<両軍スタメン>
ここまで後半戦は3勝3分3敗と、全くの五分(?)の数字を残している新潟。
J2で培ったポゼッションスタイルも、強度の高いJ1クラブの格好の餌食とされてきながら、何とか踏ん張りを見せているといった所でしょうか。
この日もハイプレスを掛けて来るガンバが相手。
最終ラインにはベテラン・千葉がスタメンに復帰し、ボールを握る下地はある程度整った感があり。
そこからボールを持ってサイドに開いた秋山の縦パスを中心に組み立てて前進の姿勢を作る立ち上がり。
前半6分にはその秋山が右へと流れたのち、託された新井のスルーパスで一気に前進。
受けた長谷川が右ポケットを突いて中央へ横パスを通すも、受けた長倉は佐藤のディフェンスに遭い撃てず。
一方それに対抗するガンバ。
4分に敵陣左サイドで山本がボール奪取し、溜めを作ったのちエリア内への縦パスで好機を生み出し。
新潟サイドも素早く守りを固めるなか、受けたアラーノは左へ展開→(黒川の)クロスを選択し、収めたジェバリのポストプレイからダワンを経由してシュートチャンスが巡って来たアラーノ。
しかし放たれたシュートは千葉にブロックされて実らず。
ハイプレスを敢行して深めで奪っても、新潟は自陣に人数を掛けて確実に繋ぐタイプのビルドアップなので、ショートカウンターのケアもまあまあなされているといった感じであり。
そのため最終ラインへのチェイスもそこそこに、ボランチを切る姿勢へと移す(守備時の)2トップ。
主にアンカーの役を務める高をジェバリが、その周囲で動き回る秋山をアラーノがチェックする形で対応します。
他にガンバが目立ったのが縦パスのケア。
特にスペースへの浮遊を持ち味とする長倉への対応に非常に気を使っているという印象で、彼がポジションを取るであろう場所に先んじて山本・ダワンが立ち塞がるように位置取り。
こうなると後は降りて来る鈴木孝頼みといった新潟のパスコースであり、次第に攻撃リズムを掴めず停滞していきます。
そんな対策を受け、13~26分までの間新潟は攻撃機会を得れず。
それでもこの試合のような、無理に縦パス→フリックを通そうとして自滅する事は無く、スコアレスを保ちます。
しかしその間にも、先制したいであろうガンバの強烈な攻撃を受ける事に。
15分、GK東口の縦パスを受けにいった山本に秋山が喰い付いたのを突き、戻しからの東口のフィードで前進。
中央を進むアラーノのパスがこぼれた所を、ジェバリが反転しながらミドルシュート。(ブロック)
22分にはコーナーキックから、クロスは跳ね返されるも尚も繋ぎ、左から食野がカットインしてミドルシュート(ブロック)と個の力を発揮して遠目からでもゴールを脅かし。
やっと新潟が好機を得たのが26分で、新井→長倉への縦パスがカットされるというガンバの対策に嵌るも、すかさず長倉が奪い返してアタッキングサードに運び。
長谷川グラウンダーのクロス→鈴木孝ポストプレイで長倉が受ける好機となるも、山本の反則気味のディフェンスで撃てずに終わると、ガンバのカウンターが炸裂してしまいます。
黒川ミドルパス→アラーノ胸で落としでゲーゲンプレスもいなされ、ダワン→食野→ジェバリと経由してエリア内へ運び、ボールキープを経てアラーノにラストパスを送るジェバリ。
そして再度アラーノのシュートが放たれるも、新井がブロックして何とか防ぎます。
これを機にガンバがボールを握る展開へと完全に移り。
佐藤を起点としたショートパス重視の前進と、相手のお株を奪うスタイルで何度も好機を作ります。
しかしこれで、「ポゼッションスタイルのチームが、相手の一矢に脅かされる」傾向まで移ってしまったでしょうか。
