leka

この世界のどこかに居る似た者達へ。

蛮幽鬼。

2013-10-18 01:14:08 | お芝居・テレビ
蛮幽鬼。

凄い字だと思いませんか?「蛮幽鬼」って。

字面がもう・・・怖いわ


2009年の上川隆也さん主演の舞台です。

物語は「巌窟王(がんくつおう)」(これも凄い字面)と言う小説をモチーフにした復讐劇。

巌窟王とはフランスの古典文学「モンテクリスト伯」と言う物語だそうです。

舞台・蛮幽鬼は2010年にゲキシネと言って、舞台を映像化する観劇方法で映画館で上映されました。

このゲキシネは劇団・新感線の舞台の映像化です。

ゲキシネ

今も各地の映画館にて上映されています。

私は品川プリンスシネマにて観て来ました。


上川隆也さんは「伊達土門(だてのどもん)」と言う役です。無実の罪で十年もの間、地獄の果ての様な「監獄島」と言う牢獄へ幽閉されます。

監獄島には堺 雅人さん扮する大殺人鬼も投獄されていました。

そうです。大殺人鬼です。怖いんですよ。あの御なじみの笑顔で殺人しますからね。

伊達土門は、この「サジ」と名乗る大殺人鬼の手を借りて監獄島からの脱出を試みます。

土門は「友人」として付き合っていた二人の男の嘘の証言により、親友を殺した罪で投獄されました。親友とは土門の婚約者の兄であり、土門の目の前で何者かに刺されて殺されたのです。

十年もの間、土門は自分を陥れた二人の男の事を憎み、恨み、いつかこの手で復讐を果たしてくれる、とそれだけを考えて生きて来ました。

薄暗く、劣悪な監獄の中にあって、憎しみ恨み生きて来た土門の髪はいつしか白髪に。

鏡の無い生活であったため、自分の姿などそれこそ十年間見た事のなかった土門。

サジの差し出した刀に映る自分の姿に

「これが俺かっ・・・たった十年でこんな・・・」

と愕然とします。そして改めて自分をこんな姿にした奴等への憎しみが燃え上がり、復讐を心に強く誓うのです。


物語は暗く、悲しいです。

痛ましく、ヒリヒリしています。

しかしながらロマンチックでもあり、観客の殆どは女性でありました。


この新感線と言う劇団の持つ特色なのか、暗いくせにあちこちに爆笑場面がちりばめてあり、映像として観ている映画館の観客も笑ってしまうのです。

私もこらえきれず、声を出して笑ってしまったシーンが二度程・・・



脱獄に成功した土門は、飛頭蛮(ひとうばん)と名乗って宗教の教祖と成り得ます。そして、自分を貶めた男達に近づき復讐のその時を待つのです。



誰が誰やら新感線のポスターってこう言うの多いですよね。一番上が稲森いずみさん、向かって左が上川隆也さん、右が堺 雅人さん、一番下が早乙女太一さん。

立ち回りが満載です。ほんとにかっこいい。早乙女太一さんはまるで踊っている様に、殺陣をこなします。今まで見たことない立ち回りです。大殺人鬼の堺さんも不気味な迫力をたたえた立ち回りです。上川さんはダイナミックです。白い髪をなびかせながらの立ち回りに観客女子達はメロメロです。そして皆やっぱりよく走る



飛頭蛮と呼ばれし土門。長い白髪、白い口髭、両腕を大きく広げ、人々を導きます。

この登場シーンは凄いカッコよかったです。監獄島での土門は伸び放題の髪と髭、汚れた囚人服から傷だらけの腕の見えていた姿でしたから、長い髪を後ろで綺麗な飾りのある髪留めでとめ、床をする程丈のある白い衣装をふわふわさせて階段を降りて来る様は神々しかったです。

ちなみに赤や青の石がついていた髪留めはこの時ぐらいで、物語がグッと深刻化してゆくこの先ではグレーかなんかの色味のあまりない飾りになっていました。

歌うんですよ。そして踊ります。1曲だけですけどね。

私には苦手なシーンです。分かんないんですよ・・・お芝居の中で歌ったり踊ったりが・・・。

どうしてもお芝居の歌の歌詞は好きになれない・・・。お芝居の中の歌なので、状況説明だったりして詞的でもなんともなく、「変なうた・・・。」って思ってしまう。

でも、飛頭蛮の曲は楽曲がとても良かったです。曲の展開も音色もとても良かった。

歌詞も「決めことば」みたいなのがあって、凄く歌詞っぽかった。

飛頭蛮として民を導く声としての歌声は、監獄島から助け出して連れて来た「ペナン」と言う女性の綺麗な歌声と相まって、なかなかすんなり聴けた気がします。




つづく

































上川隆也版・真田十勇士 思い出したアレコレ。

2013-10-17 01:42:13 | お芝居・テレビ
皆様、ご無沙汰しています。真田ロスは大丈夫でしょうか?

