1979年秋、釜山と馬山で民衆が蜂起してからちょうど11日目の10月26日。独裁者・朴正煕大統領は、腹心の部下、金載圭中央情報部長に暗殺され、不動の維新体制は数発の銃弾によってあっけなく崩壊した。7年の歳月と500名をこえる関係者への取材によって、いま初めて激動の11日間から光州事件にいたる全貌が明らかにされる。韓国でベストセラー中の衝撃のノンフィクション。韓国ジャーナリズムのひとつの達成。 (Amazonの商品説明より)
「第五共和国」を見たので、名前から顔(俳優さんの)をイメージできたので、なんとか四分の一ぐらいは読みましたが、ドラマを見ていなければ“はじめに”のところで挫折していたでしょう。
細かい活字でぎっしり383ページ。
しかもたくさんの漢字の人名がふりがななしで出てくる(初出と、時々ふってはあるのだが)ので、誰が誰やらわからなくなってくる。
かなり読むのがきつかったです。(読了した方は偉い!)
「朴正煕政権の崩壊過程は、他のあらゆる組織の没落を彷彿させてくれる。政権の中心人物がまず精神的な破綻をきたしたのちに、その組織の内部秩序が崩れ始めたのであり、……組織は内側から先に亡び始めることを常とする。」
どんなに堅固に見える体制でも、内部が腐敗することによって崩れ去る。
朴正煕という人は「飢餓からの解放」を目指し、それが達成され維新体制が確立し競争相手がいなくなると目標を失い、疲れ果てた人間になってしまった。
人間が「食べて暮らすだけでなく、何のために存在するか」考える生物であることを彼は考えようとしなかったからだ。
彼は、最後には自分の気分を害するものを遠ざけ、機嫌よくさせてくれるものだけを周りにおいて寵愛するようになる。
そうなれば、側近は朴正煕の機嫌だけをとるようになり、寵愛競争に走り、国民をなおざりにし、抑圧することをなんとも思わなくなってくる。
どんな組織でも、結局は人だ。
すばらしい組織を作り上げても、そこにいる人が腐敗すれば組織は崩れてしまう。
自由と正義のために、人々のためにと奮闘した人も、自分がいったん権力の座に着き甘い汁を吸ってしまうと堕落してしまうことが多い。
保身のために自分が今度は人々を抑圧し、虐殺する側になってしまうのだ。
人間とは弱いものだ。
現状に安住しようとした時に、後退は始まる。
そうならないためにはどうしたらよいか。
自分が「何のために」これまでやってきたのか、頑張ってきたのか。
「何のために」今ここにいるのか。
それを常に忘れず、前進することを止めない、これしか方法はないのだろう。
ところがこれが難しい。
私などつい弱気になり、「もう歳だから」「これだけ頑張ったんだからもういいでしょ」と引いてしまいがちだ。
一生勉強。
常に学ぶことを忘れない。
「何のために」ということを忘れてはいけない。
今回も「反省」の一書でした。