酔眼独語 

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「銃規制は違憲」をスルーとは

2010-07-01 05:59:25 | Weblog
 米国最高裁が6月28日、自宅での銃所持を禁じているシカゴ市などの地方法令は違憲だという判決を下した。今後の展開も含め、極めて重要な判決だと思うが、日経とNHKが報じたぐらいで他のメディアは取り上げていないか、ごく小さく触れたかという程度だったようだ。W杯サッカーに紙面を占領されたからなのだろうか。

 《米最高裁は28日、自宅での銃所持を事実上禁じたシカゴ市などの法令は違憲だとする判決を下した。武器携帯の権利を認めた米憲法修正2条は、州や市の法令よりも優先するとの判断。銃の所有を制限する州や市の法令撤廃を求める訴訟が全米に広がりそうだ。

 銃規制は米世論を二分する問題。今後は訴訟を通じた判例の積み重ねで、憲法上認められる銃規制の方策が定まるとみられている。

 最高裁は2008年6月、連邦政府直轄の首都ワシントン特別区で同様の銃規制を違憲と判断した。州や市の法令との関係については、今回の判断で初めて憲法の優位性を認めた。

 シカゴ市の住民らが、自宅での銃所持が禁じられ安全を確保できないと提訴。判決では9人の最高裁判事の意見が5対4に割れた。スティーブンズ判事は反対意見で、判決は「国家や社会に破壊的な影響を与える」と述べた。

 ワシントンは08年の最高裁判決後、銃所有者に安全講習を義務付ける新たな法令を制定した》=共同=。

 合衆国憲法修正第2条は、「政教分離、信教及び表現の自由、請願の権利」を規定した修正1条など他9条とともに憲法成立の3年後に付け加えられた「由緒ある」条項だ。

 「よく規律された民兵は、自由の国家にとって必要であるから、人民が武器を保有し携帯する権利は、これを侵してはならない」。いたって簡単な条文だ。

 200年以上も前、独立後間もないころに制定された条項だ。当時の気分としてはよく分かる。本来、国防とはかくあるべし、とも考えさせられる。しかし、今のアメリカに照らすとどうなのか。

 米国には州兵はいても、民兵などいない。勝手に民兵を組織すればたちどころにテログループとして摘発されるだろう。ないものに依拠した憲法が有効なのか、と素朴な疑問がわく。

 オバマと大統領を争った共和党のマケインは判決について「修正2条は合衆国精神の核心」と語り、全面的な賛意を示している。

 アメリカのかなりの部分が、正義は力と考えているらしい。こうした人たちと「同盟関係を深化」させていくのは難儀なことだ。
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