酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

岩国市長選

2008-02-11 09:33:45 | Weblog
 こういうのを究極の選択というのだろう。前市長辞職に伴って行われた岩国市長選のことである。

 米空母艦載機移転の是非が最大の争点だったはずだが、国が市役所改築費用の補助を突然打ち切るなど措置に出たため、「国からのカネなしで市の将来があるか」という選挙になってしまった。

 艦載機移転を受け入れる代わりに国からカネを引き出そうと訴えた前自民党衆院議員福田良彦氏(37)が当選したのは疲弊する地方自治体の現状からすれば当然の成り行きに見える。

 むしろ、1700票余の差にまで迫った前市長井原勝介氏の善戦ぶりが目に付く。市議会で何回も予算案を否決され、背水の陣で臨んだ市長選だが、勝算は乏しかったといわざるを得ない。

 艦載機移転問題が動かないため、市政全般が停滞してしまった。原則を貫くことは大切だが、市民生活をどう向上させていくかの具体的提言を伴わなければ、原理主義に陥る危険がある。井原氏にもう少し政治力と情報発信能力があればと惜しまれる。

 頭を丸めてみたり、いきなり辞職したり、行動もやや奇矯だった。米軍のいない岩国の未来図を提示し、市民とともに語り合う。これに議会を巻き込んでいく。苦しくとも、そうした努力をあきらめるべきではなかった。

 今回の選挙結果で、岩国市民が艦載機移転を容認したと解釈するのは早計だろう。移転交付金に頼った市政運営は、やがて壁に突き当たることもはっきりしている。

 福田氏はまだ若い。自治体経営戦略を練り上げるのはこれからだろう。分権時代の市長として、国と一線を画せるかどうか。政府・与党の言いなりの首長など、いまどき誰も求めてはいまい。 

 「安心安全を確保し、有利な交付金を引き出す」。沖縄ではまた米兵による女子中学生暴行事件が起きた。米軍基地と安全安心が両立するか。有利な交付金などというごね得めいたことが許される環境なのか。福田氏の真意が知りたいところだ。

 
コメント
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