※前回のいわきの記事はこちら(24節・山形戦、2-1)
※前回の愛媛の記事はこちら(22節・熊本戦、0-4)
<いわきスタメン> ※()内は前節のスタメン
- 大森が累積警告により出場停止。
- 柴田がJ1・湘南から育成型レンタルで加入(J3・八戸からレンタル先変更)し、今節から登録される。
- 熊田がJ1・FC東京から育成型レンタルで加入。(ベルギー・KRCヘンクでレンタル終了、登録はまだされていない)
- 坂元が東北1部・ブランデュー弘前FCへ育成型レンタル移籍し、前節(秋田戦、2-0)をもって登録抹消。
- パクジュンヨンが双方合意の上で契約解除。
- 鏑木がJ3・八戸へレンタル移籍となる。(登録抹消はまだされていない)
- 加藤大晟(鹿屋体育大)の来季加入が内定し、同時に特別指定選手となり前節から登録され即途中出場、今節もベンチ入り。
- 加入内定していた山内(仙台大)が特別指定選手となり、今節から登録され即ベンチ入り。
<愛媛スタメン>
- 前節(徳島戦、0-1)退場となった石浦が出場停止。(2試合の1試合目)
- 浦がJ1・神戸から育成型レンタルで加入し、23節(群馬戦、0-4)から登録され以降毎試合途中出場を続ける。
- 山口竜弥が徳島へ完全移籍し、今節をもって登録抹消。
- 武藤(中京大)が2026年から加入内定し、同時に特別指定選手となり前節から登録される。
中断期間を挟み、本格的に昇格へ向けた戦いへと突入したいわき。
経験も予算規模も劣るなかで、クラブ一体とならなければ目標を達成するのは難しく。
編成面での動きは尚も活発で、この試合の前日に熊田の加入が発表される(今節には間に合わず)など、レンタルながら有力な補強を敢行して文字通りの一体感を生み出さんとしています。
その姿は、パワフルなフィジカルを前面に押し出して走り抜けるピッチ上のスタイルそのものといった所でしょうか。
「降格しないように戦う(感からの脱出)」という大倉智社長の理念がまさに現実化せんとしており、厳しいと言われていたJ2での戦いも2年で……という衝撃の展開は果たして実現するかどうか。
そんな文字通りのフィジカルモンスターと相対する事となった愛媛。
試合の入りは当然ながらロングボールによるプレス回避が中心となり、相手の脅威とともに、自身の出場停止・移籍が絡み大幅なメンバー変更を余儀なくされている苦しさを醸し出し。
しかし前半2分、そのプレスを受けつつのGK辻のフィードを菊地フリック→曽根田落としと繋ぎ、曽田が溜めを作ってのスルーパスを追い越して受ける曽根田。
そして右ポケットへ進入してシュート(ゴール左へ外れる)と、相手の隙を突いてあわよくば……という理想の展開が顔を出しかけます。
システム的には、愛媛は4-2-3-1時代からの名残である、右ウイングバックとなったパクゴヌを前に押し出しつつ尾崎がサイドバック化する(攻撃時)という可変式。
一方のいわきは、守備時に同じく右WBの加瀬がハイプレスに参加する事で、4-4-2の布陣で守る風にも見受けられ。
ともに右WBが肝となるようなシステムで、オリジナルフォーメーションと同様にミラーゲームの雰囲気を漂わせます。
しかし実際のピッチ上では、とにかく少ない手数で相手の裏を突くという攻撃が目立ち。
9分に愛媛のロングパスを跳ね返したボールを、山口がワンタッチで裏を突くミドルパスを送っていわきの好機。
収めた有馬が左ポケット奥まで切り込んでクロス、跳ね返りを拾い繋いだ末に、ミドルシュートを放ったのは最終ラインの堂鼻。(GK辻キャッチ)
アバウトな攻めから全体を押し上げた末のフィニッシュと、いかにもフィジカルで相手を押し込むスタイルに相応しい絵図となり。
