優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

ああ、赤面。でも、愛しい。

2012-08-27 23:19:56 | 冬のソナタ
久しぶりに、本当に久しぶりに「別れの後」を読み返しました。
はい。
知っている人は、知っている。
知らん人には、なに、それ?の冬ソナサイドストーリーです。

書いたのは確か2004年ですから、もう8年前です。


なんつうか、うれし、はずかし…、赤面です。
書いているときは、結構自分でもうるうる来ながら書いた…はずなんですが、なんというか、気持ちばっかりが先走っていて、やたら前のめりになっている気がしました。

もう、とにかく想っていることが頭から溢れそうでなんとかしたい、そんな状態だったのです。
よく、6人(もちろん、ユジン、ジュンサン、サンヒョク、チェリン、ジンスク、ヨングクです。)が頭の中で勝手にしゃべって困ったものです。笑

そんな状態で、結構一気に書いたものですから、読み返すと、赤面、なわけです。
でも、私の力量ではいかんともしがたく、いまさら書き直しも出来ず(やってもより良くならない。せいぜい、誤字の訂正くらいなもの)、でも、愛しいのです。



とにもかくにも、ユジンとジュンサンが、登場人物たちが好きで仕方がなかったのです。
もしよろしかったら、お読みくださいませ…。(結局、宣伝でした…。)




バラ園にて 27話「届けられなかったラブレター」

2012-08-22 23:30:23 | 冬のソナタ
皆さんこんにちは。ウ・シニョンです。

休日の午後のひと時、素敵な音楽とおしゃべりでおくつろぎください。
今日のテーマは「届けられなかったラブレター」

忘れられない初恋の思い出はありませんか。
叶えられなかった、切ない恋の思い出はありませんか。

これは、大切な人への思いを綴った、でも、出すことのできなかったラブレターです。

ーーーーーーーーー

あなたは、私の希望の灯し火でした。

俯いていた私は、あなたに出会って頭を上げることができました。

あなたを見ていることができるだけでうれしくて、あなたと同じ空間にいられるだけで楽しくて、あなたにふさわしい女性になりたい、それが私の毎日の生きる張りになりました。

あなたが好きです。
大好きです。

この気持ちを、いつかあなたに伝えたい。
たとえ、叶わぬ想いだとしても・・・。

あなたの瞳には、いつも別の人が写っていることは、わかっていました。
それでも、好きでいることを止めることはできなかった。
どんどん大きくなっていくばかりだった。

叶わぬ恋に、いつまでもとらわれていることは、愚かでしょうか…。
  
   --------

ここで音楽をお届けしましょう。
「あなたに会えて…」

歌詞付き 合唱 あなたに会えて・・・




   -------


そのころ、バラ園では…

「えー、ではここで、僕たち春川第一高等学校放送部の後輩であるウ・シニョンさんからお祝いのメッセージと音楽が届いておりますので、ご紹介いたします。」

「キム・サンヒョク先輩、オ・チェリン先輩、ご婚約おめでとうございます。

長い間、お二人の姿をあるときは近くで、あるときは遠くで見させていただきました。どんな困難が襲ってきても臆することなく、励ましあい勝ち超えてこられたお二人の姿は私の憧れです。

お二人の後輩でいられたことに感謝いたします。ありがとうございました。
お幸せをお祈りいたします。  ウ・シニョン」


メッセージを読み終えると、ウォングクは腕時計で時間を確認しオーディオデッキのスイッチを入れラジオの周波数を合わせた。

すると、スピーカーから計ったかのように音楽が流れ始めた…。
(やれやれ、うまくいった…)

  * * *

la la la la ......
 ……

あなたに会えてよかった
だから今の私がいる…

  * * *


(シニョン、素敵なプレゼントをありがとう…。)

(今、ここにあることに感謝します…。)







