ずっと、気になっていたことが、ネットニュースに出ていました。
地下鉄サリン事件や東日本大震災での放射能汚染下での経験が、蓄積・受け継がれていたのですね。
そして、独自に分析して、対応する行動力ですね。
なぜ自衛隊員にコロナ感染者が発生しなかったのか? 統合幕僚長が語るその“勝因”
以下に、記録としてコピペしておく。
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なぜ自衛隊員にコロナ感染者が発生しなかったのか? 統合幕僚長が語るその“勝因”
地下鉄サリン事件、東日本大震災の経験を活かして
――新型コロナウイルスへの対応に世界中が苦慮しています。わが国の平和と安全を守る自衛隊として、この事態をどう受け止めていますか。 (山崎)国家の危機であることは間違いありません。この難局に立ち、防衛省・自衛隊のみならず、関係省庁が総力を挙げて対応する必要がある。政府による方針の下、関係省庁及び地方自治体と緊密に連携し、自衛隊の能力を最大限に発揮して対応せねばなりません。 たとえば、今年1月31日~3月16日までのあいだ、中国・武漢からのチャーター機で帰国した邦人や横浜に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」においては、感染対応のための災害派遣活動を行ないました。 予備自衛官を含む延べ約4,900名の隊員をもって、医官等による回診や問診票の回収、クルーズ船内の消毒、陽性者の輸送支援などを実施しました。 3月28日からは海外からの帰国者・入国者を対象とする水際対策強化のため、国内の主要な国際空港で検疫や輸送、宿泊施設における生活支援などを実施しています。 4月3日以降は市中における感染拡大防止のため、PCR検査で陽性反応が出た患者の空輸や宿泊施設への輸送支援、同検査のための検体採取支援、さらには感染防護の教育支援などを実施しています。 特徴としては、地方自治体の職員や医療関係者、宿泊施設、タクシーなどの民間事業者に対する感染防護の教育支援ニーズが高かったことです。教育支援では、実技も含め約1,470名の方に「ダイヤモンド・プリンセス号」における自衛隊の活動や防護基準、教訓を紹介しました(5月21日時点)。 ――「ダイヤモンド・プリンセス号」への対応では、派遣隊員から一人も感染者を出すことなく任務を完遂しました。「勝因」は何でしょうか。 (山崎)第一に、防衛省・自衛隊が組織力を発揮できた点が挙げられるのではないでしょうか。船内で起きている状況を迅速かつ的確に把握したうえで、計画を作成、実行できました。 第二に、隊員一人ひとりが責任感と使命感をもち、防護のための基本動作を愚直に実践してくれたこと。 第三に、指揮官が現場で明確な指示・命令を出し、強いリーダーシップを発揮してくれたことです。 今般の感染症対応の災害派遣は、自衛隊創設以来、まさしく未曾有の経験でした。他方、1995年に地下鉄サリン事件、2011年には福島第一原子力発電所事故において、それぞれ化学物質と放射線汚染下での災害派遣を行なっています。 これらは「見えない敵」との戦いである点で、新型コロナへの対応と共通しています。さらにいえば、部隊は平素からNBC(放射能、生物、化学)防護の訓練をしていたため、その恐ろしさや感染防護における基礎動作の重要性を認識していました。
自衛隊中央病院でも院内感染は起きていない
平時の感染症対策と訓練が結実
――自衛隊が普段から実践している感染予防対策の徹底ぶりもSNSなどで話題になっています。どのような策を講じているのでしょうか。 (山崎)自衛隊は集団生活・集団行動を基本としているため、ひとりの隊員が一度感染症に罹患すると、隊内に一気に感染が広がる恐れがあります。もしそうなれば部隊の活動基盤は損なわれ、即応性に悪影響を及ぼしてしまいます。 この事態を避けるため、自衛隊の部隊長及び隊員一人ひとりが、新型コロナを含むあらゆる感染予防に対する高い意識をもち、注意を払っています。 具体的には、手洗いやうがいなどの基本的な衛生管理を徹底しているほか、部隊長は部下の健康状態をつねに管理しています。 駐屯地や基地には医務室や健康管理室があり、インフルエンザの蔓延や食中毒の発生防止のための衛生管理も万全です。隊務の運営においては、部隊の精強性を保つために「規律の維持」も重視しています。 ――訓練では「三密(密閉、密集、密接)」の状態にならざるをえないように思います。どのように回避・緩和しているのでしょうか。 (山崎)政府で決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づき、防衛省として自衛隊の特性を踏まえ、教育訓練の要領を決めています。 4月16日に特定警戒区域が全国に拡大された際には、複数の部隊が集合して行なう教育訓練の実施は控え、駐屯地・基地の人員の半数超が参加する訓練は原則として中止・延期しました。 5月14日の緊急事態宣言の一部解除を受けて、緊急事態措置を実施する区域以外の部隊は教育訓練を一部緩和して実施しています。その際にも当然、隊員同士の距離の確保や室内の換気、車両の窓の開放、マスクの着用、手指消毒などの感染防止措置を徹底しています。 自衛隊の教育訓練は、任務完遂に必要な能力を維持・向上するために必要不可欠です。これからも新型コロナの感染状況を適切に判断しながら、「三密」を避ける感染防止措置をとりつつ、できる限りの精度の高い訓練を追求していきます。 ――翻って国外に目を向けると、米軍やフランス軍の空母で感染者が続出するなど、世界の軍隊では新型コロナが蔓延しました。 (山崎)他国軍の感染状況をみて、あらためてわれわれの職場は感染拡大のリスクが高いことを痛感しました。自衛隊では、先ほど述べた感染症対策や教育訓練要領の設定に加え、交代制勤務、テレワークを含む在宅勤務、不要不急の外出の自粛を実施してきました。 現段階では防衛省・自衛隊が一丸となって対策に取り組んできた結果が実を結んでおり、今後も決して気を緩めることなく真摯に対策を講じていきます。
山崎幸二(第六代統合幕僚長)
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