<前節からの変更>
甲府=1トップをウィリアン・リラ→三平へと入れ替え。リラが留め置かれたベンチには、新井と鳥海が復帰と明るい材料が次々と。
山形=左サイドバックが吉田朋恭→山田拓巳、右サイドハーフが横山→國分へと入れ替え、こちらは甲府とは違い2人ともベンチ外に。鈴木・川井が初のベンチ入りとなる。
ワールドカップの冬季開催に合わせるように、急ピッチで消化していくリーグ戦。
しかしそうした事情がウィルス禍には通る事は当然無く、感染拡大による被害はクラブによって様々であり。
活動停止を余儀なくされたクラブと、何とか試合に臨む事が出来たクラブ。
甲府は後者の典型例となり、開幕節から新井をはじめ、最低ベンチには居なければならない選手が欠場を強いられてしまいました。
そして岡山に完敗(1-4)した事で、マイナスからのスタートといった感じ。
それでも底辺から這い上がるには丁度良い、と前を向き前節に初勝利。(長崎戦・2-1)
対戦相手は冬が明けるまでの長期アウェーが今節で終了となる山形で、共に同成績(1勝1敗1分)で迎えたこの試合。
入りから山形が攻勢を掛け、前年同様に4-4-1-1の2列目という位置付けである山田康太が攻撃の軸となり、様々な位置でパスを受けてはその先へと展開。
しかし決定機を得た切欠はロングボールからで前半4分、山﨑のロングパスが一気に裏を取り、受けた藤本がエリア内右を突いてクロスの体勢に。
ブロックされて右コーナーキックを得ると、キッカー國分がニアサイドにクロスを入れると、藤本が合わせてヘディングシュート。
対角を突くシュートがワンバウンドでゴール左へと突き刺さり、早い段階で先制点を奪う事に成功します。
今季も初勝利は前半9分での得点(2節・熊本戦、3-0)で、前年もピーター・クラモフスキー監督の就任以降の17勝で、前半で無得点に終わったのは4試合のみ。
30分以内に時間を絞っても、10試合と過半数を占めており、早い段階での得点は山形の必勝パターンと言っても良いでしょう。
逆に、攻撃権を支配しながらも得点出来ずという展開をダラダラと続けてしまうと危険信号。(ただしこれはクラモフスキー氏就任以前からの傾向)
しかしこの日の相手は、同じく主体的な攻撃を展開する事が出来る甲府。
そのためこれ以降、「本当に必勝パターンなのか?」と疑うような展開となります。
前年のように最終ラインからのボールポゼッションに活路を見出し、ビハインドを跳ね返さんとする甲府。
監督が吉田達磨氏に代わってもそれが受け継がれる姿に、第三者の立場である自分は肩を撫で下ろすのですが、その姿勢を受ける山形にとっては苦しい時間へと突入します。
毎試合繰り広げられていた主体的な攻撃は何処へやら、といったシーンの連続で、何とかマイボールにしても甲府のゲーゲンプレスの前に攻撃機会を得れず。
甲府は1トップの変更が守備面で奏功したか、敵陣でボール奪取して攻撃に繋げるシーンを続発させ。
16分には左からのスローイン、直接エリア内に投げ入れるもこぼれ、中央エリアライン近辺で奪い合い。
三平が奪って甲府が制し、すかさず長谷川がシュートするも枠外に。
26分には中盤で松本凪生が奪い、山田陸を経由し長谷川へ渡るとそのまま左ハーフレーンをドリブルで進み、エリア手前でカットイン。
そして中央からミドルシュートが放たれますが、ゴール上へと外れ。
劣勢に追い込まれた山形、さらに追い撃ちを掛けられるように、直後に山田康太が倒れ込む事態が。
甲府の激しいプレッシングを受ける形となっていた山田康、足を痛めたという事で途中交代となってしまいます。
河合が投入され、同ポジションに入る事に。
予期せぬ変節となったのは相手も同様だったのか、にわかに山形のターンに、
右サイド重視の攻撃を展開するも、フィニッシュに辿り着けぬまま終了となり。
すぐさま甲府ペースに戻ったものの、それでも山形の攻撃権は落ち着きを齎す効果はあったようで、甲府もこの時間帯ではシュートを放てずに時間は進んでいきます。
例によって、ボール保持で優勢な方が劣勢に見えるという展開。
その間隙を突くように山形は41分、山田拓のロングパスを藤本が収め、ドリブルで前進。
ディフェンスにこぼされるも加藤が繋ぎ、中央で拾った藤田がエリア内を突いてシュート。(ブロック)
44分にも、河合とのワンツーでエリア内を突かんとした藤田(シュートまではいけず)、持ち味である藤田の抜け出しを使って好機を作る山形。
甲府の攻勢を凌いだ事で、ある程度の余裕が生まれていたでしょうか。
結局0-1のまま前半が終わり。
状況打破を強いられる甲府は、ハーフタイムに飯島→鳥海へと交代。
この日復帰した鳥海を早速起用してきた吉田達監督。
山形のキックオフで賽が投げられた後半、その鳥海が執拗なチェイシングを掛け、敵陣深めでボールを奪って幕を開け。
その直後には右サイドでドリブルする鳥海、山形・山田拓の反則を受けてサイドからの直接フリーキックに。
クロスはクリアされその後長くボールを繋いでの二次攻撃、左サイド奥で受けた長谷川の戻しから、野澤陸が果敢にミドルシュートを放ちましたが惜しくもゴール上へと外れ。