「では、もう一曲お届けいたします。『ひとつ』」


ひとつ アンコール 作詞 作曲 編曲 指揮: 高橋晴美




「ここでリクエストにお答えしたいと思います。
キム・サンヒョクさんのリクエストで『母に贈る歌』です。

婚約式の日に、感謝を込めてお母様に贈ります。」


母に贈るうた  豊岡厚惠




  * * *

音楽が終わると、ウォングクはスイッチを切った。

(? ウォングク、どうしたの?…)
何もしゃべらないウォングクをいぶかって、ジンスクはひじでこづいた。

「なんだよ…。ちょっと、胸が詰まっただけだよ…。
いや、なんだ…、なんつうか、ジンスク、ありがとうな。
これからも、よろしく。」

「ヤダ、こんなところで…ウォングクったら…。」(だから、好きよ…。旦那様!…)
「ほら、司会。司会…。」

「あ、そうだった…。(いかん、いかん。つい、思いにふけってしまった。)」

「大変失礼いたしました。
シニョンさん、素敵な音楽のプレゼント、ありがとうございました。」


  …………

幸せって、なんでしょうか。
叶う恋ばかりが、幸福でしょうか。

あなたにこの想いが伝えられないからって、あなたに会わないほうが良かったとは思いません。

あなたが笑えば、私も笑います。私の心は、温かくなります。

あなたが泣けば、私も泣きます。悲しみを洗い流せるまで。


あなたに出会えて、本当に良かった。
あなたを好きになった自分が大好きです。

だから・・・、これからも好きでいさせてください。

あなたの幸せをいつも遠くの空からお祈りしています。
さようなら…。



書き終えて 出さない手紙 封緘す
        青春の日を 思い出にする

きらきらと 輝いていた あの時を
        宝物にして 明日も生きてく



この後も素敵な休日をお過ごしください。
お相手は、ウ・シニョンでした。それでは、また…。


   ………

シニョンは、手元のマイクを切った。
OKサインが出された。

(この手紙、どうしよう…。
やっぱり、卒業する時焼却場で燃やしてくるんだったわ…。
10年以上たって、いまさらだけど…。)

表書きに「キム・サンヒョク様」と書いた手紙を、シニョンはかばんにしまった。

その頬に翳りはなく、穏やかな微笑がたたえられていた。




 あとがき

二人の婚約式の最中に、公共の電波を使って自分の思いを吐き出すってどうよ…、とは思ったのですが、なぜだかずっとこの場面が頭にあって、とうとう書いてしまいました。
チェリン、ごめん。

シニョンは、「お昼の校内放送」で登場させた人物です。
その中で、中一の時からサンヒョクに思いを寄せていたという設定にしています。
私の思い入れがかなり強い人物です。

どうやら、サンヒョクの後を追ってとうとうラジオ局のアナウンサーになってしまったようで、相当な初恋病重症患者です。

作中の三曲は、どれも所属しているコーラスサークルで歌った曲です。好きな曲はいっぱいあるのですが、今ご紹介したい曲を入れました。
3曲はちょっと欲張りすぎですが…。

最後の海

2008-11-28 11:44:06 | 冬のソナタ
「夜明け」      ヒサト 


助手席に上弦の月 笑っている


まだ眠るきみに続いてゆく水面


窓すこし開けて初冬に耳澄ます


抱き寄せる肩の温かさがほしい


滲むように瞬くように 冬の記憶




   -----------------


ジュンサンは、海岸沿いに車を走らせていた。
まだヘッドライトをつけていたが、夜明けは近い。

太陽が顔を出すまでにはまだ間があったが、空が明るくなるにつれて、瞬いていた星たちが、ひとつ、またひとつと光の中に溶け込んでいく。


車を運転するのも、多分今日が最後になるだろう。
キム次長を説き伏せ、ひそかに病院を抜け出してきたのだ。


手術をすれば、命が助かる可能性は高くなるが、視力を失う危険があった。
ユジンを失い、視力まで失っては、生きる望みなど見えなかった。
〈生きて、これから何をしようというのだ…〉

生きる気力をなくしたジュンサンは、両親やキム次長の説得にも心を閉ざしてしまった。


「ミニョン、いやカン・ジュンサン。
よく聞け。ユジンさんは、サンヒョクさんと一緒じゃない。1人でフランスへ行ったんだ。
サンヒョクさんが、お前を追いかけて行けとニューヨーク行きのチケットを渡したのにもかかわらず、だ。
お前を信じているユジンさんを、裏切るのか?」


〈ユジンは、1人で立とうとしている。誰にも頼らず新たな道を切り開こうとしている。
10年前、僕を失ったあとも、ユジンは誰にも頼らず一人で耐えてきた。
それなのに、僕は…。情けない…。

