Chef's Note

『シェフの落書きノート』

雨が好き…

2007-07-15 | 自由 気ままな独り言
台風が東京にも接近している。

梅雨+台風=思いっきり雨模様
九州地方は大丈夫だろうか…。

僕は、雨がそれほど嫌いではない。
あるエピソード以来…嫌いではなくなった。
それ以前は、大嫌いだったが…。

ずいぶんと前の話になるが…
L.Aに住みはじめた頃。
あるカンボジアの女性と友達を通じて知り合った。
その頃は、3月でL.Aにも時折、雨が降っていた。

「今日は、雨か…。どうも雨は苦手だな。早く晴れないかな…」
そのカンボジアの女性に話しかけた。

「雨が嫌いなの?どうして?私は雨が好き。雨はとても優しいもの…とても気分が落ち着いて、心が潤う感じ…。雨の音だけが聞こえて、街は、いつもより静かになるでしょう?だから私は、雨が好き…」
彼女は、空を仰いで大きな瞳を輝かせて言った。

正直、ビックリした。
こんなことをいう人に初めて会った。

僕は、てっきり
「そうよね…雨が降るとジメジメしてなんだか気分も暗くなるわ…」
…というような答が返ってくるものだと思っていたのだが…。

4月に入り、それから雨は降らなくなった。
7月、8月…あの時以来、L.Aに雨は降っていない。

乾燥しきった暑い夏。
パームツリーの葉が風で擦れあうと燃えたりもした。

L.Aでは、7月4日の『独立記念日』以外の日は花火は禁止されている。
空気が乾燥しきっているから…

「この前、あそこに行ったのは、いつだった?」
そう友達に聞かれてもわかない…。

「ん~…。いつだったっかな…。確か暑かった…。…いまも同じ様に暑いしな…。
ひと月半くらい前だったと思うけど…」

四季のある国、日本に生まれた人は…
「あの時、少し肌寒かったじゃない…。あそこの梅も咲いていたし2月の終わりか3月の始めだったよ」

…たぶんこんな答が返ってくる。

天気が毎日毎日、変化なく時がすぎていくと…
気分まで単調になっていく気がする。

「雨が見たい…。雨が降らないかな…」
空を見上げても…雲ひとつないドピーカン…。
そして暑い!

グリフィスパークまで行って、大きな木を探して木陰で涼をとる。
これは、気持ちが良い。

「雨が見たい…」
真剣に雨乞いしたい気分。

彼女の言葉を思い出した…
「雨が好き…。雨はとても優しいもの…」
その意味がわかった。

4月から降らなかった雨は、10月になって降った。
半端ではない雷と共に…
まるで空にでっかい線香花火をつけたような感じ…。

アメリカの自然は、いつもスケールが違う!

雨は、ドラム缶に貯めた水を一気に頭の上にかけられているような感じ…

「久々に…しかも半年振りに降ったんだからさ…。もう少し雨らしくシトシトと降らんかね…」
そう言いたくなる感じだった。

片側8車線あるフリーウェイは、一気に川になった。
水位がドンドン上がってくる。
車線なんて全くわからない…。

今、九州に降っている雨がイコールその時に僕が経験したL.Aの雨に匹敵すると思う。

四季のある国、日本…
この国がもっていた自然は、素晴らしいもの…。

あの時以来…
雨の音を聞いていると…気分がとても落ち着くようになった。
そして、あの時のキラキラ目を輝かせていた彼女を思い出す。


台風の被害が最小限ですみますよう…
心から祈ります。

出かける際は、気をつけて…。




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