で止めてしまった薩川に警告。

しかし35分に徳永の右からのクロスが跳ね返され、有田が拾った事で再び鹿児島のカウンターが発動します。
牛之濱が左ハーフレーンをドリブルで一気に持ち上がり、カットインを経てペナルティアークからシュート。
ブロックされるも五領がこぼれ球を拾い尚もエリア手前からシュート(GK石井セーブ)と攻め立て。
カウンターでビハインドの相手を脅かすという理想的な展開に持ち込むと、38分にも同様の流れに。
といってもここの宮崎の攻撃は際どく、左サイド奥でロングパスを受けた岡田からの戻しを中央へ展開、エリア内で細かい繋ぎに持ち込んだ末の下澤のシュートが左ゴールポストを直撃。
クリアボールを拾ってさらに仕掛けようとした所を奪った鹿児島がカウンター、ロメロの裏へのミドルパスを受けた有田が宮崎・奥田雄に倒され反則。(奥田雄に警告)
これで左サイドからのフリーキックを得ると、キッカー木村のニアサイドへの低いクロスに、有田がダイビングヘッドで合わせましたがオフサイドを取られ無効に。

カウンターの恐怖に晒された宮崎ですが、43分に千布のミドルシュートがブロックされ、こぼれ球を拾った橋本が鹿児島・ロメロに倒されて反則。
これで左ハーフレーン・エリアからやや手前での直接FKを得ると、キッカー下澤が直接狙いゴール左を襲ったものの、惜しくも枠を捉えられず。

ポイントゲッター岡田と、偽サイドバック的に攻撃に絡む新保の居る左サイドアタックが厄介といった宮崎の攻撃で、そこに下澤も加わって数的優位を確保しようという前半の宮崎。
しかし45分に岡田が鹿児島・木出のチャージを受けて痛み、プレー続行するも復帰故障明けのその身体が心配される事態となります。
アディショナルタイムにはその影響か鹿児島にペースを握られた末、前半を終えました。

そしてハーフタイム、その岡田が退く事となった宮崎。(大熊と交代)
鹿児島サイドもロメロ→端戸へと交代と、ともにカードを使い後半に臨み。

全体的に押され気味の前半を受け、鹿児島は積極的な入りを見せ。
早速の後半1分にプレスを嵌め、端戸の宮崎・代へのプレッシャーから(新保に)縦パスを出させ五領がカットして好機を作るも、シュートまではいけず。
しかし続く2分に宮崎が決定機、千布の斜めの縦パスを中央で受けた北村がスルーパス、受けた徳永がエリア内からシュート。
これを鹿児島・木村がスライディングでブロックして防ぎましたが、際どいピンチを招いた事であっさり積極性は失われてしまいます。

以降は前半同様、宮崎がボールを握って攻勢を仕掛け、同点の機会を伺う展開に。
岡田が退いた事もあり、主戦場とは逆の右サイドアタックが目立った立ち上がりとなりましたが、9分には左サイドで前進。
代わって入った大熊が下澤とのワンツーからクロスを入れ、逆サイドへ流れた所に徳永が走り込んで折り返し。
中央で橋本が合わせましたが、シュートはゴール右へと外れてモノに出来ず。

パートナーが大熊に代わった影響か、前半とは一変して左SBの新保の上がりは自重気味となり。
最終ラインに残るシーンが目立っていましたが、それが鹿児島サイドにとってノイズとなっていたでしょうか。
迎えた15分、中央寄りでボールを持つ新保が右サイドへ展開すると、そのまま上がらず絞った位置で残り。
右サイドでのパスワークののちいきなり徳永が左サイド裏へロングパスを送ると、エリア内左に大熊が走り込む絶好機となります。
そしてトラップで中央へと流れて放ったシュートがゴールネットを揺らし、同点に追い付いた宮崎。
新保が後方に残っていたのを見て、鹿児島ディフェンスは右サイド(宮崎から見て左サイド)はノーマークで良いという意識を作ってしまっていたでしょうか。

この心理的ミスらしき失点が影響したか、直後の16分にはキックオフからの攻撃をトラップミスでボールロストし、すかさず宮崎のカウンター。
下澤のスルーパスを中央で受けた橋本がエリア内を突いてシュート(ゴール右へ外れる)と、ゴールを脅かされた事で一気に窮地に立たされます。

その後勝ち越しを狙いにプレスにいく姿勢は見せた鹿児島でしたが、宮崎のCBにSHが詰めにいくも、遅れてフリーになった隙を突かれて運ばれる等チグハグなシーンが目立ち。
20分にはその流れでフリーになった新保から運ぶ宮崎、逆の右サイド展開したのち千布裏へミドルパス→北村落とし→徳永ミドルシュートという流れるようなフィニッシュ。(GK白坂キャッチ)

25分には同じように宮崎が右サイドでフリーを作って運ばんとするも、牛之濱がプレスバックして奪い逆に鹿児島の攻撃。
薩川が左サイド奥からマイナスのクロスを入れるもクリアされて実らず。
弱点を逆手に取っての攻撃で勢い付けたい所でしたが、直後の26分に鹿児島は最終ラインから組み立てを図るも、左サイドで詰まり奪われて宮崎の攻撃。
縦パス攻勢で前進する宮崎に対し鹿児島は奪回を狙い、ディフェンスに遭うもこぼれ球を拾って攻撃を繋ぐ宮崎。
そして北村からスルーパスが供給されると、受けたのは新保でそのままエリア内を突いてシュート。
ゴールネットを揺らし、この重要な局面でオーバーラップを見事に決めた新保が今季初ゴールとなり、逆転に成功した宮崎。

一気にビハインドとなってしまった鹿児島、激しい昇格争いの渦中故に敗戦は許されません。
28分に五領の右サイドからのクロスに、端戸が合わせヘディングシュートを放つもゴール上へ僅かに外れ。
直後の29分に交代カードを切り牛之濱→星、これにより木出が一列上がって右SHに入り、五領が押し出されるようにスタートの位置の左SHに。
30分その逆サイドに回った五領に決定機が訪れ、宮崎の繋ぎのミスからショートカウンター、有田のスルーパスに走り込んでのシュート。
しかしGK石井に足でセーブされ(跳ね返りを木出が詰めるも枠外)同点ならず。
右サイドでクロス・左サイドでシュートと、左利き故に本来のSHとは逆の仕事を短い時間で慌ただしくこなした五領でしたが、実る事はありませんでした。

その後圧力を増した事で、セットプレーの好機(CK・サイドからのFK)も多く得た鹿児島。
その殆どがファーサイドの小野寺を使っての折り返しで、合わせる所まではいきますがフィニッシュには中々結び付かず。
一転して守勢となった宮崎は、34分に橋本→高橋へと交代。
そして38分に敵陣左ハーフレーンでのFKを得たタイミングで、下澤・北村→内薗・藤武へと2枚替え。
このFKは鹿児島のお株を奪うように、ファーにクロス→奥田雄折り返しでゴールを狙いましたが、楽にする追加点は奪えません。
するとDFの藤武が入った事で3バックへと変更を見せます。
<後半39分以降の宮崎> 3-4-2-1
GK 石井
RCB 藤武 CCB 奥田雄 LCB 代
RWB 奥田裕 DH 千布 DH 内薗 LWB 新保
IH 徳永 IH 大熊
FW 高橋
5バックシステムで何としても逃げ切り、この上位との対決をモノに出来ればチーム力も高まる……という(と思われる)高崎康嗣監督の意図が伺えました。

それを許したくない鹿児島は、40分に中原・有田→野嶽・山本へと2枚替え。
これでチーム最年長である木村のフル出場が決定と、メンバー全体がベテラン揃いという欠点が浮き彫りとなる苦しい立ち回りを強いられました。
42分に右CKの好機、ショートコーナーからのパス交換を経て五領からクロス。
中央で山本がフリックで流し、これをファーサイドでのターゲットを貫いていた小野寺がヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし鹿児島の狙いは結実したかに見えたものの、オフサイドを取られてしまい残念ながらノーゴール。

