最近行きだしたフリーダンスの会。見たことのある男性が居るが、踊り方といい、表情といい、別人と思えるほどの人だ。けれど、気になっている。何度か私の経営する店に来たことがあるし、元気いっぱいの疲れ知らずの人で、いつも汗を飛ばすほど踊るだけ踊ると、いつの間にか消えていた人だ。
「ね、あの方の名前を知っている?」ダン友に聞くと、「えーとね、何て言ったっけ」と、言う。もしかして別人ならそれはそれでよいのだが、喉元まで上がってきた文字は、「い」という文字だ。い、い、い・・・・・
伊藤でもないし、石川でもないし、井上でもない。池端? いや違う。い・い・い・・・
名は体を表すというよねぇ。「い」から始まる苗字を散々思い出そうとするが出てこない。
その人物は、チラと私を見たりするが、すぐに視線はホールの中へ移っていた。
踊りながら、リードする男性に聞いてみた。
「あ、あの人ね、イダテンさんだよ。何でも脳溢血で倒れたことがあったらしく、しばらく踊りに来なかったけど、ああやって、踊れるまで回復したみたい」
そうだった。イダテンさんだった。「韋駄天」という苗字に驚いたりしたものだったが、別人のように、静かな踊り方になっていたので思い出せなかった。
「韋駄天さん、踊ってください」と、椅子席の男性に言うと、ゆっくり立ち上がると踊りだした。以前との違いは驚くほど。
「まだ書いているの?」と聞いてきた。「ええ、ボケ防止にね」というと、「そうか、何よりだね」という。私の素性は知っていたようだ。一曲だけ踊ってくれると、追い立てるように手を振った。余りにも違いすぎる様子。
「あなたは、軽やかでいいね」韋駄天さんが、言った。
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「と・ある日のこと」は、今記事が今年最後になります。
お付き合いいただきありがとうございました。
新年もまた引き続き掲載の予定です。
皆様には、お元気で良いお年をお迎えくださいね。
またよろしくお願いいたします。
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