それにしても、よく、ここまで体がもったものだ。
まだ、僕に生きろということなのか?
何をして…?〉


ジュンサンは車を道に寄せて止めると、助手席の向こうに見える海を見た。
海の上には、上弦の月がまだ明るく輝いている。

〈まるで、あの日のユジンのようだ。二人で雪遊びをして、笑っていた君。
この海の向こうに、君はいるんだね。
今、何をしているんだろう。


君は、僕がいるといつも安心して眠ってしまったよね。
ひとりでも、よく眠れているかい?〉


ジュンサンは、窓を少し開けて波の音を聞いた。
冷たい空気がほほをなでる。
冬の足音がした。


〈これからは、いくつもの冬を君なして生きてゆかなければならない。
もう、その温かい肩を抱き寄せることはできないんだ。〉
わかってはいても、風の冷たさが淋しさをいっそう募らせた。


〈冬の海が見たかった。
ユジンと初めて行ったのは、冬の終わりだった。
たくさんの思い出をつくるために…。
そして、思い出を全部海へ捨てるために…。〉


思い出の品々を海へ投げたときの思いがよみがえり、ジュンサンの胸を締め付けた。
思わずジュンサンは、窓を閉めた。


〈もう、帰ろう。
夜が明ける。
僕は手術を受ける。生きていくために。
たとえ、光を失ったとしても…〉


車のエンジンをかけると、ジュンサンはその場から走り去った。



暁は 闇深いほど 近いもの
     今見えずとも 希望(ひかり)求めて




    (あとがき)
冬ソナのサイドストーリーを書くのは1年ぶりです。
出会ってから4年、さすがの熱ももう冷めた、卒業かなと思っていました。

ところが、まだどこかに火種が残っていたようです。
ヒサトさんの「色とりどりの雪」5句でちろちろと燃え出した火が、「夜明け」5句で一気に冬のソナタの世界へ持って行かれました。
ヒサトさんの冬の川柳は私にはとても刺激的です。

「夜明け」の句を、何度も、何度も読んでいるうちに、ジュンサンの物語が自然に頭の中に出来上がっていました。

またこんな風に物語が書けるとは思っていませんでした。
ヒサトさん、読んでくださった皆さん、ありがとうございました。


今回の短編は、ジュンサンがアメリカへ帰っておおむね半年過ぎたころを設定していますが、地理や時差などは考慮に入れておりませんので、矛盾点がありましてもご了承ください。

連作バラ園にて「姉妹」

2007-12-06 20:32:01 | 冬のソナタ
「ふう・・・」
ユジンは周りを気遣って小さくため息をついた。
額にはうっすらと汗がにじんでいる。
〈こら、ベビーちゃん、もう少しだから静かにしていなさい。よく動くわねぇ・・・。〉



「ユジン、大丈夫?疲れたんじゃない?控え室で少し休むかい?」
「ありがとう、ジュンサン。大丈夫よ。せっかくのお祝いの席ですもの、最後までいたいわ。」
「そお。でも無理しちゃだめだよ。」
「うん、わかってる。」
ユジンは笑顔で答えた。


「ねえ、サンヒョク。」チェリンがサンヒョクの耳元でささやいた。
「私、ドレスを替えてきていいかしら?」
「いいけれど、予定していたっけ?」
「予定にはなかったけれど、一応用意だけはしておいたのよ。
それに…、ユジンを休ませた方がいいと思って。」
と目配せをした。

「そうだね…。いっておいで。」
チェリンはすっと席を立つとヨングクに耳打ちした。
ヨングクは「OK」と言う感じでウインクするとマイクを握った。

「お祝いのメッセージが続いておりますが、ここでチェリンさんがお色直しで少々退席いたします。
その間、皆さんしばしご歓談ください。」


チェリンは招待客に一礼するとユジンの席へ向かった。
「ユジン、手伝ってもらっていいかしら?」
「ええ。ジュンサン、ちょっと行ってくるわね。」


控え室に行くと、部屋にはチェリンのデザインしたドレスが何着も用意されていた。
「わぁ、みんな素敵ね。目移りしちゃうわ。次はどれを着るの?」
「ほら、ユジン。いいから、こっちへ来て横になんなさい。
今日も朝からずっと動き回っていたから疲れたでしょ。
着替えは一人でできるから大丈夫よ。」

