酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

高額医薬品と地域格差

2019-05-17 11:54:34 | 社会
 2014年の秋にがん治療薬オブジーボの保険適用が認められた際、その値段の高さにびっくりしたが、今度は1回の投薬で3350万円という超高額新薬が保険適用となった。白血病の治療薬「キムリア」。患者にとっては待ちに待ったニュースなのだろうが、医療過疎県にいる身には複雑な思いもある。

 ≪1回の投薬で、3349万円もする白血病治療薬が公的な医療保険でカバーされるようになる。厚生労働省は15日、白血病など血液のがんで高い治療効果が見込まれる「キムリア」の保険適用を決めた。

 厚労省が同日開いた中央社会保険医療協議会(中医協)で、キムリアの公定価格(薬価)を3349万円にする案を示し、承認された。22日から保険適用する。キムリアはスイス製薬大手ノバルティスが開発した。CAR-T(カーティー)と呼ばれる新たながん治療法の薬だ。患者の免疫細胞に遺伝子操作を加えて、がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻す。国内では初の保険適用になる。海外では米国や欧州、カナダ、スイスなどで製造・販売の承認を得ている。

 治療対象は白血病の患者で抗がん剤が効かなかった人などに限定する。対象は216人と見込まれている。市場規模は72億円だ≫=15日・日経com=。

 医療や医薬品の進歩は目覚ましいが、恩恵を受けられるのは大都市など医療先進地に限られるのが実態だ。「大学病院で診てもらいますか」―医師の問いかけに「泊りがけで検査なんてとてもとても」とおばあちゃん。よくある光景だ。指を機械に挟まれた知人が「病院では切断と言ってるんだけど、何とかならないんだろうか」と聞いてきた。150キロほど離れたところにある専門病院を紹介、復元できた。キムリアには重篤な副作用があるとされ、これに対処できる病院でしか処方されない見通しだという。地方、とりわけ田舎でこの治療法を望むのは無理だ。画期的な治療法や新薬に手が届くのは、ごく一部でしかない。

 一回の投薬で数百万円~数千万円という超高額薬が近年相次いで登場している。それによって救われる命がある。それこそ科学の進歩と言っていいだろう。だが、人はいつか死ぬ。必ず果てる命と考えると、救命に無限に金をつぎ込んでいいのか―との疑問もわく。

 先ごろ発表された医師充足指標によれば東北は東京の半分ぐらいの充足率しかない。高度医療や新薬開発に投資するのは大事だが、地方の救われるはずの命を確実に救うことはもっと重要だ。地方への移住促進に力を入れるというなら、医療格差、教育格差の解消にまず取り組むべきだ。
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「皇室に人権はあるか」だって? | トップ | 誰が何を狙ったのか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事