※前回の鹿児島の記事はこちら(29節・甲府戦、0-1)
※前回の水戸の記事はこちら(31節・栃木戦、3-2)
<鹿児島スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 岡本が累積警告により出場停止。
- GK大野がオーバートレーニング症候群との事で離脱中。
<水戸スタメン>
- GK本間が今季限りでの引退を発表。
テールエンドをひた走ってしまっている群馬が、ついに降格にリーチが掛かる事となった今節。
しかしそれを対岸の火事とする余裕は、中・下位クラブに無いのは当然であり。
とりわけ、群馬の一つ上である鹿児島は尚更の事。
中断明け以降全敗という有様では、残留争いを戦う事すら覚束なく。
攻撃サッカーを指標してきたクラブが、守備重視の戦いを取り入れる事で窮地を凌ぎに掛かったものの、それだけで結果が付いて来ればどれだけ楽な事だろうか。
この8連敗中、3点差以上での敗戦が皆無と接戦続きの成績を見て、そんな事を考えさせられてしまい。
ともかく、17位とこれ以上離される事は避けたいホームでの一戦。
入りの前半1分に、右スローインを奥で受けた鈴木がクロスを送るも、精度を欠いてしまい攻守交替。
すると水戸のターンになり、押し込んでスローイン(大崎のロングスローを含む)・コーナーキックの応酬。
4分の右CKでは、クロスの跳ね返りから放たれた長井のミドルシュートをGK泉森がセーブと、この日も細い綱渡りを強いられる戦いの予感を孕ませた立ち上がり。
この日の水戸のシステムは、攻撃時に大崎が左サイドバック化するというシンプルな可変式。
ボランチが降りる事は殆ど無く、オーソドックスな4-4-2の守備布陣を崩しに掛かります。
それだけに鹿児島は、前節(栃木戦、1-2)同様にベーシックな部分でどれだけ頑張りを見せられるかという試合となり。
17分草野に入れられたボールを井林が前に出て反則気味に奪い、矢印を反転させて好機に持ち込み。
左サイド奥を窺いながらのパスワークを経て、野嶽の手前からのクロスを選択すると、ファーで有田稜がヘディングで合わせましたがGK富居がキャッチ。
直後の18分にも、大崎のドリブルを稲葉が阻むという具合にデュエルで遮断に掛かるも、ここは水戸が繋ぎ直し。
そして逆サイドから展開し、スルーパスに走り込んだ長澤のクロスが奥から上がると、草野がヘディングシュート(枠外)と一進一退の攻防。
序盤はロングボール中心で安全第一、といった鹿児島の組み立ても、次第に地上でのビルドアップへ意識が移るようになり。
それは当然ながら、襲い掛かる水戸のプレッシングに難色を示す事を強いられますが、乗り越えなければ「ひたすら守勢からカウンター」の一本槍に陥るのは避けられず。
24分、センターバック→ボランチと経由させてのパスワークのなか、受けるプレッシャーの前にズレてしまうも藤村がスライディングで何とか繋ぎに成功。
そして田中が左ハーフレーンをドリブルで進んだ末にミドルシュート(GK富居キャッチ)と、剥がしてからの鋭い前進という攻めを見せ付けます。
これを機に攻撃権を掴みかけた鹿児島でしたが、良い所で遅めの飲水タイム(27分)が挟まれ。
それが文字通り水入りとなってしまい、明けたのちは水戸の一方的な展開に。
大崎が張り出す左サイドは元より、右サイドもターゲットを兼ねる長澤の前への意識の高さにより、結局は両ウイングバックが高い位置を取る攻撃に苦しめられる鹿児島。
30分にはその長澤がドリブル突破で奥を突いてクロス、大外で合わせた新井のヘディングシュートがゴールを襲い。
バーを直撃して跳ね返り、更に甲田が放った追撃のシュートをゴール前で戸根がヘッドでブロックと、間一髪の凌ぎを余儀なくされます。
これで相手を守勢に追い込んだ水戸、クロスの脅威を植え付けたのち他の手段を使う奥深い攻撃。
33分には新井がカットインからエリア内へライナーの縦パス、これを久保がダイレクトでシュートに持ち込みましたがゴール上へと外れ。