いよいよ焦りが見えてきた鹿児島。
その後43分に宮崎・奥田裕がライン際で鹿児島・薩川のチャージを受けて、ピッチ外で倒れ込んでしまう事態となり。
暫くして起き上がり復帰した奥田裕でしたが、ここで相手ベンチサイドからの暴言?に対していきり立つシーンが生まれてしまい。(恐らくは「ピッチ外に出たのだから治療中に再開してほしい」という思惑で放たれたと思われる)
奥田裕云々というよりは、鹿児島サイドの「どうしても勝たなければならない」という思惑が滲み出たような一幕に写りました。

そのままATに突入し、小野寺を前線に上げてパワープレイに入る鹿児島。
最後の最後に野嶽のロビングを小野寺が落とし、エリア内中央で山本が受けるという好機になりましたが、ディフェンスに囲まれシュートは撃てず終わり。
そして試合終了の笛が鳴り、鹿児島にとっては3位転落となる手痛い敗戦となりました。

勝利した宮崎、復帰した岡田が活躍する(といってもこの日再び離脱が危ぶまれる途中交代となりましたが)一方で、試合から数日後に危機的な事態が生まれ。
離脱中のFW工藤が生命の危機にまで苛まれるという事態になり、各方面から回復を祈るニュースが量産される事となりました。
病気というまさかの事態ですが、決して命の無事が保証されないのがスポーツというのも確かであり。
ともかく自分としても、何とか回復を果たしてほしいと切実に思います。

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TV観戦 天皇杯 第102回JFA全日本サッカー選手権大会決勝 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

2022-10-17 16:00:54 | サッカー視聴記(2022年その他)

<甲府スタメン> 3-4-2-1
GK 河田
RCB 須貝 CCB 浦上 LCB エドゥアルド・マンシャ
RWB 関口 DH 石川 DH 山田 LWB 荒木翔
IH 長谷川 IH 鳥海
FW 三平
<広島スタメン> 3-4-2-1
GK 大迫
RCB 塩谷 CCB 荒木隼人 LCB 佐々木
RWB 茶島 DH 野津田 DH 川村 LWB 柏
IH 森島 IH 満田
FW ドウグラス・ヴィエイラ

前回の天皇杯の記事- 準決勝・京都vs広島

鹿島までもを破り、とうとう決勝戦まで辿り着いたJ2・甲府。
「お前らの奇跡はもう終わった」とばかりに立ちはだかってきたJ1クラブを、悉く退けて決勝の舞台・日産スタジアムに降り立ったメンバー。

まるでフィクションの物語内のような展開ですが、反面非情な現実は、リーグ戦において嫌という程突き付けられており。
準々決勝(福岡戦・2-1)以降、リーグ戦では勝利どころか勝ち点を全く積み上げられない状態に陥ってしまい。
1週間前の40節・岡山戦でも敗れ(1-2)、とうとう7連敗というその成績は、リーグ戦を捨てているのかと揶揄されかねず。
かくして今週予定されていた41節(町田戦)は、勝ち上がりにより水曜に回される事となり、大事な大事な一戦を迎えました。

共に3-4-2-1をフォーメーションとするミラーマッチ故、プレッシングサッカーが主体の広島にとっては、中途半端なポゼッションに拘るクラブは格好の餌。
前半1分に早くも佐々木が敵陣でパスカットし、そこから(森島の)クロスにまで持っていくという具合に持ち味を発揮させます。

そのため普段は繋ぐサッカーを根底とする甲府も、裏狙いの姿勢を一定割合で見せなければならずといった所ですが、それは前回の準決勝・鹿島戦でも同様なので大したギャップにはならず。
5分山田の裏へのミドルパスに三平が走り込み、エリア内で受けましたがこれはオフサイド。
このシーン以外は広島の圧力に苦しみ、満田にボール奪取された浦上がすかさず反則を犯してしまったり、自陣でスローインを受けた三平が手に当ててハンドを取られるなどで広島にセットプレーを与える苦しい流れを描きます。

そんな試合絵図が変わったのが15分。
石川が中盤中央で反則気味にボールを奪うと、広島のゲーゲンプレスを山田がドリブルでかわしての好機。
荒木翔の縦パスを受けた長谷川がエリア内左へ切り込みシュートにいき、ミートせずDFに当たったボールをさらに鳥海が詰めてシュートしましたが、オフサイドディレイで実らず。
しかしこれでペースを掴み、直後の攻撃では一旦途切れるも右サイドで関口がカットして継続、そのまま広島・佐々木の股を抜くスルーパスを通し。
受けた長谷川がエリア内でシュート(GK大迫セーブ)と、ゴールに近付くシーンを見せました。
20分には須貝が右サイドを駆け上がってクロス、流れるも逆サイドで拾って継続し、長谷川が広島・佐々木のマークを離れた隙を突いて中央からパスで前進。
そして鳥海がミドルシュートを放つ(広島・荒木隼がブロック)という具合に、普段の攻撃さながらの流動性も表れるに至り。

逆に広島が攻めあぐみを見せ、相手に奪われない事を重視したようなビルドアップも却って甲府の守備意識の前に通じず。
そうした流れで迎えた26分、中盤からのフリーキックで放り込みを選択した甲府、その後GK河田のフィードからの再攻撃で左サイド奥を突いてコーナーキックに。
この左CKでキッカー長谷川はショートコーナー、山田の返しを受けたのち左ポケットへのスルーパスを選択し、走り込んだ荒木翔からマイナスのクロス。
これをストライカー・三平がニアサイドで綺麗に合わせ、ゴールネットを揺らして欲しかった先制点に辿り着きます。
戦力的に不安が過る中で、セットプレーをモノにして以降リードを凌ぎに掛かるという、トーナメント戦ならではの必勝パターンに持ち込んだ甲府。
同じ天皇杯決勝という事で思い出させるのが、2018年の浦和vs仙台の戦いでしょうか。

あろう事か先制された広島。
意気上がる甲府に対し、31分には野津田の(甲府・鳥海への)アフターチャージによるFKから、須貝のヘディングシュートでゴールを脅かされ。(GK大迫キャッチ)
続く32分にはパスカットした甲府・マンシャを引っ掛けてしまった森島が反則・警告を受けるなど、反撃したい意識が空回り気味となり。
その後何とか試合を落ち着け、自身がボールを握る展開に持ち込むも、前回鹿島が嫌という程味わったように守備を固める甲府の背中を追い掛ける戦いを強いられます。
野津田が最終ラインに降り、塩谷を前に押し出すという可変の色を強める事でボールは回せるようになったものの、次に待ち構えるのは甲府の5-4-1ブロックをどう崩すかという課題。

こうなると、比較的薄いサイドからの前進を余儀なくされるしか無く。
41分にはスルーパスに走り込んだ川村が奥からマイナスのクロスを入れるも、ニアに走り込むヴィエイラには合わず。
このシーン然り、ターゲットになるべく中央で張っていたヴィエイラですが、それ故に甲府の守備の前にボールが来る事は稀であり。
サイドは他の選手で崩すという役割が明白な分、相手にとっても守り易いといった状態に陥っていたでしょうか。
結局リードされたのちはフィニッシュに辿り着く事は無かった広島。

前半を終えて1-0で甲府リードと、大アップセットへの期待が高まる中で過ぎ去ったハーフタイム。
勝負を賭けるべく2枚替えを敢行した広島のミヒャエル・スキッベ監督。
ヴィエイラと森島に代え、ナッシム・ベン・カリファとエゼキエウの両助っ人を投入します。

立ち上がりは一進一退。
裏狙い中心にエリア内を突かんとする甲府に対し、広島も裏狙いを敢行しますが、その橋頭堡となったカリファの動きが旺盛であり。
明らかに甲府DFの方が近いというスルーパスにも、スピードで追い越して先に追い付き脅威を与えるカリファ。
広範囲に動き、サイドに開く事も厭わないというヴィエイラとは異なるその働きに、前半とは違った守備対応を強いられる甲府サイド。
後半9分、ボールカットした荒木翔がすかさず無理目のロングシュートを放つ(枠外)など、そうした恐怖と相対した故の焦りが見え始め。