対する愛媛はコーナーキックでのサインプレー(15分、ユイェチャンがエリア手前へライナーでクロス→菊地ボレーシュートもミートせず)などで対抗姿勢を見せるも、それが逆にいわきのセットプレー攻勢に屈する流れを呼び込んでしまったでしょうか。
以降CK、サイドからのフリーキック、五十嵐のロングスローをふんだんに使ういわき。
そして21分、クリアボールを拾った谷村のスルーパス一本で、最終ラインの裏を取った有馬がエリア内で受けるという手数の少なさ極まれる好機。
放ったシュートはGK辻にセーブされ、尚も拾い直して辻との一対一を継続させるも、撃てずにこぼれた所をクリアされ。
決定機も実らずとなる所を、五十嵐のロングスローで継続させ、ニアでの堂鼻のフリック(と思われたがDFに当たったボールが綺麗なフリックとなる形)を経て谷村がヘディングシュート。
ゴール右へと突き刺さり、パワーサッカーの神髄を如何なく発揮しての先制点に辿り着いたいわき。
追う立場となった愛媛、25分にトランジションの部分で曽田がボール奪取すると、拾った窪田のドリブルで一気に左ポケット奥を突くこちらも手数の少ない攻撃。
そして送られた低いクロスに、中央で曽根田が走り込むも僅かに合わずと鋭い槍を見せ付けた所で飲水タイムに突入します。
尚ブレイク明けに、いわきは左右のセンターバックの位置を入れ替え、前節と同じ堂鼻=右・石田=左という布陣に。
いわきの自陣深めからの左スローインで再開も、圧力を掛けて自身の右スローインに変えた愛媛。
そしてエリア内へ投げ入れたボールを窪田がワントラップからシュートに持っていき、ブロックされて右CKに。
キッカー・ユイェチャンのクロスを尾崎が合わせヘディングシュート(ゴール上へ外れる)と、セットプレーでやり返す流れを構築しに掛かり。
しかし流れの中では、依然としていわきの圧力に屈する絵図を変えられず。
以降全く攻撃機会を得れない展開に突入し、またもいわきが五十嵐のロングスローを使いながら攻め続ける状態に。
苦境ななか、37分には小川が最終ラインからユイェチャンとのワンツー→自身で持ち運びとそれを跳ね除けんとするも、逆に奪われて危機を招き。
ボール奪取した谷村のスルーパスを西川が受けて右ポケットへ切り込みと、またもスルーパス一本での好機が生まれる(すかさずシュートもブロック)という具合に、厳しさを拭えません。
このままでは大量失点で負けかねない所でしたが、39分にそれを塗り替える一撃が。
GKからの繋ぎで、いわきは(1トップの有馬以外)ハイプレスに出れない所を、石渡が持ち運びを経て最終ラインの裏を突くミドルパス。
そして走り込んだ曽田がエリア内からダイレクトでシュートを放つと、豪快にゴール左上へと突き刺さり。
まさにワンチャンスをモノにする格好で、同点に追い付いた愛媛。
スコアはイーブンになり、いわき圧勝の流れは堰き止められたものの、展開自体は変わらず。
直後の40分にロングパスのセカンドボールを拾いバイタルを突く好機となると、山口が右からのカットインを経て、ミドルシュートをコントロール重視で放つも枠を捉えられず。
44分には自陣左サイドで山口がパスカット、ゲーゲンプレスを掻い潜った末にサイドチェンジで加瀬に渡っての好機。
そして中央へ縦パス→谷村ポストプレイを経て、堂鼻が石渡と交錯しながらもキープを果たしてミドルシュートを放つも、ゴール右へと外れ。
相変わらず愛媛がいわきのスタイルへの対抗姿勢を示すなか、アディショナルタイムにはGK立川からショートパスで繋ぎプレスをいなす等、変節を見せに掛かるいわき。
その際左サイドで五十嵐がパスを引き出し、パクゴヌのアタックで倒されながらも繋ぎを果たすという具合に、本来の持ち味である(と個人的に思っている)ビルドアップ能力が顔を出し。
6節(山形戦、0-0)でも見られたその能力は、果たしてチームに更なる高みを齎すものとなり得るかどうか。