全公演終了した事だし、ずーっと言っている上川隆也版・真田十勇士の仕掛けた「嘘」をばらそうかと思ったのですが、今回の舞台は観ていらっしゃらず来春発売のDVDを楽しみにしている方が居るかもしれない。いや、絶対居る。

ので、このブログではバラさない事にいたしました。

ネットで色々検索をかければ、そこらへんはもうあちこちで書いている方がいらっしゃいますので簡単にわかります。

しかし、ここでは言いません。言わない事にしました。

私はあの独自の史実を物語の中で知り、最終的な結末を十勇士から告げられた時の新鮮な感動が忘れられないので、一人でも多くの方にそんな感覚を味わって欲しいと思います。


で、もう少し思い出した劇中の事を書こうかなと思います。


その① 飛んで来る矢と去り際。


実は物語の初めで幸村公と家康公は顔を合わせるんです。正確には幸村公が会いに行ったんです。勿論、十勇士を連れて。

まぁ、そこで徳川方の忍び達とひと戦いあるわけです。当然ですね。

その時、矢が飛んで来るんです。「ヒュンッ!」て音と共に。真っすぐに。テグスか何かで矢が飛んだ様に見せているんですが、どこから飛んで来るのか分からないんですよどこからどう飛んで来るのかが。何度見ても分からなかったですねぇ。

幸村公は去る時に「では、これにて。」か何か言って、十勇士達の先頭に立ち舞台の上の方でパッと背を向けます。するとボンッと白い煙が立ち昇って幸村公一行は一瞬で居なくなってしまうんです。まさに「ドロンっ!」て感じで。白い煙があがってる間に舞台から居なくなっているだけなんですが、本当に忽然と消えた様に見えるんです。カッコよかったなぁ



その② めし屋でふぉーりんらぶ&ふぁいと。


鎌之助と佐助が、ハナの切り盛りする「めし屋」へ初めて訪れる場面。明るく可愛らしいハナを一目見て、秒殺で落ちてしまった佐助。1秒たりとも目を離せなくなり、鎌之助の言う事にも上の空。思わず佐助のデコをはたく鎌之助でありました。店に入った二人。片時もハナから目の離せなくなった佐助は、店の奥へ行くハナにくっついて行きそうになる肉食っぷりを見せますが、鎌之助により阻止されます。料理が上手いハナの店。大根の煮物を食べて、その美味しさに鎌之助までもが驚きます。「この大根、美味しい!」と佐助は言いますが、ハナから「作った本人達も喜びます!」と言うビックリな言葉が・・・。

出て来たのは、むくつけき十勇士の二人



三好伊佐入道=通称 ”イサ”




三好清海入道=通称 ”セイカイ”


幸村公に「イサ!セイカイ!」と、よく呼ばれていた二人は兄弟です。小柄なイサが弟でセイカイを「あにじゃ」と呼びます。

この二人がなんだか可愛らしい前掛けをして店の奥から出て来るわけです

外見からは想像もつかない繊細で絶品な料理を作る二人なんですな

料理をつくりながらハナの用心棒的な役割をかって出ていたのです。

物語の冒頭で、家康に会いに行った幸村。そこに佐助と鎌之助も居たので、イサとセイカイ、佐助と鎌之助はお互いが何者かを顔を見た瞬間に悟ります。

そして、またまたひと揉めです。「お店でケンカはやめて!」と言うハナの言葉に従い、「店の外へ出ろ!」と武器を手にセイカイ。そう言う事じゃないと思うが・・・と言う気持ちの客席から笑いが起きます。そこへやって来た幸村と才蔵。揉め事の成り行きを止めずに見ています。相手をするのは佐助。刀を置いてしまい、「俺はこれで。」とファイティングポーズ。まるでなめた態度に怒り心頭の兄弟。
兄・セイカイから行こうとしますが、弟・イサに向かって鎌之助から「そっちの小さい方も一緒に。」などと