そんな相手の隙を突きたい広島。
13分には浮き球を収めようとしたカリファが甲府・須貝に倒され、中央やや右という位置での直接FK、キッカー野津田は直接シュートを狙いますが壁に当たって枠を外れ。
16分には佐々木の裏へのロングパスを例によってカリファが走り込み、クリアされるも川村が繋いだボールを、反転シュートに持っていったカリファ。(甲府・浦上がブロック)

守備で奔走させられるようになった甲府。
17分に交代カードに手を付けて2枚替え、三平と鳥海に代え、ウィリアン・リラと松本凪生を投入。
さらに21分には荒木翔→野澤陸へと交代、入れ替わるように須貝が左ウイングバックに回るという具合に、早くもクローザー投入を余儀無くされます。
その後は前線にリラだけが残り、クリアボールが彼に繋がれば……という姿勢を強いられる事となり。

一方の広島は25分に茶島・柏→野上・松本泰志へと2枚替え。(川村がボランチ→左WBに回る)
何とか攻勢を結果に繋げたい所で、29分に甲府が一糸の流れを掴んでの好機。
即ち1トップのリラへボールが繋がった事で、ドリブルでエリア内右へと持ち込んだリラがシュートを放つと、ボールは伸びる軌道で広島ゴール上部を襲い。
しかしゴールバーに当たって枠外と、試合を決める追加点は得れず終わりました。

広島にとっては肝を冷やすシーンでしたが、気を取り直して甲府陣内へ圧力を掛け。
33分には直前に浦上がボールを腕に当てるもハンドを取られなかった事で、広島サポーターから上がるブーイング。
これに動揺したのか山田がボールを空振りしてしまい、野津田が奪って広島の好機。
満田がエリア内を突き、ディフェンスに遭いこぼれた所を野津田がミドルシュート(枠外)と、ミスを突いて攻撃するも実りません。

着実に相手のダメージは高まっていくも、肝心の得点が得られない広島。
34分に野津田→ピエロス・ソティリウに交代と勝負手を打つ(満田がシャドー→ボランチへ回る)も、時間も押し迫りビハインド故のプレッシャーとも戦わなければならない状況となります。

38分右サイドで野上が甲府・須貝の股を抜くスルーパス、これに松本泰が走り込んでクロスを入れるも、中央のソティリウには合わず。
ターゲットを増やしたうえでサイド奥を突き、クロスを入れるという姿勢で何とか得点を奪えれば……といった感じでしたが、それを逆手に取るような攻撃でついに結実。
続く39分左サイドから、エゼキエウのキープからの持ち運びでアタッキングサードに進入すると、またも甲府・関口の股抜きでのスルーパス。
しかし今度はエリア内左を突くパスで、走り込んだ川村もクロスでは無くシュートを選択すると、GK河田のセーブを掠めてゴール上部へと突き刺さるボール。
堅守をとうとう打ち破り、同点に追いついた広島。

しかしラストパスを出したエゼキエウが足を痛めてしまい、倒れ込んでプレー続行は微妙なものとなってしまいます。
既に交代枠も無く、何とかピッチに復帰したエゼキエウですが足を引きずりながらのプレーを強いられ。
その後1トップの位置に入り、後半終了まで凌ぐ事となりました。

それに併せ、野上と塩谷のポジションを入れ替える策も敢行した広島。
その右サイドから前進する姿勢を見せつつ、突入したアディショナルタイムでは満田のロングパス一本で裏を取ったカリファ、エリア内へ進入してループシュートを狙い。
しかし前に出たGK河田がブロックして防ぎ、勝ち越しは許さず。

ATは6分もあったものの、やはりエゼキエウの負傷により実質数的不利なため際立った攻勢は掛けられない広島。
一方の甲府も、一度後ろ重心となった意識を少ない残り時間で戻すのは並大抵の事では無く。
結局、甲府はリラが、広島はカリファが1本ずつヘディングシュートを放ったのみに終わり。(両者とも枠外)
1-1のまま後半終了を告げる笛が鳴り、延長戦に突入となりました。

交代カードが1つ補充されたものの、前述の通りエゼキエウ負傷のため、即使用する事を余儀無くされた広島。
投入されたのは住吉ジェラニレショーンで、これにより満田がシャドーに戻り、野上が右WB・塩谷がボランチかと勝手に予想を立て。
しかしシャドーに入ったのは塩谷で、満田はボランチのままという変節を見せました。(野上は予想通り右WBへ戻る)
前線をフィジカル重視へと舵を切った形となったでしょうか。

その入りの延長前半1分、ロングボール攻勢からソティリウが甲府・野澤陸に反則を受けた事で早々に直接FKを得た広島。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という絶好の位置で、キッカー満田は当然直接シュートを放ち。
これがゴール右上を襲うもバーを叩いて跳ね返り、拾った荒木隼がハンドを取られて終了と、惜しくもモノに出来ず。

以降はパワープレイ気味にロングボールを多用する広島と、それを凌いでハッキリクリアしたい甲府による蹴り合いといった絵図となる試合。
着実にダメージを与えていくスタイルを採った広島、カテゴリの違いを存分に活かすといった立ち回り。
10分にはスルーパスを左サイドでカリファが受け、戻しを経て満田がミドルシュートを放ちますがGK河田がセーブ。
12分には再び左サイド奥でカリファが持ち、戻しから川村がグラウンダーでクロスを入れ、塩谷のスルーを経てソティリウがシュート体勢に入るもブロックされて撃てず。
15分には再度カリファのボールキープから、パスを受けた河村が左ポケットを突いてグラウンダーのクロス。
シュートともとれるようなこのボールに、ファーサイドでソティリウが足から跳び込みましたが惜しくも合わずと、甲府を押し込み続け。
一方の甲府は11分に長谷川→ジェトゥリオに交代するも劣勢は明らかで、何とか失点は防ぎ延長前半を終了させます。

迎えた延長後半、再び開始1分で甲府・松本凪の反則により、広島が直接FKのチャンス。
しかし今度は距離が遠く、中央から満田が放った直接シュートはゴール上へ大きく外れ。

度重なる広島の攻勢で甲府はダメージを隠す事すらままならなくなり、4分にはスルーパスに走り込んだソティリウを防ぎにいった浦上。
ソティリウに反則を受けると同時に足を攣らせてしまったようで、一旦はプレーを継続するも交代措置が採られる事となります。
この土壇場でディフェンスリーダーを代えざるを得ないというスクランブルで、代わって投入されたのは大ベテラン・山本。(7分・同時に山田→フォゲッチへと交代)

山本はボランチに入り、3バックは須貝が再び右CBへと戻り、中央が野澤陸に。
タイトルを獲るかどうかという中で、甲府の象徴的存在がピッチに立つという運命的な試合となり。(なお山本の最後の出場は35節・大宮戦、スタメンフル出場)
しかしその山本自身が、試合を左右するシーンも演出してしまうとは予想不可能だったでしょうか。

9分に野上のグラウンダーのクロスを塩谷が合わせシュート、これを須貝がブロックと、相変わらず際どい凌ぎを強いられる甲府。
続く10分には広島の攻撃を断ち切るも、自陣で拾ったリラがノールックでヒールパスという難しい繋ぎを選択した結果、再度広島ボールとなり右サイドから住吉のクロス。
これをブロックで防ぐも広島はスローインを素早く入れ、受けた満田がエリア内へスルーパスを送ると、それをカットにいった山本。
しかしここで開いた左腕に当ててしまうと、無情にもハンドの反則を告げる笛が鳴り、エリア内という事で広島にPKが与えられてしまいます。
圧力にとうとう屈したというような形で、絶体絶命のピンチ。

決めれば勝利は濃厚という重要なPK、キッカーを務めるのは満田。
細かい助走からゴール左へとシュートしますが、GK河田は読み切って跳び付き、これをセーブしゴールライン外へと掻き出します。
守護神の大ファインプレーにより寸での所で凌いだ甲府、まだ勝負は判らず。

どちらに転ぶのか全く不透明な展開を受け、その熱気はピッチ外でも同様であり。
15分にリラが広島・満田のドリブルを反則で止めてしまうと、激しく判定に抗議を行う甲府・吉田達磨監督。
そして警告を受けてしまうに至りましたが、お構いなしと言わんばかりににその後も攻勢を続けた広島。