チェリンはそう言いながらソファにクッションを並べた。
「大事な体なんだから、無理しちゃだめよ。」
「チェリン…、ありがとう。
じゃぁ、お言葉に甘えて休ませてもらうわ。」

「ユジン、私たち、今日から義理の姉妹になるのよ。
遠慮しないで、少しはわがまま言ってもらわなくちゃ。
これからは一人で我慢ばっかりしていてはだめよ。」


「うん・・・、わかったわ。」
背を向けたまま、てきぱきと着替えをしながら、何気なく言うチェリンのやさしさがユジンはうれしかった。

「そうか…、私達姉妹になるのね。」
「そうよ、私はユジンのおなかにいる赤ちゃんのおばさんになるのよ。
あら…いや?」
チェリンは振り向いてちょっと睨むようにした。

「そんなわけないでしょ。
うれしいわ。
チェリンと家族になれるなんて…夢のよう。」


「私はみんなを傷つけて、悲しませて…、チェリンも…。
チェリン、私、・・・」
ユジンはソファから体を起こすと、改まった様子で言葉を続けようとした。


するとチェリンは慌ててユジンの傍によってきて、唇にそのかたちのよいひとさし指をあてた。
「ちょっと待って。あなたも言いたいことがあるかもしれないけれど、私に先に言わせて。今日は私のほうが優先よ。ね。」
「あ・・・、そうだわね。わかったわ。」

「ユジン、今まで・・・ごめんなさい。
私は謝らなくちゃいけないことがあるのに、素直になれなくて・・・。
今を逃したら、もうあなたに謝れないと思うの。

嘘をついて友達を陥れるなんて、絶対やっちゃいけないことよ。・・・いくら恋人を取られたくないからといって、許されることじゃないわ。
そうよね・・・。
でも私はやってしまった。
ごめんなさい、ユジン。」

「チェリン・・・あなたずっとそのことを思っていたの?
もう過ぎたことよ。忘れましょう。

あなただってつらい思いをしたんだし、自分の幸せを追い求めて周りの人を傷つけてしまったのは私も同じこと。

愛する人を失う悲しみは、経験した人にしかわからないわ。
あなたはミニョンさんという最愛の人を永遠に失ってしまったのだもの、私だって同じ立場になったらどうしていたかわからない。

それに、私は結局あなたからミニョンさんを奪ってしまったのだもの。
サンヒョクにも悲しい思いをさせて、私こそあなたたちにきちんと謝らなければいけないのよ・・・。

そのことが心のどこかにいつもあったの。
チェリン、ごめんなさい。」

「ユジンのばか。謝らないでよ。
あなたは何も悪いことなんかしていないじゃない。
あなたに謝られたら私の立つ瀬がないわ…。」
チェリンはユジンの手を握って涙を流した。

「…ほら、新婦さんが泣いたら台無しよ。

チェリン。一番苦労した人が一番幸せになる権利があるんですって。
サンヒョクと幸せになってね。

もう行かないと、サンヒョクが待ってるわ。」

「ほんと。待ちくたびれちゃってるかもね。」
チェリンは涙をぬぐって笑顔を浮かべた。

「ユジンは休んでいて。
ジュンサンには心配しないように言っておくから。」

チェリンは晴れ晴れとした表情でバラ園へと戻っていった。

If…21話 「もし、婚約式が無事挙げられていたら・・・」

2007-04-18 00:57:34 | 冬のソナタ
「いかかですか…、よくお似合いですわ。」
ユジンは鏡の中の自分の姿をみつめた。
〈お義母様、気に入ってくださるかしら…〉

「お気をつけて。」
ユジンは店員に見送られて美容室を出た。
と、その時携帯が鳴る。

「ごめん、遅くなって。今美容室を出たところよ。
もう少しでそっちへ着くわ。」
携帯を握ったまま走り出そうとしたユジンの頬に冷たいものが触れた。
白いものが落ちてきていた。
初雪だ。
思わず歩を止めて空を見上げる。

〈いいことがあるのかしら。祝福の初雪?〉
明るい気持ちで、ユジンは婚約式の会場へと急いだ。

「サンヒョク!お待たせ。」
「ユジン、間に合ってよかったよ。」
式場には、サンヒョクの両親、ユジンの母とヒジンの他司会を頼んであるヨングクやジンスクもすでに到着していた。
「お義父様、お義母様、遅くなって申し訳ありません。」
「挨拶は後でいいわ。
もうそろそろお客様がおいでになるから、早く着替えておいでなさい。」
「はい、では失礼いたします。」

ユジンが控え室へと行くのを見送りながらチヨンがサンヒョクにつぶやいた。
「ユジンは今日も仕事だったの?婚約式なのに。」
「今大きな仕事を控えて忙しいんだよ。
僕と違って独立して仲間と事務所を構えているから、そうそう抜けるわけにはいかないんだ。」
「それじゃ、結婚したからといって家事に専念できそうにないわねぇ。あなたはそれでいいの?」

「急に仕事を辞めるのは無理だろうけれど、ちゃんと後任者を探して徐々に仕事を任せていけばいいさ。
それは二人でこれから相談してきちんとするから、母さんは心配しないで。」

「おぉ、ユジン。綺麗だね。」
ユジンの美しいチマ・チョゴリ姿にジヌは目をしばたいた。
「ヒョンスに見せたかったですね、お義母さん。
今までのご苦労が報われましたね。」
「本当に、何もかもサンヒョクやお義父様お義母様のお陰でございます。ありがとうございます。」ギョンヒはジヌに深々と頭を下げた。


親戚のほとんどいないチョン家はギョンヒとヒジンだけであったが、キム家は親戚をはじめジヌの仕事関係の大学教授やサンヒョクの職場の上司などそうそうたる招待客が訪れた。
その中で臆することなく、サンヒョクと共に堂々と立ち居振舞うユジンを見て、チヨンは満足そうに頷いていた。


式はヨングクの司会進行で滞りなく終わった。

「サンヒョク、ユジン、お疲れ様。
ユジン、これで今日からあなたはキム家の嫁です。
サンヒョクに恥をかかせぬよう、キム家に傷を付けぬよう、しっかり頼みますよ。
今は仕事が忙しいようだけれど、少し落ち着いたら花嫁修行をしてもらわなくてはね。
家のしきたりやお付き合いなどいろいろ覚えなければいけないことがあるわ。」
「はい、よろしくお願いします。」
「まあ、まあ、母さん。今ようやく婚約式が終わったばかりだ。
あわてる事はない。だんだんに覚えていけばいいじゃないか。」
「もちろんですわ。一度に覚えられることではありませんもの。
でも、ユジンなら大丈夫ですわ。今日も立派でしたもの。
正直、見直しました。
高校生のころのあなたはちょっとお転婆で心配でしたけれど、独立して仕事を始めたせいか、ずいぶんしっかりしたわね、ユジン。」

チヨンがいつにも増して機嫌が良いことに、ギョンヒはほっとした。
「そうでしょうか。親としてはいつまでも心配なばかりで。
どうぞよろしくお願いいたします。」



“高校生のころは…”
その言葉に、にこやかに会話する親達の間で、ユジンは一人青ざめる思いがした。
〈私が、ジュンサンを好きなの…〉
ふいに、あのときの自分の言葉が頭をよぎった。

〈なぜ今、ジュンサンのことなど…
私はサンヒョクの妻になるのよ…
私の決心は間違っていたの…?
初雪は私達への祝福ではなかったの…?

初雪…
昼間見かけた、あの人…
ジュンサンに似ていた…?〉

頭から血の気が引いていった。
ユジンはその場に倒れた。



「気がついた?気分はどう?大丈夫?
ついさっきサンヒョクは帰ったわ。
仕事のしすぎじゃないかって、心配していたわよ。」

「ごめんなさい、母さん。心配かけて。
もう大丈夫よ。
緊張して少し疲れただけよ。たいしたことはないわ。」

「顔色がまだ悪いわよ。
何か気になることがあるの?仕事?
まさか、サンヒョクとうまくいっていないの?」

「そんなわけないでしょ。」
ユジンは無理に笑顔を作った。

〈そんなわけないわ…そんなわけ…
私はいったいどうしちゃったの…?〉
ユジンは、無性にポラリスが見たかった。