かくして同点のまま前半が終わり、共に交代無く後半に。
しかし接近する台風5号の影響か、30分頃から左→右方向への風が強まるという変化が起きていたピッチ上。
後半は愛媛が風上に立つ状況でのスタートとなりました。
それを利用したロングボール攻勢で、入りから優勢に立つ事に成功。
左サイド深めでのスローインに持ち込んだ早速の後半1分、ユイェチャンのクロスはブロックされるも、こぼれ球を繋いだ窪田が左ハーフレーンからミドルシュート。(GK立川キャッチ)
3分にもGK辻のロングフィード、これが曽根田の頭を越えるといういかにも風の影響を感じさせる絵図から繋がり、右ハーフレーンで拾った曽田がカットインを経てミドルシュート。
ゴール左へ惜しくも外れるも、立て続けのフィニッシュでムードを高めに掛かる愛媛。
しかし4分のいわき、前半終わり間際に見せた地上での繋ぎで敵陣へ持ち込むと、右サイドでパスを受けた加瀬が菊地に倒されて反則。
これが頭部に腕が入るというチャージで、いわきサイドはカード無しに終わった事で不満を露わにする一幕が見られると、このFKでの位置取りを巡っても五十嵐とパクゴヌがやり合い注意が与えられ。
そしてこのワイドからのFK、キッカー山下のクロスがニアに低く入ると、堂鼻が身を屈めての強引なフリックでゴール前へ浮き上がるボール。
そして有馬が跳び付くも合わせられず、乱戦となりましたが結局フィニッシュには繋がらず終わります。
それでも流れを変える効果はあり、前半同様のセットプレー攻勢で押し込むいわき。
7分に右奥からのスローインで戻しを経て逆サイドに運び、石田が左ハーフレーンから果敢にミドルシュート。
GK辻も虚を突かれて反応できずのフィニッシュとなるも、惜しくも左サイドネット外に終わり。
結局後半も、愛媛が押し込まれ続ける展開と化し。
入りの愛媛ペースも、所詮は風を味方にしての流れといった感じであり、9分にも敵陣からの戻しを経てGK辻のロングフィードが一気に最前線のパクゴヌへ。
そして右奥からダイレクトでクロス、ニアに走り込んだ曽田が受けるも収められずと、いわきのプレッシャーを掻い潜るべくの少ない手数と激しい上下動に頼った攻めを繰り返すしか無く。
直ぐにボールを相手に渡してしまい、必然的にいわきの攻撃機会も膨らむ事に。
12分に堂鼻のミドルシュート(枠外)、14分に加瀬のクロスから五十嵐がヘディングシュート(枠外)と、ひとしきりフィニッシュが重ねられ。
16分のいわきの攻撃、五十嵐のライン際での芸術的な浮き球の収めから、そのままラフに裏へとロビングを送るという、繊細さと強引さが重なったようなプレーからアタッキングサードでの展開。
左ポケットから石田クロス→有馬ポストプレイ→西川の流れは遮断されるも、右サイドで継続して加瀬の低いクロスがまたも有馬の下へ。
放たれたボレーシュートは谷岡がブロックして防ぐと、石渡が拾った事で一転愛媛のカウンターとなり。
しかしこの際も裏へのロングパス→跳ね返りを拾うという流れで、いわきの戻りを受けて窪田のミドルシュート(GK立川キャッチ)と、ボックス内を突くには至りません。
17分には石渡が有馬に頭部にチャージされ出血と、絵柄的にもいわきの圧力に傷付く格好となる愛媛。(石渡は20分に復帰)
その後もいわきの攻撃に晒される展開で、22分にはいわきの自陣からのFKで、生駒のロングパスが直接エリア内の有馬に収まるという好機に。(その後のシュートは枠外)
常に集中力が試される厳しい状況を強いられます。
25分となり飲水タイムには格好の時間帯となった所で、いわきベンチが動き西川→加藤大。
しかしここでは挟まれず、その後いわきの攻撃が途切れた所でようやく挟まれ。(26分)
明ける際に愛媛ベンチも動き、曽根田・窪田→舩橋・茂木へと2枚替え。(舩橋がFWに入り曽田がシャドーに回る)
