酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

NHK新会長

2008-01-25 22:44:24 | Weblog
 NHKの第19代会長にアサヒビール相談役の福地茂雄氏が就任した。73歳、放送の第一線に登場してくるには遅すぎたというのが率直な印象だ。

 人格識見や公共放送への考え方は当方の知る由もない。ただ、今日の就任会見はいささかおとぼけもしくは本ボケである。インサイダー問題を受けての今後の立て直し策について「コンプライアンスを育てる風土にするために、まずはトップが変わります」と語った。

 意味不明である。共同通信は「自身を含めた経営陣が徹底した改革に取り組む姿勢を示した」と報じている。好意的な解釈だ。トップ二人は既に辞任し、福地氏は就任したばかりである。福地氏のどこかを変える必要があるのでなければ、こういう話にはならない。この発言は素直に「橋本さんから代わったでしょ。これが第一歩」と受け止めるべきではないか。

 インサイダーがあってもなくても、福地氏の就任は決まっていた。とすれば、前記の受け止めもあまり正鵠は射ていないかもしれない。要は、こんな言葉しか発することが出来ない人を会長に選んだということだ。

 インサイダー問題の原因を問われて「気が緩んでいるのではないですか」と答えている。3人とも気が緩んでなんかいないだろう。金儲けに気を張り詰めていたと言ってあげたいぐらいだ。原稿を見る。家にとって返して株を買う。こういうのを気が緩むとは言わない。確信犯である。ここでも、新会長の語彙不足が浮かび上がる。

 20年前に三井物産から招かれた池田芳蔵元会長は国会答弁でつまづき、8ヶ月で会長の座を去った。20年ぶりに誕生した民間出身会長である福地氏が、同じ道をたどらないよう祈るばかりだ。

 福地氏はNHK会長など引き受けたくはなかった。古森経営委員長の懇請を3度固辞したことからも、それは明らかだ。最後は九州男児、長崎つながりで口説き落とされてしまった。同情したいが、会長をやるといったからには、死に物狂いでやってほしい。経営委員会ともどんぱちやるべきだ。

 福地氏がつまづくと、ビールを売るのと公共放送の運営はラベル=レベルが違うなどという愚説が蔓延する恐れがある。そうなればNHK官僚が復活することは目に見えている。古森氏とはつかず離れず、NHKプロパーとは緊張感をもって。こういう芸当が出来る人かどうか。まずは副会長と理事人事が楽しみだ。
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