高速道路のETC割引がスタートした。路線によって違いはあるが、行楽地はそれなりの人出でにぎわっているようだ。
《「1000円乗り放題」をうたった高速道路料金の大幅値下げサービスが始まった28日午前、県内の高速道路交通量は通常に比べ3割以上の増加となり、値引き効果が早くも表れた。好天にも恵まれたパーキングエリア(PA)には遠出する家族連れらの姿が見られた》=新潟日報ON-LINE=
ガソリンをばらまいて遠出することがいいのかどうか、大いに疑問だが、政府、自民党は「契機刺激効果あり」と自画自賛している。
定額交付金、ETC割り引きに次ぐ「目玉」として麻生首相は、贈与税の大幅減免を打ち出した。
《麻生太郎首相は28日午後、追加経済対策の一環として、高齢者が持つ金融資産を消費拡大に振り向けるため、住宅などの購入資金を生前に援助する際の贈与税を期限付きで大幅に減免する考えを表明した。
高知市内で記者団の質問に「高齢者が息子や孫に(お金を)渡して家や車を買ってくれたら贈与税を安くする、ゼロにすることは、年数を区切って検討する値打ちがある」と答えた》=共同=
東大教授の伊藤元重らが以前から述べている政策で、高齢者の預貯金を吐き出させるのが狙いだ。日本の個人金融資産総額は1400兆円前後とされるが、うち75%は60歳以上が保有しているという。これを「活用しない手はない」というのが伊藤らの主張だ。
経済理論として分からなくはない。だが、大幅に減免された生前贈与の恩恵を受けられるのは、それなりに資産のある「勝ち組」の子弟だ。こうした政策が格差をさらに拡大させる結果となるのは明白だろう。
伊藤は29日付け読売の「地球を読む」の中で「高齢者らは合理的に考えうるよりも100兆円から150兆円余分にため込んでいることになる。老後の資金をまかなうのに必要な資金をはるかに超えている」と述べている。将来に「過大な不安を抱えている」のがその理由だという。
中国の貯蓄率は40%強で、世界一だ。中国国民が政府を信用していない証拠である。日本の高齢者が「過度」ともみえる資産を保有しているのも同じ理屈だ。場当たり的で無責任な政府の言うことなど信用できない、ということだ。
贈与税の減免を言う前に、信用されない政治のありようをとくと反省してほしい。いまは金持ち優遇策より生活困窮者のセーフティーネット拡充に力を注ぐべきだ。「路頭に迷う心配がない」「病気になっても大丈夫」と感じるだけで、どれほど安心感が広がることか。
《「1000円乗り放題」をうたった高速道路料金の大幅値下げサービスが始まった28日午前、県内の高速道路交通量は通常に比べ3割以上の増加となり、値引き効果が早くも表れた。好天にも恵まれたパーキングエリア(PA)には遠出する家族連れらの姿が見られた》=新潟日報ON-LINE=
ガソリンをばらまいて遠出することがいいのかどうか、大いに疑問だが、政府、自民党は「契機刺激効果あり」と自画自賛している。
定額交付金、ETC割り引きに次ぐ「目玉」として麻生首相は、贈与税の大幅減免を打ち出した。
《麻生太郎首相は28日午後、追加経済対策の一環として、高齢者が持つ金融資産を消費拡大に振り向けるため、住宅などの購入資金を生前に援助する際の贈与税を期限付きで大幅に減免する考えを表明した。
高知市内で記者団の質問に「高齢者が息子や孫に(お金を)渡して家や車を買ってくれたら贈与税を安くする、ゼロにすることは、年数を区切って検討する値打ちがある」と答えた》=共同=
東大教授の伊藤元重らが以前から述べている政策で、高齢者の預貯金を吐き出させるのが狙いだ。日本の個人金融資産総額は1400兆円前後とされるが、うち75%は60歳以上が保有しているという。これを「活用しない手はない」というのが伊藤らの主張だ。
経済理論として分からなくはない。だが、大幅に減免された生前贈与の恩恵を受けられるのは、それなりに資産のある「勝ち組」の子弟だ。こうした政策が格差をさらに拡大させる結果となるのは明白だろう。
伊藤は29日付け読売の「地球を読む」の中で「高齢者らは合理的に考えうるよりも100兆円から150兆円余分にため込んでいることになる。老後の資金をまかなうのに必要な資金をはるかに超えている」と述べている。将来に「過大な不安を抱えている」のがその理由だという。
中国の貯蓄率は40%強で、世界一だ。中国国民が政府を信用していない証拠である。日本の高齢者が「過度」ともみえる資産を保有しているのも同じ理屈だ。場当たり的で無責任な政府の言うことなど信用できない、ということだ。
贈与税の減免を言う前に、信用されない政治のありようをとくと反省してほしい。いまは金持ち優遇策より生活困窮者のセーフティーネット拡充に力を注ぐべきだ。「路頭に迷う心配がない」「病気になっても大丈夫」と感じるだけで、どれほど安心感が広がることか。