文字通り流れを変えに掛かったものの果たせず、押し込んだいわきは五十嵐のロングスローで立て続けにボックス内を突きに掛かり。
その2本目、クリアボールを繋いで舩橋がドリブルに入った事でカウンターに持ち込む愛媛ですが、またもいわきの戻りを受け遅攻に持ち込まれ。
何とか右ポケットに曽田が切り込むも、クロスを跳ね返されると逆にいわきのカウンターを誘発し、縦パスを受けた加藤大が中央をドリブル。
これをユイェチャンが彼を倒して止めるも、反則無しという結果に再度いきり立ついわきサイド。
矢印が常に前を向いているような相手だけに、乱戦に持ち込んで何とか決められれば……というのが愛媛の思惑だったでしょうか。
30分、ロングパス→跳ね返りを拾っての敵陣からの攻撃で、右奥からパクゴヌがカットインでポケットへ進入。
そしてマイナスのクロスに石渡がニアで合わせるという、先程のシーンで冷静さを欠くいわきの隙を突くような好機が生まれましたが石田がこれをブロック、更に曽田が拾うも撃てずに終わり。
ゴールしか観てないというような、終始攻勢を見せるいわきでしたが、32分に加瀬が足を攣らせてしまい。
流石にここではボール保持から戻してストップさせに掛かり、担架で運ばれる加瀬に代わって坂岸が投入されます。(五十嵐が右WBに回る)
推進力に長けた加瀬が退いたものの、展開は大きく変わらず。
相変わらず攻め手に欠く愛媛に対し、36分にはそのロングボールをクリアした谷村が、加藤大のフリックに走り込んでそのままダイレクトでエリア内へスルーパス。
有馬が走り込んで決定機になりかけた所を、ユイェチャンが戻って何とかクリアと、乱戦の負の影響が露わになり始め。
そして37分、いわきは最終ラインからのパスワークで右へ展開したのち、五十嵐がサイドを突破してクロス。
ニアで跳び込んだ有馬には合わずも、その奥でクリアにいった谷岡がミート出来ず、逆方向にボールが向かった結果左ポスト内側を叩いてゴールイン。
積み上げられたダメージが、最後はオウンゴールという形で現れる格好となりいわきが勝ち越しに成功しました。
ここから点を取らなければならない愛媛、38分にパクゴヌ・曽田→浦・佐藤へと2枚替え。
パクゴヌが退いても、攻撃時に浦が最前線まで上がるシステムは継続し、何とか活路を見出さんとします。
依然として苦しい状況で唯一の決定機は42分に訪れ、右からの前進と見せかけて中央を狭い距離間のショートパスで繋ぎ、菊地がエリア内を突いて好機到来。
そして佐藤が左ポケットへ流れ、ヒールパスからユイェチャンのクロスが上がると、クリアが小さくなった所を中央で舩橋が収め。
そこにすかさずスイッチのように茂木が跳び込んでヘディングシュートを放ちましたが、ゴール右へと外れてしまいモノに出来ず終わってしまいました。
(直後に菊地→谷本へと交代)
その後も諦めずに攻める愛媛でしたが形にならず、そのままATへ突入。
いわきが着実に時間を使っていくなか、ライン際で谷村が足を攣らせて倒れ込み、そのまま交代準備が出来ずピッチ外へ出る事を余儀なくされ。
しかし10人のままボール保持し、五十嵐が茂木のチャージを受けて反則・警告と、このアクシデントにも冷静に対応。
そしてブワニカを投入すると、そのブワニカが敵陣奥でボールキープし時計の針を進めていくという具合に、勝利への進軍を崩さないいわき。
結局愛媛が一度も好機を作れないまま、試合終了の笛が鳴り。
しっかりとホームで勝ち点3を確保したいわき、昇格圏外での最上位(7位)に着けるその立ち位置は、他の上位クラブからさぞ不気味に映る事となる……といった所でしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます