第1話 「ユジンのつぶやき」 から続く
ユジン…、君はフランスへと旅立ってしまった。
僕にも仲間にも何も告げずに…。
ニューヨーク行きへのチケットを、何も言わずに受け取ってくれたのは、僕への思いやりだったんだね。
君はいつもそうして、周りの人間へ気を使ってばかりで、ばかだよ。
ジュンサンを追いかけて、彼の胸に飛び込んでしまえばいいものを。
もう、誰も君達を責めやしない。僕だって…。
いや、責めるどころか謝らなければいけないくらいなんだ。
だからこそ、チケットを渡したのに。
ユジン、僕は誰よりも君を愛していた。
愛していると思っていた。
君を守りたかった。
君と僕は、生まれた時からいつも一緒だったから、誰よりも君の事を理解しているし、君のことを分かっていると思っていた。
でも、それは思い込みだったんだ。
守りたいと思っていた君を、僕は結局苦しめるばかりだった。
君の心に僕がいないのを分かっていながら、君を縛りつけようとしてしまった。
本当に愛しているのなら、君の幸せをこそ願うべきなのに…。
ほんとうに、ごめん。
ジンスクから聞いたよ。
僕に申し訳なくて、ユジンはジュンサンのことを忘れようとばかりしていたこと。
ユジンを苦しめていたのは、死んだジュンサンではなくて僕だったんだね。
あの10年間も。
もしも…
高校2年生の冬、山荘でのキャンプの帰り道、君が僕にはっきりと「私がジュンサンのことを好きなの…」と僕に告げたとき、君の心を信じてジュンサンへの誤解をといていたら、その後の僕たちは変わったろうか…。
確かに、あの時はまだ僕達も若くてそこまで理解しあうのは無理だったかもしれない。
でも、その後、もう少し大人になったときに、君のほんとうの気持ちを分かってあげて、ジュンサンとの思い出を語り合うことができていたら、僕たちはほんとうの恋人同士になれた、と思うのは僕の思い過ごしだろうか…。
僕は結局、ユジンのほんとうの淋しさ、辛さ、父親がいないということ、家族を守っていかなければいけないということ、そのことを心からわかってはいなかった。
分かっているつもりで、だからユジンを守りたかったし僕にできるだけのことはしているつもりだったけれど、それはやはり同情でしかなく同苦ではなかった。
ユジン、君とジュンサンは、あの日、二人で自習をサボって罰掃除をするようになって以来親しくなっていったよね。
あの時、君はジュンサンが私生児で父親を探していることを知ったのかい?
きっとそうだよね。
それで、お互いが同じ苦しみを持つもの同士心を開きあったんだね。
それなに僕は君の心を分かろうとしなかった。
ジュンサンが僕への嫌がらせで君を騙していると思い込んでいた。
いや、そう思い込みたかったんだ。
二人が本気で好き合っているなんて、認めたくなかった。
もしも…
僕がもっと大きな愛情で君を包み込んで、ジュンサンがなぜ僕に嫌がらせをしたか…「ジュンサンはお父さんを知らなかったのよ。だから優しいお父さんと温かい家庭で育ったあなたが羨ましかっただけなの。私を騙したわけじゃないの。だから許してあげて。」…そう言えるようにしてあげていたら…。
もしも…
僕がジュンサンの話題を避けずに「サンヒョク、ごめん。私まだジュンサンのことを忘れられないの。ううん、忘れたくないの。私が忘れてしまったら、ジュンサンは一人で淋しい思いをしなくちゃならないわ。だから、もう少し待って、ジュンサンのことが思い出になるまで。」そう二人で笑って語り合えるようにしていたら…。
たとえ、イ・ミニョンとしてジュンサンが僕達の前に現れようとも僕たちは変わらずに婚約者でいられたかもしれない…。
…いや、もう止めよう。
いまさらそんなことを考えたところでどうしようもない…。
ユジンはフランスへ、ジュンサンはアメリカへ、二人は自分の意思で旅立ってしまったんだ。
僕にはもうどうすることもできやしない。
僕にできることは祈ることだけ…。
ジュンサン、死ぬな。僕のたった一人の兄さん…。
ユジンにはジュンサンが必要なんだ。
手術の成功を祈っているよ…。
そして、また会おう、必ず…。
ユジン、今でも愛しているよ。
でも、もう君を苦しめはしない。
君は自分の道を自分で選んで歩みだした。
僕も僕の道を歩いていくよ。
まだ、君無しでやっていく自信も、君より愛することが出来る人を見つけられるかどうかも分からないけれど、頑張ってみる。
ユジン…
元気でいて、早く幸せになってほしい、ジュンサンと…。
もしも、もしも あの日に戻れる ものならば
君苦しめず 愛せるだろうか
今はもう 振り返らずに 前を向き
歩き始める 君に負けずに
友として 異母兄弟(おとうと)として ただ祈る
どうか生きて 行きぬいてくれ
苦しめた 長い月日を 許してと