しかしPKという決定機を逃した影響は大きく、とうとう得点を奪えぬまま延長後半終了・ならびにPK戦突入を告げる笛が吹かれました。
コイントスにより広島ゴール裏でのPKとなり、先行は広島。

1本目はともに1トップが務め。
広島はソティリウがライナーのシュートを左へ突き刺し成功。(GK河田は届かず)
甲府はリラがGKの逆を突くシュートを左へ決め成功。
キッチリ決めた助っ人により、幕は開かれました。

2本目は広島=松本泰・甲府=ジェトゥリオ。
1本目とは反対に、広島がGKの逆を突き・甲府がGKの取れないコースに蹴り込みという形で両者成功。

3本目は広島・カリファと甲府・松本凪が、ともにGKの逆を突いて成功。

そして迎えた4本目、広島は同点ゴールを挙げた川村がキッカー。
ゴール右へシュートを放つも、反応したGK河田が見事にセーブ。
コースが多少甘かった事含め、試合でのゴールで運を使い果たしてしまった格好だったでしょうか。
一方の甲府は石川が落ち着いてループ気味に左へシュート、GK大迫も届かず成功となり、甲府がリードを得て運命の5本目に。

広島のキッカーは、試合でPKを外してしまった満田。
2度も失敗となれば帰れない、とばかりにGK河田も反応できない程のシュートをゴール右へ突き刺し。
成功させて望みを繋ぎます。

甲府のキッカーは山本、こちらも与PKという屈辱を試合で味わう事となった選手。
放たれた大ベテランのシュートは、勢いを持ってゴール左へと突き刺さり。
プレッシャーを乗り越えて成功させると同時に、甲府の勝利を決定付けました。

打ち破ったJ1クラブは札幌・鳥栖・福岡・鹿島、そしてこの日の広島。
まさに長い道のりという表現をしたくなる戦績で、悲願に辿り着く事となった甲府。
壮大過ぎる物語の結実に、サッカーファンならば感涙は不可避といった所でしょうか。

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DAZN観戦 2022年J3リーグ第28節 FC岐阜vsカターレ富山

2022-10-14 16:27:17 | サッカー視聴記(2022年その他)

<岐阜スタメン> 4-4-2
GK 松本拓也
RSB 山内寛史 CB 岡村 CB 藤谷 LSB 橋本
RSH 窪田 DH 庄司 DH 生地 LSH 畑
FW ンドカ・チャールス FW 藤岡
<富山スタメン> 4-4-2
GK 山田
RSB 柳下 CB 林堂 CB 大畑 LSB 松本雄真
RSH 松岡 DH 佐々木 DH 柴田 LSH マテウス・レイリア
FW 川西 FW 安藤

前回観た時とは、両チームとも監督が代わっていたという後半戦のカード。

昇格戦線に喰らい付けていけるかどうかという戦いの最中、富山は25節(沼津戦・0-1)終了後に監督交代を決断。
社長の左伴繁雄氏のコメントに「サッカーの内容に改善が見られなかった」とありましたが、それでもこの土壇場といえる状況で、実績豊かな石崎信弘氏のクビを切るのは中々出来る事では無く。
しかもその見通しの通りに、小田切道治氏が指揮を執ってからというものチームは好調に転じており、この社長は只者では無いという事を再認識させられました。

フォーメーションを弄りメンバーを微調整し、それまでの1点逃げ切りサッカーが信じられないような攻撃力を発揮して連勝。
俗にいう「監督交代ブースト」というだけなのかどうかは未だ不明ですが、終盤に向けて再度昇格争いに復帰できるのならばそれはどうでも良く。
そんな状態で迎えたこの日、その方針転換で割を食っていたのか、2試合メンバーから外れていた川西がスタメンに復帰してきました。

小田切監督の初戦(讃岐戦・4-0)で見せた、シュート20本という攻撃陣の跳梁はこの日も健在であり。
前半6分の柴田のミドルシュート(ゴール右へ外れる)を皮切りに、7分には松岡のドリブルから、中央でパスを受けた柳下がミドルシュート。(ブロック)
直後のコーナーキックからも、クリアボールを松本雄がダイレクトでミドルシュート(GK松本拓セーブ)と、遠目からでも果敢にゴールを狙う意識が旺盛という所を見せ付けました。
サイドハーフには松岡・マテウス(フォーメーションではFWとされていたがどう見ても左SH)とドリブル力に長けた選手を置き、そこからの仕掛けを軸とする事で他選手の動きも決まる、といった攻撃。
特に右サイド高目での柳下の攻撃の絡み方は素晴らしく、前述のミドルシュートのシーンにおける中央でのプレーを始め、積極的なパス&ゴーで崩しを図り活性化させ。

一方の岐阜、既に今季の昇格の可能性が無くなった挙句、スター選手の柏木が長期離脱とモチベーションが不安視される状況。
FWへの長いパスが中心の攻めで、中々形が作れないといった立ち上がりとなり。
しかしボランチの生地が上がり、ボールの引き出し役を務める事で徐々にボールの回りは改善していきます。

迎えた23分右サイドでのスローインから奥を取って繋ぐ岐阜、エリア内右でンドカが受け、ディフェンスに遭いこぼれた所を拾ったのはその生地。
すると富山・松本雄のスライディングに引っ掛かって倒れ、主審の笛が鳴って反則・PKを得る働きを見せました。
このPKを藤岡がゴール左へ蹴り込み、GK山田の逆を突いてゴールゲット。
先制点は岐阜に入りました。

気を取り直して反撃に掛かる富山、27分に右サイドで再び柳下を活かす攻撃、スルーパスを奥で受けてカットインからクロスを入れる柳下。
このグラウンダーのボールに安藤が合わせにいった所、GK松本拓に掻き出され惜しくもゴールならず。
しかし交錯した結果、松本拓が痛んでしまう事態が発生します。
幸い大した事は無いようで、プレーを続けた松本拓。
しかし29分に富山・柴田のシュートをキャッチした後、違和感を拭えなかったのか自らキックをサイドに蹴り出し。
傷?の確認のため小休止となりその容体が心配されたものの、結局は大丈夫という事で交代は無く。(なお放送席は気付いていない風で、飲水タイムと勘違していたようなコメントも)

そんな相手の状況でも富山は攻撃の手を緩めず(当然)、31分には右からのクロスを収めたマテウスがボールキープの末にシュート。
これもGK松本拓がセーブと、岐阜は中々松本拓への負荷を減らす事が出来ない展開となります。

しかし富山は中々ゴールを奪えず、このままでは焦りも生まれかねない状況に。
そんな中終盤を迎えましたが、その43分ついに試合を動かします。
ここも後方からのロングパスを柳下が受けて右サイドから形を作り、松岡が突破力を見せエリア内右を突き。
そして浮き球でマイナスのクロスを入れると、安藤が合わせてゴールネットを揺らし。
繰り返していた攻撃をついに得点に繋げ、同点に追いつきました。
尚柳下はボールを手放した後エリア内へ進入、クロスの際にはファーサイドに位置取っており、ここでも只のサイドアタッカーでは無い事を見せていた事を付け加えておきます。

その後岐阜が、窪田のドリブルで反則を誘い直接フリーキックを得。
これをキッカー庄司が直接シュートするも壁を直撃、という見せ場があったアディショナルタイム。
1-1のまま前半終了を迎えました。

ハーフタイムで両チームとも動きを見せ、岐阜は橋本・畑→三國スティビアエブス・富樫へと2枚替え。
富山は佐々木→末木へ交代。

交代を経て岐阜は、ンドカが左SHに回って富樫がFWに入るというポジション変更があったものの、大まかな流れは変わらず。
つまりは富山の攻勢が続けられる事となった後半の立ち上がり。

後半は川西が敵陣でボールの引き出し役を務めるシーンが増え、後方からのビルドアップでは地上・空中双方で長いパスを多用するといった富山の攻撃。
彼を警戒させつつ、出来たスペースを一発のパスで狙うという意識だったでしょうか。
後半7分には末木の縦パスを受けた安藤が中央からミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、フィニッシュの意欲は相変わらず旺盛であり。