その後も甲田が執拗に右ポケットを抉り続け、38分にそこからのクロスの跳ね返りを拾い、櫻井のペナルティアークからのシュートがゴール左へ際どく外れ。
10分近く続いた水戸の攻勢を、何とか無失点で凌いだ鹿児島。
巻き返しはやはりプレス回避からで、42分にパスワークからのGK泉森の左へのフィードで脱出。
そして野嶽のスルーパスを受けた圓道が左ポケットを取り、カットインからシュート(GK富居セーブ)と決定機を生み出します。
これによりイーブンに戻された試合展開。
即ち上向きな流れは鹿児島にあり、直後のCKからの攻めが途切れるも藤村のボール奪取で再度攻撃。
右奥を取り溜めを作ったのち、上げられた藤村のクロスを有田稜が合わせヘディングシュート。
ゴール左へと突き刺さり、苦難を乗り越えた末の先制点に辿り着きます。
これが有田稜の移籍後初ゴールと、彼自身も多大な苦労の果ての結果となり。
結局そのまま1-0で前半終了。
有利なはずだった水戸、一転してビハインドを強いられた事でハーフタイムで動き。
長井→山田へ交代と、最終ラインの安定を図って後半に臨みました。
しかしその試みには時間が掛かるもので、ましてやキックオフ直後の乱戦という状況では尚更であり。
入りの後半1分、右スローインで直接ポケットを取った鹿児島がそれを突きに掛かり、田中がボールキープする所新井の腕でのチャージが反則を取られ。
これで右ワイドからのフリーキックを得た鹿児島、キッカー田中のクロスは跳ね返されるも、最後方からやり直しとなりそこから渡邉のロビングで一気にエリア内へ。
左ポケットで跳んだ鈴木を越えた奥で有田稜がヘッドで折り返すと、戸根が足から跳び込んでこれを合わせ、ゴールネットを揺らします。
水戸の意図を覆す、セットプレーからの攻めで貴重な追加点に辿り着き。
これで2点差と、前半より一層の攻勢が求められた水戸。
その後も何度もWBを活かしたサイドの推進を軸としますが、鹿児島サイドも集中して守り崩せず。
その中で、草野がドリブルに持ち込んだ所を反則で止めた田中が警告を受けた(6分)事で、持ち運びが有効打と踏んだでしょうか。
9分に大崎のドリブルが稲葉に腕で阻止された事で反則、左ワイドからのFK。
クロスに合わせた山田のヘディングシュートは枠外に終わるも、その傍らで有田稜がGK泉森との交錯で倒れ込んでしまい。
脳震盪の疑いが過るなか、長い時間を掛けて起き上がりピッチ外へ。
そしてその待機の最中に事件が発生し。
GK泉森のフィードが流れた所に田中が走り込むも、先んじてクリアした楠本を削る格好となってしまい反則。
これが副審の眼前という、しっかり田中の足裏が入ってしまったのを目撃される位置だったのが拙く、主審が確認の結果カードを出す運びとなり。
鈴木の懸命の異議も空しく、2度目の警告を受けた田中が退場処分となってしまいました。
しつこく異議を続ける鈴木を、大崎が突き飛ばすという更なる火種が生まれたものの、これ以上のカードトラブルは(主審の意図?により)何とか避けられ。
おまけにこれにより長らくピッチ脇で待ちぼうけとなった有田稜と、戦う意識の喪失が危惧される事となった鹿児島。
以降、鈴木が右サイドハーフに回る4-4-1にシフトと、あくまで基本の4バックを保ちに掛かり。
これで元からポゼッションを確保していた水戸が怒涛の攻勢に入る事となりますが、同時に「後は決められるかどうか」が試される展開とも化します。
その通りに21分、最終ラインからシンプルに左サイドを前進すると、新井が細かいタッチでのドリブルに入り悠々と奥を突いてマイナスのクロス。
ニアに入り込んだ草野の所でこぼされるも、拾った甲田がシュートを放ち(ブロック)、その幕が明けられます。
ベンチもそれに備えるべく、中島の投入(草野と交代、同時に甲田→齋藤へと交代)でフィニッシャーを増やしに掛かったのが22分。