34分に新潟はその一矢(といっても最終ラインからのショートパスでの前進からでしたが)を放ち、細かく繋いだ末に小見がミドルシュート。
これが左ポストを叩いて枠外となる際どいフィニッシュとなります。
長倉狙いの縦パスが対策されていると解った(であろう)新潟。
形を変えて、アンカー高の両サイドやや前方に秋山・長倉を配置する定型へと移行して出口を作りに掛かり。
39分にはその長倉に福岡が喰い付いた事で、そのスペースへデンが一気にロングパスを通し。
受けた小見がエリア内を突くも、佐藤の対応で撃てず。
40分に今度は長倉がデンの裏へのロングパスに走り込み、セカンドボールを繋いで好機を作り。
左サイドを繋いだ末に小見からクロスが入り、前線に居た長倉がボレーシュートを狙いましたがジャストミート出来ずに終わります。
終盤には、アラーノのチェックを避けるように秋山が最終ラインへ降りる等、相手の対策への対策を混ぜてあくまで繋ぐスタイルを貫く新潟。
ボールポゼッションを取り戻し、その間にも受けるガンバの攻撃も凌いだ末に、スコアレスでの折り返しとなりました。
ともに交代は無く、迎えた後半。
早速の後半1分に新潟の攻撃で、右サイドからの前進で秋山が奥を突いた事でCKを獲得と、変化の兆しが見られ。
3分には高が右サイド奥でボールを持つ(福岡のディフェンスで奪われる)など、ボランチが果敢に攻撃に絡む姿勢で均衡を破らんとしたでしょうか。
そうして敵陣で人数を掛けての繋ぎから、小見がボックス内でボールキープするシーンを頻発させるもののシュートには持ち込めず。
しかしそんな組織力も、得てして圧倒的な個の力に破られる危機の方が強く。
7分にダワンのボール奪取からガンバの攻撃、アラーノが右サイド裏へミドルパスを送り、奥で受けた食野がカットインからシュート。
ブロックに当たって右サイドネット外となり、尚もCKから佐藤がヘディングシュート(ゴール左へ外れる)と立て続けにフィニッシュを浴びてしまい。
一気に攻勢に持ち込むガンバを前に、10分にはボールを持つダワンに対して複数でチェックにいくも、秋山が反則を犯し。
ダワンが倒れた所にさらに奪わんとした高が追い撃ちのようにチャージした事で、ダワンの激昂を招く事態となってしまいます。
その側にいたアラーノもヒートアップする状況で、たまらず他選手が入り乱れて止めに入り。
この迫力に新潟は色を失ったか、以降攻撃は殆ど繋がらなくなり、ロングパスによる打開も実らずと退潮著しくなります。
今度こそその隙を突きたいガンバ。
16分に佐藤縦パス→ジェバリポストプレイで左へ展開し、倉田が前進ののちクロス。
跳ね返されるも拾ったアラーノがミドルシュートを放ち、ドライブ回転が掛かったボールをGK小島がセーブと何とか凌ぐ新潟。
しかしその後もCK攻勢に晒されて一向に光明が見えて来ず。
そして18分、右サイドで上がった高尾にロングパスが渡ると、ここから長らくアタッキングサードで展開するガンバ。
クロスが流れたのち今度は左サイドで細かく繋ぎ、黒川が奥へ(食野との)ワンツーで切り込みクロスを入れ。
これもクリアされるも、拾った食野がカットインで中央からミドルシュートを放つと、地を這うようにゴール左へと突き刺さります。
相手を押し込んだ末に、その外からのフィニッシュで仕留めるという理想形で先制点に辿り着いたガンバ。
たまらずキックオフの前にベンチが動く新潟。
3枚替えで長谷川・小見・長倉→松田・三戸・高木と、一気に2列目の選手を総替えする策を採りました。
その効果からか暫くは攻撃権を得た新潟ですが、直ぐにその効果も途切れ。
前回観た際とは違い、高木と長倉の共存による相乗効果が期待出来ない状況であるのも災いしたでしょうか。