守勢を強いられた岐阜は、11分に富山のCKからカウンターに持ち込み。
スルーパスを受けた窪田が右サイドをドリブル突破、そのままエリア内右を突くという攻撃でCKを得、CKからCKという絵図を形成した事で流れを押し戻します。
窪田のスピード・突破力を活かすのを軸として、彼と逆の左サイドではシフトしてきたンドカや交代で入った三國などで、人数を掛けてパスを繋ぐ攻撃が目立ち。
時には窪田まで左へ流れてパスを受けるシーンも見られ、それでややバランスが悪くなっていた感がありました。

一方の富山は両サイドにドリブル出来る選手が揃っているのが脅威となり。
15分には逆に岐阜のCKからカウンターに持ち込む富山、マテウスのドリブルを岐阜・生地が後ろから倒してしまい反則・警告、そして左サイドからのFK。
これをキッカー末木がニアサイドに放り込み、柳下がフリックと見せかけて触れず、スルーの恰好となりゴールに向かったもののGK松本拓が何とかセーブ。

そんなバランスの良い富山とは対照的に、アンバランスながらも強引に前進せんとする岐阜。
その意識の影響か、次第にロングボールに偏った攻撃になってしまい好循環を得られません。
時々ポジションを入れ替え、ンドカがFWに戻ったりしていましたが効果は無く。

迎えた29分、岐阜がプレスにいこうとした所を大畑が縦パス、受けたマテウスがボールキープで掻き回して中央へパスし、川西がエリア内へ送ったボールを受けたのは安藤。
これを岐阜・窪田が後ろから押す形で倒してしまうと、反則を告げる笛が鳴り、PKを得た富山。
逆ベクトルを突かれる形で、いかにもアンバランスさが生んでしまった決壊といった感じで、キッカーはマテウスが務めてゴール左へシュート。
GK松本拓は反応したものの届かず、ついに勝ち越した富山。
直後に川西→高橋へと交代します。

リードを奪われた事で、さらに強引さを増して攻める岐阜。
33分にはロングパスが左サイドの富樫に渡り、パスを受けたンドカがエリア内左へ進入してシュート。(GK山田キャッチ)
34分に藤岡→松本歩夢へ交代した直後、その松本歩のフリックから敵陣でパスを繋ぎ、エリア内左を取ったのちポストプレイも絡め中央へ戻し。
そして庄司のミドルシュートが放たれましたが、これもGK山田のセーブに阻まれます。

やっと作った好機もモノに出来ず……といった岐阜を尻目に、富山は36分に再度交代カードを切り。
功労者というべき松岡・マテウスの両SHを代え、吉平とアルトゥール・シルバを投入します。
これで高橋の1トップ・シルバがトップ下に近いような位置取りで、右SHが安藤・左SHが吉平といった前線に。(一方の岐阜も38分にンドカ→服部に交代)

37分に再度岐阜がカウンターで好機、右サイドから窪田がカットインから中央でシュート、ブロックされた跳ね返りを生地がシュート(ブロック)と連撃。
これでは終わらず、エリア内へこぼれたボールをさらに松本歩がシュートし、富山・柳下がブロックするもさらに詰めた富樫。
GK山田がブロックするもこぼれ球がゴールに吸い込まれ、同点かと思われましたが、(松本歩のシュートの時点での)オフサイドを取られてしまい幻に終わりました。

またも折角の決定機なのに……という流れを作ってしまった岐阜。
それを受けて富山は40分に止めを刺しにいき、左サイドで松本雄・吉平のパス交換に食いついた岐阜ディフェンスの裏を吉平がとって好機、高橋→安藤と経由してエリア内へ繋いでいき。
そして安藤がディフェンスに遭いこぼされた所を、すかさず拾ったシルバがシュートを放ってゴールネットに突き刺します。
終盤を迎えるという所で、勝利を決定付ける追加点を得た富山。
再びキックオフ前にカードを切り、柴田→ガブリエル・エンリケへと交代。

尚も富山が敵陣でサッカーを展開する一方、思い通りに攻撃が繋がらない岐阜。
イライラも表れるようになり、富山選手のドリブルを身体でぶつかるように止めにいくシーンが目立ち始め。
正直、ATに安藤のドリブルを後ろから体当たりで倒して反則を取られた三國にはカードを出すべきだと思いましたがどうか。

何とか一矢報いたい岐阜、最後に富樫のドリブルが(富山・末木に)反則で止められ遠目からの直接FKに。
しかし既にATの目安時間は過ぎ去り(5分)、決めても大勢に影響無いという状況で富山は壁を作らずという中、キッカー三國が放った直接シュート。
これをGK山田がセーブした直後に試合終了の笛が吹かれる事となりました。

これで3連勝と巻き返し、2位と勝ち点差5で残り6試合という大詰めを迎えた富山。
現場・フロントの執念を感じさせましたが、報われるときは来るでしょうか。

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TV観戦 天皇杯 第102回JFA全日本サッカー選手権大会準決勝 京都サンガFCvsサンフレッチェ広島

2022-10-08 18:24:11 | サッカー視聴記(2022年その他)

<京都スタメン> 3-4-2-1
GK マイケル・ウッド
RCB 荒木大吾 CCB 長井 LCB メンデス
RWB 山田楓喜 DH 三沢 DH 金子 LWB 田中
IH 宮吉 IH パウリーニョ
FW ピーター・ウタカ
<広島スタメン> 3-4-2-1
GK 大迫
RCB 野上 CCB 荒木隼人 LCB 佐々木
RWB 茶島 DH 川村 DH 野津田 LWB 柏
IH 森島 IH 満田
FW ドウグラス・ヴィエイラ

前回の天皇杯の記事ー 準決勝・甲府vs鹿島

直近の試合は4日前(31節・浦和戦、4-1)ですが、そこから殆どメンバーを弄らずこの試合に挑んだ広島。
リーグ戦ではDAZNマネー圏を維持(3位)しつつ、ルヴァンカップでは既に決勝進出を決めているという盤石ぶりを発揮しており。
そしてこの天皇杯でも決勝進出を決めれば、タイトル獲得にW王手を掛けると共に、賞金大量ゲットで薔薇色のオフを夢見る……となるでしょうか。
近い未来には新スタジアムの開場も決まり、それに併せるようにクラブのランクアップを果たせれば……といった今季終盤戦。

そんなタイトルを目指す広島と、リーグ戦の事も考えながらの戦いを強いられる京都との一戦。
ターンオーバーを強いられた京都を尻目に攻勢に入る広島。
前半4分に柏が、5分に森島がシュート(前者はブロック・後者は枠外)と立ち上がりからゴールに迫り、8分間で3本コーナーキックを得るなどセットプレーでも押し込み。
そして10分過ぎからはボール奪取から好機を生み出すなど、三方良しといった感じでペースを握ります。
11分には佐々木が前に出てボールを奪い、森島の戻しを再度受けた佐々木からエリア内へ浮き球が送られ、満田の落としを経てヴィエイラがシュート。(ゴール右へ外れる)

成績面が示すように好調の広島、上位クラブらしくポジションの流動性を見せて攻め上がり。
シャドー同士のポジションチェンジを経て、右に移った満田がさらにワイドに張り、それに伴いウイングバックの茶島が中寄りに移るという具合に良く仕込まれている印象を受けました。
直前の鹿島の試合を観たのもあり、尻すぼみとなっている鹿島とは雲泥の差、と言っては失礼に値するでしょうか。

試合の方は、お互いプレッシング意識旺盛でかつミラーマッチという、スペースが殆ど無いのがデフォルトという布陣での対戦。
それ故にポジションチェンジを絡めて好機を作る広島の攻めが光るといった展開で、逆に京都は広島のプレッシングを中々跳ね除ける事が出来ず。
22分の京都はGKウッドからショートパス攻勢を始めて右サイドで繋ぎ、宮吉の三沢へのパスがズレたものの、これが怪我の功名となり拾ったメンデスのロングパスで前線へ脱出。
左サイドで受けた田中がカットインを経てミドルシュート、ブロックされてCKと、目に見える形で好機を生み出しました。