佐助も「おう、そうだ!そっちの小さいのも!」と

挙句、幸村公までも「そうだ、そっちの小さいのも一緒に!」なんてみんなでイサを「小さいの」呼ばわり

身軽で、しかも丸腰の佐助に振り回されるイサとセイカイ。

才蔵に「返してやってくれないか。」的な事を言われる佐助。「気づいちゃった?」なんて笑ってる佐助。佐助の懐には、イサとセイカイから抜き取った財布が。



おまえぇーーーー知らないうちに財布なんか取りやがってぇぇぇぇぇーーーーっ

みたいなイサとセイカイに、「知らぬ間に財布を抜き取れると言う事は、知らぬ間に相手の懐に入り刀を突き刺せると言う事だ!」と才蔵からごもっともな言葉が。この勝負は佐助に軍配が上がったと言う事。

「あそっかそうだな

なんてあっさり負けを認めて笑ってるイサ・セイカイ

相手を認めてしまえば、もうグダグダ言わない性格らしい。

「この二人ならいつもこんなものだ。」とは幸村談


この一悶着の後、鎌之助と佐助は十勇士の仲間入りを果たしていましたね。




つづく・・・・のか?



















































上川隆也版・真田十勇士 完。

2013-10-08 19:46:10 | お芝居・テレビ
上川隆也主演・真田十勇士が大阪にて大千秋楽を迎えました。

坂道の舞台=八百屋舞台にて激しい立ち回りが見所のひとつだったこの舞台。

誰一人欠ける事なく、10月6日に全公演を終えました。


おめでとうございます

そして、ありがとう

心が離れがたくなる舞台でした。

お芝居を観て涙する自分に、生まれて初めて出逢いました。

忘れられない。

演者の皆様、スタッフの皆様、関わった全ての方々に大きな拍手と感謝をお贈りしたいです。




あぁ、終ってしまいました。

自分が観に行けなくてもどこかで公演があれば、あの世界が動いていると感じ嬉しかったのですが、もはや記憶の中だけになってしまいました。寂しい。

舞台と言うのは儚いものなんですね。

だがしかしこの舞台が心に残してくれた物は色濃く、愛を感ずる記憶です。ずっと残っているでしょう。

皆、カッコよかったなぁ~~~


大阪大千秋楽では、出演者に内緒で客席からサプライズがあったようです。

観客が会場に入ると、座席全てに六文銭の描かれた赤い真田の旗が、「カーテンコール3回目で旗を振って欲しい」と書かれた紙と共に置かれていたんだそうです。

いいですねぇ~~にくい演出ですねぇ~~~

カーテンコール3回目で出て来た上川幸村公、観客席の真っ赤な旗を見てマジで驚き、その後満面の笑顔になったそうです他の出演者の皆様も然り。

舞台から観た光景はどんなだったんでしょう。観てみたい


大阪大千秋楽では、東京千秋楽、名古屋千秋楽でもお目見えした、拍手が鳴り止まない時の幸村公の「タモさん止め」が綺麗に決まっていたらしいです。東京なんかでは他のキャストさんは見てるだけだったのに、もはや大阪公演では一緒にやっていたらしい


「皆さんにお願いがあります。とっとと帰って下さい。」

とのお言葉もあったそうですウケる

これは、カーテンコールに何度も何度も呼ぶ客席にぶちかまされる上川節らしいです。

「とっとと帰んなさい!!」など過去の舞台ではあったらしく、マニアの間では有名だそうな

「生でとっとと帰れが聞けて嬉しかった」などと呟きがあったり


そして、上川幸村公から「再演があるとするならば、このキャストで誰一人欠ける事なく!」なんて嬉しいお言葉もあったんだそうです他のキャストの方々も「再演があるなら。」と仰ったそうです。

再演。どうなんでしょう。あったらこんなに嬉しい事はないですね。

出演者は40人居て、この舞台の皆さんは「四十勇士」として公演を重ねるごとに、その結束力が強くなって行ったようです。

「充分な稽古が出来て演者たちは満ち足りている。早く放出したい。再演があるならやりますよ!!」

と上川幸村公はこの公演が始まる前に言っていました。

出演者の方達にはブログやtwitterをしている人も沢山居て、「再演あるなら出たい。」と言う言葉はあちこちで見ました。

出演者の皆さんにとっても、離れがたい舞台だったんですね。

再演あったら、ほんと素晴らしい



<真田十勇士>


猿飛佐助=柳下 大




由利鎌之助=松田賢二




霧隠才蔵=葛山信吾




筧 十蔵=三津谷 亮




三好清海入道=小林正寛




三好伊佐入道=佐藤銀平




穴山小介=玉置玲央




根津甚八=粟根まこと




望月六郎=植本 潤




真田大助=渡部 秀




服部半蔵=山口馬木也




ハナ・花風=倉科カナ




淀の方=賀来千香子




豊臣秀頼=相馬圭祐




徳川家康=里見浩太郎




真田幸村=上川隆也



拍手はやっぱり鳴り止みませんね。


忘れ得ぬ舞台をありがとうございました。



またどこかで会えたなら。






























































































































上川隆也版・真田十勇士 その5 ネタバレあり。

2013-10-02 11:49:28 | お芝居・テレビ
大阪城が落城したと言う事は、この親子もその生涯を終えた事を意味します。



淀の方役: 賀来千香子さん。実兄が徳川方についている幸村を信用するには時間がかかりました。しかし、最後には豊臣家の未来を託しました。母性が強すぎるために戦う男達からはあまり指示されない淀ですが、上川版・真田十勇士では夫である秀吉が残した衝撃的でさえある「望み」を苦しみながらも受け入れ、男達の想いをつなぎます。母であるがため冷静さを失い愚かな行為に出る様な淀の方ではなく、考え方としては潔い淀の方でした。





豊臣秀頼役: 相馬圭祐さん。秀頼もまた、戦う男達からはあまり指示されないキャラクターとして描かれる事が多い人物です。でも、上川版・真田ではかっこいい秀頼が見られます。城をほぼ出た事がない箱入りの様な環境に身を置いているので、坊ちゃん的なところはありますが、君主としてやらなけらばならない事は、幸村が言わずともしっかりと理解していました。頼もしさに溢れる場面があります。


上川版・真田十勇士には、史実として伝えられている物とは違う「結末」が用意されています。言うなれば「嘘」なのですが、歴史の事実は「諸説ある。」と言われる事がよくあります。秀頼と淀は大阪城内で自害したと言われますが、幸村が秀頼を連れて逃げる様子を伝える唄が残るとか。なので、あながち嘘じゃないんじゃないかとさえ思います。

絶妙に史実とリンクするこの「嘘」がハンパなく最高なのです

淀の方、秀頼、佐助、ハナがこの「嘘」に関係します。

そしてこの「嘘」は、壮絶に散って行った幸村と十勇士を照らす一筋の「光」と成り得るのです。




猿飛佐助役: 柳下 大さん。愛しい程真っすぐな佐助です。その「光」のキーを握ります。生まれた境遇が彼に様々な影響を及ぼし、孤独で揺れる事も。自らの父親との関係性からか、父を深く慕う大助とぶつかる事が多々あります。繊細で壊れそうなところもありますが、鎌之助や他の十勇士、そして幸村に後押しされて乱世を生きます。とにかく身軽で、背に背負った刀の抜刀・納刀が自然で美しかったです。とても素敵な声の持ち主だと私は思います。ハナを一目見た瞬間から虜になってしまいました。




ハナ・花風役: 倉科カナさん。とても可愛らしい方でした。十勇士や城下の人々の憩いの場である飯屋のハナですが、実は徳川方の忍、花風。花風の時は声をグッと低くして話します。聞きやすくよく通る声でした。名古屋で観た時の方が、俄然台詞に感情が乗っていた様に思います。舞台は苦手と製作発表で仰っていましたが、そんな事は微塵も感じませんでした。揺れる女心をとてもよく表現出来ていたと私は思います。物語の終盤で佐助をかばって半蔵に斬られる様な場面があり、名古屋の客席から「えっ、そんなっ!!ダメだって!!」な感じのため息の様な声があがっていました。観客を見事に物語の世界へと連れて行かれていました。素晴らしいですね。



舞台には十勇士が再び登場し、この上川版・真田十勇士の「史実」が観客に語られます。

闇にまみれ影となり、暗がりを駆け抜けて来た忍び達が、大きな光をもたらした瞬間でした。

真ん中に誰よりも草の者達を信じて戦った幸村公。

その左右に各々を象徴する武器を手にした十勇士達。

新鮮な驚きと、カッコよすぎな光景に拍手が起こり、ここからずっと鳴り止みませんでした。



観客は既に幸村と十勇士に魅了されていたので、再び会えた喜びもあって非常に大きな拍手でした。客席に居たら、台詞が聴こえ辛い位。この舞台に関わった全ての方々に聞かせてさしあげたい拍手の音でした。