幸せ祈る 愛するがゆえ
ユジン…、君はフランスへと旅立ってしまった。
僕にも仲間にも何も告げずに…。
ニューヨーク行きへのチケットを、何も言わずに受け取ってくれたのは、僕への思いやりだったんだね。
君はいつもそうして、周りの人間へ気を使ってばかりで、ばかだよ。
ジュンサンを追いかけて、彼の胸に飛び込んでしまえばいいものを。
もう、誰も君達を責めやしない。僕だって…。
いや、責めるどころか謝らなければいけないくらいなんだ。
だからこそ、チケットを渡したのに。
ユジン、僕は誰よりも君を愛していた。
愛していると思っていた。
君を守りたかった。
君と僕は、生まれた時からいつも一緒だったから、誰よりも君の事を理解しているし、君のことを分かっていると思っていた。
でも、それは思い込みだったんだ。
守りたいと思っていた君を、僕は結局苦しめるばかりだった。
君の心に僕がいないのを分かっていながら、君を縛りつけようとしてしまった。
本当に愛しているのなら、君の幸せをこそ願うべきなのに…。
ほんとうに、ごめん。
ジンスクから聞いたよ。
僕に申し訳なくて、ユジンはジュンサンのことを忘れようとばかりしていたこと。
ユジンを苦しめていたのは、死んだジュンサンではなくて僕だったんだね。
あの10年間も。
もしも…
高校2年生の冬、山荘でのキャンプの帰り道、君が僕にはっきりと「私がジュンサンのことを好きなの…」と僕に告げたとき、君の心を信じてジュンサンへの誤解をといていたら、その後の僕たちは変わったろうか…。
確かに、あの時はまだ僕達も若くてそこまで理解しあうのは無理だったかもしれない。
でも、その後、もう少し大人になったときに、君のほんとうの気持ちを分かってあげて、ジュンサンとの思い出を語り合うことができていたら、僕たちはほんとうの恋人同士になれた、と思うのは僕の思い過ごしだろうか…。
僕は結局、ユジンのほんとうの淋しさ、辛さ、父親がいないということ、家族を守っていかなければいけないということ、そのことを心からわかってはいなかった。
分かっているつもりで、だからユジンを守りたかったし僕にできるだけのことはしているつもりだったけれど、それはやはり同情でしかなく同苦ではなかった。
ユジン、君とジュンサンは、あの日、二人で自習をサボって罰掃除をするようになって以来親しくなっていったよね。
あの時、君はジュンサンが私生児で父親を探していることを知ったのかい?
きっとそうだよね。
それで、お互いが同じ苦しみを持つもの同士心を開きあったんだね。
それなに僕は君の心を分かろうとしなかった。
ジュンサンが僕への嫌がらせで君を騙していると思い込んでいた。
いや、そう思い込みたかったんだ。
二人が本気で好き合っているなんて、認めたくなかった。
もしも…
僕がもっと大きな愛情で君を包み込んで、ジュンサンがなぜ僕に嫌がらせをしたか…「ジュンサンはお父さんを知らなかったのよ。だから優しいお父さんと温かい家庭で育ったあなたが羨ましかっただけなの。私を騙したわけじゃないの。だから許してあげて。」…そう言えるようにしてあげていたら…。
もしも…
僕がジュンサンの話題を避けずに「サンヒョク、ごめん。私まだジュンサンのことを忘れられないの。ううん、忘れたくないの。私が忘れてしまったら、ジュンサンは一人で淋しい思いをしなくちゃならないわ。だから、もう少し待って、ジュンサンのことが思い出になるまで。」そう二人で笑って語り合えるようにしていたら…。
たとえ、イ・ミニョンとしてジュンサンが僕達の前に現れようとも僕たちは変わらずに婚約者でいられたかもしれない…。
…いや、もう止めよう。
いまさらそんなことを考えたところでどうしようもない…。
ユジンはフランスへ、ジュンサンはアメリカへ、二人は自分の意思で旅立ってしまったんだ。
僕にはもうどうすることもできやしない。
僕にできることは祈ることだけ…。
ジュンサン、死ぬな。僕のたった一人の兄さん…。
ユジンにはジュンサンが必要なんだ。
手術の成功を祈っているよ…。
そして、また会おう、必ず…。
ユジン、今でも愛しているよ。
でも、もう君を苦しめはしない。
君は自分の道を自分で選んで歩みだした。
僕も僕の道を歩いていくよ。
まだ、君無しでやっていく自信も、君より愛することが出来る人を見つけられるかどうかも分からないけれど、頑張ってみる。
ユジン…
元気でいて、早く幸せになってほしい、ジュンサンと…。
もしも、もしも あの日に戻れる ものならば
君苦しめず 愛せるだろうか
今はもう 振り返らずに 前を向き
歩き始める 君に負けずに
友として 異母兄弟(おとうと)として ただ祈る
どうか生きて 行きぬいてくれ
苦しめた 長い月日を 許してと
幸せ祈る 愛するがゆえ