しかしその後は上位クラブかつベストメンバー・下位クラブかつサブ中心のメンバーという図式から生まれる、戦力差を覆す事が出来ず。
プレスで詰まり、パスワークで押し込まれるという流れに押しやられた京都。
27分には長いパスワークを経てヴィエイラがエリア内右からシュート(GKウッド足でセーブ)、32分には満田がミドルシュート(GKウッドセーブ)と、GKが大忙しという状況に。

迎えた34分、右サイドを茶島がドリブルで持ち上がり、野上経由でボールを受けた満田がカットインでエリア内右を突いてクロス。
これを京都・メンデスがブロックしゴールラインを割り、CKかと思われたもののメンデスの腕に当たったとして審判団はVARチェックに入ります。
そして長い確認を経てOFRまで行われた結果、メンデスの腕が開いていたとの判断を下し、判定変更でハンド・PKのジャッジに。
長いインターバルとなったものの、キッカーはヴィエイラが務めた広島。
ヴィエイラはゴール左へ蹴り込み、GKウッドは反応したものの届かずゴールに突き刺さり。
実力差を表すような先制点を挙げました。

反撃したい京都は、42分に左からのクロスをウタカが合わせる(枠外)場面を作りましたが、状況は厳しく。
44分の荒木大の(佐々木への)アフターチャージによる警告を境に、再び広島が攻め続ける展開に入ります。
リードしている状況もありボールポゼッションを優先しつつも、隙あらばスルーパスで裏を突いてゴールを狙うという立ち回りで京都を自陣に釘付けにしていくアディショナルタイム。
結局2点目は奪えずも、ペースを保ったまま前半を終える事となりました。

共に交代は無く迎えた後半。
京都は依然として戦力差が響く厳しい状況で、前へベクトルを向けるものの、裏目に出るように警告を量産。
後半2分にウタカが再び佐々木へのアフターチャージで反則・警告を受けると、5分には反則を犯したパウリーニョが、あろう事かFKを蹴ろうとした広島・川村を押し倒すように妨害。
見た目上は退場になっても可笑しくないような、余分な警告を受ける破目となりました。

直近のリーグ戦での鳥栖の試合を彷彿とさせるスペースの無さに、攻撃陣のイライラも募りがちな京都。
しかし6分、空中戦を経てパウリーニョがボールキープし、広島のゲーゲンプレスをかわして右サイドで攻撃。
荒木の前進からの三沢とのパス交換がこぼされた所をウタカが拾う好機となり、スイッチを経て金子がシュート。(枠外)

1本フィニッシュを放った事で反撃の橋頭堡としたい京都。
対する広島は、10分にヴィエイラが(京都・荒木大のチャージで)足を痛めた事で交代の措置が採られ。
その間に数的不利での戦いを強いられた事で、ベストメンバー故の弱点、つまりフィットネス面が顔を出す格好となったでしょうか。
13分にようやくナッシム・ベン・カリファを投入する広島。

一方の京都も16分にパウリーニョが足を痛め、ピッチ外に退いたもののこちらはプレーを続行。
迎えた19分、金子が敵陣で反則気味にボール奪取、こぼれ球がウタカに直接渡ってショートカウンターの好機。
ドリブルでエリア内に進入したウタカ、広島DFをかわしてシュートを放ちましたがGK大迫のセーブに阻まれます。
しかし徐々にデュエル勝負で有利になってきた事が示される一幕で、その後京都らしいプレスの強さ・切り替えの速さで流れを呼び込みます。
その間の22分に山田楓・パウリーニョ→井上・イスマイラへと2枚替え。(荒木大が右CB→右WBへとシフト)

運動量が落ちた様相でも、攻撃の際は変わらずにパスワーク・ポジションチェンジを駆使する広島。
それを凌ぎつつの京都の攻撃は、GKウッドのロングフィードで一気に前線へ送る割合が増えていき。
そしてフィットネスでの有利さを活かし、セカンドボールをモノにしてから仕掛けていきます。
さらに有利を固めるべく矢継ぎ早にベンチも動き、27分に田中・宮吉→植田・中野桂太へと2枚替え。
そして31分にはウタカを諦め、川﨑を投入してかつ三沢が一列上がりシャドーへシフトと、5人の交代を使いきりました。
その中で、2種登録の植田の突破力がやや脅威となり。

広島にとっては、徐々に京都の強さに押される展開を受け、2点目を得る事で楽になりたい状況。
それ故に最初の交代以降も、それを果たすべくレギュラー陣を引っ張る選択を採ったでしょうか。
30分に京都のミスで好機が生まれ、野上のミドルパスに対してメンデスがクリアミス、拾ったカリファが右サイド奥を突き。
そしてエリア内の満田へパス、カットインで中央に流れてシュートした満田でしたが、京都・三沢がスライディングでブロック。

ここに来てミスによる失点は致命的という他無いですが、何とか防いだ京都。
すると34分広島のフリーキックからの攻撃を切り、カウンター気味に仕掛ける京都、右サイドで荒木大がドリブルで持ち運び。
ディフェンスに遭うもこぼれ球がエリア内へ転がり、すかさず拾いにいったイスマイラ、ダイレクトでのヒールパスを選択。
これに意表を突かれたか、カットに入った広島・荒木隼がコントロールを誤り、さらにこぼれた所をイスマイラがシュート。
豪快にゴール上部に突き刺さり、相手に生まれたミスを突く形で同点に追い付きました。

一方直前に2枚替えの用意をしていた広島、その矢先の同点劇。
それでも変える事は無く、直後に森島・茶島→エゼキエウ・住吉ジェラニレショーンへと交代します。(野上が右CB→右WBへシフト)

息を吹き返した京都、その後もGKウッドからのロングボールやカウンターを目立たせる立ち回り。
対する広島も目の色を変え、攻撃権を支配していくもフィニッシュは生み出せず。
次第にデュエル合戦の色も濃くなり、それにより生まれる主審の判定も際どいものとなり。
倒されたにも拘らず反則無しというシーンにベンチがヒートアップするなど、熱戦さながらの様相に。
しかし勝ち越し点は生まれる事無く、1-1のまま後半終了・延長戦への突入を告げる笛が鳴りました。

既にカードを使いきった京都も、試合が続く事で1枚新たに加わりますが、頭からの交代は行わず。
広島サイドも交代は無く、延長戦開始を告げる笛が吹かれます。

小休止が挟まれた事で、プレッシング合戦という様相での立ち上がり。
お互いにプレッシャーをかわすように速いパスで前線に送るも、その分精度を欠いて繋がらずのトレードオフ。

そんなシーンが続いたのちの延前5分。
最終ラインでの繋ぎで一息つく広島でしたが、そこから住吉縦パス→エゼキエウフリックで変化を付けると、カリファが抜け出して受けて一気にエリア内へ進入する事で迎えた絶好機。
放たれたカリファのシュートがゴールに突き刺さり、勝ち越し点を奪った広島。
一瞬のスピードアップで緩急を付け、前に意識がいっていた京都ディフェンスは見事に隙を突かれた格好となったでしょうか。

その後反撃に転じる京都ですが、後半の終盤同様に、主審の判定に不満を表すシーンが目立ち。
10分にエリア内でのハイボールでイスマイラと佐々木が競り合い、イスマイラがヒートアップし反則を猛アピールしたものの、齎されたのは異議による警告に終わります。
ここで空回りのシーンを見せては、反撃の機運も高まる事は無く。
11分にベンチが動き6人目の交代、インアウトで植田が退き、代わって入ったのは麻田。
布陣変更もチラつくカードながら、麻田がそのまま左WBを務めました。

時間が進み、フィットネス面での有利さも失いつつあった京都。
以降延長前半は広島ペースで試合が進み、13分にはロングパスのセカンドボールを拾ってから敵陣でパスワーク、満田がエリア内左を突いてシュート。(ブロック)
京都は中々形を作れず、自陣からのFKでもGKウッドが放り込むという手法に頼らざるを得ない状況。