直ぐにペースを取り戻すガンバ、2点目を目指し。
23分に自陣でこぼれ球を拾ったアラーノがそのまま浮かせながら前進という技を見せてドリブルに持ち込み、託されたジェバリがエリア内を突いてアラーノへ横パス。
そうして決定機を迎えたものの、放たれたアラーノのシュートはゴール上へと外れ逃してしまいます。
それでも25分、倉田→ネタ・ラヴィ(代表帰りなためベンチスタート)へ交代と、尚もクオリティを保つガンバの交代策。(アラーノが左ウイングへ・山本がインサイドハーフへシフト)
以降も28分に食野がエリア内からシュート(枠外)、31分にはジェバリがミドルシュート(ゴール右へと外れる)と、個の力を活かしながら新潟ゴールを襲い。
ガンバの時間が続いたものの、31分にダワンが足を攣らせてしまった事で交代を余儀なくされ。
併せて3枚替えを敢行(ダワン・食野・高尾→石毛・宇佐美・中野、アラーノが右サイドへ回る)と大きく動いた事で、流れも止まってしまったでしょうか。
再び縦パスが通るようになり、ペースを取り戻す新潟。
そこから右サイドで松田の推進力を活かさんとするも、その松田のクロス精度が今一つで決定機を作れません。
すると迎えた38分、素直に中央からの攻めを選択した最終ライン。
千葉の縦パスを、三戸がスルーしたのち高木がポストプレイとひと手間加えると、受けた三戸がエリア内を突いてシュート。
流れるような前進の末にゴールネットを揺らし、同点に追い付いた新潟。
追い付かれてしまったガンバですが、直後の攻撃でロングパスを収めたジェバリのポストプレイから決定機。
受けた山本のエリア内でのリターンを、脚から跳び込んで直接フィニッシュに持っていったジェバリ。
しかしこの決定的なシュートも、GK小島が足でセーブして防ぎ2点目を奪えません。
逆に新潟にとって引き分け止まりでは前節(浦和戦、1-1)と同じ流れであり、是が非でも勝利したい立場となったこの試合。
その後も右の松田にボールを託す攻撃を中心とし、その松田も今度はカットインからシュートを狙う姿勢に移るなど積極性を前面に押し出します。
攻撃が途切れてもすかさずゲーゲンプレスを掛ける新潟。
しかし42分にラヴィがボールキープからの縦パスでそれをいなすという具合に、個人技は依然としてガンバに一日の長があり。
44分にともに最後の交代を行い、ガンバはアラーノ→福田。
新潟は高→島田へと交代します。(新潟は交代枠を1枚残して終える)
そして突入したアディショナルタイム、その差が露骨に現れた感があり。
新潟は先んじて攻め込み、秋山縦パス→高木スルーパスで右サイド奥を取り、例によってボールを持つ松田。
そこからショートパスでサイドを変えた末に三戸が左ポケットを突くも、高木への横パスがカットされると、ここでもラヴィのキープでゲーゲンプレスをいなしたガンバが矢印を反転させます。
ここからの攻撃はフィニッシュに繋がらずも、その後もラヴィのパスカットなどで新潟にペースを与えず。
そして左CKへ持ち込むと、クロスの跳ね返りを拾った石毛がミドルシュート。
鈴木孝のブロックで右CKとなり、またもクロスの跳ね返りを拾って石毛がミドルシュート、今度は左ポストを叩いて枠外と際どいフィニッシュとなります。
これだけシュートを放ちながら1点のみに終わったガンバ。
しかし新潟サイドもATの攻防に象徴されるように、「これだけ敵陣でパスを繋いでチャンスエリアに持ち込んだのに……」という思いに駆られる展開といった感があり。
かくしてそんな残尿感の通り、1-1での引き分けで幕を閉じる事となりました。
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