その後山形・國分のエリア付近でのシュート(5分・枠外)を挟み、6分に再度攻勢を掛ける甲府。
左ハーフレーン手前から松本凪クロス→ファーで三平ヘディングシュート(枠外)、その直後にも長谷川が敵陣深めでボール奪取。
そのままエリア内へと切り込んでいきますが、GK後藤のブロックでシュートは撃てず、尚もその後繋いで再度三平がヘディングシュートを放つも枠外に。
同点に追い付かんとする甲府ですが、前半とは打って変わって山形も一方的にはならず。
その後ペースを奪うと、8分に得た右CKから、二次攻撃で河合のロビングがエリア内右へと入り。
半田の折り返しから藤本がボレーシュートと、完璧な流れでしたがボールは惜しくもゴール右へと外れてモノに出来ず。
以降も山形がショートパスを繋ぐ主体的な攻撃を展開と、持ち前のストロングポイントを思い出したかのように攻め立てます。
しかしその攻撃の殆どが右サイドで、半田のオーバーラップを交えつつ、この日初スタメンとなった國分との関係性を中心に攻め上がり。
ボランチや河合を交えて人数を掛けて攻撃を作っていくも、偏りは隠せないといった感じでした。
不安要素は的中し、16分にパスミスを甲府・三平が奪ってショートカウンターを仕掛ける(シュートまではいけず)と、ペースまでも奪われてしまう事となり。
再度甲府がボール支配して攻め込む流れとなります。
それに従うかのようにベンチも動き、19分に荒木・三平→関口・リラへと2枚替え。(須貝が右ウイングバック→左WBへシフト)
一方再び押し込まれる山形は、22分に藤本が足を攣らせてしまい。
またもアクシデント混じりの交代となってしまう事となりました。(鈴木と交代、同時に國分→木戸へと交代)
半円状のパスワークから、両サイドをくまなく使う攻撃で敵陣でサッカーを展開していく甲府。
山形とは対照的だったものの、アクシデントもあり中央を固める体勢へとシフトしつつあった山形相手に、ややもすると「ボールを握らされている展開」が頭を過る状況でもあり。
すると26分に山形が、甲府CKを凌いだ直後にカウンターを発動。
GK後藤の素早いスローで敵陣を突き、鈴木がドリブルで前進。
左へのパスがややズレてしまい完遂出来ずも、エリア近辺で繋いだのち加藤がミドルシュート、ブロックされるもその後半田がシュート(ゴール右へ外れる)と甲府サイドを脅かします。
35分にもカウンターを仕掛ける等、しっかり守って攻撃はカウンターという意識へとシフトしたようであった山形。
全員山形陣内に入ってパスワークを展開する時間が増えるも、ゴールに辿り着けない甲府。
31分には松本凪→宮崎へと交代、ボランチの1枚を退かせ、長谷川がその穴へと入り。
意地でも得点を奪うという姿勢なのは明らかでした。
その後右サイドからのスローインを頻発させ、その流れでCKも得ていったものの、山形サイドの最終ラインも堅く。
無得点のまま時間が過ぎていきます。(36分には山本→新井へと交代)
終盤が近付くにつれ、ピッチ上の風が強まっていき。
風上の甲府にとって追い風となる事が期待されましたが、その後ロングパスが伸びすぎて繋がらない等、かえって突如の変化に対応しきれずといったシーンの方が目立ち。
39分に山形が加藤→岡﨑へと交代、ボランチに入る岡﨑。(南が2列目に、河合が左SHへシフト)
山形が守備固めの体制に入ったのは明らかで、何でも良いから切欠が欲しい、そんな状況へと追い込まれていく甲府。
そしてその切欠が、皮肉にも第三者から齎されます。
45分、左サイド奥を狙ったスルーパスに須貝が走り込み、山形・藤田との競り合いに。
両者腕を使って拾いにいった結果、藤田の反則となり甲府のFKに。
先に手を出していたのは須貝だっただけに、山形サイドは納得出来ない判定となりましたが、このCKに近い位置でのFKもモノに出来なかった甲府。(キッカー長谷川クロス→浦上ヘディングシュートも枠外)
万事休すかと思われたアディショナルタイム、再度球際の競り合いでの判定が幸運に働く事となります。
山形ゴールキックの跳ね返りを、リラがダイレクトで左へと送ると、そのボールに宮崎と半田が走り込み。
先に拾わんとした半田が宮崎に倒されると、ボールは宮崎のものとなりそのままGKと一対一に持ち込み、放たれたシュートはGK後藤の股を抜いてゴールへと転がり。
反則を告げる笛は鳴らず、土壇場での同点ゴールが生まれます。
完全に勝敗を分ける状況故、山形サイドの猛抗議せざるを得ないという気持ちは共感できるものがありましたが、結局得られたのは岡﨑への警告(異議)のみとなり覆る事は無く。
判定を味方に付けたかのように追い付いた甲府、尚も山形ゴールに迫り。
その最中に鳥海がエリア内に持ち込まんとする所をこぼされ、エリア内へ拾いにいった山田陸に山形・木村の脚が入るという一幕があり。
倒れ込む山田陸でしたが、流石に審判団も先程の判定の負い目があったのか、3度目の幸運は齎されませんでした。
結局1-1で試合終了となり、共に勝ち点5同士となった両チーム。
何とも消化不良な結果となった山形、次節ようやくホームでの開催が始まりますが、前年はそのホームゲームが大きな躓きの下となっただけに嫌な流れは払拭したい所です。