1-2で延長前半を終え、そのまま後半へ。
京都は最後の手段として、投入した麻田をFWへと上げる策を採ります。
<延長後半頭~延長後半7分までの京都> 3-3-2-2?
GK ウッド
RCB 井上 CCB 金子 LCB メンデス
RWB 荒木大 DH 川﨑 LWB 長井
IH 中野桂 IH 三沢
FW 麻田 FW イスマイラ
まさにパワープレイという感じでしたが、メンデスの疲労に伴い最中に再度布陣変更。
<延長後半7分からの京都> 3-3-2-2?
GK ウッド
RCB 井上 CCB 長井 LCB 麻田
RWB 荒木大 DH 川﨑 LWB 三沢
IH 中野桂 IH 金子
FW メンデス FW イスマイラ
慌ただしく入れ替わりましたが、メンデス最前線の方が(前年の甲府を知っている身としては)収まり良く感じました。

必死の布陣で同点を狙う京都に対し、広島のパスワークが冴え渡る展開に。
疲労困憊のなかボールを奪わなければならない京都ディフェンスをいなしつつ、隙あればポケットを突く攻撃という、強者の立ち回りを見せていきます。

しかし延後5分にロングボールを収めにいったイスマイラが反則を受け、FKでの放り込みによる京都の攻撃。
クリアされたボールを空中で繋いでいき、イスマイラの落としからメンデスがシュートするもブロック、跳ね返りをさらに川﨑がミドルシュート。
これもエリア内でのブロックに阻まれ、パワープレイで押し切る事は出来ず。
それでもこれを境に攻守は入れ替わり、7分にはあろう事かGK大迫のパスミスによる京都の好機。
慌てた広島のディフェンスを受けつつもエリア内中央へ運び、中野桂のシュートまで繋げたものの枠を捉えられず。

試合終了も近付く中、10分に乾坤一擲の攻撃を見せる京都。
広島の攻撃を断ち切り、後方でプレスをかわすパスワークを経て金子から右サイド裏へロングパス、走り込んだのは川﨑。
そして上がったクロスを合わせにいったのはDFの井上と、後方のポジションの選手の猛烈な上がりで放たれたヘディングシュート。
しかしGK大迫のセーブに阻まれ、これでもゴールを破る事は出来ず終わります。

以降もセットプレーの際はGKウッドが前線に上がるなど、必死の攻めを見せた京都でしたが、苦しさは隠せず。
広島は残っていた交代カードを切り、14分に満田→松本。
ATにはエゼキエウ→ピエロス・ソティリウと、投了を迎えるべくメンバーを代えていきます。
そして突入したAT、右サイド奥でボールキープする体勢を作る事に成功した広島。
無事に時間を使いきり、1-2で勝利に辿り着きました。

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TV観戦 天皇杯 第102回JFA全日本サッカー選手権大会準決勝 ヴァンフォーレ甲府vs鹿島アントラーズ

2022-10-07 16:01:35 | サッカー視聴記(2022年その他)

<甲府スタメン> 3-4-2-1
GK 河田
RCB 須貝 CCB 浦上 LCB エドゥアルド・マンシャ
RWB 関口 DH 石川 DH 山田 LWB 荒木
IH 長谷川 IH 宮崎
FW 三平
<鹿島スタメン> 4-4-2
GK クォンスンテ
RSB 広瀬 CB 関川 CB 三竿 LSB 安西
RSH 樋口 DH ディエゴ・ピトゥカ DH 名古 LSH アルトゥール・カイキ
FW 土居 FW 鈴木

前回の天皇杯の記事ー 準々決勝・福岡vs甲府

苦しみながらも勝ち抜いて来た下位カテゴリのクラブ相手に、巨大な壁として立ち塞がる鹿島……というのは一昔前の話でしょうか。

ここ数年は国内タイトルとは無縁で、今季も優勝の可能性はこの天皇杯を残すのみ。
それだけならばまだしも、秋口から就任した岩政大樹監督の口から「常勝軍団の看板は降ろしていい」という旨のコメントが放たれるなど、何処と無くタイトルへの執着が失われつつある現状の鹿島。
ポゼッションスタイルに取り組んでいる最中(この日も放送席で幾度も語られていた)との事ですが、それは前年途中までにアントニオ・カルロス・ザーゴ氏が取り組んで頓挫した道でもあり。
結局そこに回帰してしまうのならば、ザーゴ監督のまま続けていた方が良かったのでは無いかという疑惑も生まれてしまうものですが、ともかく目の前に迫ったトーナメントを戦うしかないのが現場。
既にJ1クラブを3つ撃破する快挙を成し遂げており、更なる上積みを図る甲府相手に、そんな守りの精神状態ではいかに名門・鹿島といえど呑まれてしまうのではという不安を抱えながらのキックオフだったでしょうか。

その相手の甲府も、天皇杯を勝ち上がってきた代償は決して小さくありません。
前回の福岡戦の直後、中2日で挑んだ35節・大宮戦は、大幅なターンオーバーを余儀なくされた末に下位相手に完敗(0-3)で終わってしまい。
そこからリーグ戦では敗戦を続け、それを修正せんとフォーメーションも4バックへと弄る(4-1-4-1)など四苦八苦。
リーグ戦は残り3戦という段階で、未だ降格の可能性を残して挑む事となったこの準決勝。
それでも歩みを止める事は許されず、リーグ戦の前試合(39節・栃木戦、0-1)から1人入れ換えのみ(ウィリアン・リラ→三平)という、ほぼベストメンバーのスタメンを選択。

「勝利のためなら何でもやる」というのが、傍らからの鹿島のイメージ。
しかしその意識にナイーブになっていたのか、甲府は立ち上がりからラフプレーへの傾倒が目立ち。
特に鹿島・鈴木と対峙する事が多かった須貝は、彼を腕で止めに掛かるシーンが目立つなど、リーグ戦で裏を突かれる事が多い自身の弱点を隠すかのようにそんなプレーに染まってしまっていたでしょうか。

前半8分、鹿島のパス回しに対し今度は宮崎が鈴木に対してアフターチャージし反則。
これで右サイドからのフリーキックを得て、放り込みの体勢を作ったという所で審判団にトラブルが発生。
無線機の異常が起こったらしく、どうにかカバーせんと4人で協議を始め、一旦再開の運びとなったものの再度中断とせわしなく動き回る事となってしまいます。
結局5~6分程時間が費やされ、スタジアムの熱気も逸らされたような形になって再開。

鹿島は事前の情報の通り、以前よりボールポゼッションを高め、最終ラインから攻撃を組み立てていく立ち回りを貫き。
しかしそのままの状況では甲府ディフェンスの前に中々ボールを前に運べず、それをカバーするのが鈴木のポストワーク。
どんな場所にも降りて来てボールの出し入れを務めるその姿は、2020年の磐田・ルキアン(現福岡)がフェルナンド・フベロ氏の下でプレーしていたスタイルを彷彿とさせます。
しかしこうしたギャップを作らなければボールを運べないというのが、いかにも岩政監督が就任して日が浅いチームという現状を醸し出している風でもあり。
そして鈴木が下がる事により前線の火力が不足する、という表裏一体の欠点も付いて回る事となります。

ボールは支配するものの決して良好とはいえない。
そんなチーム状況を指し示すような鹿島の攻撃を尻目に、甲府はしっかり守りつつ相手の隙を伺うサッカー。
しかし普段のリーグ戦では主体的な攻撃を繰り広げているチームなので、それはカウンターと同意義という訳では無く。
20分、ゴールキックから短く繋いで右サイドで前進、鹿島の速いプレッシャーを受けつつも逆サイドで展開。
一旦は荒木のクロスが跳ね返されるも拾って継続、緩いパスワークを経て長谷川の縦パスで変化を付け、受けた三平のシュートが綺麗にゴールネットを揺らしたもののオフサイドでノーゴール。
このシーン以外にシュートは皆無だった(公式上オフサイドで取り消しなので実質ゼロ)ものの、相手に番狂わせの可能性は十分突き付ける事が出来たでしょうか。

33分にようやく記録上の初シュートを放った甲府(長谷川がエリア内中央からシュート・枠外)ですが、その間にパスミスから危機を招いたり、カウンターから鈴木のミドルシュートが炸裂(枠外)したりとJ1相手に苦戦は隠せず。
鹿島はいけるという手応えを感じたのか、36分にこの日初めて3枚での最終ラインでのビルドアップを取り始め。
そしてサイドバックを前に行かせる事で、3-1-6というような形を取る攻撃時の布陣。