しかし鹿児島も、12試合ぶりの勝利が現実味を帯びているスコア故にその結束力は衰えず。
中島の投入でクロスの有効性を高めた水戸に対しても、焦らず「ボールを持たせる状況」を貫く、2点差を活かす立ち回りに徹し。
それにより水戸も次のフィニッシュは遅らされ、28分にスルーパスに走り込んだ齋藤が右奥からクロス。
これがファーへと流れ、大崎折り返し→逆から更に齋藤折り返しと中々合わずに右往左往するボールを経て、確保したのち再び右へ展開して齋藤のクロス。
今度かカットインの姿勢からの鋭いボールで、これを中島が合わせたもののゴール上へと外れ。
クロス攻勢の恐怖は健在ながら、結局合わなければ……という流れも描く事となりました。
後半も遅めの飲水タイムとなり(28分)、その後さらに前田→黒川へと交代。
これで櫻井がアンカーとなる3-3-2-2(3-1-4-2)へシフトと、文字通り前掛かりな布陣と化した水戸。
一方鹿児島は、数的不利のピッチ内と同様にベンチも我慢を強いられていたようで、33分という段階で最初に動き。
圓道・有田稜→星・藤本へと2枚替えしいずれも同ポジションと、どちらかといえば運動量を保つためという交代策。
その後も必死の守備を貫く鹿児島ですが、34分に左サイドをブリッジで突破しようとした新井を、井林が倒してしまい反則・警告。
38分には水戸の左CKから、クリアボールを拾いにいった新井を削ってしまった星が反則・警告と、その姿勢が更なるカードトラブルを招きかねない流れに。
水戸もひたすら敵陣でサッカーを展開するも、奥を突いてのクロスという流れ、言わば単調ぶりを払拭するのは難しく。
結局フィニッシュを膨らませる事はままならず、41分に最後の交代。
長澤→村田へ交代すると、ベンチもそれを気に病んでいたのか、そのまま右WBに入ると思われた村田はシャドーに。
そして齋藤が右WBと、若干の変化を付けて残り時間に臨みました。
その姿勢の通り、43分にはワイドで持った齋藤が浅めの位置で中央へパス、これを櫻井がダイレクトでエリア内へ送り。
黒川のスルーで久保がシュート体勢に入る、理想的な崩しとなりましたが、放たれたシュートはふかしてしまい枠外に。
クロス以外の手段での決定機も、やはり決められなければ輝く事は無く。
そして後半もアディショナルタイム。
長い中断があったため目安は9分も、焦りとの戦いは避けられない水戸。
その生まれた隙に対し、鹿児島は左スローインから繋ぎ、野嶽ミドルパス→藤本ポストプレイ→星カットインと間隙を縫い好機。
奪い返さんと焦る水戸を尻目に、エリア内へのラストパスをフリーで受けた鈴木がシュートをネットに突き刺します。
ダメ押しの3点目に、沸き上がるホーム・白波スタジアムのサポーター。
それでも長期のAT、数的優位の水戸は決してノーチャンスでは無い残り時間。
既にアバウトな攻撃も必至ななか、大崎ロングスロー→ニアで山田フリック→中島落としに反応した楠本がシュート。
しかしGK泉森のプレッシャーもありゴール上へ大きく外してしまい。
尚も諦めず、新井のアーリークロスをファーで村田が落としと、ヘディングを駆使しての好機。
混戦のなか中島がシュートを放ち、稲葉がブロックするも拾った齋藤がドリブルに入り、右ポケットを突いてシュート。
しかしこれもGK泉森のセーブに阻まれ、どうしても決定機をモノに出来ない水戸。
結局3-0で試合終了となり、長らくご無沙汰していた勝ち点3の味をかみしめた鹿児島。
しかし同日大分が勝利(藤枝戦、2-0)したため、群馬が試合を待たずして降格が決定勝ち点差は10と縮まる事は無く。
そして次節は鹿児島も降格リーチ(といっても大分勝利and鹿児島敗戦のみが条件)に苛まれ、依然として厳しい情勢は変わりません。
果たして束の間の喜びとなるか、それとも奇跡の足掛かりとするか。
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