全てを優しく強く照らす月明かりの下で、幸村公が刀をかざしました。

その月明かりは幸村公の居る場所から遠く、時空を越えて私達の元まで届く明かりの様に感じました。


いやぁ~かっこ良かったなぁ~~~

あの最後の場面は本当に忘れ難いです。

また、音楽が最高にかっこいい

吉田兄弟のお二人が関わった音楽も気持ちがざわつく様な独特なフレーズが入った物もあり、忍びの者が持つミステリアスな感じがとてもよく表されていました。舞台の雰囲気と非常にマッチしていました。


カーテンコールはもう、本当に拍手、拍手の嵐でした。

徳川軍、真田軍、はたまた徳川の忍者達。斬られてはハケ、再び斬られるために舞台へと登場し、宙返り、転び、走り回り、何度も倒された方々。陣笠を脱ぎ、手ぬぐいをまいた姿での登場でした。彼らが居なければこのお芝居は成り立たないですね。

皆さんのお顔が見られて良かった。惜しみない拍手が贈られました。

そして十勇士の方々、豊臣の家臣の方々、秀頼公、淀の方、家康公。最後に拍手が一段と大きくなって幸村公。

本当に皆さん輝いて素敵でした

カーテンコールって感動するんですねぇ。

出演者全員で客席に向かって一礼があり、一度皆さんハケましたが、拍手鳴り止まず再度登場でした。

客席はここからスタンディングオベーションに。

笑顔でがっちり握手する幸村公と家康公がまた見られました。

客席の右側、左側、そして正面と一礼。出演者の皆さんがハケる時に、客席と手を振り合っていましたね。

もう何て言うか、離れたくないんですな

お別れしたくない客席

舞台が終わるのが寂しいわけです。拍手は続いています。


最後の最後に上川幸村公が一人で登場。

「きゃーっ!

なんて思わず黄色い声が飛んだり・・・。

皆、シビレちゃいましたもんね。こんなかっこいい幸村公は今まで観た事がありませんでした。




凄まじい覇気をもって、真田幸村と言う武将の魂が降り立った様に私には見えました。


大きな拍手と笑顔と熱い感動に包まれて、私が生で拝見出来る最後の上川隆也版・真田十勇士は幕を閉じました。

舞台でのお芝居に興味なく生きて来た私の様な者まで、劇場に足を運ばせた素晴らしい舞台だと思います。

お芝居や音楽などは、本当はそうでなければならないのかも。

音楽好きな人やお芝居好きな人だけじゃなく、今まで劇場やライブに行った事がない人々にも、「もう一度行きたい。もう一度会いたい。」と思わせてくれる作品や表現者達が本当に良い作品であり、本当に才能ある表現者だと思います。

感ずる驚きと感動は生まれて初めての物でした。

嬉しかったです。


そしていよいよ、この上川版・真田十勇士は大阪決戦が始まります

上川隆也版・真田十勇士 大阪公演


まさに、終焉の地での決戦です。東京公演、そして名古屋公演で私が客席に居て感じたのは、観客席の大きな「気」です。まるで、舞台を後押ししている様な「気」。

演者の皆さんは、この「気」を携えて、大阪決戦へと挑むため毎日舞台へ立たれたのでしょう。

この上川隆也版・真田十勇士の舞台が本当の戦いと終結を迎える今、何故かまた台風が接近中ですが、きっと演者と客席のパワーで大千秋楽への道が開けることと思います。


是非是非、劇場へ足を運んでご覧になって下さい


是非、舞台の幸村と十勇士と共に戦って下さい。笑って下さい。愛して下さい。


そうする価値のある作品です





































































































































































上川隆也版・真田十勇士 その4 ネタバレあり。

2013-10-01 18:45:55 | お芝居・テレビ
夏の陣の戦場にて、十勇士達は戦いの最期を迎えます。

多勢に無勢。皆、一人に対して複数の敵を相手にします。

十勇士、一人一人の個性がその絶命場面に反映されています。

見ていると胸が締め付けられるようです。いつも涙で目をうるませて観ていました。

十勇士の一人、望月六郎の持っているアイテムは扇なのですが、舞う様にひらひらと扇を翻しながら戦場である舞台を駆け上がって行く姿が印象に残っています。

絶命する時も、扇をバッと開き「天晴れぇっ!!」と叫んで息絶えました。小柄で、いつも幸村の息子である大助の傍らに居て、若くてとかく熱くなりがちな大助を「若、若!」とよくたしなめていました。笑いを起す才能に溢れたキャラクターで、何となくお母さん的な雰囲気を持つ六郎が死んでしまった時は本当に寂しかったです。