しかしその矢先の37分でした。
甲府は最終ラインから右で前進する姿勢を経て、一旦戻したのちに最後方の浦上から一気にロングパス。
これが綺麗に鹿島最終ラインの裏を取った宮崎に渡り、そのままGKと一対一に持ち込み、クォンスンテを右にかわしてからシュートを放った宮崎。
大金星への道筋となるべき先制点を挙げました。

押し込む姿勢を見せた途端、ビハインドとなってしまった鹿島。
その狼狽ぶりは、以降ひたすら裏狙いのロングパスに終始する攻撃に表れ。
その消極的姿勢を甲府は見逃すはず無く、強まるプレッシングに対しビルドアップもままならなくなります。
そしてアディショナルタイムに突入するかという所で好機を作る甲府、最終ラインから鹿島のプレスをかわして攻め、右サイドでリーグ戦ではお馴染みの須貝・関口の二段構えでの前進からクロス。
合わずに流れるもエリア内左で荒木が拾い、浮き球でマイナスのクロスが入れられた所に長谷川が合わせ、鹿島・三竿のブロックでこぼれた所を宮崎が追撃のボレーシュート。
2点目か、と思われましたが今度はGKクォンスンテがセーブ。
前述の審判団のトラブルで長くなったAT、その後鹿島もシュートチャンスを作ったものの、流れを覆すには至らず。
1-0と甲府リードで折り返す事となりました。

挽回したい鹿島、ハーフタイムで交代カードに手を付け。
土居・名古→エヴェラウド・仲間へと2枚替え、樋口がボランチへと回る布陣変更も絡め、勝負を賭けにいきました。

先に好機を作ったのは甲府で後半3分、右サイドを須貝がドリブルで長く運んだ末に、エリア内でパスを受けた長谷川がシュート。
ブロックされてCKを得るも、そこからカウンターを招きかけた所で、カイキのドリブルを腕で止めてしまった荒木が反則・警告を受け。

甲府の流れを堰き止めた事で、以降ひたすらボールを握る展開へと入る鹿島。
しかしそのパスワークは右サイドに偏り、しかもエヴェラウドというターゲットを得た事が、皮肉にも早めのクロスへと傾倒していく意識を生んでしまいます。
甲府の守備はその右サイドアタックを防がんと、鹿島右SB広瀬に対しては宮崎がチェックにいく体勢を作り、数的不利を作られないような立ち回り。

ここから鹿島のポゼッションスタイルの日の浅さが露呈する事となったでしょうか。
シャドーが広がる事で、甲府の前線の五角形の内部を容易に使える体勢が出来上がったはずでしたが、鈴木もピトゥカも右サイドでのプレーばかりが目立ち。
相手ボランチを困らせる位置でボールを受けるシーンを増やせれば、また違った結果になった気がしてなりません。
11分には右サイドからの前進で鈴木がボールを受け、対峙する甲府・マンシャが外を切りにいった事でエリア内が空いたという場面がありましたが、鈴木の判断は手前からのクロス。(クリアされる)
ここでエリア内に切り込むという判断が出来ないのも、普段の落とし込みが足りていない風に感じました。
14分には再びの右サイドアタックですが、広瀬に対し宮崎が行かなかった事で数的優位となり、甲府はマンシャが左へ釣り出され。
そして戻しを経てピトゥカが中央へと流れミドルシュート(ブロック)という好機。
相手のプランAが崩れた時にはこうしたフィニッシュに持っていけていたので、やはり能動的な崩しの形が不足、といった鹿島の攻撃だったでしょうか。

それでも押し込み続ける事で、CKも数多く獲得し好機を作る鹿島。
22分には例によって右からの組み立てを経て鈴木がクロス、ファーサイドでエヴェラウドがヘディングシュートを放つもGK河田がセーブして左CKへ。
そのCKでも、ショートコーナーからのピトゥカのクロスからエヴェラウドがヘディングシュート(GK河田キャッチ)と、投入されたヘッダーを活かし甲府ゴールを脅かし。
クロスのこぼれ球から三竿がミドルシュートを放つ(24分、甲府・浦上がブロック)など、クロス攻勢の副産物も目立ってきたものの、こうした直線的な攻撃は甲府自身もJ2で嫌という程見て来た成果でしょうか。(近年はJ2でも、主体的な崩しを展開するチームが増加傾向ですが)
ゴールを与える事無く守り続け、鹿島サイドとスタンドの鹿島サポーターに不安を与え続けるに至ります。(この日は甲府ホームという扱いながら会場は鹿島のホーム・県立カシマサッカースタジアム)

そして28分に甲府も交代カードを切り、荒木と三平に代えて野澤陸とウィリアン・リラを投入。
須貝が逆サイド(左ウイングバック)に回るというお馴染みの手を打つ吉田達磨監督。(最近は4バック故勝手が違いますが)

一方の鹿島も31分にカイキ→松村へと交代。
直後の32分に、左サイドでその松村が奥へとドリブルしてクロス、クリアボールを拾った鈴木がミドルシュート(枠外)という好機。
今までの右サイド偏重とは毛色を代えた攻撃に、状況打破の期待が掛かります。
しかしチームの硬直性は根強く、その後も右サイドアタック偏重は変わらない鹿島。

37分に甲府・リラの反則で鹿島のFKとなった所で、甲府は再度選手交代、山田・宮崎→松本・鳥海へと2枚替え。
そのFKは右サイド中盤という位置ながら放り込みを選択した鹿島、キッカー樋口のファーサイドへのクロスを関川が折り返すと、仲間がディフェンスに遭いながらもこぼれ球を強引にシュートしてゴールへねじ入れ。
同点弾に喜びを露わにした仲間でしたが、オフサイドを採られてしまいぬか喜びに終わってしまいます。
折角辿り着いたゴールも無効となり、いよいよ焦燥感が隠せなくなってくる終盤戦に。

その後、サイドハーフの位置を入れ替え松村が右・仲間が左となったり、41分の広瀬→キムミンテへの交代でフォーメーションも弄るなど試行錯誤を重ねる岩政監督。
<後半41分からの鹿島> 3-3-2-2
GK クォンスンテ
RCB 関川 CCB キムミンテ LCB 三竿
RWB 松村 DH 樋口 LWB 安西
IH ピトゥカ IH 仲間
FW 鈴木 FW エヴェラウド
三竿が兄(三竿雄斗・現大分)よろしく、左センターバックから高目の位置を取り攻撃に絡むなど、最後の攻勢を掛ける体制に。

しかしイレギュラーな布陣が災いしたか、逆に甲府の攻勢を生んでしまう事となります。
ボールカットから敵陣へと攻め込み、鹿島が何とかそれを凌ぐというまさかのシーンの連続。
44分には自陣でのミスを甲府・石川に拾われ、そのままリラに際どいシュートを放たれる(ゴール上へ外れる)機器も招き。

その流れを覆せぬままATへと入り、その後も甲府はリラのポストワークを絡め、巧くボールキープで時間を使う体勢へ移る盤石の試合運び。
何とかそれを断ち切った鹿島、キムミンテも前線に上がり文字通り最後の攻撃に。
しかし既に頼みはロングボールという状況で、エヴェラウド目掛けたロングボールがこぼれた所を、そのキムミンテが拾ってシュート。
運気に恵まれない中での乾坤一擲といったフィニッシュでしたが、GK河田のセーブに阻まれ同点にはなりません。

最後はリラがロングボールを収め、左サイドでボールキープの体勢に入った所でとうとう時間が尽き。
試合終了の笛が鳴り響くと共に、歓喜に沸く甲府メンバー・スタッフを尻目に、茫然自失といった鹿島サイド。
とうとう無冠で終わってしまった事態を受け、試合後もサポーターと相当揉める事となったようですが、それはまた別の話。

J2クラブの決勝進出は2014年の山形以来の快挙と、あと一つという所まで辿り着いた甲府。
例え勝利したとしても昇格出来る訳では無く、かつ来季はACLに挑むとなるとさらなる並行日程に悩まされる事となるでしょうが、ここまで来れば……という思いは何物にも代えられず。
果たして戴冠が浮上を齎すのか、あるいは束の間の栄光に終わるのか……という危惧はまだ早すぎるでしょうか。

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