その大助もまた、十勇士と共に戦場で戦って絶命します。父を深く敬愛していた大助は、父のため真田のため、一人の武士として刀を振るいます。その姿はせつな過ぎる程この最期に来て、男らしいのです。



真田大助役: 渡部 秀さん。父・幸村を侮辱する者は許しませんでした。この大助は大阪城の秀頼、淀とは運命を共にせず、戦って討ち死にしたのです。





由利鎌之助役: 松田賢二さん。武器である鎖鎌を切られ追い詰められ、敵の腰から刀を抜き取り絶叫しながら斬りこんで行きます。客席に背を向けた形で叫びますが、客席に届きます。その声に心が震えました。佐助と共に生きて来た鎌之助。物語の後半で実は非常にセンスある感性の持ち主と判明し、私はかなり感動。ヒントは佐助の名前。


息絶える直前に満面の笑顔を見せる者、「殿・・・」と幸村に思いをはせて息絶えた者。絶命した十勇士達にはスポットで照明が当たっています。


舞台のあちこちに十勇士が倒れています。

そこへ幸村がやって来ました。もはや動かぬ愛する者達を見渡し、足元の大助に近寄ります。

そっと大助の顔に手を伸ばすと、まぶたを閉じてやりました。自分と同じ様に「父と真田の誇り」のために戦い、目を開いたまま絶命していた我が子の頭を優しくなでました。

幸村が泣いている様に見えました。客席も静まり返っています。


すると、

「おい、いたぞーっ!!!」

と敵兵の声が。足軽兵がわらわらとやって来ます。


戦い散って行った十勇士の骸の中に立ち、幸村公の壮絶な戦いが幕を開けました。

束になってかかって来る敵を、幸村は一人で相手にします。舞台を駆け上がり、相手の槍を奪い振り回し、矢が飛んで来ても戦う事をやめません。

この舞台・真田十勇士のテーマ曲である、中島みゆきさんの唄がここで流れます。

駆け上がって来た敵の一人を槍で刺し、じりじりと降りて行きます。周囲から他の兵が近づこうとすると「寄るな!!」と幸村が叫びました。刺されたままの敵兵は断末魔の様な叫び声をずっとあげ続けています。敵兵達は恐れをなして近寄れません。

しかしながら、たった一人の幸村。斬りこまれます。

血が吹き出すのが見えるようでした。そんな後ろに大きな月が昇り来るんです。中島みゆきさんの唄が、戦う運命しか生きられなかった者達の狂おしい想いを伝えるようでした。

斬っても斬っても、フラフラと立ち上がる幸村に敵兵達も恐怖を覚えながら「い、行けっ!行けっ!」などと声を震わせ言い合います。

よろめき、血の流れ出る口元をぬぐう幸村公。揺れる視線の先に何を見ているのか。幸村のそんな姿に私は涙が溢れそうになるのです。


最後には無残に槍で四方八方から刺されます。それでもなお、立ち上がろうとし、膝から崩れ落ちて幸村は死にました。真っ赤な甲冑に身を包んだ幸村は、血にまみれ倒れている様に見えました。敵兵達はヘトヘトに疲れています。

しかし、そんな激しいシーンだったのに関わらず、後ろの月に照らされて温かい「愛」を私は感じました。それは、幸村と十勇士を結んでいた物なのかもしれません。

十勇士にあたっていたスポットが幸村の絶命と同時に、赤い色に変わっていました。

幸村にも赤い色のスポットがあたっています。

主君の死を待ち、彼らは揃って天に昇ってしまいました。



家康が、幸村安居神社で討ち死にと半蔵から知らされます。

幸村の手によって、何度もその命を危険にさらされた家康公。真田幸村と言う武将を賞賛する言葉が家康から発せられます。

そして、大阪城落城の知らせが届くのでした。



つづく。